✟「秘密の園」3/4
ノナジは頬に手を当てる。
オクタビアは再び倒れてしまった。
「強くなったんだな。俺がいなくても」
(今までで一番強い攻撃だったよ。)
ノナジはオクタビアに近づいていった。
一方、祭壇では。
ハーシュとエドゥ、マクシヴィッチが激戦を繰り広げていた。
「灼来鳳凰掌!」
「うぉぉぉ!」
ハーシュの体が燃えていく。
すかさず、マクシモヴィッチが雷を纏い突進する。
「おら!」
「ぐぅ!」
二人のコンビネーションで上手くハーシュを追い詰めていた。
「アレでとどめだ。」
「よし!」
エドゥが聖剣を抜く。
「小癪な!」
ハーシュが手から何かを放った。
マクシモヴィッチがそれを腕で防いだ。
彼はその場で立ち止まる。
「マクシモヴィッチ!」
エドゥはすぐさま異変を察知し、彼の元へと駆けていった。
(死んでる!こんな一瞬で!)
脈がないのが直ぐに分かった。
「良かった。聖剣を手に入れていて。」
エドゥはマクシモヴィッチに剣を突き刺した。
「っは!すまん。」
マクシモヴィッチは直ぐに意識を取り戻し、体勢を整えた。
「今ので分かった。奴の能力はあの手から放たれる瘴気に関係している。」
「あぁ、あれに当たるのはまずい。避ける必要があるな。」
「忌々しい聖剣だ。それがあるせいで楽園が遠のくと何故理解できん!」
ハーシュが瘴気を放つ。
エドゥとマクシモヴィッチは風と雷の力で高速移動し、瘴気を避ける。
「おら!」
マクシモヴィッチがハーシュの周りを旋回しながら攻撃していく。
「ちょこざいな!」
ハーシュの体から瘴気が噴き出してきた。
「おっと!」
マクシモヴィッチは距離をとる。
「灼来鳳凰掌!」
エドゥは瘴気が届かない場所から攻撃する。
押し寄せる瘴気を風で吹き飛ばし、ハーシュを炎で燃やしていく。
「なんだ、この力は!?」
「悪いね。100年前とは違うからな。」
「そういうことだ。」
ハーシュの体が再生していく。
「やっぱり聖剣で倒さないとだめだな。」
「俺が奴の動きを止める。」
エドゥが頷く。
マクシモヴィッチがハーシュに突進する。
「……この計画を立ててから100年。」
ハーシュの周りにさらに強い瘴気が集まる。
「着々と計画してきたのだ!それをぽっと出の小僧どもに邪魔されてたまるか!」
瘴気が波のようにエドゥ達に襲い掛かってきた。
「まずい、風で押し返せる量じゃない!」
「早い!」
エドゥとマクシモヴィッチはまともに瘴気に当たる。
瘴気の波は聖剣を吹き飛ばしていった。
「マクシモヴィッチ!」
エドゥの隣でマクシモヴィッチが倒れる。
「お前はいくつも魂を持っているんだったな!」
ハーシュが追い打ちで瘴気を放っていく。
「まずい!もう一度!」
エドゥは右手を変化させようとした。
だが、いつものように右手が変化することはなかった。
(まずい、エドガーの魂が奪われたのか。)
エドゥに瘴気が直撃する。
エドゥは急いで聖剣を取りだそうとワープの能力を使おうとする。
(これもだめか!)
エドゥは能力を次々と失っていく。
「気来風神掌!」
瘴気を風で飛ばす。
だが、次々と飛んでくる瘴気をエドゥは捌ききれなくなってきていた。
「うっ!」
瘴気がエドゥに直撃する。
5秒後の未来が見えなくなった。
「さぁ、あといくつ魂が残っている?」
(まずいな。何回当たった?)
エドゥは聖剣から大分離されてしまった。
ハーシュは次々と瘴気を放ってくるので近づくこともままならない。
ふとエドゥはあることを閃いた。
まだ能力が残っていることに気が付いたのだ。
(頼む、上手くいってくれ!)
エドゥは口を大きく開いた。
するとワームが中から飛び出してきた。
「頼んだ!なんでも食べるんだろ?」
ワームが瘴気を食べ始めた。
「何?」
ググググ
ワームは瘴気を食べると増殖を始める。
エドゥは聖剣の方へと走り始めた。
「させるか!」
ハーシュが瘴気の波を飛ばした。
ガブガブとワームが波を飲み干していく。
波が収まるとワームはハーシュを食べようと向かってきた。
ガブリ
ワームがハーシュの右手を吹き飛ばし丸呑みした。
「グォオオオオ」
ハーシュは左手でワームに瘴気を当てる。
ドシン
ワームが地面に倒れた。
「瘴気を食べるとは驚いたが、やはり生物。この能力が無効になったわけではない!」
ハーシュは次々とワームを倒していく。
「そこだ!」
ハーシュの後ろからエドゥが現れた。
「パルーデ デラ モーテ」(死の沼)
ハーシュの体からどす黒い液体が溢れる。
エドゥは風の力で上空に逃げた。
地面にはハーシュを中心とした沼が出来る。
沼の中から手が飛びだしてきた。
手がエドゥに向かって伸びていく。
「灼来鳳凰掌!」
エドゥはその手を吹き飛ばした。
「まだまだ!」
沼から次々と手が伸びる。
「灼来鳳凰掌!」
「灼来鳳凰掌!」
(きりがない!このままだとあの沼が広がってナタリーたちも危ない!)
エドゥがそう思っていた時だった。
ガシッ
後ろからハーシュをマクシモヴィッチが押さえた。
「貴様!生きていたのか!」
「正確に言えば復活したんだよ!」
「ふん、だが問題ない!この沼から放たれる瘴気に当たればすぐにお前は倒れる!」
「だろうな!行けエドゥ!」
マクシモヴィッチが瘴気に当たり息絶えた。
(これで手が緩まる!)
ハーシュがマクシモヴィッチを振り払おうとする。
(な……何!?ほどけん!)
しかし、振り払うことは出来なかった。
マクシモヴィッチは確かに息絶えている。
だが、その手は緩めるどころか強くハーシュを捕らえていた。
ビリビリ
(電気で筋肉を硬直しているのか!)
ハーシュはマクシモヴィッチを解くことに一生懸命だった。
そんな様子だったのでエドゥが近づくことに気が付くことが出来なかった。
「終わりだ!」
エドゥは聖剣を思いっきりハーシュに突き刺した。
グサッ
「うっ!」
ハーシュを押さえていたマクシモヴィッチが生き返った。
それとは反対にハーシュは注がれる命に反発し苦しみだす。
「離せ!離せ!!」
ハーシュの姿が変わった。
エドゥの目には女性が映っていた。
「お願い!これ以上は止めて!」
女性が苦しそうにエドゥに助けを求める。
「親父?」
後ろにいるマクシモヴィッチが変なことを言っているのが聞こえていた。
だが、エドゥは剣を引き抜かない。
「人の命を犠牲にしたお前を助ける必要はない!」
グググっとさらに剣を深く突き刺す。
「ギャアアア!何で!?わたしはあなたの一番大切な!!!!」
目の前の女性が喚く。
「待て!話しがしたい!」
「アァァァァァ!」
エドゥが剣を引き抜く。
「残念だったな。知らない姿になっても意味がないんだよ。」
「そんな……」
女性は命を吹き込まれ灰になっていった。
「おい!」
マクシモヴィッチがエドゥに掴みかかる。
「人の親をためらいなく殺せるのか!?」
「何を言ってるんだ!?」
「俺は待ってくれと言ったんだ!」
「あの人はお前の母親なのか?」
「何を訳の分からないことを!あれは俺の父親だ!」
「お前の方が分からん。あれはどう見たって女性だろ!?」
「確かに親父は人を犠牲にしたのかもしれない!けど!」
マクシモヴィッチがエドゥに殴りかかってきた。
エドゥは風の力でマクシモヴィッチを吹き飛ばす。
「止めろ!今こんなことしている場合じゃ!」
「訳くらい聞かせてくれてもよかったじゃないか!」
ドカー―ン
エドゥに雷が落とされる。
「殺す気か!」
「分からん!」
風と雷がぶつかり合う。
「待った。」
エドゥはマクシモヴィッチを止めた。
「何だ!?」
「この左手で記憶を遡る。それで許せ!」
「分かった。それで我慢しよう。」
エドゥは灰に触れた。
過去の記憶が流れてくる。




