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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❦薄明光線ー超大陸バンギア北西部ー
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❦+Another Story2「薄明光線」3/3

「ジョルジュ。ジョルジュ無事なの?」


エレアノーラが駆け寄った。


木から取り込まれていたジョルジュの体が飛び出してきた。


「あぁ、無事だったのね・・。良かったわ・・。」


「ジョルジュ、」


エレアノーラは瀕死のジョルジュにかける言葉がなかった。


「もう私は駄目みたい。私が植えた最後の木を持って帰って。またそこから初めて頂戴。」


「ジョルジュ?ジョルジュ!?」


ジョルジュの体から水分が抜けた。


代わりに樹脂がその体の中に入っていった。


それは腐らない、木のミイラとなった。


彼は最後に自身を芸術品にしたのである。


エレアノーラの目から涙が流れる。


それは冷やされ雪のようにひらひらと地面へと落ちた。




一方レオの方は能力を解除し、外の様子を確認する。


「やった。エドガーの仇をとってくれたぜ!!」


倒れるジョルジュを見て、ピザファットは歓喜する。


「ギランさんは何所にいる?」


レオは辺りを見回していた。


そして、氷漬けになったギランを見つけた。


「ギランさん!!」


「待て、レオ。」


エドゥはレオを止めた。


「彼はもう・・。」


「あぁ、そういえば知らないんでしたっけ、ギランさんは一日ごとに生まれ変わるんですよ。」


レオは彼の元に走ろうとしていた。


(でも、既に魂はここにある。もうあれは魂の無い器だ。)




「よくもジョルジュを・・!!」


エレアノーラがエドゥ達に襲いかかろうとしていた。




その時、非常に激しい雨が降った。


一瞬で水位が増す。


地盤が雨の重みに耐え切れず、沈下していく。


「ヌー・ヴォラか!こんな時に嗅ぎつけてくるなんて!!」


エレアノーラは空を睨む。


彼女はジョルジュの方を一瞬見ると、そのミイラの体を氷漬けにした。


「必ず迎えに行くから・・・。」


そういうと彼女は吹雪の中に消え、その場から退散した。




エドゥはピザファットと一緒になってレオを入り口まで引っ張る。


「何するんです!ギランさんが。ギランさんが!!」


「彼はもう死んでるんだ!もう二度と起き上がらない!」


「生き返るって言ってるだろ!!放せーーー!!!放せー!!!」


声がただ虚しく響いていた。




その後果実の生っていた庭園は、雨に地の底まで押し込まれた。


入り口からは底が見えない巨大な穴がただ見えるだけ、ギランとジョルジュを助けることは到底不可能だった。




 エドゥ達はそのままポータム・ポートへと帰還する。雨は依然降りしきっていた。


エドゥ達は教会へと状況を報告しにいく。


「あぁ、帰ったのかい。」


教会にはマーリンがいた。


その表情は複雑な様子だった。


棺が担ぎ込まれる。


「あぁ、並べておいて。」


マーリンは信徒たちに指示を送っていた。




マーリンの話によれば、必死の説得もかなわず町民に被害が及んだことから何匹かの怪人は止むを得ず退治したとのこと。そして、残りの怪人は何かに怯えてその場から立ち去ったとのことだった。




「今回の被害はとても大きかったヨ・・。」


ポテチは棺に手を合わせて回っていた。




エドゥが教会から出ると、レオがそこに立っていた。


「あんたがあそこで止めてなかったらギランさんは助かったのに!!」


レオの拳がエドゥに当たる。


エドゥは全く避ける動作をしなかった。


「相棒!何してんだよ。避けろよ。」


隣にいるピザファットの方を見る。


「ピザファットその手、鎧とくっついているんだろう?早く、ナタリーに何とかしてもらえ。」


「あぁ、分かった。」


ピザファットは何かを察して、その場から立ち去った。




「レオ、これをよく見ろ。」


エドゥが手から炎を出すところをよく見せた。


「それはギランさんの能力。なんで!あんたがそれを!」


「俺は結界にいるときに彼の魂からこれを渡された。彼はすまなかったと言っていた。」


「そんな、ギランさんが謝ることなんてなにもないのに。」


「あぁ、俺もそう思うよ。」


レオは突然結界を作る。


「何を!?」


「そんな話信じられると思うか?お前が能力を奪ったからギランさんが復活出来なかったんだろ!!」


レオがエドゥに殴りかかる。


「違う、よく聞け!俺は死んだ人の魂から力を預かるんであって、能力を奪えるわけじゃない。」


「そんなのは、何とでもいえるじゃないか。ギランさんは必ず復活していたんだぞ!!」


「認めたくないのも分かるが!俺が言っているのは事実だ!!」


エドゥはレオの拳を止める。


雨が激しく降り注ぐ。




 ピザファットは事務所に向かう途中でグイドを見かけた。


「おぉ、少年!おやっさんは?」


グイドは真っ赤な小さな箱を持っていた。


「ここだよ・・・。」




そう答えると少年は港の方へと消えていった。


ピザファットは何があったか何となく分かり、そっとしておくことにした。




事務所につくとホーカンソン夫人が迎えてくれた。


「お疲れさまでした。エドゥさんは?」


「あぁ、相棒は今ちょっと野暮用があってね。すぐ戻ってくると思うよ。」


「そうですか。それにしても変わったアクセサリーですね。」


夫人はピザファットの手をじっと見つめる。


「ハハハ、最近の流行りですよ!」




ピザファットは夫人との挨拶を終わらせると、工房の方に入っていった。


「嬢ちゃん!!助けてくれ!」


「どうしたの?そんなに慌てて、ってその手どうしたの?」


「分からねぇよ。変な機能でも付けたんじゃねぇの?」


「まさか!あたいの腕に文句があるってこと?」


「何でもいいから外してくれ!くっついて離れねぇんだよ。」


ナタリーは鎧の分析を始める。


「どうしてこうなったの?鎧と神経が繋がってるわ。」


「どういうこった?」


ナタリーは爪楊枝をピザファットに突き刺した。


「痛たたたたた」


ピザファットは手を引っ込める。


「こういうことよ。」


「口で言ってくれよ!」


「まぁ、よくわかったでしょ。」


ピザファットはため息をつく。


「俺っちはこれからずっとこれをはめてなくちゃダメだってことか?」


「外しましょうか?」


「おいおい、それってこの神経を切るとかそういう話だろ!?」


「大丈夫よ。切っても再生するんだから。」


「そうだけど・・・そうじゃねぇ!!」


「麻酔してあげるわよ。」




「ギャアァァァ!!ギャアァァァ!!!」


扉の向こうから悲鳴が聞こえてくる。


何事かと夫人は思ったが、それ以上気にしないようにした。


「それにしても全然雨は止みませんね・・。」


窓を眺めると夫人は黄昏ていた。




エドゥとレオは激しい雨が降るなか殴り合っていた。


エドゥは能力を使わず、レオと戦う。


「返せよ。ギランさんを!!」


「その気持ちは分かる。だけどな現実を受け止めないといけな時もあるんだよ!」


レオのパンチを避け、関節に一撃加える。


「あぁ!!」


腕が痺れたところを押さえつけようとする。


レオは足で水たまりを蹴り、エドゥにかけた。


びっくりし、エドゥは動きを止める。


レオの放った一発に気付けず、エドゥの腹に重い一撃が入る。


「うっ!!」


エドゥが後退する。


「おりゃ!」


レオが追撃する。


「はっ!!」


エドゥの蹴りが入る。


顎に直接足があたった。


レオの視界が揺れる。




レオがその場に倒れた。


「すまん、大丈夫か?」


エドゥがレオの体を起こした。


「うっっ・・。」


レオの目から涙が流れる。


「認めたくなかったんだ。ギランさんが死んだなんて・・・。」


「あぁ、僕も信じられないよ。」


「俺はあんたのせいにして、この怒りや悲しみをあんたにぶつけたかっただけなんだろうな。」


レオが立ち上がり、エドゥに頭を下げる。


「申し訳なかった。どうか許して欲しい。」


「いいんだ。分かってくれれば。一緒にギランの墓を建ててやろう。」


雨が止んだ。まだ空に雲があるが、太陽の光が雲の隙間から漏れてきた。


レオはその温かさでさらに涙が出てきた。


(あぁ、あなたはまさに俺の太陽だったんだ・・・。)




エドゥとレオが墓参りをする。


その後二人は飯を食べて、ギランの思い出話をしていた。




 とある森の中で、ジョルジュが死んだという情報を受け取る男がいた。


宮本 蒼士、正体不明の能力でキロネキシア島に侵入した侍である。


「逝ってしまったか・・。無念。」


「一緒にいたエレアノーラさんは?」


侍の隣にいるのは、ラルフ=ビョルケル。


キロネキシア島の住人だったが裏切り、現在襲撃してきたAH社の一員となった。


エドガーの殺害に関与している。




「彼女は逃げた。しかも木を放棄して。」


ハルトムート=バーケが姿を現した。


彼女もまたエドガーの殺害に関与している。




「そんなに強い相手だったんですか?」


「分からぬ、能力には相性もある故。」


「太陽を落とすほどの能力者よ。いち植物使いが敵う筈もないわ。」


「エレアノーラさんも危険だったのでは?」


「あの方なら問題なかろう、この組織の上から数えた方が早い階級におられるのだ。教会の上位陣でもあの方を単独で倒せるかどうか・・・。」


彼らはあるものを待ちながら会話をしていた。




 エドゥ達は今回の騒動の後で教会から感謝状をもらった。


そのことで街の中で認知度があがり、少しずつ仕事が入ってくるようになった。


そして、エドゥ達に新たな仲間が加わった。


「レオ、書類の書き方を教えてやるぜ!」


「お願いします。ピザファットさん」


「ピザファット、僕は依頼主のところへ行ってくる!」




エドゥは今日も仕事にいそしむのだった。



脳内設定その⑳

レオ=カンパノ 種族ー妖精ー

ギフト名「Moon World」

「結界に閉じ込める能力。結界に入った者はレオ以外の者が見えなくなる。」


脳内設定その㉑

ジョルジュ=ボンランピ ♣9 

カース名「Plant Planet」

「あらゆる植物をその体から生やす能力。」

+α「 Manchineel」

「果実を食らい得た新たな能力。果実、樹液あらゆるものに毒素を溜め、外へと放出できるようになった。」


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