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エレメンタルロードテナー  作者: 葵 嵐雪
猛進跋扈編
152/166

第百五十二話 大乱の兆し

 アッシュタリアと風鏡達が動き出したのだが、当の昇達は、そんな事には気付かないままに、今は目の前に立ちはだかる困難に挑んでいるのだった。そう、学生なら絶対に立ち向かわなければいけない困難、その名を……中間テストという。

 という事で、昇達は勉強に集中するために、いつも使っている与凪の城とも言える生徒指導室に集っていた。そして部屋の中では勉強に集中する……のは二人だけだった。そのため、部屋の中は、かなり静かだった。

 それもそのはずだ。なにしろ、普段なら騒がしいミリアが居ないのだから。もちろん、ミリアの師匠であるラクトリーの姿も無かった。ミリアにしては珍しくラクトリーの言うとおりに、ラクトリーが学校に作った訓練場で勉強をしている……というよりもさせられている。

 それはそれで仕方ないだろう。なにしろ、ラクトリーから今回のテストで平均点以上の点数を取らないと地獄の個人補習が待っていると脅されているのだから。そんな経緯もあり、ミリアは泣きながらもラクトリーから直々に勉強をしている。というよりは、授業を受けている、と言った感じだ。

 そして生徒指導室で勉強に励んでいるのは……昇と琴未の二人だけだった。そんな二人を横目にシエラは呑気に咲耶が淹れてくれた紅茶を手にして雑誌を適当に読み流している。そして咲耶は完全に給仕に回っていた。その咲耶が淹れてくれた紅茶を飲みながらもフレトはシャーペンを片手で走らせるが……勉強というよりも片手間で復習していると言った方が良いだろう。そんなフレトとは対照的に閃華は昇と琴未の勉強を見てやっていた。

 そして、最後に残ったここの主である与凪だが……いつも通りにモニターとキーボードを取り出して何かをしていた。まあ、そんな与凪も咲耶が淹れてくれた紅茶を堪能しながら作業をしているのだから、そんなに大変な作業というワケでもないのだろう。

 つまり、昇と琴未以外は勉強しなくても中間テストではかなりの点が取れるという余裕があるという事である。まあ、精霊達はかなり長く生きてるし、それにシエラなんて知識書を熟読しているので、今更になって高校の中間テスト如きで慌てて勉強する必要が無いのだろう。他の精霊達も同じと言えるようだ。

 そして、昇や琴未と同じように契約者であるフレト。勉強が始まる前に昇がフレトに勉強の事を尋ねたが、その時に返ってきた答えが「俺は幾つかの大学で博士号を持っている。まあ、日本語はこちらに来る前に一気に覚えたからな、その点だけは復習しとかないとだな」と、とんでもない事を軽々と言っていた。

 まあ、海外だから飛び級で、そういう事が出来るよね。と自分自身を納得させる昇と琴未。つまり、フレトも勉強に関しては、かなり出来るのは確実だろう。だからこそ、今は片手間で日本語や古文などの復習をしているというワケだ。つまりフレトも高校の中間テストなんかは気にする事無く、かなりの点数が取れるという事だ。

 そんなワケで昇と琴未だけが閃華に分からないところを教わりながら、二人だけが一生懸命に勉強しているというワケだ。そんな二人の勉強を邪魔しないように周りが静かなのは助かったと言えるだろう。だが、勉強を始めてから、かなりの時間が過ぎた頃、それは突然やってきた。

 突如として生徒指導室のドアが開くと、すぐに誰かが倒れ込んできた。その事で全員の視線がそちらに向くが、すぐにラクトリーが姿を見せ、倒れた、それを引っ張ってからドアを閉めて、それを椅子に座らせると、やっと、それがミリアだという事は判明した。どうやら、ラクトリーの授業は終わったらしい。そのため、ミリアはすっかりと屍になっている。そんなミリアを見て、閃華が口を開く。

「さて、ミリアがこんな状態じゃからのう。そんなミリアの横で勉強してても、ミリアには嫌味にしかならんじゃろう。まだ時間は早いが、今日はこの辺で終わりにした方が良いみたいじゃな」

 そんな閃華の言葉を聞いて昇も琴未もシャーペンを投げ出し、昇は背もたれに寄り掛かり、琴未はテーブルに突っ伏すのだった。そして、そんな二人が言葉を口にする。

「あ~、やっと終わった」

「最近はいろいろと忙しかったもんね~。すっかり勉強の事なんて忘れてたわ」

 そんな琴未の言葉にシエラが睨みを効かせてくるが、シエラを無視するように琴未はテーブルに突っ伏している。まあ、確かにシエラの騒ぎで勉強する時間が削られたのも確かだが、それをしっかりと口にする辺りが琴未らしいと言えるだろう。だからと言って、今の琴未はシエラと喧嘩をするだけの気力は持ち合わせていなかったし、先日の一件でシエラも慎みという事をやっと覚えたみたいで、最近では二人が表立って戦う事は無くなった。

 のだが、こうした嫌味の応酬が続いているのは確かのようだ。そんな琴未の言葉に昇も無視を決め込む事にし、咲耶が淹れなおしてくれた紅茶を黙って口に運ぶのだった。そんな昇がフレトの方へと顔を向けると、そのフレトも今では復習に使っていた道具を全て片付けて、茶菓子を口にしていた。

 何にしても、昇と琴未以外は勉強しなくても良いぐらいの学力を持っているのは確かみたいで、昇はそんな精霊や人に囲まれて、すっかり気落ちしていた。そんな昇が疲れたように口を開く。

「まあ、争奪戦もやってるワケだし、勉強だけに集中するというのも無理って話だよね」

「そうよね。夏休みが終わってからというもの、戦いが多かったのよね」

「さすがに争奪戦を理由に出してみても、誰かを納得させる事は出来ないぞ。赤点は赤点だからな」

「うっ!」

「はっきり言うわね」

 フレトの一言にそれぞれの反応を示す昇と琴未。まあ、確かにフレトの言うとおりなのだから仕方ないといえば仕方ないだろう。まあ、さすがにテストの点数が悪かった事に争奪戦で勉強する時間がありませんでした。なんて言い訳が出来るワケでは無い。それが分っているからこそ、昇も琴未も今は一生懸命になって勉強しているのだが、改めて、そのような現実を叩き付けられると返す言葉も無い、というより、嫌味にしか聞こえない。と言った状態である。

 だからか、琴未はフレトに嫌味の視線を送るのだが、フレトの方は確実に無視を決め込んでいる。まあ、フレトから見れば琴未の嫌味なんて嫌味のうちに入らないのだろう。だからと言って、このままには出来ないとばかりに閃華が口を開いてきた。

「まあ、なんじゃな。確かに最近は戦いが多かったからのう。さすがに学業と争奪戦を平行して行うのは、ちと酷じゃろうが、これも自分達が決めた定めじゃと思って受け入れるしかないじゃろうて。争奪戦で忙しかった、という言い訳が通用するのは森尾先生だけじゃからのう」

「分ってるわよ。分ってるから、戦いが無い今のうちに勉強してるんじゃない」

「なら、あまり周りに当たらない事じゃな。そんな事をしても意味は無いしのう。今はやれる事をやるべきじゃろうな」

「…………分ってるわよ」

 そんな言葉を口にしてから、やっと起き上がる琴未。さすがに閃華に、そんな風に言われると琴未としても言葉が無いのだろう。それに閃華の言葉にも一理あると自分で自覚してしまったからこそ、余計に反論する事が出来ないのだ。

 だからか、琴未は咲耶が淹れてくれた紅茶を手にすると、ゆっくりと口にして心を落ち着けるのだった。更には甘いお茶菓子を口に入れて、脳を休ませるようにする琴未。そんな琴未がまったりと言い出した。

「まあ、この時期に騒ぎやら、戦いが無いのは助かったわよね~」

 琴未としては中間テストが迫って来ている時期に争奪戦で何の動きも無い事を素直に喜んだのだが、そんな琴未の喜びを壊すかのように与凪が横から口を出してきた。

「本当にそうだと良いんですけどね」

 そんな与凪の一言に琴未は疲れたように言い返すのだった。

「与凪、こんな時ぐらいは、ゆっくりさせてよね。さすがに、この時期に争奪戦をやるのは、いろいろと酷い事になるわ」

 琴未の言葉に与凪はモニターとキーボードを消すと、皆と同じく紅茶を口にして、お茶菓子を摘むと、琴未の言葉と気持ちを壊すような事を言って来た。

「まあ、敵さんはこっちの事まで配慮して動いてるワケじゃないですからね。という事で、どうやら、アッシュタリアで大きな動きがあったみたいです」

「ぶっ!」

「……そうか」

 与凪の言葉に昇は紅茶を噴出し、フレトはいよいよ来たかと言わんばかりの反応を示した。どうやらシエラの一件でフレトも確実にアッシュタリアを敵と見なした事は間違いが無いようだ。そして琴未はというと……現実逃避をするかのように再びテーブルに突っ伏すのだった。

 そんな、それぞれの反応が示していると、シエラが興味津々とばかりに口を開いてきた。まあ、シエラとしてもアッシュタリアの動向は気になるところだ。だから、少しでも情報があるのなら得ておきたい、と言ったところだろう。

「それで、大きな動きって? 詳細は分ってるの?」

 そんな質問を立て続けにするシエラ。そんなシエラの言葉を聞きながらも与凪はまったりと紅茶を口にしながら話を進めるのだった。

「それがですね。さすがに詳細までは掴めませんでした。さすがにアッシュタリアほどの大組織となると、情報は漏れるものの、肝心な部分までは簡単に掴めないんですよね。今のところで分かっているのは、アッシュタリアのお偉いさんが直々に、ある契約者の討伐命令を出した。という事だけですね」

「それって大きな動きなの?」

 復活した琴未が、そんな事を尋ねてきた。まあ、確かにアッシュタリアに動きがあった事は確かだろうが、与凪の言葉を聞く限りは、そんなに大きな動きとは思えない。と言ったところだろう。そんな琴未に与凪は大きな動きと言った理由を説明するのだった。

「ここで大事なのは、お偉いさんが直々に討伐命令を出したって事ですよね。さすがにアッシュタリアのトップに関しては未だに分かりませんが、そのトップが直々に討伐命令を出してきた、という所が大きな動きなのよ。組織のお偉いさんからの勅命となれば、下の人達は絶対に失敗は出来ませんからね。逆に言えば、そのお偉いさんが討伐命令を出した契約者を早いうちに排除したいと判断したんでしょうね。今までは、こうした勅命が無かったんですけど、今になって勅命が降りたって事は、そのお偉いさんは確実に、その契約者を排除しようと思ってるんでしょうね。だから、勅命を受けた下も確実に大きな戦力で動くのは確実。つまり、アッシュタリアは近々、大きな戦力を率いて、ある契約者を倒しに掛かるのは明白。今までは見せなかった大戦力が動くのは確実ですよ。だから大きな動きとも言えるんですよ」

「へ、へぇ~」

 勉強の所為で頭が疲れているのか、それとも長い与凪の説明を最初から理解する力が無かったのかは分からないが、琴未は気の抜けた返事をするだけで精一杯だった。まあ、さすがに、これだけ長い説明を一気に聞かされると、すぐに理解するのにも無理が生じるのだろうが、精霊達は屍となっているミリアを除いては全員が理解したみたいだし、フレトもしっかりと理解したようだ。

 その証拠に昇と琴未以外は与凪の言葉を聞いて考える仕草をしている。そんな状況に、昇は苦笑いを浮かべるしかなかった。さすがに勉強で疲れた頭をこれ以上は使いたくない、といった感じだ。

 すると、逸早く結論を出したのだろう。ラクトリーが口を開いてきた。

「そうなると、誰に討伐命令が下ったのかを早急に見極めるのが重要ですね。私達に関係が無ければ無視が出来ますけど……昇さんやマスターだとしたら、早い段階で対処法を考えないといけませんからね」

 その言葉に頷く精霊達。そう、ここで重要なのは誰に対して討伐命令が下ったか、なのだ。もし昇達に関連がある人物なら無視は出来ないし、昇達ならば戦いは避けられない。しかも、今度はアッシュタリアもかなりの戦力を投入してくるだろう。つまり、苦戦は避けられない。下手をしたら負けるという事だ。

 そのうえ、昇は海とシエラの一件でアッシュタリアと確実に敵対の位置に居た。それにフレトもシエラの一件では確実にアッシュタリアを敵に回した。つまり、二人ともアッシュタリアから睨まれてもおかしくは無いのだ。そんな状況だというのに、与凪は呑気に紅茶を口にしながらも重要な情報を口にしたのだ。

「こちらで掴んでいる情報によりますと、どうも討伐命令が下ったのは、日本に居るレア能力を持った契約者みたいですよ」

 与凪がそんな言葉を口にすると、視線が一気に昇へと集まる。そんな視線を受けて昇は思わず口を出してしまった。

「って! 僕ですか!」

 そんな昇の言葉に与凪以外の精霊が一斉に、そうだと言わんばかりの行動をそれぞれ取るのだった。そんな精霊達と同様にフレトも思いっきり溜息を付いてきた。そのような周りの反応に昇はついつい思ってしまう。

 って! 皆して僕だって言ってるよね! というか僕が何をした……とは言えないか。まあ、海での一件やら、シエラの一件で確実にアッシュタリアと敵対してるからね。だからアッシュタリアが僕を敵視するのは当然だとしても、こんな大きな動きを取るなんて思ってなかったんですけどっ! というか、何で与凪さんは、そんなに余裕なんですかっ!

 と昇が思っていると、自然と視線が与凪に向かい。与凪の方でも昇の視線に気付いたのだろう。だからこそ、肝心な事を説明するのだった。

「まあ、掴んでいる情報から言っても昇さんに討伐命令が下った可能性が大きいでしょうね。けど、ここには私が居ますからね。そこは安心して良いですよ」

「いや、確かに与凪さんは頼りになるけど……この状況で安心して良いと言われても」

 与凪の言葉を聞いて、思わず言い返す昇。まあ、昇の気持ちも分からなくは無い。確かに、この状況で与凪が居るから安心とは思えないのだろう。そもそも、与凪はバックアップが専門であり、戦闘では戦ったところは一度も見てはいないのだ。つまり、与凪が居るから安心と思うだけの根拠が無いと言えるだろう。

 そんな根底があり、昇はいつの間にか心配そうな顔になっていたのだろう。そんな昇を与凪は笑いながら言うのだった。

「大丈夫ですよ、滝下君。私が安心しても良いと言ったのは、今は情報戦が行われており、アッシュタリアも動けないって事ですから」

「えっと……それって、つまり」

「はい、今は水面下でお互いに情報を掴もうとしている状態ですね。つまり、今すぐにアッシュタリアが動く事は無いという事です。まあ、よっぽどのバカでも無い限りは、すぐに大きな戦力を率いて動いては来ないでしょうね。けど、本当に滝下君に討伐命令が下ったのならば……いつかはアッシュタリアとぶつかる事になります。そこは覚悟しておいてくださいね」

 なるほど、そういう事ですか。与凪の言葉を聞いて一安心するが、すぐに安心して良いのか、考えた方が良いのかを迷う昇。確かに今は情報戦が行われており、お互いに相手の事を掴もうとしている状態だ。だから相手の居場所を特定しても、相手の戦力や能力についても調べない限りは動いては来ないだろう。

 昇が、そう考えたのにも、しっかりとした理由がある。それは、アッシュタリアのトップから下された勅命という点である。つまり、実際に前線に出てくる者ならば、少しでも相手の情報を得て、それから確実に勝てるだけの戦力を揃えてから戦いを挑んでくるだろう。勅命だけに、相手も敗戦が許されない事を重々承知している。だからこそ、慎重になるのは当然だと言えるだろう。

 更に言えば与凪は情報戦に関しては、かなり長けていると言っても良いだろう。なにしろ、今まで与凪の情報で助かった事が多い。つまり情報戦となると与凪を相手にしなくてはいけない。だが与凪は霧の精霊、情報の隠蔽いんぺいは得意だし、かなりの情報網があるのも確かだ。つまり、情報戦では、そう簡単に与凪に勝つ事は出来ない。それは昇達の情報を、そう簡単には手に出来ないという事を示していた。

 だから今のところは余裕でいられるのだろう。なにしろ、与凪ならば相手がこちらの情報を手に入れようとしている情報すらも手に入れているはずだ。そんな状況で与凪が何もしないワケが無い。逆に相手を混乱させるために偽情報を流したり、偽りの情報をあえて渡したりしているだろう。つまり情報戦をしている限りは与凪の手で踊っている状態だ。与凪にも、それが分っているからこそ余裕でいられるのだろう。

 だが、与凪が言ったとおりに本当に討伐命令が昇に対して出ていたのなら、昇達も覚悟をしておかねばならなかった。なにしろ、アッシュタリアが昇達に対して動き出したとなれば、昇達は確実に苦戦するのは必至。相手の戦力次第では簡単に潰されてしまうだろう。だからこそ、与凪は最後に覚悟だけはしておいてくれと付け加えたのだ。昇も、その意味が分かったからこそ与凪に対して質問を口にするのだ。

「なら仮定として聞きますけど、もし僕が狙われているとしたら、相手が本格的に動き出すとしたら、どれぐらい時間を稼げます?」

 そんな昇の質問に与凪は考える仕草をすると、すぐに計算が終わったのだろう。昇に向かって返答した。

「数週間が限界ですね。こちらとしても相手の力が分かってませんからね。もしかしたら、すぐに動き出して一当てしてもおかしくは無いです。けど、今のところは、そのような情報は入ってきてませんから、相手も慎重になっているのは確実ですね。だから、すぐに大戦力を投入なんて事はしないでしょうね。何にしても、相手がこちらの戦力を完全に把握するのは無理だという事は私が保証します。それに戦力を集めるのにも時間が掛かりますからね。だから、いつかは相手もこちらの戦力を計るために一当てして来るか、それとも一気呵成に最大戦力で動くか、その二つですね」

「なら、本当に僕だとしても、すぐに大きく動く事は無いんですね」

 与凪の言葉に少しだけ安心する昇。だが、そんな昇の安心を壊すかのように閃華が口を開いてきた。

「じゃが昇よ。討伐命令が昇じゃったら、いつかはこちらに向かって大戦力を送ってくるのは必定じゃぞ。今は良いじゃろうが、いつかは強大な敵に対する対抗策を考えねばならんのじゃぞ」

「そっか……そうだよね」

 閃華の言葉に自分が甘かった事を感じる昇。確かにアッシュタリアは、すぐに大戦力で攻めて来る事は無いだろう。だが、討伐命令が昇に対したものだという可能性が大きいからには、対抗策を考えなければいけない。なにしろ、本当に想定した通りなら、近いうちにアッシュタリアの大戦力と事を構えるのは必至。だから対抗策を早めに考える事にこした事はないのだが、今は目の前に中間テストという敵が迫っている。だからこそ、今はその敵を撃破してから、次を考えるべきだと昇は割り切る事にした。

 まあ、だからと言って、アッシュタリアの方も無視が出来ないのは確かだ。だからこそ、昇は思った事を口にする。

「けど、いつかは僕達もアッシュタリアとぶつかる事は前々から決めてた事だ。その時が来たと思えば、なんて事はないと思う。だから僕達は、この戦いを避ける事は出来ない。正直に言えば、もう少しだけ準備期間が欲しかったけど、事がここまで進んでいるのなら仕方ないよ。なら、今の僕達に出来る事を出来るだけするだけだ」

「時期的にタイミングは悪いが、覚悟だけは出来ている、そんな感じに聞こえるな」

 フレトの言葉に頷く昇。どうやらフレトの言葉が昇の真意を射抜いていた事は確かみたいだ。だが、フレトの言ったとおりに今は中間テストが迫っているからタイミングが悪い。だから今は問題を先送りにするしか出来ない。とも昇の言葉を聞いていれば、そんな解釈も出来る。

 けれども昇は、この問題を先送りにして良いと思っていた。確かに与凪が手に入れた情報だけに信憑性は高い。だが、与凪の余裕に満ちた態度が示している。そう、未だに確定された情報が何一つとして無いのだ。つまり、現段階では可能性の話であり、本当にアッシュタリアが大戦力を率いて倒しに掛かって来ると決まったワケではないのだ。

 だが、可能性が高いからには、予想の範囲内に入れておいた方が良いだろう。つまり、与凪が言いたいのは、そこなのだ。アッシュタリアに動きがあり、それが昇を狙ったものだった場合も考えておかないという事だ。昇も、それが分かったからこそ、問題を先送りにして中間テストを優先させたのだ。だが、やるべき事はやっておかないと、と思ったのだろう。昇は与凪に向かって質問してきた。

「与凪さん、アッシュタリアの規模から言っても僕達以外にも敵対する人達が居ると思うんだけど、その人達と連絡が取れたりしないかな?」

「なるほどのう。敵が同じなら手を取れるかもしれん、そういう事じゃな。じゃが、敵の敵が味方になるとは限らんじゃろ」

 昇の言葉から意図を悟った閃華が言葉を返してくる。確かに昇が考えたのは、その通りだったのだ。つまり、アッシュタリアが戦力を集めて、こちらに向かって来るのなら、こちらも対抗が出来るだけの戦力を揃えれば良い。つまり、アッシュタリアに対抗する人達を集めれば良い、という事を考え付いたのだ。だが、自分が考える事は人も考える事とは良く言ったものだと、与凪は意地悪な笑みを浮かべながら言うのだった。

「残念だけど、今から、戦力を揃えて、組織だってアッシュタリアに抵抗するのは無理ですよ」

「そうですか……」

「えぇ、だって……既に、そんな組織がありますから」

「……へぇ?」

 与凪の言葉に間の抜けた言葉を返す昇。まあ、与凪としては予想通りの返答で面白かったのだろう、今では少し笑っている。けど、昇は疲れた頭を稼動させながら与凪の言った言葉を理解しようとするのだ。そんな昇が思考を巡らす。

 えっと……つまり、与凪さんが言うには、既にアッシュタリアに対抗する人達が、誰かを中心にして集っており、既に組織化されてるって事なのかな。つまり、現段階でアッシュタリアに対抗する組織がある。そう考えれば、後は交渉次第で味方に引き入れる事も出来るか。まあ、何をするにしても、まずは、その組織とコンタクトを取らないとだよね。

 そんな結論を出した昇が与凪との話を続ける。

「なら与凪さん、その組織の人と連絡が取れないですかね。出来るだけ上の人と、交渉にまで持って行けば、後は何とか協力だけでも得られれば楽になるんだけど」

 そんな昇の言葉に今度は少し困ったような仕草をする与凪。どうやら、昇が言った事を実行するには少し困難があるようだ。けど、何かしらの手があるのだから、与凪は、それを話すのだった。

「実はですね。私の古い友人が、その組織に居るんですよね。だから連絡を付ける事は簡単なんですけど、こっちの思惑通りに動いてくれるかは分かりませんね。なにしろ、私達もアッシュタリアとは敵対していても、その組織の味方と決まったワケでは無いですし、あっちも味方とは見てくれませんからね。その証拠に、私は組織の存在は知っていても詳細は知らないんですよ。というか、名称すらも知りません」

「それって、何も分かってないのと同じ」

 与凪の言葉にシエラが容赦の無いツッコミを入れるが、与凪は、その事を自覚していたし、相手の立場も理解していた。だからこそ、こんな状況になっている事も分っていた。だからシエラのツッコミを受けても平然として話を続けるのだった。

「まあ、友人と言っても、今回の争奪戦で味方と決まったワケじゃないですからね。だから情報に関してはギブアンドテイクなんですよ。つまり、こちらの事を知りたければ、そちらの事も話せって事ですね」

「だが、それもマズイだろう。なにしろ、こっちは精霊王の力という爆弾を抱えているようなものだ。それが知られれば、味方になる者も敵になるだろう」

 フレトの言葉にその通りと言わんばかりに頷く与凪。そう、昇達は以前の戦いで流れ出た精霊王の力を管理している。逆に言えば、精霊王の力を戦闘に使えば、アッシュタリアだろうが殲滅する事は簡単なのだ。だが、そんな事をすれば精霊王の力を管理している事が知れ渡り、昇達は精霊王の力を守るために戦わないといけない。

 現時点で、精霊王の力をセリスの治療に使っているフレトにとっては、そんな状態は何としても避けたい事だし、昇としても精霊王の力を管理しているという事実を隠しておきたい。あれほどの大きな力を自分達で使う気にはなれないし、使えば様々な組織を敵にする事と同じだ。昇とフレトに、そうした共通な考えがあるからこそ、今は二人とも手を組んでいると言えるだろう。

 つまり昇達の情報、特に精霊王の力に関しては秘中の秘にしておかないといけない。そのためには、なるべく自分達の情報を流さない、というのがベストである。なのだが、今回の事で協力を得たいのなら、相手も昇達の情報を流せと言ってくるのは必定。精霊王の力を必ず隠すとしても、昇達の情報から精霊王の力についての情報に辿り着いてしまっては意味が無い。

 つまり精霊王の力に関する情報について知られてしまっては、昇達の状況は今以上に悪くなるだろう。正しく、フレトが言ったとおりに現段階では精霊王の力が爆弾となっている。昇達は、その爆弾を隠しておかないといけないし、知られたら必ず、どこかの組織がその爆弾を使おうと戦いを仕掛けてくるのは目に見えている。だからこそ、与凪も昇達の情報を極力を尽くして流さないようにしていたのだ。

 それが現時点での、昇達が置かれている状況である。昇は自分の置かれた立場を考えながらも思考を巡らす。

 確かに、僕達の情報を流すのは危険が大きい。別に僕達の戦力や能力については、知られても仕方ないと言えるけど。精霊王の力に関する事は確実に隠しておかないといけないんだよね。なにしろあれだけの力だし、今ではセリスの治療に使ってるし、その存在を知られたら、確実に敵になる人が出てくるのは決まってるからね。なら……巻き込むってのも手かもしれない。

 そんな事を考え付いた昇が与凪との会話を再開させる。

「とにかく、引っ張り出すって事は出来ないのかな?」

「引っ張り出す? というと?」

 昇の言葉に珍しく喰い付いてくる与凪。まあ、単純に昇の言葉が理解し難い、もしくは意図が分からない、という理由かもしれない。だからこそ、昇はなるべく言葉を砕いて話を進めるのだった。

「えっと、つまり、話し合いって名目で相手の数人をこっちによこして、その時点でアッシュタリアとの戦端を開く。そうなれば、その組織の人達も戦わないとでしょ。なにしろ、アッシュタリアに対抗してる組織なんだから。そのアッシュタリアを目の前にして逃げるとは考え辛い。その状況に持って行けば、情報のやり取りをしなくても戦力だけは何とかなるんじゃないかな?」

 昇がそんな説明をすると別方向から鋭い言葉が昇に突き刺さってきた。

「昇にしては珍しく悪辣な考え」

「ある意味では卑怯じゃな」

「すっかり悪者染みてるぞ、滝下昇」

 えっ! そっちからツッコミが来るんですかっ! しかも悪口に聞こえるんですけどっ!

 シエラ、閃華、そしてフレトと立て続けに、そのようなツッコミを受けた昇が口には出さないが心の中ではツッコミ対するリアクションを示していた。まあ、昇も分っているのだ、自分が考えた事が悪辣だという事に。だからこそ、反論する事無く、黙ってうな垂れるのだった。

 そんな中で一人だけ、昇の提案を真剣に考えている者が居た。それが与凪だったのは意外だが、与凪は昇が示した提案について幾つかの問題点を示してきた。

「確かに魅力的な提案ですけど、幾つかクリアしないといけない問題がありますね。まずは、タイミングですね。アッシュタリアの動きに合わせて、そちらを呼び寄せないといけないのですから、そこで同調が取れないと意味は成しません」

「いや、魅力的って」

 フレトが思わず、そんなツッコミを入れるが与凪は無視して話を続ける。

「次に質ですね。組織ですから、私みたいに情報専門が居るでしょうから、そんな契約者や精霊を巻き込んだところで戦力にはなりません。最後には事後問題でしょうね。話し合いの場にアッシュタリアとの戦端を開くのですから、その責任がどちらにあるのかでもめるでしょうね。もちろん、私達にありますけど、それを認めてしまっては一方的に責任に対する対価を求められますからね。だから私達も責任を認めるワケにはいきません。つまり、その提案を行った後は、その組織とは協力が出来ないという前提を立てなければいけません。それらを考えると、かなりリスクが大きく、事後処理も大変でしょうね。まあ、一時しのぎなら問題ありませんけど、後々になって敵になられても困りますから、得策とは言えないでしょうね」

「まあ、言われてみれば、その通りかもしれないね」

 与凪にもバッサリと斬られた昇が更にうな垂れながら、そんな言葉を吐く。まあ、これは昇らしくないと昇自身が思っている事だし、与凪が示した問題点から言っても、良い提案とは捉え辛い。そんな昇の前にシエラが甘いお茶菓子を差し出して言うのだった。

「今の時点で考えても、昇らしくない事を考えるだけ。だから今は頭を休めるために甘い物を取って、テストを終えてから考えた方が良いと思う」

「あ~、やっぱり、そうなのかな」

 シエラの言葉に同意する言葉を出して甘いお茶菓子を口にする昇。まあ、昇もテスト勉強で頭が疲れている状態だし、そんな状態の頭で考えても、昇らしくない事を思い付くだけであり、決して良い結果はもたらさないだろう。シエラには、それが分っているからこそ、今は、その問題について考えなくても良いと言って来たのだ。

 まあ、昇も、この問題を先送りにしようとしていたのだから、ここで無理をして考える必要は無いのだ。シエラにも昇が心の中では、この問題を先送りにしようとしていたと見抜いたからこそ、そんな言葉を掛けてきたのだ。つまり、誰かに自分の考えを肯定してもらえる事で、自分の考えが間違って無いと自覚が出来るからだ。

 そして、それが分っているのはシエラだけでは無いのだろう。隣で紅茶の入ったカップを手に取りながら遠くを見ている琴未が呟くように言うのだった。

「確かに昇らしくない考えよね。頭が疲れてる証拠でしょうね。まあ、私も人の事は言えないけど、今は何も考えたくない気分だわ。それに、何一つとして確定した情報が無いんだから、今は予防線だけを張っておけば良いと思うわよ」

 琴未がそんな事を呟くと一気に静寂がその場を支配した。そんな状況に琴未がやっと自分を取り戻したのだろう。琴未はカップを置くと、不思議そうに皆を見回しながら言うのだった。

「えっ、何? 私何か変な事を言った?」

「いや、変な事というワケじゃないのじゃがな」

 閃華にしては珍しく言葉を濁す。まあ、閃華が言葉を濁した意味が分かるとばかりに昇を始め、皆が閃華に同意するように頷いて言葉にはしないのだが、やはり言葉にする精霊が琴未に言葉の槍を突き刺す。

「琴未にしては珍しく、まともな意見で皆が言葉を失ってるだけ。頭の使い過ぎで頭が変になっているとも言える。何にしても、琴未が、そんなにまともな意見を言うだけで変」

「って! それってどういう意味よっ! まるで普段の私がバカだと言っているようなものじゃないっ!」

「じゃあ、大バカに昇格してあげる」

「あっ、ありがとう。って、言うか! シエラっ! あんたね、こんな疲れてる時にまで怒らせる事を言うんじゃないわよっ!」

「勝手に琴未が怒ってるだけ」

「シエラが怒らせる言葉を口にしてるからでしょ!」

 そのまま視線に火花を散らすシエラと琴未。まあ、このやり取りはいつもの事なので、与凪やフレトは軽く無視していた。そして、昇はというと、やっぱり巻き込まれないように、既に閃華の後ろに避難して、紅茶を口にて現実逃避に走るのだった。

 と、まあ、このままなら前のように二人が戦闘行為に走っても不思議ではないのだが、さすがに勉強疲れが出ているのだろう。琴未は立ち上がったものの、そのまま鼻を鳴らして、元の席に座るのだった。さすがに頭が疲れている状態で、これ以上疲れる事はしたくないのだろう。

 そして、シエラもすんなりと退いて、自らの席に戻るのだった。まあ、二人とも、最近になって慎み、というものを覚えたようで、最近では戦闘行為に走る回数が激減している。まあ、その代わりに一触即発は前よりも多くなっているのだが、お互いに退く事で事態が収拾するケースが多くなっているのだ。

 まあ、二人とも強引な手ではなく、女らしい一面で昇を落とそうと考えを変えたようだ。なにしろ、今までは強引な手が多くて、遂には昇が逃げ出したぐらいだ。だからこそ、二人とも昇を篭絡するために、最近では誘惑が多くなっている。まあ、それだけ穏便な事には変わり無いのだが、昇は自分の理性と戦う事が多くなって、かなり面倒な事になっている。

 だが、元凶が自分の優柔不断だという事を昇も自覚しているために、今では何も言えなくなっている。まあ、昇としては自分を巻き込んだ戦闘にならないだけでもマシになったと言えるだろう。まあ……状況は相変わらず変わってないが、少しだけ変化が見られたのは事実である。

 と、まあ、二人の変化に対しては、この辺にして、昇は出来るだけの事はしておこうと与凪に話し掛けるのだった。

「えっと、とにかく与凪さん、これからも情報収集をお願いするとして、確定情報を得たら話してくださいね。それから、念のために、アッシュタリアと対抗する組織との連携も高めておきたいから、連絡だけは出来るようにしといてください」

 昇のそんな言葉に与凪はお気楽な返事をする。

「はいはい、分ってますよ。まあ、確定情報を得たら報告しますし、私も状況によっては古い友人と会って話そうと思っていましたから。そろそろ、いろいろと動き出す時期になったのかもしれませんね」

 そう言って再び紅茶を口にする与凪。まあ、与凪としては深い意味があって出した言葉では無いのだろうけど、昇には、その言葉がこれからの事を告げているように思えた。だからこそ、その言葉について考えてみる。

 いろいろと動き出す時期か……その通りかもしれない。僕達も争奪戦に参戦しているからには、いつまでも平穏無事というワケにはいかない。それに……アッシュタリアについても放っておく事は出来ない。なら、僕達もそろそろ動き出すべきなのかな。でも……どこに向かって行けば良いんだろう?

 様々な思惑と動きを見せ始めた、今日この頃。昇は未だに自分が進むべき道を見出せないでいた。それは、昇が、この楽しい時間がいつまでも続くと思っていた、いや、いたいという想いもあったからだろう。けど、昇は自覚しなければいけないと自らに言い聞かせるのだった。

 そろそろ、歩むべき道を決めなければいけない、と……。






 はい、そんな訳で、やっと出てきた昇達ですけど……大変そうですね~。まあ、学生であるからには、テストという壁からは逃げられないのですよ。という事で昇達は現在においては勉学に励んでおります。

 と、まあ、昇達はこんな感じで動き出してます。という感じかな~。

 そんな訳で……まったく動く気がしな~い、というか、何もやりたくないっ!! なんかね、身体が重いの、身体がっ!!!! だからお布団という楽園に逃げ込みたいですっ!!!!

 ……はい、久しぶりに脈絡の無い事を叫んでみました。当然、意味は無いです。というかね、昨日はかなり文章と向き合ってたからね。書いた総量だとエレメの二話ぐらいの量を書いたかもしれない。まあ、私のブログを読んでくれてる方は分かると思いますけど、現在は投稿用の小説と平行してエレメを書いてる状態です。

 まあ、書いている時より死んでる時間の方が長いんだけどね~。なんつ~か……疲れが取れないのよ。いやね、歳を取るって、すっかり疲れが取れなくなったわ……って! どこのおばちゃんだっ!!!!

 ……と、一人ツッコミをしたところで、ここで書くべき事も思いつかない状態ですから、今回はこの辺で締めようかと思います。

 ではでは、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。更に、評価感想もお待ちしております。

 以上、若い頃から白髪が多かったけど、最近は目立つようになってきたな……まだ若い、いや、微妙な年齢だと言うのにね~。と、そろそろ白髪染めに頼らないといけないのかな? と疑問に思っている葵夢幻でした。

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