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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
102/515

✟「今にも零れ落ちそうな雨雲の下で……」1/4

Tears spilling

眩い光が3人を照らしていた。


「さぁ!とっとと手に入れちまおうぜ!」

「あぁ!」


3人は聖剣へと歩こうとする。


その時だった。


「あれ、足が動かない……。」


足を前に出そうとするが全く言うことを聞かないことに気付く。


そんな彼らの前に2人組が現れた。


「お前ぇ!ラルフか!」


「久しぶりですね。ピザファット、元気でしたか?」


「お前は俺の戦いを邪魔してきた奴だな。」


「ハハハ。拙者強いものと戦うことに目がない故、失礼した。」


その2人とはラルフと宮本のことだ。

彼らは聖剣が手に入るこの瞬間をずっと待っていたのだ。


「さて、聖剣を頂きますね。」

「待て、この博士くん!」


ピザファットの台詞にラルフは一瞬固まったように見えたが、直ぐに何にもなかったかのように会話を続ける。


「昔のよしみです、聖剣から手を引けば今は何もしないことを約束します。いいですよね宮本さん。」

「あぁ、無駄な殺生は趣味じゃない。」


ラルフはピザファットの前に立った。


「引いてくれますか?」


ピザファットはしばらく黙っていたが、やがてゆっくりと口を開いた。


「……エドガーを殺したのはお前か?」

「いいえ、直接やったのはジョルジュさんですよ。まぁ、僕が止めれば生きていたかもしれませんけど。」

「お前覚えてるか、俺っちたち4人いれば誰にも負けない、どんな侵略者が来ても俺っちたちで島の皆を守るんだって言った事をよ!」


ラルフは首を傾げた。


「さぁ、どうでしたかね?それより僕の質問に答えて下さい。手を引くのかここで戦うのか?」

「戦うぜ!俺っちは今決めたぜ!お前の頭に一発ぶち込んで目覚まさせてやるぜ!」


パチパチパチと宮本が手を叩く。


「うん、その意気やよし!これから動けるようにしよう、ただし……。」


グサッ


「うぐっ。」


宮本はマクシモヴィッチの肩を刀で刺した。

衝撃波が放たれる。


「今度はもう逃げられないぞ。」


マクシモヴィッチは透明化し、数秒後に姿を現した。


「よし、じゃあ早速始めよう。ハルトムート、出来るだけ公平に戦いたい、能力を外してくれ。」


宮本は影に隠れていたハルトムートに指示を送り、能力が解除されたのを確認すると、エドゥ達を自由に動けるようにした。


「さぁ、どこからでも来ると良い。」


宮本が剣を抜き構えた。


「歯ぁ食いしばれ!」

「気来風体掌!!」


エドゥとピザファットがラルフを吹き飛ばした。


「相棒!あいつは俺っちが相手するぜ!」

「分かった。こっちはマクシモヴィッチと侍の相手をする。」


ピザファットがラルフを追いかけていく。


「マクシモヴィッチ、大丈夫か。」

「あぁ、そんなに深くは刺さっていない。」


「さぁ、拙者を楽しませてくれ。」


エドゥとマクシモビッチの前に宮本が立ちふさがった。


「あいつと戦ったことは?」

「一度だけ、奴と戦ったことがある。一方的にやられっぱなしだったけど。」

「なら奴の能力はまだ分からないってことだな。」


「教えてもいい。こちらだけ知っているのも何かと不公平だ。」


「舐めるな。そんなことを知らなくても戦える。」


エドゥとマクシモヴィッチが宮本にかかっていく。


「灼来風獣掌」


エドゥが宮本目掛けて火を放つ。


「面白い。あの時と違い、だいぶ洗練されている。だが……」


ブン


一振りで振り払われる。


「よそ見してる場合か!」


今度はマクシモヴィッチが宮本に切りかかった。


カンッ


剣同士が重なり合い、つば競り合いになる。


ビリビリ


剣に電気が伝う。


「おっと、能力に加えて魔法か、面白い。」


宮本はマクシモヴィッチの剣を横に弾き、突っ込んで来た。


「いいぞ。楽しくなってきた。あの方を思い出す。」

「何を言って……。」

「いくぞ、拙者の技受けて見よ。」


宮本の刀が紫のオーラを纏う。

尋常ではないその光景にマクシモヴィッチは全力で防がねばならないと本能で理解した。


ー天衣無縫 迅雷ー


マクシモヴィッチを雷の鎧を纏った。


「紫電一閃」


宮本から強力な一撃が放たれる。


バチッバチッ


マクシモヴィッチが素早い動きで距離をとった。


宮本が放った剣撃は激しい光を放っていた。

が、速度は遅い。

これを避けられない者はいないだろう。

ましてや今のマクシモヴィッチは雷のように素早い動きが出来る。


(これで!終わりだ!)


攻撃を避け、今度はマクシモヴィッチが宮本に距離を詰めようと動いた。


カラン


手から剣が落ちた。


「ケホッ」


マクシモヴィッチが煙を吐いた。

彼はそのままその場で倒れてしまう。


「マクシモヴィッチ!」


エドゥは未来を見ていたが止めることが出来なかった。


それは5秒では間に合わなかったこともそうであるが、どの未来を選択してもこれは覆らなかったのである。


(おかしい、あの光にマクシモヴィッチは触れてすらいない。)


恐らくマクシモヴィッチはもう動けないだろう、自分ひとりでこの強敵に挑まねばならない。

エドゥは固唾を呑んだ。


(思い出せ、最初に戦った時のことを……。)


キロネキシア島での戦い、あの一方的にやられた負け戦。

ただ負けただけで終わらせるわけにはいかない。

何か能力のヒントになるものはないのか?


考えて、考える。


「来ないのか?」


宮本の方からエドゥに近づいてくる。


スパッ


間合いの外から首元を切られる映像が入ってきた。


一歩エドゥは後ろに飛ぶ。


「む。見切ったのか。見事。」


宮本はエドゥの目の前に来ていた。


「何となくあんたの能力が分かってきた気がする。」

「ほう。まだそこまで手札を晒した覚えはないが。」

「いや、あんたはかなりヒントをくれた。つまり。」


エドゥは宮本に触れる。

そして確信に至った。


「ほら、今あんたはここにいない。」

「!?」


宮本の姿はそこにあるようで、そこにはなかった。


「公平だなんだ言って滅茶苦茶な能力しやがって。」

「ふふふ、はっはっは!!」


宮本は高らかに笑う。


「面白い、本当に面白い男だ。名前を聞いておこう。」

「エドゥ=ベレンだ。」

「エドゥ=ベレンか、拙者は宮本 蒼士。」

「確かに聞いた。」


「あの島で戦ったときよりかなり成長した。恐らくここでお主を逃せば脅威になるだろう。無念だが、ここで討たせてもらう。」

「お前たちの目的は知らないが、大勢の命を奪ったことは償ってもらう。」


宮本の姿が現れた。


ー天衣無縫 風烈ー

エドゥの周りを風が荒れ狂う。


さらに右手をフェニックスに変える。


(今自分が出来る最強の技をぶつける。)


始めにフェニックスの手に変えた時、酸欠で倒れたことを思い出す。

天衣無縫 風烈は風体術の奥義、常に風を周りに纏い酸素を供給できる。

この組み合わせは理論通りなら最強の組み合わせだ。

自分が風を扱えてこれほど良かったと思ったのは初めてだった。


「灼来鳳凰掌!!」


「この威力は!?」


宮本はいつも通り、刀で振り払おうとしていたが予想外の威力で刀を落としてしまった。


宮本が刀に手を伸ばした。


「うぉおおおおりゃああ!!!」


倒れていたマクシモヴィッチが力を振り絞り刀を奪った。

そのまま能力を発動し刀は水へと姿を変える。


「エドゥぅううう!!!行けぇええ!!」


宮本はハッと振り返る。


「灼来鳳凰掌!!」


エドゥは炎の塊を放つ。


宮本に攻撃が当たる。

だが、どうやら攻撃は当たっていないようだ。


(また能力か!)


エドゥは額に汗をかきながら次の攻撃の準備をする。


(あと、数発くらいか。)


体力がどんどんと無くなっていく。


「灼来鳳凰掌!」

「灼来鳳凰掌」


どれも宮本に直撃はしなかった。


右手が元の姿へと戻ってしまう。

同時に鎧が解除された。


「久しぶりに楽しい戦いだった、さらばだ。」


宮本はエドゥの首を刀で振り下ろそうとしていた。


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