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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
●完全閉鎖孤島ーキロネキシアー
23/504

●「侵略者は誰だ!」4/4

エドゥはここまでの話を聞いて一度頭を整理することにした。


(まず、俺は海に不時着して近くにこの島しかなかったからここに来た。そしてピザファットと交渉してここがこの惑星の中心ではないことを知り、島から出ようとした。しかし、この島は外部の者を生かして返さないというから、人目を避けて秘密裏にピザファットと二人で宇宙船まで行き脱出する計画を立てた。


結局見つかり、こうして捕まっている。これが事実なはずだ。)


そして、今度は向こうの会話から得られた情報を整理して見る。


(俺はこの島を襲う為にやって来たということになっていて、ロボットを使い村人を襲撃したらしい。当然ながらロボットなど持っているはずがないのだが。そういえば、宇宙船の中で何かが音を立てていたが、それがあそこにあるロボットなのだろうか?もし、そうなら俺以外に外部から来た者がいて、俺はそいつの代わりに濡れぎぬを着せられていると考えるのが自然だ。)




エドゥはすぐこのことを話してみることにした。


すると、ラルフが反論をしてきた。


「そんなことは有りえませんよ。あなたはエルフの言葉を喋ることが出来るから生かされているにすぎません。普通にこの島に来た者は何人であろうとその場で確実に殺してきたのですから。逃げられたという報告は一度たりとも有りえません。」


「どうして、エルフの言葉を知っているからと言って生かされているんだ?」


「それは、エルフの里に・・・」


「そこまでだ!」


エドガーがラルフの言葉を遮る。


「こいつがどこまで知っているのか分からん。むやみに情報を渡してはいけない。」


「確かに、迂闊でした。」


ラルフがエドガーに謝る。




こうして、長い長い議論が続き、辺りは暗くなってきていた。


「今日は、もう遅いですから、ここまでにしましょう。」


ラルフが拷問兼裁判の中断を宣言した。


(くそ、結局悪者のまま終わってしまった。)


エドゥはこれからのことを考えて憂鬱な気分になっていた。




戦士たちに連れられ牢にぶち込まれる。


「柵に近づくなよ。脱獄の意志があるとみなすからな。最悪殺しても構わんと言われている。」


エドゥはなるべく奥の方にいった。


(あぁは言うが、どうも殺さないようにしてくれている感じがするな。一体、エルフの言葉にどんな意味があるのか?エルフの里というのはピザファットから聞いた元々エルフ達が住んでいた場所のことだな。そこと一体どんな関係があるんだ?)


色々と頭の中で思考がぐるぐる回っているが、ここを出れないので、今日はもう寝ることにした。




コツ、コツ


(ん?もう朝か?)


牢の中は常に暗いので、時間が分からなかった。


(おい、相棒。いるか?)


小さな声が柵の向こうから聞こえてくる。


(まさか、ピザファット!?死んだはずじゃ!?)


(残念だったな、とりっ・・いやそんな場合じゃねぇ。今ここから出してやる。)


ピザファットが柵に手を置く。


(よっと。)


柵が外れる音がした。


(どうやったんだ?)


(企業秘密だよ。昔よくやんちゃしたときにぶち込まれてたっけなぁ。その度に抜け出したもんだ。)


そして、ピザファットはにやりと笑うと


(よっしゃ!とっとと逃げるぞ!)




外に出ると空はまだ暗く、冷たい風が肌を通り抜けていた。


「直ぐに脱獄はバレる、早くここから離れようぜ。」


「あぁ。」




牢屋から少し離れた小屋に二人は身を隠した。




「なぁ、話したいことがあるんだ。」


「奇遇だな、俺っちもだ。」


小屋に入ると二人は椅子に座り話をし始めた。




「この島に侵略者が潜んでいる。」


「俺っちと同じ考えだな。」


「それに加えて内部協力者もいる。それも複数人だ。」


「根拠は?」


「君が意識を失っていた時、ネミという女性が君たちを襲ってきた。」


「ネミが?」


「ラルフという男の証言によると、ロボットが島を襲ったのも丁度その時間だったらしい。」


「ほうほう、それで?」


「侵略者は恐らく、俺に濡れ衣を着せるためにネミに時間稼ぎをさせていたんだ。」


「なるほど、相棒がロボットに抵抗している場面が見られたら濡れ衣を着させることはできないかもしれないからってことね。随分用心深いこって。それで複数人の理由は?」


「ネミは結局フランコに相打ちにされていたんだ。その間に誰にも連絡をしている素振りはなかった。しかし、俺が抜け出した後に宇宙船の周りに都合よく戦士たちが配置されていた。内通者が複数いないとあんなにスムーズに行動はできないはずだ。」


「なるほどね。侵略者の方には心当たりがあるぜ!俺っちは一回そいつと遭遇した。」


「本当か!どんな奴だった。」


それからピザファットはエドゥに詳細に侵略者の話をした。その能力のことも詳細に。


「USB?USBって言ってたのか?」


「あぁ、それを頭に差し込んでいた。」


「なにやら厄介そうな能力だ。君は命令を与えると言っていたが、恐らくパソコンをベースにしている能力のはずだ。ならもっと色々なことが出来るはずだ。」


「パ、そこ、ん?分かりやすく説明してくれ。」


エドゥは考える。人間をパソコンと考えるとその記憶はファイルに整理されていると考えても良いはずだ。


命令を与えるということは、ファイルに与えたい情報を入れるということ。つまり。


「つまり、記憶を奪ったりも出来るに違いないってことかな。」


面倒くさいので用心しろとだけピザファットに伝えておいた。


「ん?じゃあ最初からそれをすれば良いんじゃね?」


ピザファットが尋ねる。


「話を聞く限り、USBは一瞬しか入れられなかったんだろう。だから、命令は完全に送れなかったし、衝撃で解除も出来た。そう考えると、その能力は時間が関係していると考えるべきだ。」


「つまり、長時間入れられていたら・・」


「記憶が全部抜けて、全く別の記憶を持った人間になるって可能性も。」


ピザファットは身震いをした。


「想像するだけで恐ろしいぜ。ん?」


ピザファットが神妙な顔をする。


「どうした?ピザファット?」


「な、なぁ、も、もし。もしもだぜ。侵略者の能力がその通りだったとしたら。協力者は洗脳されているって可能性もあるってことになるよなぁ!俺っちたちは顔も姿も分かんねぇ卑怯な奴に踊らされているってことになるよなぁ!」


エドゥはピザファットをなだめる。


「落ち着け!まだそうと決まったわけじゃない!」


「俺っちは最初、相棒を救うために拷問所に向かうつもりだったが、そいつの能力で海岸に向かっていたんだ!それも全く疑うことがなくだ!これと同じことが起こっているとしたら、俺っちたちは望まない殺し合いをしないといけないんだ!分かるか!まだミジンコみてけに小せぇガキの頃から一緒に育ってきた奴らとだ!」


ピザファットは鬼のような形相で立ち上がる。


「おい!どこに行く!」


エドゥの制止を振り切り外に出ようとするピザファット。




それを止めたのは壁から入ってきたフランコだった。


壁を液体にし、入ってきたフランコはピザファットを一発思いっきり殴った。




「痛い!なにしやがる!テメェ!」


「どうだ、少しは冷静になれたか?」




突然の登場にエドゥは驚いて警戒した。




「大丈夫だ、もう俺は襲うつもりはない。」


フランコがエドゥに取り出した銃を収めるようにいった。


そして次のセリフを言い、まだ警戒していたエドゥを驚かせたのだった。




「話は聞かせてもらった、俺も協力しよう!」



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