第百五十話 動き出した巨大な力
そこは、そう、まるで中世ヨーロッパの城みたいな内装をした場所だった。豪邸と言っても良いだろうが、規模が大きさが豪邸よりも大きく、正に城と呼ぶ方が適した所だとも言えるだろう。そして、その建物はこう呼ばれている、エイムハイマー、と。
そんなエイムハイマーの中にある一室。そこへの扉はとても大きくて高い。高さは優に三メートルはあるだろう。そんな扉が閉まるまで、中に向かって頭を下げていた人物が、扉が閉まるのと同時に頭を上げて疲れたように溜息を付くのだった。
そんな時だった、部屋から出て来た人物に近づく人影。そして、その人、いや、精霊は楽しそうな笑みを浮かべて、部屋から出て来た人物に声を掛けるのだった。
「お疲れのようですね、アンブル=リックネット」
そう、部屋から出てきたのは、シエラの一件でフレトが戦ったアンブルだった。そして、このエイムハイマーこそが、アッシュタリアの本拠地であり、先程までアンブルが居た部屋こそ、アッシュタリアの総帥が居る場所でもあったのだ。そして、アンブルは声を掛けてきた精霊に対して冷やかな視線を送りながら、その精霊の名を呼びながら答える。
「確かにな、だが、お前に心配される理由などはないぞ、エルク。それに、普段では研究室にこもっているお前が私に何の用だ」
アンブルに声を掛けてきた精霊。それが、夏休みに昇達が海で戦ったエルクだったのだ。そのエルクが、先程と変わらずに楽しげな笑みを浮かべながらアンブルとの会話を続けるのだった。
「いえいえ、あなたが帰ってきたと聞きまして」
そんなエルクの言葉にアンブルは言葉の中に含まれている意味をしっかりと汲み取って、その意図を察してからエルクに言葉を返す。
「私がカイザーに報告した事か。確かに、あそこに居た少年はレア能力の持ち主だった。お前が興味を抱いても不思議ではないのだが……随分と耳が早いな。それに、お前は、あの少年が持っていた能力について知ってそうだな。まるで、それを確かめるために、カイザーへの報告が終わるのを待っていたとしか思えない」
少し皮肉を込めてアンブルは言葉を口にしたのだが、エルクはまったく気にする事無く、表情も変えないままに話を続ける。
「まあ、否定はしませんが、肯定もしません。我らがアッシュタリアが総帥、カイザーなら全て分っている事でしょう。そんなカイザーよりも早く、あなたの話を聞く訳にはいきませんからね。それに、カイザーに報告した事なら私に聞かせても問題は無いでしょう」
「狂者が何を言う。カイザーの名を出せば、私が素直に全てをお前に話すと思っているのか。お前に話す事は何も無い、全てはカイザーが決める事だ」
「狂者とは心外ですね。私は自分がそこまで狂っているとは思いませんが」
「狂っている事は認めるんだな」
「えぇ、客観的に見る事で見える事実を探求するのも科学者ですから」
「マッドサイエンティストが、狂者らしい言葉だな。何にしても、全てはカイザーが裁定を下す事だ。お前に話しても何かが変わるわけではない。全ては、アッシュタリア総帥であるカイザーが決める事だ」
「なら、ジーク・カイザーとでも喜んでおきましょうか」
エルクの言葉を聞いてアンブルは思いっきり睨み付ける。まあ、それも仕方ないだろう。なにしろ、アンブルはローシェンナの勧誘と戦力増強が使命だったのだが、昇達の介入で任務を失敗したと言えるのだ。けれどもアンブルは任務の失敗よりも、狂者とも言えるエルクにバカにされたような言動を吐かれた事に怒りを覚えたみたいだから、アンブルとしては睨みつけても当然だろう。
だが、ここはカイザーが謁見をする部屋の前である。アンブルはここでの揉め事は避けたいし、それはエルクも同じだろう。それでも、エルクはアンブルをバカにする、もしくは挑発的な言動をしたのだ。そんな行動を取るからこそ、エルクは狂者と言えるし、アンブルもエルクという狂者を前にして、まともに付き合う必要も無いと自分自身を無理矢理に納得させて、怒りを収めたのだ。
それに、ここで騒ぎを起こせば確実にカイザーの怒りを買う事は確かだ。それはつまり、アッシュタリアからの制裁が待っていると言えるだろう。それこそが、アッシュタリアの総帥であるカイザーのやり方なのだ。
そしてカイザーと先程から二人が口にしている名称だが、それがアッシュタリア総帥の呼称であり、アッシュタリアの頂点に立つ契約者である。なのだが、アッシュタリアに属する者は総帥をカイザーと呼ぶ事は知ってはいるが、本名や能力については契約した精霊と一部の側近しか知らない。更には、ここで呼ばれているカイザーとは皇帝を意味しており、アッシュタリアの頂点に立っているからにはアッシュタリアの皇帝とも言えるだろうが、カイザーという言葉が意味してる本当の事はアンブル達も知らないのだ。
それでも、カイザーの力でアッシュタリアがここまで大きくなったのも事実である。それにエルクと契約を交わした契約者から見れば、研究に充分な設備と経費を出してくれるからこそ、アッシュタリアに属しているワケである。だからこそ、エルクの契約者はほとんど研究室にこもっている。外で情報を集めてくるのはエルクの役目なのだ。
そんな二人の狂者についてはアッシュタリアに属している者ならば、誰でも知っているほど有名であり、エルクが使った機動ガーディアンなどは、エルクの契約者が大半を設計したのだ。そんな功績を収めているエルクと、その契約者だからこそ、今でも研究室で研究に没頭が出来ているというわけだ。
それなのに、今ではエルクがわざわざアンブルを待っていたのだ。そこには、何かしらの意図があると思って良いだろう。その事はアンブルにも簡単に察しが付いたし、エルクの目的も大体は想像が付いた。それが……昇の能力であるエレメンタルアップである。
精霊が持っている本来の力よりも限界を突破して強大な力を与える事が出来るエレメンタルアップ。その能力は知っているものの、能力についての情報はほとんど無いと言えるだろう。だが、アンブルは昇達の戦いで、昇がエレメンタルアップを使える事を知っている。そして、エルクも、その事を知っているとアンブルは察したのだ。だからこそ、より多くの情報を得ようと、エルクはアンブルの前に姿を現した。アンブルは、そんな推測を立てていた。
その推測は間違ってはいないだろう。なにしろ、エルクと、その契約者についてはアッシュタリア内だけでも名を馳せている。だからこそ、一時期の噂としてエルクがエレメンタルアップを使う契約者を発見したという噂が流れたが、エルクは、その事をカイザーに報告していないのか、もしくは、カイザーの命で口には出さないのか。どちらにしても、エルクがエレメンタルアップについて興味を抱いている事はアンブルも知ってしたし、エルクも別段に、その事を隠そうとはしていないが、自ら進んで口には出さないのも確かだ。
そこまでの推測を立てる事が出来たからこそ、アンブルはエルクに冷やかな視線を送りながら言うのだった。
「何にしても、お前に話す事は何も無い。私とて実際にエレメンタルアップを使う少年と剣を交えたワケではない。確かに目にはしたが、あれが本来と力とは思えない。それに、私が戦ったのはエレメンタルアップを使う少年と同年代だと思われる少年だ。こちらは、風のシューターだが、戦い方に工夫しており、複数の属性を使ってきていたな。それに、その少年は完全契約を交わした精霊を連れてました」
「ほう、そちらはそちらで興味深いですね。相手が完全契約とはいえ、あなたを完璧に退けたのですからね」
そんなエルクの言葉にアンブルは再びエルクを睨みつけようとしたが止めた。なにしろ話をしている相手は狂者とも言えるエルクである。そんなエルクとまともに話すだけで疲れるというものだろう。そうやって考えを割り切る事でアンブルは冷静にエルクとの会話を続けるのだった。
「まあ、私が退却したのは事実だからな、そこは何を言っても言い訳にしかならないだろう。だが、私の使命は勧誘だった。その勧誘相手が目の前で倒されてしまったのだ。私としては、その時点で戦う理由が無くなった。だから退いたまでの事だ」
「確かに、あなたの役目は勧誘でしたからね。なら、本来の戦力を有していたのなら、その少年にも勝ててたと?」
「無論だ。数の差では私の方が劣っていた。だが、私は完全契約の少年と互角に戦った。それだけでも、私の強さと本来なら持ち合わせている戦力があれば勝てると言っても過言では無い。まあ、私としても勧誘だけだからと最低限の戦力しか連れて行かなかった事は失態と言えるだろうな。あそこまでの戦いを想定していなかったのは私の落ち度だ。そこは認めてやろう」
「戦略的に失敗したと、そういう事ですか?」
「まあ、そういう事だ。これだけ話せば満足だろう、私はそろそろ行くぞ」
アンブルは自分の失態を認め、それをエルクに話す事で、さっさと会話を切り上げたかったのだろう。だからこそ、このような話をしたのだ。それからエルクに返事をさせないために、すぐに歩き出すのだが、エルクはしつこくアンブルの横を歩きながら話を続けるのだった。
「まあ、そう邪険にしないでください。あなたなら、私が一番聞きたい事を話してくれると思っていたから、こうして待っていたのですから」
「そうか、なら残念だったな」
「おやっ?」
歩きながらも意地の悪い笑みを浮かべるアンブル。先程も説明したようにエルクの目的はアンブルにも分っている。分かった上でエルクの目的が達成できない事を知っているからこそ、アンブルは笑みに意地の悪さを乗せたのだ。そんなアンブルの表情を見て、エルクも何かあったと悟ったのだろう。だからこそ、しつこくアンブルの横を一緒に歩いて付いていくのだ。
そんなエルクにアンブルは先程、カイザーから聞いた事をエルクに話すのだった。
「カイザーは、そのエレメンタルアップを使う少年に危険性を感じたみたいだ。だからこそ、カイザーはアッシュタリアの日本支部に、エレメンタルアップを使う少年の討伐命令を既に下した。つまり、お前の出番は無いという事だ。もっとも、誰かの所為で少年はアッシュタリアに敵対心を持ったみたいだからな。カイザーも、その点を承知しているみたいで、味方に付かないのなら早めに争奪戦から退場させた方が良いと決定を下したのだ」
「おやおや、これは、随分と厄介な事をしてくれた人も居たものですね」
「狂者が何を言う」
「さあ、何の事だか、私にはまったく分かりませんね」
エルクが表情を崩さないままに、そんな事を言うとアンブルは鼻で笑うのだった。あくまでも道化に徹するエルクを笑ったとも言えるだろう。その根拠として、先程も上げた噂がエルクを道化にしていると思われる。それに一番最初に昇達と接触したのはエルクだと、そんな推測を立てる事はアンブルでなくても、アッシュタリアの幹部クラスなら簡単に察しが付く事だ。
それでも道化に徹してるエルクだからこそ、アンブルはバカにしたように鼻で笑ったに過ぎない。だが、そんな態度を取られて気分を変えるほどエルクは正常ではない。むしろ、アッシュタリアが本腰を入れてきた事に対して、エルクは更なる興味を抱いているようだった。そんな歪んだ興味を持っているからこそ、エルクは狂者と言われるのだろう。
現にカイザーが昇に対して討伐命令を出した事に対して、正常な心を持っているのなら、討伐命令が自分に下りて来なかった事に不満を抱くだろう。なにしろ、最初に昇達とエレメンタルアップに興味を示したのはエルクである。だからこそ、自分こそが昇達の討伐におもむくべきだと思うだろう。
だが、エルクの興味は既に他のところに移っていた。それは、昇達がアッシュタリアの日本支部を相手に、どこまで戦えるか。そこに興味が移っていた事がエルクを狂者と言わしめる原因となっているだろう。
もちろん、エルクはエルクなりの理由があるからこそ、カイザーが下した命令に不満を抱く事無く、興味が移り変わっていたのだ。なにしろ、昇はまだ少年と言える年齢だ。エルクから見れば、経験次第で、これから大いに成長する事は間違い無いと思ったようだ。そんな昇に対して、絶対不利と言える状況。アッシュタリアが本格的に昇達を潰そうとしているのだ。エルクとしては、その修羅場で更なる成長をする昇に興味を抱いたようだ。
つまり、エルクの興味はエレメンタルアップという能力から、エレメンタルアップを使う昇へと興味が移り変わっていたのだ。それだけ、エルクから見ても、昇はまだまだ伸び代が有ると思えたのだろう。だからこそ、エルクはカイザーの命令に不満を抱く事無く、今後の展開に期待するのだった。
そんなエルクが楽しそうにアンブルの横を歩きながら言うのだった。
「遂にカイザーも本腰を入れた……とまで行きませんが、いよいよ動き出したみたいですね。確かにエレメンタルアップの能力は脅威と言えるでしょう。けど、それを使う少年はまだまだ未熟ですが、未熟だからこそ、伸びる時は伸びると言えますね」
そんな事を言って来たエルクに対してアンブルは溜息を付いてからいうのだった。
「随分と、あの少年の事をかっているようだな。日本支部では、あの少年を倒せないとでも思っているようだな」
「いえいえ、そこまでは思ってませんよ。けど……」
「けど、何だ?」
「あの少年は面白いですからね。何をしてくるのかが、今から楽しみなだけですよ」
そんなエルクの答えを聞いて再び溜息を付くアンブル。そんなアンブルが既に諦めているが、呆れた視線をエルクに向けながら言うのだった。
「随分と気楽だな。カイザーが討伐命令を下したという事は、あのレジスタンスと手を組む可能性があると考えての事だろう」
「あぁ~、あの……クレ、なんとかいう組織ですか」
「そうだ、あれは私達だけに対抗するために作られた組織だからな。それに、カイザーの意思と力とはいえ、少々強引な手段を使っているわけだから、私達に恨みを持つ者も多いだろう。そんな連中が手を組んだのが、それだ。そこにエレメンタルアップを使う少年が加わるとなると、こちらとしても本腰を入れて対処しなくてはいけない。そうなると、かなり厄介だ。カイザーは、そこまで考えてのご決断なのだろう」
「私としては、それはそれで楽しいと思うのですけどね」
「狂者め、まあ、そんな狂者の言葉に耳を向けるカイザーでは無いだろうがな。なんにしても、私達にとって脅威になりうる存在は早めに退場させた方が都合が良い。狂者の享楽に付き合うほどにカイザーも気楽に考えてはいないだろう。だからこそ、日本支部を動かしたのだ」
アンブルが、そんな事を言うと今回は初めて表情を変えてきたエルクが少し考えるような仕草と表情で言うのだった。
「けど……日本支部はあれが多いですからね。その力は認めますけど、力だけで勝てる相手ではないと思うんですけどね」
そんなエルクの言葉にアンブルも眉を動かして、少しだけ同意する言葉を口にするのだった。
「まあ、確かに……日本支部だからな。お前の言っている事も分からなくはない。だが、あいつの破壊力はどんな戦略でも破壊するほどだろうな。そんな力を持っているからこそ、あいつが日本支部を取り仕切っているんだ」
「とは言っても、実権を握っているのは明らかにナンバー2の方ですからね。彼女なら、そんな失態はしないでしょうけど。トップが……あれですからね」
「まあ、な。だが、その二番手がトップの手綱を持っていると言っても良いんだ。だから、下手な失敗はしないだろう」
「けど、あの方ですからね。最終的には手綱を食いちぎってしまいそうですね」
「……エルク」
「何でしょう?」
「お前は最終的には、どっちの味方なんだ」
いい加減にうんざりとしているアンブルが呆れているのか、怒っているのか、どっちとも分からない表情で、そんな質問をエルクにぶつける。そして、質問をぶつけられたエルクは笑みを浮かべて、片手を振りながら、気楽に答えるのである。
「アッシュタリアに属しているのですから、カイザーの味方に決まってるじゃないですか。私は科学者として客観的な視線で意見を言っただけですよ」
エルクがそんな風に答えると、アンブルは明らかに嫌気が刺した仕草をして、エルクを追い払うかのように手を動かしながら言うのだった。
「分かった、分かった。まあ、お前が変なのは最初からだからな。まともな会話をしようとした私が悪かった。だから、付いて来ないでくれ」
「あははっ、酷い言い草ですね。けど否定はしませんよ、それぐらいは自覚してますから。それに、これ以上は帰ってきたばかりのアンブルが本気で私を排除しようとしてしまいそうですからね。私としても、それは本意では無いので、お望み通りに、ここで終わりにしましょう」
「なら、私は行かせてもらうぞ」
「はいはい、貴重な話が出来てよかったですよ」
「……狂者め」
最後に嫌味だけを残して歩いていくアンブル。そんなアンブルをエルクは立ち止まって、笑みを浮かべながら、手を振って見送るのだった。そして、アンブルの姿が見えなくなると、エルクは今まで見せなかった、怪しげな笑みを浮かべると独り言を呟く。
「遂にカイザーが動き出してしまいましたか。私としては時期尚早になりますね。あの少年には更なる経験を積ませて、成長してからアッシュタリアと激突して欲しかったのですが……こんな事なら、裏から手を回して、あの少年に手を出しておくべきでしたね。けど、カイザーの決定なら仕方ありませんね。それに……まあ、面白いのも確かですからね。さて、この窮地をエレメンタルアップの少年が乗り越えたのなら、それは更なる成長に繋がりますね。戦いとは相手を倒す事ですが、逆の意味では相手を成長させる事になりますからね」
そんな事を呟くとエルクは軽く笑う。
確かにエルクの言うとおりだろう。戦いは相手を倒すために行うものだ。だが、昇のように未熟な者は、その戦いの中で成長するもの確かだ。それは試練とも言えるだろう。だからこそ、エルクは、よりいっそう、今回の結末がどうなるかに興味を抱いていた。
もし、この戦いを昇達が潜り抜ける事が出来たとしたら……その時は昇が大いに成長し、本当にアッシュタリアにとって脅威となるだろう。それほどまでにエレメンタルアップという能力は厄介なのだ。カイザーも、それが分っているからこそ、昇に対して討伐命令を出したのだ。だからこそ、アッシュタリアの日本支部は全力で昇を潰しに掛かるだろう。
だが、それを観戦する立場に居るエルクにとっては、昇が大いに成長する機会だとも捉えていたのだ。なにしろアッシュタリアは現在において最大の勢力を誇る組織である。その一部とはいえ、組織が動くのだ。そんなアッシュタリアの動きに対して、昇が出せる結果は二つだけである。
一つは負けて争奪戦から退場する結果。つまり、昇が日本支部に対して負けるという意味だ。そして二つ目、こちらは一つ目とま逆。つまり、昇達が日本支部に勝つ、もしくは、日本支部に壊滅に至るまでの成果を上げるという結果である。エルクとしては、是非とも後者になって欲しいと思っているようだ。
なにしろ、その方が面白いし、なにより、昇が更なる成長を遂げて、強大になったエレメンタルアップのデータを取りたい。そんな思いがあるからだろう。まあ、そんな事を考えたり、時には表に出すからこそ、エルクは狂者とも言えるのだろう。だからこそ、エルクは今回の昇討伐命令を昇を倒すものではなく、昇を更に成長させる試練だと思うようになっていた。
そんなエルクが笑うのを止めるが、怪しい笑みを浮かべながら自らの研究室に向かって歩き出す。それでも、自らの思いが自然と口に出てしまうエルクだった。
「さあ、エレメンタルアップの少年。カイザーが動いた事、その窮地が試練となりますよ。だから、是非とも試練を乗り越えて、再び私の前に立って欲しいものです。私は心から、そんな時が来るのを待ちましょう」
そんな事を呟きながらエルクは、その場から去っていくのだった。
それは都心にあり、敷地面積は他のビルよりもかなり多いが、見た目は廃ビルと言っても良いほどに入居者が居ないと思われる外見だ。 だがら、そんなに重要な所でも無いと誰でも思っていた。
けど、この内部に何が入っているのか分からない、廃ビルと言えるような場所こそ、アッシュタリアの日本支部なのである。高層ビルとは言えないが、それなりの高さを有しているだけでなく、敷地面積も広い。つまり、かなりの人数が収容できると言えるだろう。
そして、そんなビルの一階には、常に不気味な人影が、まるで門番をしているかのように控えていた。なにしろ、一階に居る全ての人が瞳に生気が無く。まるで死人のような瞳で、何をするワケでもなく、そこに存在しているのだ。覗くだけでも不気味だと分かる、このビルに立ち入る者なんて居ないだろう。アッシュタリアの関係者以外は。
そんなビルの上層階にあるトレーニングルームのような一室。そこでは、一人の人間がトレーニングをしていた。その人間は男性であり見た目でも、はっきりと分かるほどに筋肉質であった。そんな男が鍛え抜かれた筋肉を更に鍛えている。そこまで鍛えてどうするんだ、と言いたいほどに鍛え抜かれた筋肉を有しているのである。それでも、黙々とトレーニングで身体を鍛えている人間が、そこに居るのは確かな事だ。
そして、日課となっているトレーニングの設備を使用して身体を更に鍛えている時だった。突如として、トレーニングルームのドアが開かれると冷たい声が響いた。
「失礼します。トレーニング中で悪いのですが、エイムハイマーから勅命が下りました」
そんな言葉と共にトレーニングルームに居る、たった一人の人物に歩いていく女性。その瞳は冷たく、全てのものを見下しているようにも見えた。そんな瞳と同じように顔付きも冷たく見えるが、決して醜くはない。どちらかと言えば美人に属するだろう。それでも、彼女が持っている冷たい雰囲気が彼女に近づき難くさせている。
そして、彼女はトレーニング中の男性に近づくと話を勝手に話を進める。
「カイザーからの直々な討伐命令です。詳細な事は未だに不明なので、これから調べます。ですが、カイザーからの勅命ですから、相手もかなりの強さを有していると思って良いでしょう。時と場合によっては私達が直々に動く必要があると思います。なので、怪童さん、その時は思いっきり暴れて良いそうです」
そんな彼女の言葉を聞いた、怪童と呼ばれたトレーニング中の男性が思いっきり設置してある設備を振るうと、そのまま設備が壊れるまで振り抜いてしまった。これだけでも、怪童の力が分かるというものだろう。もちろん、壊された設備に掛けてあった負荷も一番重いものだ。それを簡単に壊してしまうほどの力を持っているのだ。怪童の力だけでも、怪力と思って良いだろ。
そんな怪童が嬉嬉とした表情で女性に向かって言うのだった。
「よしっ! ならば、早速、そいつを倒しに行くぞ。付いて来い、垂氷」
垂氷と呼ばれた女性は思いっきり溜息を付くと静かに呟くのだった。
「この猪バカは」
「何か言ったか、垂氷?」
「いえ、何も。それから、先程も言ったように詳細は分っていません。これから調べるのですから、少し時間が掛かります。それに、まだ私達が動く相手か、どうかも分かっていませんから。まずは調査から入ります。それはこちらでやるので良いですね?」
「なんだ、そうなのか。なら任せる、けど相手が強い奴なら俺が自ら出るぞ。なにしろカイザーが思いっきり暴れても良いと言ってくれたのだからな」
そんな怪童の言葉を聞いて再び垂氷が呟くのだった。
「まだ決まったわけじゃないでしょ、バカ一号」
「んっ、何だ?」
「いえ、さすが怪童さんだと言っただけです。それよりも、本部であるエイムハイマーから送られてきた資料によりますと、相手は十六、七歳の男性。有している戦力は不明なので、これから調査に入ります」
そんな垂氷からの報告を聞いた怪童が眉をひそめながら言うのだった。
「ちょっと待て、そんなガキを相手に俺に本気で戦えって言うのか?」
そんな怪童からの質問に垂氷は再び呟く。
「年齢と有してる戦力は関係ないでしょ、これだから猪バカは」
「何だ?」
「いえ、何でも。話を続けますと、どうも、その少年はレア能力を有しているみたいです。カイザーは、その能力が脅威となる前に排除したいと思って良いでしょう。そのレア能力がエレメンタルアップみたいです」
それだけ話すと次の資料を見るために紙をめくる垂氷だが、そんな垂氷に怪童の余計な言葉がまたしても姿を見せる。
「そのエレメンタルアップとは何だ? 凄いのか? 凄い力なのか? 俺が本気で戦っても潰れない力なのか?」
そんな怪童の言葉を聞きながら、資料に目を落として、再び垂氷が呟くのだった。
「それをこれから説明するんでしょ、少しは黙ってなさいよ、バカ一号」
「っで、どうなんだ?」
やっぱり垂氷が呟いた言葉が聞こえていないみたいで、怪童は垂氷に更なる説明を求める。そんな怪童に垂氷は嫌気が差しているのだが、こんな怪童の面倒を見るのも仕事のうちと垂氷は割り切っているのだろう。だから怪童の言葉を無視して話を続ける。
「本部からの資料によりますと、契約した精霊に更なる力を与え、更には精霊が有している限界以上の力を与える事が出来る能力みたいです。精霊が持っている力の限界突破、それがエレメンタルアップの力みたいですね。確かに、この能力は卑怯と言うか、脅威になりうる能力ですね」
垂氷が、そんな感想を付け加えて資料に記してあった事を説明するが、怪童は頭にハテナマークを浮かべて垂氷に言うのだった。
「つまり……どういう意味だ?」
そんな怪童の質問に、やっぱり怪童とは目を合わせずに呟く垂氷。
「すぐに理解しなさいよ、脳筋」
「それで、結局はどんな力なんだ?」
やっぱり垂氷の呟きが聞こえなかった怪童が質問を繰り返す。そんな怪童に慣れているのだろう、垂氷は溜息を付くのを抑えて、怪童にも分かるように説明する。
「つまり、エレメンタルアップを掛けられた精霊は強くなるんです」
「なるほど、それなら倒し甲斐があるというものだな」
そんな事を言って笑い出す怪童。そんな怪童を冷たい瞳で見ている垂氷が、やっぱり呟くのだった。
「そういう意味じゃないでしょ、バカ一号」
そして、やっぱり垂氷の呟きが聞こえていない怪童が楽しそうに笑い続ける。けど、垂氷はしっかりとエレメンタルアップの能力を理解していた。だからこそ、垂氷もカイザーが討伐命令を出した意味をしっかりと理解していたのだ。
そんな垂氷が怪童のバカ笑いを無視しながら思考を進める。
精霊の限界突破ね。契約者の能力にもよるけど……ここは完全契約よりも強い精霊を相手にすると思っておいた方が良いわね。……なんにしても、捨て駒で一当てしておいて、相手に強さを見極める必要があるみたいね。出来ればエレメンタルアップの力を見たいんだけど、捨て駒如きで使ってくるようなら対処は出来るわね。でも、エレメンタルアップ無しで、捨て駒を倒す実力が有るのだとしたら、こちらも相応の戦力を送り込まないといけないか……今のうちにした準備だけでもしておく必要があるわね。なにしろ、カイザーからの勅命だというのが一番気になるところでしょうからね。
冷静に状況分析から今後の展開を予想して数十通りの対処法を考える垂氷。その中には最悪な場合も想定してある。例えば、怪童の暴走とか、怪童の特攻とか、怪童の自爆とか、何にしても垂氷は失敗する時は怪童に原因があると考えているようだ。まあ、それだけでは無いが、垂氷はそれ以外の想定外も考慮に入れている。
そんな垂氷とは正反対に怪童は強いやつと戦えるのが嬉しいのか、未だに笑い続けているが、そんな怪童が笑いを止めると、強く拳を握り締めて、垂氷に見せながら言うのだった。
「まあ、どんな奴が相手でも、日本支部、いや、カイザー次に強い俺と日本支部は二番目に強い垂氷が居れば、どんな相手でも負けやしないだろう」
そんな怪童の言葉に、さすがに耐え切れなくなったのか。垂氷は手にした資料で顔を隠すと怪童から目を逸らして思いっきり溜息を付いた後に呟くのだった。
「なら、さっさと突進して玉砕しなさいよ、バカ一号」
そんな垂氷の呟きがやっぱり聞こえていない怪童は勝手に盛り上がり、戦える喜びに身を振るわせながら笑うのだった。そして、そんな怪童を見ながら垂氷は呆れた視線を怪童に向けながらも、軽く溜息を付くのだった。
まあ、垂氷の気持ちも分からなくはない。なにしろ、こんな怪童でも日本支部を取り仕切るトップなのだから。要するに、日本支部では一番偉い怪童だが、当の怪童は仕事のほとんどをナンバー2である垂氷に任せっきりで自分が強くなる事しか考えていない。そう、この二人こそが日本支部を取り仕切る者達であり、先程、アンブルとエルクの会話に出て来た二人である。
これで分ってくれただろう、なぜアンブルとエルクが日本支部のトップについて言葉を濁していた事に。つまり、先程から垂氷の呟きが全く聞こえず、垂氷が呟いたとおりの人物なのだ。だが、その強さだけは本物であり、それだけの強さを持っているからこそ怪童は日本支部においてトップに立っているのだ。
もちろん、そんな人事になったのには、しっかりとした理由がある。そんな怪童だからこそ、というか、怪童の強さがあるからこそ、怪童の強さに憧れて、カリスマとなったからこそ、怪童は日本支部のトップにいる……のだが、垂氷とのやり取りで分かったように、頭の中まで、あのような状態だ。だから垂氷が溜息を付きたくなるのも分かるというものだろう。ついでに悪態も。
それでも、やるべき事はやらないと、とばかりに垂氷は怪童に話しかけるのだった。
「怪童さん、万が一という事もありますし、少しは他の者にも経験を積ませたいので、二人ほど地方から呼び寄せますけど良いですか?」
「んっ? そんな事をしなくても俺とお前だけで充分だろ?」
「あんたの面倒を見たく無いから補充するのよ、バカ一号」
「どうした?」
「いえ、怪童さんが強い事は重々承知してますが、たまには他の者達に戦わせて経験を積ませないといけません。皆、怪童さんのように強くなりたいと思っているのですから。なので、怪童さんに近づくためにも、時には他の者に実戦経験を積ませて強くさせるのも日本支部の強化に繋がります」
「だが、カイザーからの勅命だからな~」
「だから余計に失敗するわけにはいかないから戦力を強化するんでしょ、このバカ」
さすがにカイザーからの勅命となれば、垂氷としても失敗したくはないし、なにより、ここで功績を立てれば、日本支部からエイムハイマーへの転属も夢ではない。つまり、怪童のお守をしなくて良いわけだ。だからこそ、垂氷は何としても今回の任務を失敗しないように戦力を強化して、最悪な事態になっても対応できるようにしておきたいのだろう。
だが、その足がかりとしては、何としても怪童の手綱を取って、全てを順調に進めなければいけない。だからこそ、垂氷はここで戦力を集めて、時機を見計らって総攻撃が出来るようにしておきたいのだ。
それに、すぐに動かせる戦力が傍にあれば、どんな事態でも最低限の被害で抑える事が出来る。垂氷はそこまで考えての進言なのだが、怪童としては自分で戦いのだろう。だから、渋っているのだが、こういう怪童に慣れている垂氷がいつものように口車に乗せるのだった。
「確かに怪童さんが出れば一撃でしょう。けど、皆は怪童さんのように強くなりたいと思っています。怪童さんのように一撃で敵を倒せるようにと。ですが、怪童さんなら分かると思いますが、そのためには幾つもの訓練と実戦、そして修羅場を潜らなければいけません。カイザーの勅命となれば相手が強敵なのは必至。ですから、あえて若輩者に修羅場を経験させれば、少しは怪童さんの足元に及ぶでしょう。皆、怪童さんのようになりたいと思っているのですから、数名ぐらいは足元に及ぶ強さに育てるのも、強さを極めた怪童さんの役目だと思います」
「なるほど、獅子のように谷底に落として、そこからはい上がる強さに育てるのも俺の役目というわけか。確かに、俺には及ばないけど、少しは俺に近い強さを持たないとな。分かった、なら垂氷、手配しろ」
「はい、分かりました」
垂氷は承諾したように頭を下げると、いろいろと手配を済ませるためにトレーニングルームを出ようとする。そして、垂氷がトレーニングルームを出る時には、怪童は別の設備で再びトレーニングしていた。そんな怪童の姿を見て、垂氷は言っておかねばならない事を口にする。
「それから怪童さん、ここの設備もタダではないので壊さないように使ってください」
「心配するなっ! 壊れたら、より強固な設備にすれば良いだけだ」
「だから論点が思いっきりずれてるっていうの、これだからバカ一号は」
怪童の姿にそんな呟きと溜息を付きながら部屋のドアを閉める垂氷だった。そして、やっぱり垂氷は呟くのだった。
「まったく、言葉の意味すら分ってるのかしら、あのバカ一号。けど、まあ、形式とはいえ承認を取ったからには、ここの戦力を強化が出来るわね。けど……あの、バカ二号まで呼ばないと強化にならないのが問題なのよね。まあ、バカ二号を抑えるために、あれも呼ぶから良いか」
そんな事を呟きながら歩き出す垂氷。何にしても、これで戦力を集中出来るのは確かであり、それだけでも、こちらが有利になったと垂氷は思う事にしていた。なにしろ、現段階では相手の、つまり昇達の戦力は不明なのである。その状況なら、揃えられるだけの戦力は揃えておきたいと思うのは当然の事だろう。
それに、今回の件はカイザーからの勅命である。だからこそ、絶対に失敗は許されないし、垂氷としても失敗する気は無い。だからこそ、やるべき事をしっかりとやるだけだと垂氷は割り切った考えをする。そして、そんな垂氷が次に考えた事は。
「後は、この少年にまつわる調査か。まあ、調査には捨て駒は役に立たないし、そこは私達だけでやった方が良いわね。というか、エイムハイマーからの勅命なら、あの狂った科学者は何か知ってる可能性が大きいわね。エレメンタルアップ、その名前だけなら、あの狂った科学者が興味を示してるという噂を聞いた事があるわね。……本部にカマを掛けてみましょうかね、こちらから好条件を提示すれば情報を提供する可能性が大きいわね。なら、やってみる価値はあるか」
垂氷が、そんな事を考えながら呟いているうちに自らの仕事場に戻って来た垂氷。すぐにドアを開けると、そこには二人の女性がくつろいでいたのだが、垂氷の姿を見るなり、すぐに立ち上がってきた。どうやら垂氷の冷たい表情からでも、すぐに仕事があると分かったようだ。そして垂氷は自分の机に向かって歩きながら、中に居た精霊に向かって声を掛ける。
「エラスト、あまり関わりたく無いけど、エイムハイマーに居る、サンスに連絡を取ってちょうだい。そっちが無理なら精霊のエルクでも良いわ。交渉は私が直接やるから、あの狂った科学者と話が出来るようにしておいて」
「はい、分かりました」
エラストと呼ばれた女性の精霊が垂氷の言葉を聞いてすぐに行動に出る。エラストは前髪に青いメッシュを一定の間隔で入れており、容姿は精霊らしく美しく優麗である。見た目年齢的にも垂氷と同じく大人びた雰囲気を出した年齢と言えるだろう。そんなエラストが長い髪を揺らしながら自らの机に座ると、精霊特有の空中に浮かぶモニターとキーボードを出現させるのだった。
そしてエラストに指示を出した垂氷はすぐにもう一人の精霊に指示を出す。
「サンカミューは地方にいる紅鳶と銀翠に連絡を取って、すぐにここに来るように言いなさい。カイザーから、ある人物の討伐命令が下って、それを怪童が二人に先陣を任せたいと言えば、紅鳶なんてすぐに来るでしょう。銀翠にも私からの命令だと言っておきなさい。あいつにバカ二号の手綱を任せるのだから」
「……分かった」
一方のサンカミューはどう見ても、女子中学生にしか見えないほど、外見が幼い。その代わりに垂氷やエラストには無い、可愛らしさを持っている。その手の趣味を持っている人ならばお持ち帰りになりたい精霊とも言えるだろう。
そんなサンカミューもエラストと同じく、垂氷に指示された事をすぐに実行に移す。後は垂氷の仕事だと言えるだろう。それでも、今回の任務を上手くこなせればカイザーに覚えてもらえる可能性が大きい。それほどまでに、カイザーからの勅命は少なく、どれも重要な任務と言えるからだ。だからこそ、垂氷も怪童の手綱をしっかりと握りながら、これからの戦略を考えるのであった。
そんなアッシュタリアに動きが見えていた頃、同じく日本のとある地方にある、とある戦国博物館。そこにある、契約者の姿があった。その契約者の名前を……秋月風鏡という。
はい、そんな訳で、やっと始まりました。猛進跋扈編です。まあ、毎度の事ながら、ちと難しいサブタイトルを勝手に作った四字熟語で示しております。そんな訳で、今回は『もうしんばっこ』編と読みます。
……なんか、サブタイだけでも、あれが多い事が分かりそうですよね~。更に本文を読んでもらえたでしょうから、あれが多く出てくるのは必然かと……。まあ、垂氷が直接的に呟いてるから明確に書かなくても分ってくれますよね~。
更には、最後に伏線としていよいよ再登場の風鏡ですっ!! 何故か分からないけど、以前、行ったアンケートでは、かなりの人気があった風鏡だけに、この再登場は、待っていた方にお待たせしましたっ!! といえる再登場ですね。
ちなみに、次回も再登場の人物、というか、精霊を出すつもりです。更には、アンブルとエルクの会話にも興味深いものがありましたね~。まあ、その辺はおいおいと分ってくるでしょう。
そんな訳で猛進跋扈編がスタートした訳ですが……昇達がまったく出てこなかったね。まあ、次回も出てくるは怪しいものですけど……まあ、その辺は、たまには良いかな~、という事で落としておきましょう。
さてさて、現時点で、あまり語っても、あれだと思うので、この辺で終わりにしときますね~。
では、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。更に、評価感想もお待ちしております。
以上、やっぱり更新ペースを上げられないな~、この調子だと、猛進跋扈編を終えるのに二年ぐらい掛かりそうだ。とか思っている葵夢幻でした~。