❦+Another Story2「食えども食えども」1/4
Never Enough
「虹色炎舞ー降神の儀ー」
とある村で、ギラン=バクタ―はライオン型の怪人と戦っていた。
怪人の鋭い爪でギランの体に傷がついていく。
「いいね!!!中々手ごたえがありそうだ!!」
彼はトーチを握りなおし、怪人の攻撃を受け流す。
彼の髪の色が青色に変わっていく。
それを見ると、彼と共に旅をしているレオが笛を鳴らした。
「ギラン!落ち着いて。」
ギランはそれを聞いて深呼吸をする。
2人はこうして上手く連携し、旅をしていた。
「灼熱連打!」
ギランはトーチを回し、怪人に火をつける。
一瞬驚き、怪人はのけぞる。
そのまま勢いをつけてギランは怪人を地面に倒した。
トーチを両手に握り、太鼓のバチのように怪人の体にトーチを叩きつける。
「ガァァァァオォォォォン!!!」
突然、怪人は咆哮した。
「何!?」
怪人に乗っかていたギランは風圧に押され吹き飛ばされる。
怪人は起き上がると一目散に逃げていった。
「ギランさん!大丈夫ですか?」
レオが近づいてくる。
「あぁ、しかし最近あぁいう化け物みたいなのが増えてきたな。」
「ギランさん、最近嫌な予感がしてしょうがないんですよ。」
「大丈夫さ、俺も最近自分を抑えられてきている。悪魔だろうがなんだろうが必ずやっつけてやる。」
二人が話していると、上から大きな羽音が聞こえてきた。
上を見ると、今度は巨大な蜂型の怪物がこちらに近づいていた。
「またか・・・離れろレオ。」
ギランが再びトーチを構えなおす。
蜂型の怪物は針を飛ばし始めた。
「おぉ、飛ばせるのか・・・。」
ギランは針を避ける。
針は地面に突き刺さっていた。
「なるほど!!!こりゃまずいな!!」
ギラン目掛けて針が次々と飛んでくる。
「大車輪!!」
大きくトーチを回し針をはじく。
(あそこには届かないな。何とか地面に落とすことが出来れば。)
「うっ!!」
「どうした!!」
急に後ろからうめき声が聞こえる。
ギランが後ろを向くと、レオが地面にうずくまっているのが分かった。
飛んできていた針に目もくれずレオの方へと駆け寄る。
レオの体を起こすと、彼の左肩が深くえぐれていた。
(まさか、針が当たったのか!)
ギランは急いで止血する。
「くそ!!!一回撤退だ!!!」
ギランはトーチを地面に叩きつける。
「破局噴火!!!」
地面から炎が吹きあがりギラン達と怪物を隔てる。
ギランはレオを抱え医者に見せた。
「原因が分かりません。しばらく入院させた方がよろしいかと。」
「そうですか・・・。」
ギランは病院から出ると物思いにふける。
(俺と一緒にいたらレオがこうなるのは分かっていたじゃないか・・・。)
ギランはふと肩に痛みを感じる。
肩を見ると、針が貫通しているのが分かった。
「いってーー!!」
慌てて針を引っ張る。
視界がぼやけてきた。
(毒か!!)
ギランはトーチで自分の肩を焼く。
毒を加熱するが、あまり効果はないように思えた。
辺りを見回す。
(さっきの化け物がどこかにいるはずだ。)
ぼやけた視界で必死に姿を探す。
(そこか!!)
トーチを振りかざす。
「あぁぁあぁあああ!!」
腕に針が刺さる。
(馬鹿な!!目の前にいるんだぞ!!なんで横から針が飛んでくるんだ!!)
ギランの体にダメージが溜まる。彼はどんどん体温を上げていく。
既に髪は青色へと変化していた。
(遠距離相手なら、新しい技を試してみるか。)
「火炎撃 鳳凰」
思い切り投げられたトーチは鳥のように遠くまで羽ばたいていく。
「クキュウ!!」
空中にいた蜂型の怪物が燃え、地面に墜落した。
(よし。これでもう大丈夫だろう。)
ギランはその場に座る。
(レオもこの毒にやられたんだな。早く解毒しないと大変なことになる!!)
ギランが立ち上がろうとしたその時だった。
彼の腹から針が飛び出ていた。
大量の血が地面に滴り落ちる。
(まさか、蜂の怪人は一体じゃなかったのか。)
目を擦り、ぼやける視界で必死に怪人の姿を追う。
「火炎撃 鳳凰」
トーチを投げ蜂型怪人目掛けて攻撃をする。
蜂型の怪人は羽音をたてて炎を回避した。
再び針が飛んでくる。
ギランは前転でそれをよける。
避けたギランに四方から針が飛んできた。
「大車輪」
トーチを大きく振り回し針を払いのける。
「うっぅ・・。」
毒が回ってきたのだろう・・・。ギランは眩暈がしていた。
上手く立てない。
針が飛んできていることに気が付くのに時間がかかってしまった。
かろうじて急所を外すが多くの針が刺さってしまった。
「げほっ」
ギランの口から血が出る。
髪がさらに色を変える。どんどんと温度が上がってきた。
周囲の建物が溶け始める。
蜂型の怪物はその熱さに耐え切れず逃げ始めた。
「ゲホッゲホガハァア!」
熱さと激しく動いたせいでギランはその場に倒れた。
それと同時に彼の髪は元の赤色に戻り、温度は下がっていった。
時間が経ち、なんと一日が経過していた。
ギランは新しい肉体になり、すっかり毒を取り除けた。
レオの病室へと慌てて向かう。
そこで、彼は驚くべき光景を目にした。
病院の中は荒れていて人一人としてそこにはいなかったのである。
「誰か!!誰かいませんか!!!」
必死に呼びかけるが返事はなかった。
「レオ!レオ!大丈夫か!!」
レオの部屋にも行って見たが、やはり他と同様もぬけの殻だった。
ギランはそれから病院を飛び出し、レオの行方を探るのだった。
一方、漁に同行していたエドゥ達は海のど真ん中に来ていた。
「今んとこ別に問題はねぇようだけどな。」
ピザファットは海風に当たっていた。
ガタッと大きな音が鳴っている。おそらく船が波に揺られているのだろう。
「おい、何だありゃ。」
親父さんが指を差し、叫んだ。
2人はその指先の方向を見る。
海の中に本来いるはずのない生物が漂っていた。
「ありゃ、ワームか?」
親父さんが船についている望遠鏡を覗く。
鳥の餌などに用いられるワームだが、目の前にいるワームは通常よりかなり大きかった。
ワームがイルカのように、水面からその姿を現す。
「まずいな、こっちに向かってくるぞ!!」
おやじさんは進路を大きく変え、ワームから離れようとした。
しかしワームは船の速度より早く泳ぎ、船に突進してきた。
大きな衝撃がエドゥ達を襲う。
「振り落とされないように、しっかり摑まってろ!!」
船が旋回する。
「撒いたか?」
エドゥ達は後ろを見る。
「おぉ、すげぇぜ!あの化けもんを撒いた!!」
一同は安堵した。
「魚が取れないのはあのワームの仕業だったんだな。」
「違う!!前だ!!!」
少年の大きな声に、驚き一瞬判断が遅れた。
巨大ワームの大きな口が船を呑み込もうと前から迫っていた。
「!?」
急に船が傾いた。
エドゥ達は勢いに押され、海に飛ばされていく。
「だめだ!!おじさん!!」
ワームは親父さん一人が乗った船を丸呑みし、海の底へ帰っていった。
少年の声が虚しく海に響いた。
「ゲホゲホ!!相棒!!俺っちは泳げないんだよ!!助けてくれー!!!」
「おい、あまり暴れるな。体力が持ってかれるぞ!!」
エドゥとピザファットが慌てているが、少年の方は冷静だった。
「騒ぐな。今何とかしてやるから。」
「何とかって!!どうすんだよ。」
「待てピザファット、少しずつだが浮き始めているぞ。」
エドゥの言う通り、海に沈んだ体が上がっていき、やがて立てるようになった。




