追放ね、、いやーまいったまいった笑
神界、音楽の神の宮殿より、
「雲の神:ヴォルケン・アクアよ!音楽の神:ミジェカ・ソロが命ずる、即刻この国から出ていけ!」
ある日、雲の神:ヴォルケン・アクアは追放を命じられた。
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この世界には神の国が存在する。
国といっても大陸で仕切られているため数個しか存在しないのだが、そのうちの一つであるヒュロント大陸を治めている最高神は万物の神:グレムシャス・ヒューロである。
ざっくり言うと神話にはこうある。
グレムシャス・ヒューロは万物の神だが人間の増加により一人でヒュロント大陸を管理することはできなくはないが大変だった。
そのため自身の能力をそれぞれ与えた神を四柱生み出した、と。
時を司る、時の神 :ツァイート・テンポ
空を司る、天空の神 :シュトゥールム・クラーウ
自然を司る、大地の女神:エル・デレーネ
芸術を司る、芸術の神 :アルクンテ・アート
そして、たった今追放を宣言された雲の神:ヴォルケン・アクアは天空の神:シュトゥールム・クラーウの末端の配下神である。
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「追放か。りょーかい。じゃぁねー」
「…………………は?もっと狼狽えるとかないのか!」
ごもっとも。
本来ならば狼狽えるべきなヴォルケンは狼狽えず、狼狽えないはずのミジェカが狼狽えているという、なんともあべこべな空気となっている。
「ない。ばいばーい」
なんとも軽くヴォルケンは追放を流し速やかに手続きを済ませ、神界から出て行った。
その間脅威の、約五分。
何故ヴォルケンはこんなにも、追放されたことをあっさり流すのか、それはヴォルケンが
神とかどぅでもいい〜〜〜
めんっどくせぇ〜〜〜
仕事放棄して寝てたい〜〜〜
と常日頃から思っていたからだ。
余談であるが、この世界の神はそれぞれ仕事を担っている。
わかりやすいのは、時の神:ツァイート・テンポだろう。
ツァイート・テンポはその名の通り時を司っているため世の中の時が乱れぬよう時間を管理している。
また、配下神の仕事の確認など、神と言ってもただ自由奔放に毎日生活しているわけではないのだ。
(ってなわけでやってきましたよ、下界。ってか森だね。というか僕どこまで力を使えるんだろう?)
そんなことを考えているとヴォルケンの頭に声が響いた。
念話だ。
《どこまで行ってるんですか?もう会議、始まりますよ?
天空の神:シュトゥールム・クラーウ様?》
『………そっちで呼ばなくて良くない?ヴォルケンって呼んでよ』
《できるわけないでしょう。話を逸らさないでください》
『……………………………………えーとね、先に謝っとく、ごめんね?』
ヴォルケン、いや、雲の神:シュトゥールム・クラーウは言いづらそうに配下神に謝った。
《はい?》
配下神は嫌な予感がしたのか怪訝な声で答えた。
音楽の神に追放されたこと、今下界にいることを話した。
《あんのっ、音楽の神が!》
ヴォルケンは自分が責められないことにほっとしていた。
が、それを見逃す配下ではなかった。
《それに乗るあなたもあなたですからね?
世界のどこに!大事な会議中に一旦自国へ帰って?それで連絡がついたと思ったら追放されてる神がいるんですか?!!》
『悪いと思ってるって』
《絶対思ってないですよね……ま、とりあえず、グレムシャス様に報告します。
この会議は代理を立てて進めますので》
『よろしくね〜』
にこやかに頼むヴォルケン。
……………………この一幕だけでも配下が普段から相当な苦労をしていることがわかるはずだ。
さて、少々時間を取り、天空の神の配下神であるはずの、雲の神:ヴォルケン・アクアがシュトゥールム・クラーウと呼ばれていたのか、それは、
神と魔族の戦いがあり、まだ神と人が同じ大地を踏んでいた大昔に遡る。
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「もう戦いたくなぁぁぁい。疲れた、ねぇ、なんで僕がいつも戦いに出ないといけないの?」
といつものように愚痴をこぼすシュトゥールムに同格の他の三柱は簡潔に返す。
「あなたが一番強いからよ」
「わはは、お主が一番強いからに決まっておろうが!」
「その通り」
「はぁ……まぁ、いいや。僕が一番戦ってるってだけでみんな戦ってないわけじゃないし………でもなんか!釈然としない!」
「ほぉっほぉっほぉっ、荒ぶってあるのぉ、」
「「「「グレムシャス様!」」」」
四柱はすぐに膝をつき、敬意を表した。
「ほぉっほぉっ、そんなかしこまるでないわ」
「「「「はっ!」」」」
四人はすくっと立ち上がる。
「それで?グレムシャス様は何故こちらへ?」
「ちとシュトゥと話そうと思うてな」
シュトゥとはシュトゥールム・クラーウの愛称である。
「え?僕?」
シュトゥールムは自分に矛先が向くと思っていなかったのか困惑しながら呟いた。
「そうじゃ。ちとこやつを借りるがよいの?」
「「「もちろんです」」」
こうして、グレムシャス・ヒューロとシュトゥールム・クラーウの密談が始まった。
「それで、僕にお話とは?」
「そうじゃのぉ、今の魔族との戦いでこの大陸の中で、いや、この世界をもふくめても最も戦ってくれておるのはお主じゃ」
「はい、まぁ、そう、ですね」
「それが何故かわかるか?」
「僕が強いから、ではないんですか?」
「そうじゃの〜、だがシュトゥ、お前はな怠け癖もあるし、すぐ寝るし、他の三柱と比べてどうじゃ、ちと仕事も放棄する」
シュトゥールムは自分の父とも言える存在だ。
その存在に褒められたかと思えば急にけなされたのだ。
拗ねもするだろう。
「だが、お主は一番戦ってくれておる。おそらくお主は四柱の中で一番弱かろうがそうだったろうな」
「え?」
「お主は神の慈悲を持ちすぎている」
つまりは優しすぎるということだ。
「!?」
ヴォルケンは目を見張る。
「それを続けていると、この先もたんぞ」
諭されたシュトゥールムは自覚があった分、グレムシャスを、まっすぐ見て返事をすることが、できなかった。
「はい、」
「とはいっても、お主が成果を上げてくれているのは本当のこと。
この戦いが終わったらお主に望むものを渡そうかと思うての?」
まさに、飴と鞭。
「いいん、ですか?」
「もちろんじゃ。では、何がほしいかを考えておいてくれんか?」
「もちろんです!」
そして、戦いが終わった後、シュトゥールムが望んだものこそ、
「僕の、派閥の末端に名前を、つまり、別の神としての位をとることを許していただけませんか?」
「………………………それで、よいのじゃな?」
「はい」
この時のヴォルケンはまっすぐと、グレムシャスの目を見つめていた。
こうして、天空の神:シュトゥールム・クラーウは雲の神:ヴォルケン・アクアとしての座を得た。
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シュトゥールムは下界の森であくびをした。
「さてと、そんじゃ、僕がどれだけ本来の力を使えるのか、準備運動といこうか」
こう呟いてからヴォルケンは上を見た。
(この雲の量なら森全体は見渡せるだろ)
シュトゥールム、いや、ヴォルケンは魔法を発動させた。
(雲の目発動)
雲の目とは、シュトゥールムか、その配下神しか使うことのできない魔法である。
だが、配下などはシュトゥールムが使う雲の目の一割も性能を出せていない。
雲を通してこの世界の全てを見ることができる、というのが、本来の性能である。
(よし、これが発動できるなら大体の魔法はいけるね?この光の穴、なんだ?
っ!まさか!)
どうやらヴォルケンは森の中に不自然な光の穴を見つけたようで、すぐさま座標を特定し、雲をすぐさま発生させ、その上に立ち、超高速で移動した。
「ここか。やっぱりこれ………時空の穴、だよね?」
そう、ヴォルケンが見つけた光の穴とは時空の穴だった。
時空の穴、これはどこかの世界と繋がっている、とされていて、ヴォルケンも永い時の中で片手で数えるほどしか見たことのない珍しい代物である。
(ま、これだけ小さければ問題ないだろう。一応報告だけしておくか)
ヴォルケンは先ほどの配下神へ念話をつなげた。
『おーい、ちょっといい?』
《………………なんですか?》
不機嫌そうに配下神が応答する。
『小さいんだけど、時空の穴見つけた』
《今度はなんの用で?必要事項じゃなければって、え?!!?》
『必要事項でしょ?』
《はい、確かに、
あぁ、また仕事が増えた……………とりあえず時の神:ツァイート・テンポ様に報告しておきます》
『よろしくね』
ヴォルケンが念話を切ろうとすると、配下が思い出したかのように、だが、歯切れを悪くして、言葉を紡いだ。
《あ、それと、その、神界は戻る条件みたいなのあの音楽の神から聞いてたり、します?》
『え?なーんもきいてない』
《ですよね》
呆れた様子で配下は答える。
『ん?なんかあるの?』
《えーっ、と、その〜、ヴォルケン・アクアとしての信者を一億人集めること、らしいんですが、》
とてもとても言いにくそうに配下が言う。
『……わぁ………思ったよりも、重い課題だね』
現在、この世界の人口は約、四億五千万人。
そして、このヒュロント大陸の人口は約、一億四千万人。
だが、大陸のほとんどの民はもうどこかの派閥に所属……つまり、信者となってしまっている。
一億人ということは、ヒュロント大陸のほとんどの民を信者にすることに等しい。
つまり、何が言いたいかというと、ほぼほぼ不可能な課題であるということだ。
(やっほ〜い。仕事するの多分最低限でいいだろうし、僕別に戻らなくてもいいもんね〜)
《課題重くてラッキー⭐︎……なんて思ってませんよね?》
配下がその場にいれば、ギロリと睨まれる場面であろう。
そのとき、ヴォルケンは側から甚大な魔力を感じ、そちらの方を見る。
『っ!』
《どうされました?!?!》
『……時空の穴が大きくなった。………まずいな』
《めちゃくちゃヤバいじゃないですか!?》
配下が慌てふためいているのがわかる。
『とりあえず抑えられるように魔力を注いでみる』
《はい!了解しました》
膨大な魔力を時空の穴に注ぎ小さくしようと奮闘するのだが、
抵抗虚しく、時空の穴が、輝き、
青年が、現れた。




