●「侵略者は誰だ!」1/4
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「答えてもらおうか、どこでエルフの言葉を知ったんだい?」
眼鏡をかけたいかにも知的な男がエドゥに話しかける。
「分からない。」
エドゥは正直に質問に答えていく。
「貴様!しらばっくれるな!いつでも殺せるってことを忘れるな!」
老人たちががなり立てる。
「本当だ。本当に分からないんだ。」
エドゥの言葉で老人たちに苛立ちの表情が現れていく。
「まぁまぁ、落ち着いて下さい。殺すなとエドガーから仰せつかっております。どうかこの場はこの私ラルフ=ビョルケルにお任せいただきたい。」
眼鏡の男、ラルフがそう言うと周りの老人たちが静かになった。
(一体、エドガーとは何者なんだ?やはりあの超能力を持っているのだろうか。)
エドゥはそんなことを考えながら、自分を縛っている縄を何とかしてここから逃げる算段をしていた。
(流石に全員が何らかの能力を持っているとは考えずらい。もし持っているなら俺を捕まえる時大勢で囲むなんてする必要がないからな。今までの会話からおそらく力を持っているエルフはそう多くないはずなんだ。逃げるなら治療中のエドガーが戻ってくる前の今しかない!)
「おっと、逃げるなんて考えない方がいいですよ。あなたの跳躍力は確かに凄まじい。しかし、ここから逃げられる確率は多く見積もって5%です。短い命をもっと短くすることはないでしょう?」
ラルフが忠告をした。
ブチブチ
エドゥはそれを無視して縄を引き裂こうとした。
「無駄です。何重にも巻いているんですよ。引き裂けるわけがない。」
ラルフは呆れたようにエドゥを見る。
(土に埋もれた時はできなかったが、この星は地球より重力が軽い!筋力もそれなりに上がっているはずなんだ!)
「おぉぉぉ」
ブチブチ
声を上げて力を入れる。
ブチ!
縄が千切れた。
「まさか!こんな筋力があるなんて聞いていないです。驚いた。データに入れておかなければ。」
眼鏡の男が純粋に驚いた表情をしていたので、エドゥは少しだけ得意になった。
「よし、さらば!」
エドゥは空に飛んだ。
(ん?誰も追ってこない。動こうともしないぞ。)
エドゥは不思議に思ったが、すぐに離れた方がいいと判断しその場を去ろうとした。
頭上のエドゥを見て、ラルフは笑っていた。
「はは、確かにその筋力は予想外でしたが、あなたが逃げられる確率はせいぜい7%に上がった程度です。
なぜなら...」
ゴォォォォォっと遠くから音が聞こえた。
エドゥがその音に気付いた時、ガシッと大きな力によって掴まれていた。
(何だ?)
驚いたエドゥが慌てて抵抗するが、どんどん力が大きくなっていく。
(い、痛い!いてぇ。)
キェェェェェ
大きな鳴き声が響く。
(何だ、鳥にでも捕まっているのか?)
自分を掴んでいる者の正体を確かめたかったが、体がでかく全体が見えない。
ただ、羽毛のようなものが見えるのでエドゥはこれが鳥類の一種だと容易に想像できた。
それは上空を飛び回り、ぐるぐると旋回した。
(うぅぷ)
突風が吹き体が冷えてくるし、旋回もしているのでエドゥは気分が悪くなってきた。
やがて、エドゥは意識を失った。
気が付くと先程の眼鏡の男が前に立っていた。そして、その近くにはエドガーがたっていた。
「ようやくお目覚めですか?今度はさっきの縄よりキツイ鉄の鎖ですから逃げられませんよ。」
「・・・さっさと聞くことだけ聞け。」
「そうですねエドガー。では、もう一度聞きます。あなたはどこでエルフの言葉を知ったのですか?」
「分からないっと言っている。」
「またですか。埒があきませんね。」
「・・・面倒だ。力づくで聞く。」
「え、ちょっと待ってくださ・・・
ラルフの制止を振り切り、エドゥの前にエドガーが立つ。
次の瞬間、エドガーが変身した。
(こいつの能力は変身か!)
エドゥは驚きを隠せなかった。
体は倍以上の大きさになり、目は複眼になった生き物が目の前に現れたからだ。
その化け物はエドゥを片手で掴み、同時に鎖を引きちぎった。
あぁとラルフが顔に手を当てる。
(こうなると、手が付けられないんですよね。・・まぁ、生きていることを願いましょうかね。)
エドガーはエドゥを放し、千切れた鎖をブンブンと振り回した。
エドゥはまだ鎖に巻き付けられているので、鎖と共に振り回された。
「皆さん、離れて!」
ラルフが声を大きくして老人たちに警告する。
理性を失った化け物は、何も考えず鎖を振り回していた。
エドゥは地面や壁にもの凄い速度で叩きつけられて、血まみれになる。
やがて、振り回されていた鎖の長さが長くなり、エドゥは鎖から離された。
ゲホッ、ゲホッ。
エドゥの口から血が吐き出される。
既にエドゥの意識はなかった。
「あー。やっぱり言わんこっちゃない。やりすぎですよ。治療班!」
ラルフはエドゥの治療をさせる。
そして、エドガーの姿が元に戻ったことを確認すると裁判を続ける。
「これだけ、痛めつけられてまだ答えぬか!」
意識を取り戻したエドゥは質問に対し知らないの一点張りであった。
そのことが老人たちをどんどん不快にさせていくのだった。
エドゥが知らないと答える度にキツイ罰が加えられていった。
そしてそれは徐々に過酷なものとなっていった。
途切れ途切れの意識の中でエドゥは死への恐怖を抱くようになる。
「t、あ、」
命乞いをしようとするが、声が出ない。
その様子に気付いたラルフがエドゥの側による。
「やっと、話す気になりましたか?」
エドゥの口に液体が注がれた。
すると、喉の辺りに痞えていたものがなくなりエドゥは声を出せるようになった。
「頼む、助けてくれ!」
「ならまず質問に答えて下さいよ。」
「この言葉は俺が生まれた時から喋っている言葉だ。それが偶然そちらと同じ言葉だったんだろう!さぁ、答えたんだから、助けてくれ!」
エドゥが苦し紛れで言った言葉。この言葉が思いもよらぬ効果を与えた。
「ふざけるな!」「やはり、今すぐ殺せ!」
怒涛の如く罵詈雑言が浴びせられた。
「いったん質問を変えましょう。」
周囲を黙らせるとラルフがエドゥの方を向き、質問をした。
エドゥはその質問に衝撃を受けた。
「ここを襲撃した目的は何ですか?」
エドゥが拷問を受けていた頃、ピザファットは海岸に向かっていた。
(相棒はどこかなっと。まさか俺っちを置いて一人で行っちまったとかいうオチだけはやめてくれよ!)
海岸付近まで行くと、警備の戦士たちがこっちに来ていた。
慌てて物陰に隠れて様子を窺う。
「逃げろ!俺たちじゃ勝てない!」
「急いで、アミュレット使い達を呼ばないと!」
戦士たちの会話を耳を澄ませて聞く。
どうやら、また外から侵入者が来たらしい。
自分を捕まえにきたという訳ではなかったので、ピザファットはとりあえず一安心した。
「おや、こんなとこに面白そうな奴がいるねぇ~。」
ほっとしたのも束の間、頭上から声が聞こえた。
見上げるとそこには、全身鋼鉄の人形のような物がこちらをのぞき込んでいた。
それが、いわゆる機械兵であることをピザファットはまだ知る由もない。
「なんだぁ~てめぇ。俺っちのどこが面白そうなんだよ!こんな真面目な人間つかまえてよぉ!」
相手を威嚇しつつ距離を取る。
ガシャン ウイーン
腕の辺りから何かが出てくるのが見える。
(あれは、相棒が使っていた銃ってやつか!)
銃口が向けられた。しかし、それはピザファットの方ではなく、逃げていく兵士の方にであった。
「させるかって!」




