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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
101/504

✟「反逆への兆し」4/4

「よし、以前と変わってないようだな。」

「ここは……。」


マクシモヴィッチが辺りを見回す。

襲い掛かる脅威をはねのけ、二人は湖畔へとたどり着いていた。


「風体書、つまり風体術を編み出したのはサンシャシャ、エルフ族たちとさっき言ったな。」

「あぁ。」

「それは半分正しく、半分間違っている。」

「どういうことだ?」

「もう一種族いるんだよ。それを知っている者が。」


エドゥはある物を指さした。

それは湖の真ん中にそびえたつ一本の大樹だった。


「それは……ドリュアスだ。」


エドゥが一呼吸置く。


「今からあの木に話しかける、少し静かにしていてくれ。」


マクシモヴィッチが頷く。


エドゥはナタリーが作った補聴器を外した。



色々な音が入ってくる。


「突然訪れて申し訳ない。あなたに風体術を教わりに来た。」


ざぁああああっと葉が揺れ動く。


「儂の声が聞こえるのか?」


エドゥは老人のような大樹のか細い声をしっかりと聴いていた。

聞こえることを伝えるために一回頷いて見せる。


「ほぉ。それで風体術を習いたいと申したのかの?」

「そうです。聖剣を手に入れるためどうしても天衣無縫を教えていただきたいのです。」

「そこまで知っておるのか……。」


ザワザワザワ


湖畔周辺の木が騒ぎ始める。


「駄目ですよ。こんな誰かもわからん奴に聖剣を渡したら。」

「そうだよ!サンシャシャ様が怒ったら俺たち大変な目に会っちまう。」


「えぇい、静かにせんか。確かに皆の言う通り聖剣を渡し悪用でもされたら一たまりもない。だが、これまでにない脅威がこの森を襲っているのもまた事実。」


「じゃあ、どうするのー?」

「するのー?」


「……良いじゃろう。君たち2人に天衣無縫を習得させよう。」


「本当ですか!?」


「ただし、風体術の奥義を会得するにはそれなりの時間が必要。」


「どれくらいですか?」


「それは……君たちの技量次第。」

「皆100年はかかってたね。」


「100年!?」


「当り前さ。奥義なんだから。」

「奥義なんだもん。」


「じゃが安心してくだされ。儂らドリュアス達は命を削りその分時間を止めることが出来ますので。」


「いや、そこまでしていただくわけには……。」


「気にしなーい!」「木にしなーい!」

「きにしなーい!」「大変なときだもの。」


「皆長い命を持っております。100年ぐらいでは死ぬことはありません。」


「それに、皆で分担すればいいもんねー!」

「ねー!」


木々が楽しそうに揺らめいていた。


「よろしくお願いします。」


エドゥは木々に頭を下げていった。


それを見たマクシモヴィッチも一緒に頭を下げる。


こうしてエドゥとマクシモヴィッチは風体術の奥義、天衣無縫を習得するために修行へと入っていたのだった。




それから、日が出ては沈み、また出ては沈み、太陽が東から西へ、東から西へと落ちていった。


いつしか白い花弁が湖畔に咲き誇る。


二人の男がそれを眺めていた。


「これは何て花なんだ?」

「さぁ?でもこの花を見ていると何だか百年経ったんだなぁって気分になる。」

「そうか?俺は特にそうでもないんだが。」

「まぁ、いいか。それより聖剣を取りに行こう!」

「あぁ!」


二人は修行を終えピザファットのところに戻ってきた。


「あれ?随分と早ぇじゃねぇか?」


ピザファットの台詞に二人は笑いだす。


「そうだな!」

「あぁ!」


「おい!なに二人で笑ってんだよ!」


「ピザファット、今から聖剣を取りに行くぞ!お前も来い!」

「この嬢ちゃんはどうすんだ?」

「大丈夫だ。そのままにしておいても。」

「あぁ、それより聖剣を確実に手に入れたい、お前の力も借りるぞ。」

「何だよなんだよ!次から次へとよ!そういうの嫌いじゃねぇぜ!」


3人は聖剣の台座へと走っていった。


「おぉ!あれが聖剣か!眩しすぎるぜ!」


ピザファットは聖剣に向かって走り始めた。


「おい!全然近付けねぇ!どうなってんだ!」

「いいダイエットになるな!」

「あぁ、このままにしておいても良いかもしれんな。」

「二人ともテンションがたけぇな!」


ピザファットは走るのを止めた。


「はぁはぁ!オーケー、もう分かった!やっぱり普通じゃいけないってことだな。」

「そうだ、見えない何かに邪魔をされている。」

「だからそれを吹き飛ばすんだ。」


エドゥとマクシモヴィッチが構える。


ザワザワザワ

バチッバチッ


「風体術とは風の体術という訳じゃない。」


修行の時のドリュアスの言葉が思い出される。


「現にそこのダークエルフ君は呼吸から雷を作っておる。」

「確かに。」

「風体、つまり自らの自然な姿、あるべき姿を具現化する術なのじゃ。」

「自分はそれが風だったってことですね。」

「その通り、これは空気中のマナと呼ばれる物を取り込むことによって超常の力を手に入れる仕組みになっておる、いわば魔術。」

「ひょっとするとマナは取り込む分だけ威力が上がったりするんですか?」

「左様。だから我々は呼吸の仕方から学ばねばならない。」


「一つ質問が。」

「何かのぉ?」

「僕は風以外を使うことは出来ないんですか?」

「マナは取り込まれた者の体内で変化する。だから、他の属性を使うことが出来ない。」

「他にはどんな属性が?」

「火、水、風、土、雷が基本とされておる。中には例外や派生を扱えるものも昔はいたと聞いておるがの。さて、時間がもったいないそろそろ始めようかの。」


ドリュアスは何かを土から掘り起こした。


「これは……フルート?」

「その通り、マナを自在に扱えてこそ風体術を極められる。吹いてみぃ。」


フーッ、ピギャラー


「そのまま吹いても駄目じゃよ。マナを意識し、多くのマナを取り込むのじゃ。」


ボォオオ


「おぉ、音は出たのぉ。だが、聞くに堪えん。もっと歌口に風を集中させぇい。」


ボォオオ、オオ


「もう一回じゃ、出来るまで何度もやるぞぃ。」


エドゥは修行を思い浮かべながら隣のマクシモヴィッチを見た。


「行くぞ!」

「おぉ。」


ブワァアアアア


エドゥの周りを激しい風が吹いた。

その風がエドゥに纏わり鎧になった。


ピシャー――ン、ゴロゴロ


マクシモヴィッチに激しい雷が直撃した。

雷が彼の体を覆い、鎧の姿になった。


「おい、なんじゃそりゃ!?俺っちと似たような姿になっちまったぜ!」


「あぁ、俺たちも最初は驚いた。だけど、凄い力がこの鎧から溢れてくるんだ。」


天衣無縫、いかにも自然で、しかも完全で美しいことだったか。

この姿が自然で美しいかはさておき、これが求めたものなのは確かだ。


二人はそう感じていた。

エドゥが風体書の記憶から得た文字。


ー天衣無縫、風烈ー 

それは激しく荒れ狂う神風。


ー天衣無縫、迅雷ー

それは天地をとどろかす激しい雷鳴。


「奥義!気来風神掌!」

「聖剣まで轟け!」


風と雷が混ざり見えない結界に直撃した。

空間が歪んでいく。


パリ―ン


結界が壊れる音が辺りに響く。


「来るぞ!ピザファット頼んだ!」

「え?何が来るって!?」


風と雷がこっちに戻ってくるのが見えた。


「何!?」


エドゥとマクシモヴィッチが衝撃を押さえる。

だが、物凄い勢いで押し返されていった。


「そういうことか!?悪ぃナタリーの嬢ちゃん。緊急事態だ!」

「大変身!」


ピザファットも鎧を纏った。

そのまま二人の背中を押す。


「これで良いんだろう?相棒!」

「あぁ、助かる。」

「すまん。」


3人の力を合わせて反撃を防いでいく。

やがて風と雷の威力は弱まりあたりは静寂に包まれた。


3人の鎧が外れる。


「よっしゃあ!やったぜ!」

「あぁ、これでいよいよだ!」

「ようやくだな!」


3人の前には光輝く聖剣が待っているのだった。




脳内設定㉗

デズモンド 種族ー???-

能力名「sceadu」

「影を操ることができる能力。」

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