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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
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✟「閉ざされた森」1/4

Closed World

「おっと、こいつはまずいぞ。えーと、お前たちは何とかって組織でいいんだよな。」


一人の男が今、紫色の髪と緑色の髪をしている双子に襲われていた。


「暗殺教団ね。何度言っても覚えてくれないんだけど。」


「いいよ。どうせ覚えても意味がないんだから・・。」




男はその辺に落ちている枝を拾う。


枝が姿を変え剣になった。




「こいつ能力者か・・・。」


「とっとと魂を置いてもらわないと。」




「ん!?何だ?」


男は顔の皮膚が引っ張られているような感じがしていた。


次の瞬間。男の顔から釘が飛び出してくる。


「うっ・・。」


男は顔を押さえ、その場から動かなくなった。


「今だ!やっちゃえ!」


男の周りから顔に骸骨のペイントをした集団が現れる。


その集団は男の首を狙う。




「ふっ!!」


男の体から衝撃波が発せられた。


男に近づいていた暗殺者たちは吹き飛ばされていく。


「消えた・・。」「どこへいった!!」


暗殺者たちは直ぐに立ち上がるが、男の姿は既に見えなくなっていた。






「今のがダークエルフ特有の・・・」


「厄介な種族ね。」


双子は暗殺者を率いて、森の中に消えていった。




「行ったか・・・。」


暗殺教団がいなくなった後、男は姿を現した。


(ふぅー。意外と強いじゃねぇか。透明化これがなけりゃ死んでたな。)




「いやぁ流石、呪われた種族と言われるだけのことはありますね。」


「誰だ?どこにいる?」


男の近くから声がした。


「上ですよ。上。」


男が上を向くと、木の上に一つの影があった。


「申し遅れました。わたくし、ラルフ=ビョルケルと申します。」


「その耳、あれか・・。」


「エルフ族ですよ。」


「そうそうそれだ。それで何の用だ?なんとか族のなんとか・・。」


「エルフ族のラルフです。」


「何の用だ?なんとか。」


「はぁ、もういいです。まさか、エドガーとピザファット以外で疲れるとは・・。」


男に調子を狂わされラルフは頭を抱える。


「だいたい紛らわしいお前が悪い。ラルフ族のエルフめ。」


「もう突っ込みませんよ。用件は一つだけ、聖剣についてです。」


男の様子が一変する。


「あれか。」


「知っているんですね。僕の能力でもその存在を検索できなかった剣。非常に興味深い。」


「教えるか。バーカ。」




男は剣を構える。


「参りましたねー。僕の能力は戦闘用じゃないんですけど・・。」


ラルフは木から降りて、男の前に立つ。


「おりゃ!!」


剣がラルフ目掛けて振り降ろされる。


ブンっと空気を切るような音がなった。




「ん?外したか?」


今度は剣でラルフの胸をつらぬく。


「おいおい、どういうこった。感触がねぇぞ。」


男は剣を抜いたり刺したりしてみる。


「もういいでしょう?早く聖剣の場所を教えてくださいよ。」


「よそ者に教えることは何もない。」


ラルフに隙を与えまいと、男は剣を振り回す。




「無駄ですよ。」


ラルフが男の剣を振り払う。


飛んでいく剣は地面へと突き刺さった。




「全く、厄介なサルートだ。」


男は土を握り、丸める。


土は発煙弾へと姿を変えた。


「しまっ・・。」


辺りに煙が広がっていく。


ラルフの視界がはっきりする頃には男の姿は見えなくなっていた。




「くそっ!!逃がしましたか。」


ラルフは木に八つ当たりをする。




そんなラルフの元に宮本とハルトムートの二人がやって来た。


「面白い、今のは錬金術の類か。」


「厄介なのは祝福ギフトだけじゃないようね。」




ラルフは深呼吸をして気持ちを落ち着ける。


「あの男を追っていけば必ず聖剣に辿り着けます。」


「あぁ、必ず我らが聖剣を手にしなければならない。」


「懸念すべきは暗殺教団ね。連中も聖剣に用があるらしいわ。」


3人はその場を移動し、男の追跡を始めた。




 ところかわり、ポータムポートの住宅街。


エドゥ達は普段通り探偵の仕事をしていた。




ガチャと扉が開く音がする。


エドゥ達はその音の方向へ目を向ける。


「珍しいな、嬢ちゃんが工房から出てくるなんて。」


「あぁ。いつも中にこもって、何か作ってるってイメージだからな。」




「依頼人としてお話があるの!」


ナタリーがエドゥとピザファットを手招きする。


「それで話ってなんなんだ?」


「えぇ、ピザファットに渡した鎧についてよ。」


「あれか?俺っちはあんな危険なもの二度と使わねぇぞ!」


「あぁ、俺もピザの意見には賛成だ。何か良くない感じがする。」


「んー。その神経がくっつくなんて機能、つけた覚えがないのよね。」


「何?じゃああれか?勝手に鎧が動いたとでもいうのか?」


「ピザファット、落ち着け。ナタリー、あれは何だ。君は何を作っている。」


ナタリーはしばらく沈黙していたが、やがて口を開いた。


「はぁ。分かったわ、いつまでも隠し通せるものでもないし。」




「ジギュレムの古代文明は知ってるわよね?」


エドゥとピザファットは顔を見合わせた。


「ジ・・・何だって?」


「俺もピザも前に言ったかもしれないけど、あまり世間の事情を知らないんだ。」


「分かったわ。あたいが詳しく教えてあげる。」


それからナタリーの講義が始まった。




まだ神や教会、そして王国が存在するずっと以前の話。


この惑星に一時期存在していた古代国家があった。


それがジギュレムらしい。


ジギュレムは高度な技術を持っていたとされ、そこで編み出されたものは未だどの鍛冶師にも再現が出来ないと言われている。




「それじゃあ、この鎧は?」


「えぇ、ジギュレムの遺跡でたまたま見つけたのよ。」


「じゃあ嬢ちゃんはこれを作ってない?」


「そうね。まぁ、壊れていたから少し直しを入れた程度よ。早い話が、この鎧から彼らの技術を学ぶことが出来ないかあなたを使って実験してるってわけ。」


「なるほど。」


「相棒!納得してるんじゃねぇぜ!勝手に実験体にされてたってことだぜ!」


「まぁ、お前は何があっても大丈夫だからな。ぴったりじゃないか。」


「おい!」


ピザファットのツッコミが入る。


「それで鎧の正体がはっきりしたところで、話の本題を聞こうじゃないか。」


「あぁ、ってもう俺っちが実験体になっていたって話終わりかよ!」


ピザファットを手で制止すると、エドゥがナタリーの顔を見る。


「あたいはあの鎧を誰でも使えるようにしたいの。そのためにも実験は続けさせてもらうわ。勿論それ込みの代金を払うから。」


「ナタリー大丈夫だ。こいつはもう納得してる。」


「おい!」


ピザファットが実験の協力を続けるという話が終わり、今回の主題へと話題は移った。




「アダマンチウムって鉱石があるの。」


「ふーん。聞いたことねぇな。」


「同じく。」


「鎧と神経の同化を起こさないシステムを作り上げたいんだけど、それにはその鉱石がどうしても必要なのよ。」


「分かった。それを取って来てほしいってことだな!」


ナタリーは首を横に振る。


「ピザ、知らない鉱石をどうやって取ってくるんだよ。」


「あぁ、そっか。」


エドゥの指摘にピザファットは納得する。


「あたいからのお願い。」


ナタリーの次の言葉を二人は待った。


「あたいをカティーニャまで安全に連れて行って。」




神秘の森、カティーニャ。大陸の北西部に位置する森林群の名前だ。


ナタリーの話によるとアダマンチウムなる鉱石はこの地帯の一部にしかないという。




「連れていくのはいいけどよぉ、歩いていくのか?」


「そこは問題ないわ、馬車を借りたから。明後日の朝に出発ね。」


「分かった。ピザ、しばらくの依頼はレオに任せよう。」


「おぉ、了解だぜ。じゃあ、気を付けて行ってきてな。」


「お前も来るんだよ。」


「いやだ~。行きたくねぇ~。」




2人はナタリーの工房から出る。


「なぁ、相棒?」


「どうした?」


「買い物に行かねぇか?」


「あぁ、そうだな。長旅になるだろうし色々準備しないとな。」




その足で、商店街へと向かう。


商店街では人だかりが出来ていた。


「なんだ?バーゲンでもやってんのか?」


「いや、どうやらそうじゃなさそうだ。」




エドゥ達は人混みをかき分けていく。


目に入ってきた光景は、二人組の男と一人の男が睨みあっているというものだった。


二人組の男は片方が髭を生やした大男でもう一人が細身の男だった。


「お前さん、今。このお客さんの財布掏ったろう?」


「はぁ?なに言ってんの?そんなことしてませんよ?」


大男が盗人と疑わしき男に詰め寄っていた。


細身の男の方は静かにその場に立っているようだ。




「おいおいおいおい。今のうちにゲロッちまった方がおめぇさんのためでもあるんだぜ?」


「だから、やってねぇって、言ってんだろ?」


「おぉおぉ。俺は警告は済ませたからな。」


「やってねぇもんはやってねぇんだよ。」


「ほぉ~。じゃあそのポケット見せてもらおうか?」


「は?」


盗人のポケットが引っ張られていく。

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