●「相棒」3/4
ピザファットが言った後、3人は話をしていた。
「そういえば、ルカ気持ちは伝えたのか?」
「えっ?な、、なんのことで、ひょ///」
「なんだ、ルカ。あの野郎のことが好きなのか?」
「そうさ、あいつのためにギャルみたいな口調にしてるし、こいつピザファットが島から出ようとして
青ざめてたんだからな。知らないのなんて、お前とピザファットだけだと思うぜ。」
「え?バレてんの?私の気持ち。」
「あったりまえだろう。」
「っは、はずかひー///」
「ふーん。あの野郎を好きなやつがいたとは。」
「ところで何でピザファットはこの島から出ようとしていたんだ?」
「さぁ?」
こぉぉぉぉぉ、ゴォォォォォ、ヒューーーン
3人が他愛ない会話をしていた時、ピザファットが巡回をしていた時、エリアスとかいう男が少女を探していた時、暗殺教団が悪事を企てているとき、その他さまざまな思惑が動いていた時、それは空から降ってきた。
ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン、バッシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
という激しい音と共に暴風が吹き荒れた。
「なんだ?」
「え?」
「…」
「おいおいおい、何だー?」
(空から何か降ってきた?兵器か?)
急いで、音のした方へと向かう。
(なんだ?あれは?この島でとれる材料ではあんなものは作れない。ここにいるだけではやはり未知なことのほうが多いな、やっぱりまだ外の世界に行くことを俺っちの心は諦めていないようだな。)
ピザファットが見たもの、それは未知なる物質で作られていた。
扉が開き、中から変な生物がその姿を現した。
「敵襲!急に空から現れた未知の物質から生命反応あり!各自警戒されたし、繰り返す。空から未知の敵が襲来!急いで排除せよ。」
警報が出るころには、その未知の生物は島の海岸に上陸していた。
(すっげぇ跳躍力、海の方からここまでだいぶ距離があるぞ。)
近くにいた戦士たちが未知の生物に攻撃を仕掛ける。
全身を白い物質で多い、顔の部分は光が反射してよく見えない。
さらに背中に何か背負っている、それは再び跳躍して、戦士たちの攻撃を避けた。
「皆、下がれ。アミュレットがないとそいつは倒せん。」
ピザファットが指揮をとる。
「さてと、どんな能力だ?跳躍力を上げるだけなのか?それとも別のこともできるのか。」
「あなたはこの惑星の偉い人ですか?」
「!?」
急に未知の生物が話を始めた。
「惑星?とは何のことか分かんねぇけどよ。まぁ、この世で一番俺っちが偉いっつうのは認めるよ。」
「わたしはあなた達に危害を加えにきたわけではありません。私は交渉をしに来ただけなのです。」
「交渉ってなんのだよ。」
「我々の惑星と友好関係を築いていただきたいのです。資源が足りなくなった時、脅威が現れた時、我々は必ず助けになるでしょう。」
「お前さんたちは何をこっちに要求する?」
「実は私たちの惑星では、人口が増えすぎてしまい、土地が足りないというのが現状なのです。ですから、土地の提供をしていただきたい。」
「なるほどね。」
「それで、返答をお聞かせください。」
「断じてNOだ。」
それは勿論、掟があるからだ。つまり、長としての答えだった。
個人的にはもっと話が聞きたかった、この男がいう惑星とかいう話にすごい興味を持っていた。
「んー。困ったなぁ。この任務が成功しないと、帰れない。」
「どうして、ダメなのか理由を聞かせてくれませんか。」
「悪いけど、それもNOだ。」
エルフの過去にあった悲劇、これをベラベラと喋るわけにもいかなかった。
こちらが相手より立場が下と思われては絶対にいけない。今は交渉といっているのでこちらのことをあまり知らないのであろう、しかし、こちらには多くの敵がいると知られればその者たちと協力しこの島を攻撃してくるだろう。
気の抜けない状況であることをいくらピザファットといえども理解していた。
アミュレットを使える戦士がくるまで男をこの場にとどまらせようとピザファットは考えていた。
「くらえ」
突然戦士の一人が男にむかって毒矢を放った。
「バカ!やめろ!」
ピザファットの言葉はその戦士には届かなかった。
男をめがけて矢が放たれた。
男は当然高く飛んでそれを避ける。
(くそ!まだ何の能力か分かんねぇっつうのに。)
ピザファットは周りに呼び掛けた。
「全員ここから離れろ!何かしてくるぞ!」
男は武器を取り出した。そして、次の瞬間。
ピザファットの脳天に風穴が開いた。
「あぁ、許してくれ。宇宙法では、自らの命の危険があるときに限り、地球外生命体への攻撃が許されている。出来ればこんな事態にはならないでほしかった。あぁ、初めて撃ってしまった。」
男が何やらよくわからない単語を羅列しているのが聞こえる。
「いってーな。おい。」
突然ピザファットが起き上がる。
「バカな!頭にヒットしたんだぞ!痛いで済むか!」
男がさすがに動揺する。
(だよな、引くよな~。)
ピザファットは隙だらけの男から武器を取り上げ、足を引っかけそのまま地面に叩きつけた。
「ん?これ外せるのか?」「お、おい。待った。」
頭の部分がどうも外せるみたいなので、外してみた。
すると、中には人間が入っていた。
「あぁ、ん?ふぅーなんだちゃんと酸素があった。」
男はまた意味不明なことを言っていた。
「なんだ。人が服を纏っていたのか。びっくりさせんな、この野郎!」
男に一発おみまいした。
「いて。」
「おい!侵入者。名前は?」
「エドゥ、エドゥ=ベレンだ。」
「よし、エドゥ。お前はこの島の掟に乗っ取って死刑。」
「え?」
「っと言いたいところなんだが、お前さんに俺っちは興味がある。ひとまず、じっとしてな。」
ぶしゃという音とともに血がエドゥの体にかかる。
「よし、この辺でいいだろう。次は右手を砂の中に入れな。」
「はぁ」
ピザファットは次々とエドゥに指示を送る。
「んー。いいね。次はルカから教わったゾンビメイクだ。道具を全部鞄に入れておいてよかったぜ。
まずはティッシュ、それからかつら用ののり、それから」
ピザファットはどんどんと道具を出していく。
「よし、動くなよ。」
ひんやりと冷たい感触が皮膚に伝わってきた。
「冷たっ。」
エドゥは思わず動きそうになってしまう。
「暴れんな。死体ができねぇだろうが。」
それから数分後。
「ふぅ。完成。我ながらいい出来だ、写真撮っちゃお。」
「エドゥ、絶対に動くなよ。」
ピザファットの言う通り、エドゥはピクリとも動かなかった。
(何をするつもりなんだ、こいつは。)
「おーい。すまない遅れた。」
「あれ、でももう終わってるし。」
「ふん、まぁ長としてこれくらいは造作もないだろう。」
ルカ、フランコ、エドガーの3人がやってきた。
「敵はこいつだけか。」
「一応他にいないか見てきてくれないか。俺は少し怪我をしちまって、動けねぇからよ。」
「頭に、あんた大丈夫なの?すぐに治癒所に、あぁまずは応急処置?あぁぁぁ死なないでよ!」
「死なねぇし、落ち着けルカ。」
「俺だったら無傷でこんな奴倒せるぜ。」
「すまんね、エドガー君。」
「ふん。」
「じゃあ俺たちは、他に仲間がいないか探してくる。」
「絶対に治癒所に行ってみてもらいなよ!後で確認するんだから。」
「お前の尻拭いをしてきてやるよ。」