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世界にダンジョンが現れたので、好き勝手生きることにした  作者: 人間適合


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3/3

初めての探索

ゴブリンとの死闘を終えた佐野颯太は、その場に座り込んでいた。


「はぁ……」


息が上がる。


身体中が痛い。


ゲームなら回復アイテムを使えば終わりだ。


だが現実は違う。


疲労は消えない。


恐怖も消えない。


ゴブリンを倒した感触も、まだ手に残っている気がした。


「……帰りたい」


本音が漏れる。


今すぐ家に帰りたい。


冷房の効いた部屋で寝転がりたい。


スマホを触りながらアニメを見たい。


だが。


「帰り道が分からないんだよな……」


現実は残酷だった。


振り返っても、あの謎の穴はない。


つまり出口が分からない。


見つけるしかない。


颯太は立ち上がった。


「よし……行くか」


腰には家庭用包丁。


ポケットにはガチャから出た懐中電灯。


天然水。


非常食。


さっきまではハズレだと思っていた。


だが今では違う。


むしろ生命線だ。


「ガチャも意外と馬鹿にできないな……」


そう呟きながら歩き始める。


洞窟は想像以上に広かった。


分かれ道も多い。


迷路みたいだ。


「本当にダンジョンじゃん……」


少しだけワクワクしてしまう自分がいる。


だが。


次の瞬間。


ガサッ。


「っ!?」


物陰からゴブリンが現れた。


「またかよ!」


颯太は即座に距離を取る。


昨日まで普通の高校生だった人間が、急に無双できるわけがない。


むしろ一匹でも十分怖い。


だが逃げられない。


ゴブリンもこちらへ走ってくる。


「くそっ!」


包丁を構える。


数分後。


「はぁ……はぁ……」


ゴブリンの亡骸を前に、颯太は膝をついていた。


勝った。


だがギリギリだ。


腕には浅い切り傷。


制服も汚れている。


包丁を使ったから少しは楽だった。


それでも命懸けだった。


『ゴブリンを討伐しました』


『GP+10』


青い文字が浮かぶ。


「GP?」


ステータスを開く。


【佐野颯太】


Lv1


職業:運試し屋


STR:7


VIT:8


AGI:11


DEX:10


INT:10


LUK:30


GP:10


スキル


【ガチャ Lv1】


「十?」


詳細を開く。


すると説明が出てきた。


GP100で1回ガチャを実行できます。


「少なっ!」


思わず叫んだ。


ゴブリンを命懸けで倒して十分の一。


あと九匹倒さないと一回引けない。


「渋すぎるだろ……」


思わず顔を引きつらせた。


それから数時間。


颯太は慎重に進み続けた。


戦える相手とは戦う。


危険そうなら逃げる。


無理はしない。


生き残ることを最優先にした。


その結果。


Lvは2になった。


GPも少しずつ増えている。


だが。


出口はまだ見つからない。


「ん?」


長い通路を進んでいた時だった。


空気が変わった。


冷たい。


重い。


嫌な感覚。


「なんだ……?」


胸騒ぎがした。


本能が警告を鳴らしている。


それでも進む。


出口の手掛かりがあるかもしれない。


そして。


通路を抜けた瞬間。


颯太は立ち止まった。


「……でか」


目の前には巨大な扉があった。


高さは五メートル以上。


黒い金属でできたような重厚な扉。


表面には意味不明な紋様が刻まれている。


ゲームだったら誰が見ても分かる。


ボス部屋だ。


だが問題は扉ではない。


扉の向こうだ。


何かいる。


見えていない。


なのに分かる。


全身の細胞が危険信号を発していた。


心臓が早鐘を打つ。


呼吸が乱れる。


足が震える。


「やばい……」


無意識に一歩下がる。


ゴブリンとは比べ物にならない。


もし今この扉が開いたら。


自分は死ぬ。


理屈ではない。


本能がそう告げていた。


その時。


巨大な扉の向こうから。


ドクン。


何かが脈打ったような音が響いた。


ゾワッ――。


全身に鳥肌が立つ。


颯太は包丁を握る手に力を込めた。


扉の向こうにいる存在とは――。


そこで彼は動けなくなった。

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