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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❦薄明光線ー超大陸バンギア北西部ー
46/504

❦「探偵業 始めました。」1/4

No detective

ざざー、ざざーと波が押し寄せる音が聞こえる。


ここはポータム・ポート。


キロネキシア島から約2000km離れたところに位置する港町である。


この町は波止場とその周辺にある商店街、住宅街、さらにギャンブル街で構成されている。


今日も、船が出たり入ったりしていき、街は繁栄していくのである。




また、船が一隻港に入ってきた。




「ほれ、おまいさんら。着いたぞ。」


船頭が二人の旅人を起こす。




「イテテ、寝違えちまった・・・。おい、相棒起きろよ。」


「ふぁぁぁ。あと5分。」




船頭はため息をつく。


「全く、おまいさんら。本当に呑気だな。たまたま難破しているところを助けてはやったが、食料も荷物もほとんど無くしたってのによ、これからどうすんだよ。」




旅人のうちの一人の、小太りの方がもう一人の細身の男を叩き起こしてから、船頭に言葉をかける。


「いやぁ、本当に助かったぜ、言語から何から色々教えてもらったり、飯までご馳走になっちまってよ。」




「お前さんは十分喋れるようになったよな。相棒さんは最初から流暢にしゃべっていたがね。」


二人は笑い合った。




細身の男がようやく起き上がる。


「いやぁ、本当になにからなにまで世話になりました。この恩は絶対に返します。」


男は船頭に頭を下げる。




「なんの、なんの。しかし、本当に教会に行くつもりなのか?」


「えぇ、ちょっと訳がありまして・・・。」


「まぁあまり深くは聞かないが。」




二人が会話をしていると小太りの男が大声を上げた。


「おい、見て見ろよ。相棒!こんなでっかい大陸があるなんて、俺は感激したぜ!!島の何倍あるんだよ!!!」




船頭はその姿を見てほほえましい表情を浮かべる。


「本当にお前さんら二人はよく分らんな!ハッハッハッ!」




しばらく話をした後二人組は船頭に別れを告げた。


「儂はよくこの波止場におるでの、何かあったら相談にくるとええ。」


「「お世話になりました。」」






二人組。エドゥ=ベレンとピザファット=ネリゲラは町を歩いていく。


二人は目的をもっている。


エドゥ=ベレンはこの惑星で一番偉い人物に会い、人口が増えすぎてしまった地球人の移住先として土地を提供してもらうという目的を。


ピザファット=ネリゲラは島を襲撃した組織の本拠地を掴むという目的を、そして全ての遺恨を解消したら地球に連れて行ってもらうという目的を。




この目的を叶えるためには様々な障害を越えなくてはならない。




ここで、戦力の確認をしておく。


ピザファットは細胞を異常な速度で分裂させることが出来る超能力を持っている。


この能力によってあらゆる致命傷を回復させてきた。


だが、万能な能力には代償がつきものだ、そのことは肝に銘じなければならない。




エドゥ=ベレンはピザファットからエルフの秘術である風体術を学び、これを会得した。


だが、まだ未熟ゆえ扱いにくいのが欠点だ。


上手く呼吸、構えが出来れば凄まじいエネルギーを放出することが出来るが、島の戦闘では一般の戦士には効いたが超能力、もといアミュレット使いには全力でもほとんど届いていなかった。


これからの鍛錬が重要になってくるだろう。




それともう一つ忘れてはいけないのは、亡くなったピザファットの同胞エドガー=シマコフから受け継いだあらゆる生物に変身する能力だ。エドガーは決していい奴とはいえない戦士だったが、島を守りたいという思いでは誰にも負けない戦士だった。やり方さえ間違わなければ・・・。ピザファットは今でもそのことを気にしている。




そんな戦士から受け継いだ能力だが、エドゥはその力を右手にしか宿せない。


理由はまだ分からないが、いつかきっと分かる日が来るかもしれない。




「相棒!ギャンブルって何だ?」


「知らない方が良いものだ。少なくても俺たちにはな・・・。それよりも・・・」


エドゥはため息をつく。




「これからどうするかだなぁ。」




ピザファットはヘラヘラと笑う。




「まぁ、何とかなんだろ~。」




しばらくして、二人は・・・。




「相棒!!何しやがる!!次こそ勝てるはずなんだぜ!!!」


「バカ野郎!さっきもそう言って、負けたんじゃないか!!」




ギャンブルで大負けをしていた!!!




「くそ!!!だから知らない方が良いっていったんだ!!!」


エドゥが自分の頭を押さえる。


そしてこんな事態を引き起こしたピザファットに詰め寄っていった。




「おやじさんからもらったお金がほとんどなくなったぞ!!どうするんだ!!」


「だから、次勝てば良いじゃねぇか。」




エドゥはピザファットに掴みかかる。


「この野郎!!そんなに上手くいくなら苦労なんてしないんだよ!!!」


「暴力反対!!!ほらあそこあそこ!!!」




ピザファットが指した方向を見ると、テーブルに座る一人の男が目に入った。




「ん~♪ここに全部かけてみようかな~。」


男は言葉どおりチップを一点に重ねて置いた。




ディーラーはそれを見てからボールを投げた。


「no more bets」


ディーラーが投げたボールが止まった・・・。




「どうなった?」


男の周りに集まっていた野次馬どもがルーレットをのぞき込む。


エドゥとピザファットもそこに紛れた。




ルーレットとテーブルを見る。


インサイドベットのシングル、数字は23。


ルーレットの方を見る。


「当たってる!!!配当は36倍。」


「スゲー!!これで何回目だ!?」




周りがどんどん騒がしくなってきた。




「いや~♪これ以上は怖いからやめておこうかな♪」


男が席を立つ。




そしてそのまま、男はギャンブル街から姿を消した。




男は一人、口笛を吹きながら黄昏る。


「ふぅ。全くこの半身には困ったもんだ。幸福の後には相応の不幸が伴う。願わくば、僕の幸福がこの地に不幸を招き入れんことを。」




再びギャンブル場にて、


「皆!今度は俺っちが当たりを引いてごらんに入れよう。」




ピザファットは例の男が座っていたテーブルに座って宣言していた。


エドゥの静止は間に合わなかった。


「さっきの見たろ!この台は当たりなんだよ!」


ピザファットはチップを先程の男同様、一点に賭ける。


投げられるボール。


野次馬どもの歓声。




結果は、当然敗北。


ピザファットとエドゥは所持金全てを失った。




二人はギャンブル街を出て呆然と立ち尽くしていた。


「まぁ、あれだ。」


ピザファットが会話を切り出す。


「なんとか...


「なるかぁあああ!!」




ピザファットの言葉を遮り、エドゥが叫ぶ。




そしてピザファットに掴みかかった。


周りが騒ぎ出す。


「おいおい、喧嘩か?」


「教会に連絡しとくか?」




「すぅぅぅ。」


エドゥが大きく息を吸う。


ピザファットは慌ててエドゥをなだめる。


「おい、こんな街中でアレを撃つ気か?」


「何度も言っただろ!気来風躰掌だ!一体いつになったら覚えるんだ!このパンパンデブ。」




ピザファットの顔に血管が浮かぶ。


「相棒でも聞き捨てならネェ。その台詞!イイぜ!掛かってこいよ!そのヘナチョコなんとか撃ってみろよ!」




「くらえ!!!」


エドゥは右手を獣の腕に変化させた。


獣の腕に風が集まっていくのがクッキリと見えた。




「ちょっ相棒、待った。なんかヤバそう。さっきいったことやっぱナシ!」


ピザファットが不意を突かれて、命乞いに切り替えようとする、その時だった。




急にエドゥが構えを解いた。


「止めよう。今はこんなことをしている場合じゃない。」


エドゥの機嫌を伺いながらピザファットが言葉を発する。


「そうだよな。とりあえず今日一日、雨風凌げる場所を探さネェとな。」




浮かれるピザファットに気づかれないようにエドゥは手を押さえた。


(マズい。関節が外れかけた気がする。一発撃つのも厳しいか。質量の大きい生物に風を乗せれば大きな力が出ると思ったんだが、こっちの体力がもたない。)






しばらく歩いていると雨が降り出す。


「マズい、降り始めてきやがった。」


「どこかに雨宿りが出来る場所は...」


辺りを見回す、しかし先程の騒ぎのせいか、次々と民家の扉が閉められていった。


街行く者達も目を逸らしていた。

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