❦+Another Story2「食えども食えども」2/4
「君も能力者なのか。」
「誰にも言うなよ。喋ったことないんだから。」
「ふん、可愛げのないガキだぜ。」
「それよりあんた等、港あっちだから、とっとと帰りなよ。」
少年は淡々と話しを進める。
「待った、君はどうする。」
「グイド=ハート。君じゃない。」
「分かった、グイド。それでどうするつもりだ?」
「決まってるじゃん。おじさんを助けるんだよ。」
「おいおい、一人であんな化け物と戦うのか?無茶だろ?」
「うるさいな。おじさんは唯一の家族なんだぞ!このまま帰るなんて出来る訳がない。」
ピザファットは後ろからグイドを抱え上げる。
「何だよ。放せよ!」
暴れるグイドをなだめながらピザファットとエドゥは港の方へと走っていく。
「お前ら、おじさんに何かあったらただじゃおかないからな!」
「ここで3人で戦ったとして、勝ち目はほぼない。教会に知り合いがいる。そこに助けを求めにいこう!」
エドゥが必死に少年をなだめる。
ポータム・ポートの教会では、多くの民衆が集まっていた。
「お願いします!うちの主人を探してください。」
「僕のお父さん、どこ?」
「まぁまぁ~!!どこぉぉ!」
カロリーナ、ポテチは信徒たちと共に民衆たちの対応に追われていた。
「落ち着いて!うちらの指示に従って!」
「暴れないで、落ち着いて下さい。」
バンと扉が開けられる。
信徒が、こっそりとカロリーナ達に耳打ちをする。
「大変です!北西から大量の怪物が進行中!数分後に街に侵入する模様!」
「教会本部からの指示は?」
「現在、本部との通信は途絶えたままです。」
「マーリンはどこに行ってるの?」
「さっきから姿が見えません。」
街へと進軍する怪物たちと共に、ひとりの男?が歩いていた。
ジョルジュ=ボンランピ、怪物を作った張本人である。
(んー♡もっと戦力が欲しいわね♡)
ジョルジュと共にいる怪人は、魚人型、ライオン型、蜂型の計9体。
彼らの目の前に一匹の猫が立ちふさがった。
「あらぁ♡子猫ちゃん♡ちょっと道を開けてくれなーい?じゃないと痛い目見るわよ。」
猫は体を大きくし、男の姿へと変わる。
「フフフ♡その姿、知っているわよ♡マーリン=ルイス、この先の教会の責任者ね♡」
「だったら、話が早いね。大人しく捕まってもらおうかな。誘拐と樹の不法所持、余罪もありそうだね。」
マーリンがジョルジュとの距離を詰め、胸部に強烈なパンチを繰り出す。
(早いわね!!)
ジョルジュは後ろに思いっきり吹き飛ばされた。
マーリンは、すかさず吹き飛んでいるジョルジュの上にワープする。
「そりゃああああ!!!」
全体重をかけ、ジョルジュを地面に押し付ける。
「フフフ♡もうおしまいかしら♡」
ジョルジュは、不敵に笑っていた。
ぽたりぽたりと血が滴り落ちてくる。
それは、マーリンの手からこぼれていると理解するのにそう時間はかからなかった。
(最初に殴った時か!)
ジョルジュの体の周りにはトゲが付いた茎が巻かれていた。
「ヒマラヤン・ブラックベリーの茎よ♡このトゲトゲ、もぉびっくりするほど鋭いの♡」
ジョルジュが手でその茎を鞭のように振り回し始める。
マーリンは慌ててジョルジュと距離をとる。
鞭が空を切るような音を鳴らす。
「うふ♡、距離をとれば大丈夫だと思う?♡」
「うぅ!」
マーリンは鋭い痛みを右手に感じていた。
(トゲ?)
右手にはトゲが刺さっていた、かなり深くまで刺さっており抜くとかえって出血するのではないかと思うほどであった。
「さぁ、どんどんいくわよ♡」
ジョルジュが鞭を振り回す。
「にゃあああ!!!」
マーリンは猫へと変身し、二足歩行でレイピアを構えた。
飛んでくるトゲを避け、再びジョルジュと距離を詰めていく。
(目で追えないわー!きーー!!ムカつくぅ~~。)
マーリンはジョルジュの鞭をはねのけ、レイピアでその体を突き刺していく。
「ちょこまかと!お前たち!!あたしを守りなさい!!」
マーリンに次々と怪人たちが向かっていく。
(しまった。一般人は攻撃できない!)
マーリンは怪人たちの攻撃を高速で避け続ける。
(あのおかまを倒さないとどんどん被害者が出るのに!!)
マーリンが焦っていたその時だった。
近くで大きな音が鳴った。
「なになに?今度はいったいなんなのよぉ~。もぉ~~~!!」
ジョルジュの前に現れたのはギランだった。
「虹色炎舞ー降神の儀ー」
ジョルジュに火のトーチが投げつけられる。
「あちっち!!熱いって言ってんのよぉ!!」
ジョルジュはトーチをはじく。
「一つ聞かせろ!レオをさらったのはお前で間違いないか?」
「レオ?誰よ!そんなの知らないわよ!!」
ギランは攻撃を止めない。
「火炎撃 鳳凰」
炎の鳥がジョルジュ目掛けて飛んでいく。
「いやあぁああん!!あっつうぅいい!!」
ジョルジュの体に炎がまとわりついた。
ジョルジュは火を払い、ブラックベリーの鞭をギラン目掛けて飛ばす。
「避けろ!トゲがとんでくるよ!!」
マーリンの警告を無視し、ギランはジョルジュの方に走っていった。
針のようなトゲがギランの体を刺していく。
「なにこの子!!痛くないの?」
驚くジョルジュなど意に介さず、ギランはジョルジュのところまでたどり着いた。
「最後にもう一回聞く!!!レオはどこだ!!!」
「何度もいってるでしょ!知らないわよ!!!」
「灼熱連打!!!」
ギランは、トーチをジョルジュの体に何度も叩きつける。
ジョルジュの体を守っていた茎が燃え尽きる。
漸くジョルジュに直接的なダメージが通った。
「あっちゃああ!!!この!!!くそがきゃあああ!!」
ジョルジュは我を忘れて反撃しようとギランに殴りかかった。
ギランはたやすく拳をよけ、ジョルジュに蹴りを入れる。
「蜂の怪人を送り込んでレオをさらった!違うか!」
「何をいっても無駄なんでしょうね!」
ギランの動きがピタリと止まる。
マーリンは直ぐに異常に気付いた。
「まずい!君の体に種が植え付けられてるぞ!!」
マーリンの前に怪人たちが立ちはだかる。
「くそ!こうなったら多少の怪我は許してもらうよ。」
ギランの皮膚から芽が出てくる。
(何だこれは!?)
ジョルジュが笑う。
「フフフ♡ヤドリギって聞いたことぐらいあるでしょ♡、この木は生き物に寄生する特別な木なの♡」
「だ・・から・・・どう・・・し・・・た・・!!!燃やし尽くしてやる!!!」
ギランは自身の体に火をつける。
しかし、芽が開き植物はどんどんと大きくなっていく。
「どう?疲れてきたでしょ♡、その木は生命を栄養にするの♡あまりゆっくりはできないわよ♡」
ギランは必死になり、芽を取り除く。
「ふぅうー♡、厄介な坊やだったわ・・。二度と戦いたくないわ♡」
ジョルジュは、ギランから離れていく。
「待て・・・まだ・・・終わって・・・ない!!」
ギランの必死の言葉はもはやジョルジュには届いていなかった。
「はーい♡皆撤収♡撤収♡」
ジョルジュは、怪人たちと来た道を引き返していった。
「待て!!」
「駄目だ。その植物を何とかしなければ。」
マーリンは、動こうとするギランを押さえつける。
魚人型の怪人を後ろからつける男がいた。
つい先日、牢屋から死体で発見された男。
男は果実の場所を探っていた。
(あの果実はまちがいなく奴らが持っているはず・・・。あれさえ手に入れられれば、私はこの世の頂点に立てるだろう。)
エドゥ達がポータム・ポートに帰ってこれたのは次の日の昼近くだった。
「おいおい、どうなってるんだ!?」
街の様子は昨日とはうって変わっていた。
町中が何かに抉り取られたかのように、穴ぼこが出来ていたのである。




