表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルロードテナー  作者: 葵 嵐雪
百年河清終末編
130/166

第百三十話 残り少ないカウントダウン

「なっ!」

 昇は目にした光景に驚きを隠す事が出来ずに、窓から身を乗り出しながらも驚きを示していた。つい数分前までは昨日のように上手く行ったと確信していたのだが、目の前にある光景を目にすると、とてもではないが驚かずにはいられない昇だった。

 事の始まりは数分前にさかのぼる。昨日の事があるからこそ、今日は少しの事ではシエラ達は動揺せずに冷静さを持って的確に行動してくるだろうと読んだ昇は強行策に出たのだ。そう……帰りのホームルームに出ないという強行策にっ!

 だから昇は最後の授業が終わるのと同時に荷物を隠しながら、トイレに行くフリをして教室から出たのだ。それから真っ先にいつもの生徒指導室に向かった。今日も与凪の精界を突破して逃げるつもりだったのだろう。

 それに森尾の事だ。たとえ帰りのホームルームで昇が姿を消したとしても、後でラクトリーを通じて必要な連絡事項があったら伝えてくれるだろうと思った。だからこそ、ホームルームに出ないという強行策に出た昇だったのだが、そんな昇を待ちうけていたのは……校庭に数え切れないほどにうごめいている機動ガーディアンの姿だった。

 今までに見た事が無いタイプの機動ガーディアンだったが、鎧だけの姿といい、手にしている武器といい、どう見ても機動ガーディアンだと思っても良いだろう。それに与凪の事だ。今まで見てきた機動ガーディアンを参考に、自分なりの機動ガーディアンを製作していてもおかしくはない。なにしろ、ここは以前の戦いで流れ出た精霊王の力、その一端だけだが流れ出てる精霊王の力を制御するための設備を備えている。だから、ここが襲撃される事を予想して機動ガーディアンを用意しておいても、まったく不思議ではなかった。

 だが、今現在では校庭にうごめいている機動ガーディアンを見る限り、どう見ても、ここを守っているとは思えない。なにしろ、まるで何かを探しているかのように機動ガーディアン達は辺りを見回しながら巡回しているからだ。

 そんな数え切れないぐらいの機動ガーディアンを見て、昇は真っ先に一人の人物を思い浮かべるのだった。

 これは……シエラの仕業かな。そんな風に考える昇。与凪が機動ガーディアンを用意しておいても不思議では無い事は先程、説明したとおりだ。だからと言って与凪が面白半分でシエラ達に手を貸して、ここまで機動ガーディアンを配置するとは思えない。なにしろ……校舎の中からも機動ガーディアンが歩き回っている音が聞こえてくるのだから。

 だから学校中に機動ガーディアンを配置してあると思って良いだろう。ここまでして昇を追い詰めようとしているのだ。だから与凪の意思で機動ガーディアンを配置したとは思えない。まあ、与凪はあのような性格だから他人事のように機動ガーディアンを貸したりはするだろう。だが、まるで昇を逃がさないように配置された機動ガーディアンを見る限り、情報管理に精通している人物が機動ガーディアンを配置した事は間違いないだろう。

 そして昇達のメンバーで、そのような事が出来るのは与凪を始め、シエラと閃華、後は除外しても良いと思われるミリアとラクトリーだ。ラクトリーの性格から言っても、シエラ達に手を貸すにしても、必ずミリアの修行を兼ねてミリアにやらせていただろう。だが、配置された機動ガーディアンには付け込むだけの隙が無い。だからこそ、機動ガーディアンを配置した人物が絞られる事になる。

 確かに閃華がやったとも考えられるだろうが、閃華の性格から言って、あからさまに威嚇を含めた配置はしないだろう。閃華なら、機動ガーディアンを隠して、昇が罠に掛かったところで一斉に機動ガーディアンを昇に向かって襲い掛からせるだろう。つまり、閃華がやったにしては逃がさないという意思が出すぎている。そうなると残った人物は一人だけである。

 そう……シエラだ。昨日、与凪から機動ガーディアンの指揮権を貰ったシエラは、一人黙々と琴未達の話を聞きながら、機動ガーディアンを学校中に配置していたのだ。だからこそ、シエラは昨日の会話は聞いてはいたものの、会話に参加する事無く、今日のために機動ガーディアンを学校中に配置していたのだ。

 そう、これこそがシエラが言っていた人海戦術である。シエラは与凪がここを守護するために、誰にも秘密にして機動ガーディアンの設計と生産ラインをいつの間にか作っていた、シエラはどこで、その事を知ったのかは知らないが、与凪が密かに守備を強化しようとして機動ガーディアンを作っていた事を知っていたのだ。だからこそ、与凪に機動ガーディアンを貸してくれるように頼んでおいたのだ。

 そして、昨日。与凪から借り受けた機動ガーディアンを学校中に配置したという訳である。

 まさか、こんな人海戦術にも似た手を打ってくるとは思っていなかった昇は窓から身を乗り出しながらも、学校中に配置されている機動ガーディアンに対しての対抗策を考えるのだった。

 まさか、こんなにも機動ガーディアンがあるなんて思って無かったよ。与凪さん、いつの間に、こんなにも作っていたんですか? しかも……それをシエラに貸さないでくださいよ~。そんな泣き言のような事を思った昇は自分が追い詰められている事を実感していた。

 このまま手をこまねていたら、シエラ達がいつ、ここに来てもおかしくは無いよね。なにしろシエラ達の事だから、ホームルームが終わったら真っ先にここに来るはずだから。だから、その前に、ここを脱出しないと。シエラ達が来るまで、そんなに時間は無いはずだから。う~ん……しかたない。与凪さんには悪いけど、ここは僕も強行策で行かせてもらうよ。

 そんな決断をくだした昇はすぐに実行に移った。

「紫黒、レベル2 バージョンソニックウイング」

 昇が手にしているエレメントウェポンである二丁拳銃の紫黒に黒い翼が生えると、その翼は少しだけ大きくなる。大きさで言えば昇の手を包み込む事が出来るだけの大きさだろう。けれども、この翼は大きさよりも強力な力を秘めていた。

 ソニックウイングを発動させた昇は一気に窓から飛び出す。それと同時に紫黒の翼が羽ばたくと、一気に上昇して学校を見渡せる位置で止まった。そのスピードは翼の属性には負けるものの、かなりのスピードだ。それを、こんな小さな翼を二対で出しているのだから、ソニックウイングの力もかなり強力だと言えるだろう。

 そして学校を上から見渡した昇は呆れたように溜息を付くのだった。それもしかたないだろう。校舎の中から音がしていたから、校舎の中にも機動ガーディアンが居る事は昇にも分かった。けれども、機動ガーディアンは中庭はおろか、体育館、屋上にまで配置されていた。もう、学校中が機動ガーディアンだらけだ。

 そんな光景を見たからこそ、昇は呆れたように溜息を付いて思うのだった。シエラさん、何もここまでする必要は無いと思うんですけど。というか……そこまでして僕を追い詰めたいんですかっ! そんな事を思う昇は、学校中にうごめいて昇を探している機動ガーディアンを見ながらも対抗策を練る。

 けれども、意外な事に対抗策は簡単に昇の頭に浮かんだ。いや、正確には昇をここまで追い詰めたからこそ、昇もその手を取るしかなかった。そう考えるのが自然だろう。なにしろ昇が考えた対抗策というのは……広範囲破壊なのだから。そんな昇が心の中で与凪に謝りながらも精神を集中させる。

 与凪さん、ごめんなさい。けど……シエラに機動ガーディアンを貸したのが、運の尽きだったね。本当に与凪さんには悪いけど、ここは一気に行かせてもらうよっ!

 そんな事を思っていた直後に、宙に浮いている昇の足元から、昇にしか見えない黒い歪が昇を中心に、昇の体格よりも少し広く展開された。そして次の瞬間には昇の意識は黒い歪に沈んで行った。

 一気に最下層まで降り立った昇。そこには四つの紅い紐が目の前まで伸びて来ているのだが、昇は紐を掴む事無く、自分自身の旨に手を当てた。そして自分自身に一気に力を流し込むと、再び意識を急上昇させて、自分の身体へと戻る。

「エーライカーっ!」

 昇の中に強大な力が一気に生まれる。それを証明するかのように、エーライカーを発動させた昇は力の余波が突風となって撒き散らされ、身体からは別人とも思えるほどの力を撒き散らしている。普通の人間なら、今の昇に睨まれただけで失神してしまうぐらいの力を昇は放っているのだ。

 けれども、それは呼吸と同じで、昇が放っている力は受け止めきれなかった力の一端に過ぎない。それ以上の力が昇の中に生まれ続けているのだ。

 そんな昇が生徒指導室を避けるように紫黒を構えると、紫黒にエーライカーの力を一気に流し込む。その影響で紫黒は光り輝き、銃口の先には、その輝きに負けないほどの輝きを放っている光球が存在していた。そんな力を発揮している昇が目標地点を確認すると与凪に向かって、もう一度だけ心の中で謝るのだった。

 ごめんなさい、与凪さん。出来るだけ、精界を破壊しないようにするから。でも……校舎の半分ぐらいは吹き飛ばしちゃうかな? 今の僕には何とか与凪さんの精界が維持できるだけ破壊するのが限界だから。だから、ごめんなさい、与凪さん。そして……後は任せますね。

 そんな事を思った後に昇は照準が合っている事を確認すると一気に引き金を引き絞るのだった。

「ヘブンズブレイカーっ!」

 紫黒が生み出した光球から圧縮された無属性の力が一気に放たれる。放たれた力は校舎を破壊し、昇が狙った目標地点に着弾する。圧縮砲での攻撃である、着弾すれば当然のように圧縮された力が一気に解き放たれて爆発を引き起こす。

 昇のヘブンズブレイカーによって校舎は三分の二が破壊され、一緒に中に居た機動ガーディアンも消滅させた。それだけではなく、中庭、校舎にいる機動ガーディアンもヘブンズブレイカーの直撃によって大多数が消滅した。それと同時に与凪が築き上げた精界が三分の一ほど消滅する。

 昇としても与凪の精界を完全に壊さないように手加減したのだから、未だに精界が崩れないだけでも大成功と言えるだろう。それに、エーライカーによるヘブンズブレイカーである。いくら新型の機動ガーディアンと言えども、そんな攻撃を受けて無事で済むわけが無かった。むしろ、昇の力が範囲限定されていた事により、範囲内に居た機動ガーディアンへのダメージは大きかっただろう。

 そして昇はというと、未だに爆発の煙が大量に上がっている中で、崩れた精界を見渡して外に出れる場所を探して見つけると、すぐにそこに向かって飛んで行き、舞い降りるのだった。そして、エーライカーとアルマセットを解除して、いつもの制服姿に戻ると昇は与凪の精界を脱出すると、人間世界に戻った。そこは完全にどこからも死角となっている場所だ、だから昇は辺りを見回して、誰も居ない事を確認すると、シエラ達が追ってくる前に春澄が待っている公園へと駆け出すのだった。



 昇が脱出してから数十分後、いつもの生徒指導室には与凪を初め、いつものメンバーが集っていた。シエラ達だけではなく、フレトの姿もあった。どうやら琴未がフレトが逃げる前に確保したようだ。だからフレトもしかたなく、この生徒指導室で呑気にお茶をしているのだった。

 そんな中で状況を確認した与凪がテーブルに突っ伏すと、泣きそうな声で昇に向かって文句を言い始める。

「滝下く~ん、これは、いくらなんでもやり過ぎですよ。修復するこっちの身にもなってくださいよ」

 与凪にしては珍しく泣き言を言って来たので、全員が与凪が映し出しているモニターに注目するために与凪の後ろに集る。精霊言語が読めない琴未とフレトは首を傾げるばかりだが、精霊達は溜息を付くなり、舌打ちをするなり、呆れたりとそれぞれの反応を示していた。

 そんな中で琴未とフレトは与凪に対して説明を求めたいのだが、肝心の与凪が涙を流しながらテーブルに突っ伏しているのだから、与凪に質問する事が二人には出来なかった。その間にもシエラが独り言のように呟いた。

「これだけの範囲破壊、昇はいったい何をやったの?」

 誰に質問したわけではない。ただ昇がやった事に見当が付かないからこそ、シエラの言葉は自然と質問形になっていたのだ。そんなシエラの質問に答えるかのように閃華が口を開いてきた。

「どうやら昇はエーライカーを使ったようじゃな。さすがの昇も的確な判断が出来るようになったというわけじゃな」

「どういう意味?」

 閃華の言葉に質問するシエラ。確かに昇がエーライカーを使った可能性はある。それほどまでに校舎は見事に破壊されており、配置してあった機動ガーディアンもほとんど残っていないほど壊滅状態になっている。だからこそ、シエラは閃華に詳しい説明を求めたのだ。そして閃華がシエラに向かって口を開く。

「シエラが配置した機動ガーディアンは新型じゃろ。昇にしてみれば今までに見た事が無いタイプの機動ガーディアンじゃ。そんな機動ガーディアンを相手に昇が一体一体相手にするのは愚の骨頂じゃと思ったんじゃろ。なにしろ昇には時間が無いのじゃからのう。じゃからこそ、昇は最大限の力を出してきたというわけじゃ。時間が無い上に相手の攻撃性能も分からない、じゃからこそ、昇はエーライカーを使ったというわけじゃ」

「……そういう事」

 閃華の言葉に納得したかのように頷くシエラ。そんなシエラを見て、もう介入しても良いと思ったのだろう。琴未が口を挟んできた。

「って! また二人だけで納得してないで私にも説明しなさいよねっ!」

 そんな文句を言って来た琴未に対して閃華は軽く謝り、シエラは無視した。そんな状況を見かねたのだろう、ラクトリーが口を開いてきた。

「琴未さん、今回のケースは昇さんの立場に立って考えた方が理解しやすいでしょう。昇さんは時間的猶予が無く、目の前には戦闘能力が未知数な機動ガーディアンが数え切れないぐらい配置されている。この状況を打破するためには、どうすれば良いでしょう?」

 まるで問題を出すかのように、そんな言葉を口にするラクトリー。そんなラクトリーからの問題に対して琴未は首を傾げるばかりだった。どうやら琴未はすぐに答えを導き出せなかったようだ。

 その間にもラクトリーの問題が分かったかのようにフレトが口を開いてきた。

「そういう事か。滝下昇が、この状況を打破するためには相手の戦闘能力を測ったり、一体一体相手にしている余裕は無い。だからこそ、自分が持っている最大限の力を発揮して突破口を作った。相手の戦力が分からない場合は、こちらが発揮できる最大限の力を一気にぶつけた方が有効だからな。それに相手は機動ガーディアンだ、手加減無しで破壊しても問題ないだろう。後は校舎や精界に注意して攻撃すれば、脱出するのは容易な事だと言えるな」

「さすがはマスターですね、その通りです」

 フレトの言葉に感心したかのように賞賛の言葉を述べるラクトリー。そんなラクトリーの言葉を聞いてフレトも少しだけ得意げな顔をするが、出来て当然という態度を出しているのも確かだ。そんな二人とは対称的に琴未には未だによく分からないところがあるのだろう。二人の会話に口を挟むのだった。

「だから私を放って置いて納得しないでよね。私にも分かるように説明してよ」

 そんな文句を言って来たものだから、ラクトリーは少しだけ誤魔化すような微笑を琴未に向ける。どうやら琴未の事を完全に忘れていたようだ。そんな琴未に対してラクトリーはフレトの解答を参考に琴未への説明を開始する。

「琴未さん、相手の戦力や数が分からない場合は、こちらはどんな手段を取った方が有効的ですか?」

 そんな質問をするラクトリーに琴未は首を傾げた。どうやら琴未には解答が出ないようだ。まあ、それもしかたないだろう。今まで、こうした戦略的な事や重大な決断は昇が行ってきたのだ。だから琴未が戦略的な思考が未発達なのはしかたない事だ。

 フレトもアンブルに破れてからというもの、戦略について自主的に学んでいたのだ。なにしろ昇は戦略によって完全契約の弱点を突いてきてフレト達を倒した。そうやって昇は戦略という物を学んで行ったのだ。だからフレトも戦略の重要性にアンブルとの戦いで気付かされたものだから、今では自主的に学んでいるというわけだ。

 と、フレトの事はひとまず置いて、琴未が未だに解答が出来ないと横から閃華が口を挟んできた。

「琴未よ、こう考えてはどうじゃろうか。ある合戦で敵が出陣して来たのじゃが、相手の数が分からない、さあ、こちらはどれだけの兵を出せば良いじゃろ。この場合、両者の数は同じ物とする。さあ、こう考えれば、どうすれば良いか分かるじゃろ」

 閃華のヒントを受けて考え方を変える琴未。そんな琴未にもやっと解答が浮かんできたのだろう。その事を口に出してみる。

「閃華の場合だと、こちらは全部の兵を出した方が有効的よね。だって、相手の数は同じだから、もし相手が戦力を分散させるんだとしたら、全部の兵を出して、各個撃破した方が有利よね」

 ラクトリーの顔を窺いながら、そんな解答をする琴未。そしてラクトリーが頷くと、琴未もやっと一安心したように息を付いて、少しだけ納得するのだった。そして、そんな琴未にラクトリーが昇の場合に当てはめて説明を始めた。

「昇さんの場合だと、見た事が無い機動ガーディアンが学校中に配置されてますから、昇さんには相手の戦力や戦闘性能なんて分かりはしません。けど、このまま手を拱いていては琴未さん達が来てしまうでしょ。だからこそ、昇さんは最大限の力を発揮できるエーライカーを使ってきたのですよ」

 そんなラクトリーの説明を聞いて納得する琴未。そこに閃華から、更に追加説明が加えられた。

「それに、昇のエーライカーは短時間なら身体に支障は無い。じゃから、一撃だけに最大限の力を込められるエーライカーを選んでも不思議では無いんじゃよ。いや、むしろ、この状況を打破するために、エーライカーをちゅうちょ無く使ってきた昇が下した判断の速さこそが賞賛すべき点と言えるじゃろ」

 閃華の言葉を聞いて納得したように頷く琴未。

 確かに昇のエーライカーは強力なだけに副作用も大きい。だが、短時間の一撃だけなら副作用は全く出ない。だからこそ、昇は戦力が未知数な機動ガーディアンがうごめいている、校舎や校庭、そして中庭を狙って砲撃を撃ち込んだのだ。

 その結果として、昇が狙ったとおりに機動ガーディアンのほとんどが壊滅。昇は無事に精界から脱出する事が出来た。この結果から、一番賞賛に値するのは、昇が下した正確な判断力と決断力だ。

 昇は相手の数も能力も分からない機動ガーディアンを相手に、一体一体破壊しながら進むより。広範囲高威力砲撃を撃ち込んだ方が確実に逃げられると確信した。なにしろ一体一体相手にして突破するよりは、砲撃を撃ち込んで、校舎等を破壊してまでも機動ガーディアンを一掃した方が確実に逃げ切れると判断したのだ。

 もちろん、全てのケースに今回のパターンが適用される訳ではない。相手の戦力が分からない場合の対処パターンは幾つもある。逃げる事も充分に有効的な手だし、あえて乱戦に持ち込んで琴未達に介入させないという手もある。

 だが、昇には時間が無いのだ。それはシエラ達が追って来ているだけではない。あの公園で春澄を待たせているからだ。昇としては短時間でシエラが用意した包囲網を突破して、脱出しなければいけない。だからこそ、エーライカーを使った手段を使ってきたのだ。

 その的確で素早い判断こそが琴未達を驚かせる事になり、昇が成長した証拠でもあり、賞賛に値するだけの判断と言えるだけのものと言えるだろう。

 改めて昇の成長と能力に感心する一同。これが他の誰かなら、未だに脱出できずに機動ガーディアンと戦っている可能性が大きいだろう。だが、昇は見事にシエラが用意した機動ガーディアンを突破してみせたのだ。琴未としては、ここでシエラを責めるのは心地良かった。

「シエラ~、残念だったわね。昨日は自信満々にあれだけの事を言ってたのに、こんなにも簡単に突破されて、無駄な努力をご苦労様。昨日はあれだけ昇を止める事が出来るような事を言っておきながらも、こんなにもあっさりと突破されるんだもんね~。所詮、シエラなんて、その程度よね~」

 そう言いながらシエラの頭に肘を置いて高笑いする琴未。もちろん、シエラもそんな事を言われて黙っている訳が無かった。シエラは琴未の肘を払い除けると意地悪な笑みを浮かべて琴未に向かって言葉を放つのであった。

「そう、確かに私の作戦は破られた。なら……私の作戦について暴言を吐いた琴未には、昇を確実に追い詰める代案があるんでしょう」

 なにしろ、今回の人海戦術はシエラが確実に昇を追い詰める事が出来ると確証しての作戦だ。それなのに、いとも簡単に突破されてしまったのだ。シエラには返す言葉が無いものだがら、シエラはそれを逆に利用して琴未を追い詰める事にした。つまり琴未には昇を追い詰めるだけの代案を出す事が出来ないと思ったからだ。

 だが、事の展開はシエラが思ったのと違う方向へと向かって行くのだった。

「当然じゃない。明日こそは私の作戦に従って、確実に昇を追い詰めるわよっ!」

 意外な事に琴未にしては昇を追い詰める代案を出してきたのだ。そして琴未は自分が考えた作戦を全員に聞かせる。そして琴未の作戦を聞いたフレトは溜息を付いてから琴未に向かって言葉を放つのだった。

「それで今日は俺達も連れてきたという訳か」

「もちろん」

 フレトの言葉に琴未は胸を張って答える。どうやら琴未の作戦はかなり有効的で、フレト達も巻き込む事が前提になっているらしい。だからこそ琴未はフレトに向かって言うのだった。

「だからフレト、明日は半蔵さんやレットさんも借りるわよっ!」

 フレトを指差しながら、はっきりと宣言する琴未。そんな琴未に対してフレトはラクトリーの方へと顔を向けた。そのラクトリーも呆れながら首を縦に振るのだった。

 確かに今の状況でフレトの妹であるセリスに危険があるわけではない。だから無理に護衛を付ける必要も無い。もちろん、セリスが自らの意思で出かけると言えばフレトも護衛として精霊を付けるだろう。だが、琴未がここまでやる気になっており、セリスの病を治すために昇達に借りがあるフレトにしてみれば琴未の申し出を無下に断るわけにもいかない。

 だからこそ、ラクトリーに相談するために顔を向けたのだが、そのラクトリーが呆れながらも首を縦に振ってきた。これは琴未に協力した方が良いというラクトリーの判断だろう。フレトとしても、昇に負けっぱなしなのは癪だから、ここは琴未に協力して昇を追い詰めたい気持ちもあった。だが、それ以上に……こんな事に引っ張り出された事に呆れていたのだ。そんなフレトが承諾の言葉を口にする。

「分かった、明日はこちらも総動員で協力するとしよう」

 フレトの言葉に満足げに頷く琴未。これで明日は琴未に作戦が展開される事が決定された。まあ、巻き込まれたフレト達は呆れるしかないのだが、確かにお遊びとはいえ、あの昇を追い詰める事は面白そうだった。だからフレトもどんな作戦で昇を追い詰めようかと紅茶を口にしながら精霊達の配置や昇の動きを予想しながら、明日の作戦を考えていたのだった。

 そんな冷静なフレトとは違って、琴未は明日の作戦に向けて燃え上がっているようだ。

「見てなさいよ、昇っ! 明日こそは捕まえてみせるんだからっ!」

 はっきりと断言する琴未に対してシエラが冷静な、というか、本来の目的を口にするのだった。

「昇をワザと逃がさないと昇の浮気相手が分からない。だから、昇を捕まえても意味は無い」

 そう、それこそが本来の目的である。そのためにミリアは半泣きになりながらも、昇を追跡出切る装置を開発しているし、閃華も苦笑いを浮かべているのだった。そんな中でラクトリーが楽しそうに口を開いてきた。

「一直線なのも琴未さんの長所でもあり、短所でもあるようですね。まあ、一途に何かを成そうとする事は良い事ですよ。それからミリア、358番目と402番目と422番目と430番目の計算が間違ってます。だから350番目から全て見直しなさい」

「はうっ! うぅ、は~い、お師匠様~」

 既に泣いているミリアはラクトリーに言われたとおりの作業に移るのだった。



 その頃、昇はというと……いつもの公園で春澄と談笑していた。

「それは昇さんが悪いよ」

 そんな事を言って笑う春澄。話題は昇達が海に行った時の事だ。風鏡との戦いが終わった後に昇が女性陣全員から無視された話をしたら、春澄は笑いながら、そんな事を言って来たのだ。だから昇は不満げに反論する。

「僕としては最善の選択をしたつもりだし。それに僕は皆に対して酷い事をした覚えはないよ」

 そんな反論する昇に春澄は楽しげな笑顔を浮かべながら会話を続ける。

「その皆って、全員女の人でしょ。それなのに、その風鏡さんだけを特別扱いするような事をしたら、私だったらヤキモチを妬くよ」

「別に風鏡さんを特別扱いしてないし。僕としては風鏡さんに気付いてもらいたかっただけだから」

「それでも、いつも一緒にいる女の子としては特別扱いされた女の人にヤキモチを妬くものだよ。だからこれは昇さんが悪くて当然だよ」

「……春澄ちゃんまで」

「自業自得だよ」

 そう言った後に楽しそうに笑う春澄。

 昇が春澄と話すようになったのは、今日で三日目だが、今まではお互いに重たい過去を話したからだろう。今ではすっかりお互いの事を理解したかのように楽しげに談笑している。昇にしては珍しい事に女の子とこうした談笑をするのは滅多に無い事だ。

 なにしろ、いつもシエラ達に囲まれているのだから。昇としてはシエラ達とは違う女の子と談笑する事が新鮮であり、春澄と話していると楽しくもあった。そして春澄も昇の話をよく聞いてくれていた。

 なにしろ春澄は目が見えない盲目者である。それだけに見るという体験が全く無く、何かを体験しても半分ぐらいは理解出来ないだろう。だからこそ、こうやって昇の話を聞いて、楽しそうに笑っているのである。つまり、春澄の境遇がすっかり春澄を聞き上手にしてしまったのだろう。

 だが、そんな春澄だからこそ、昇は自分の事を話すのが楽しいし、争奪戦の事で話す事が出来ない部分も多いが、自分が感じた事、考えた事、理解した事、それらを春澄に話して。春澄も昇の話について一つ一つ真剣に考えたり、笑ったり、頷いたりといろいろな表情を見せてきた。

 どうやらお互いに理解し合えた部分が増えたのだろう。だからこそ、こうやって今は談笑する事が出来ているのだ。

 そんな春澄が昇の現状に付いて話を切り替えてきた。

「でも、昇さん。そろそろ誰かに決めないと……本当に取り返しが付かない事になりますよ」

「いきなり預言者のような言い方をしないでくれる」

 そう言いながら苦笑いする昇は春澄の言葉を聞いて、今の段階で考えている事を春澄に話した。

「それは分っているんだけどね……怖いのかな? もし……誰かに決めてしまって、今の関係が崩れるのが。だから、今の僕は誰か一人に決めるだけの勇気が無いんだよ」

「それって……自分が女たらしと言っているようなものですよ」

「そういう意味じゃありませんっ!」

 春澄の言葉に思いっきり突っ込む昇。そして二人はお互いに笑い出す。どうやら昇が突っ込めるほど、二人の関係は進行しているようだ。そして……そんな春澄がとんでもない事を言いだしてくる。

「それで昇さん、この前の事は考えてくれました?」

「この前って?」

「……酷い、昨日私から昇さんに告白したのに、私ってもう捨てられた女」

 ワザとらしく泣き崩れて見せる春澄。そんな春澄を昇は苦笑いした顔で見ながら、春澄に向かって話を続けるのだった。

「告白って、まあ、それに近い物は聞いたけど、本気で考えなくて良いって言ったのは春澄ちゃんだよ」

 そんな事を言った昇に対して春澄は元の態度に戻ると思いっきり溜息を付いた。

「ダメですよ、昇さん。少しは女の子の気持ちを考えてあげないと。昇さんは優しいところが良いところだけど、誰にでも優しいのはダメなところですよ」

「いや、別に誰にでも優しくしている訳じゃないけど」

「じゃあ、私への優しさも遊びだったのね」

 そう言って、再びワザと泣き崩れる春澄。そんな春澄に対して昇が思いっきり行動に出す。

「だから、それを止めてくださいっ!」

 春澄の態度に思いっきり突っ込む昇。確かに昇は誰に対しても優しさを見せる一面がある。ただ、それが女性に対して多いだけだ。だから昇としては女性に対してやましい事を考えた事は無いし、下心があって女性に接した事は今まで一度も無い。だからこそ、昇としても春澄に対して特別な感情がある訳ではなく。なんとなく、放っておけないという気持ちから、毎日春澄と会って話しているのだ。

 だから昇には春澄が、ここまで女性関係に対してふざける理由が理解できなかった。そして春澄も、そうやって昇をからかっているうちに、昇が本当に女性関係に疎い人物だと理解してきたようだ。

 そんな春澄がワザとらしく大げさに溜息を付いて見せた。

「本当に……昇さんを好きになった人は大変そうですね」

「いや、どちらかというと僕が大変な目に遭うことが多いんだけど」

「やっぱり大変そうです。まあ、だから好きになったとも言えるんでしょうけどね。その気持ちは私も良く分かりますから」

 そう言いながら軽く笑い出す春澄。昇は春澄が笑っている理由がまったく分からなかった。そんな春澄が笑いを止めると昇の方へと顔を向けてきた。

「あっ、そうだ。最後のお願いがあるんですけど」

 そんな事を言って来た春澄に昇は何も考えずに二つ返事で返す。

「うん、僕に出来る事なら、何でも……」

 そんな事を言った直後に昇は固まってしまった。なにしろシエラ達の事が頭を横切ったのだから。さすがに今までの事があるのだろう。昇は今まで春澄と話している時はシエラ達の事は忘れていたのだが、さすがに今回はやっとシエラ達の事を思い出したようだ。

 その事で一気に昇の顔色が悪くなる。この場合は幸いと言うべきだろう。盲目の春澄には昇の様子が分からなかった。だから昇の顔色が悪くなった事に気付かなかったのだ。そんな春澄に昇は細心の注意を払いながら問い掛ける。

「えっと、それで最後のお願いというのは何かな? もしかしたら僕には出来ない事かもしれないし」

 念の為に最後にそんな言葉を付け加える昇。そんな昇に向かって春澄は意地悪な微笑を向けるとゆっくりと口を開いた。

「それは……最後のお願いだから、最後に話すね」

「……へっ?」

 春澄の言葉が良く理解できなった昇。そんな昇を気にする事無く、春澄は話題を切り替えてきた。

「そうだ、確か昇さんって海外からのお友達も居るんでしょ。その人の事も聞きたいな」

 春澄がフレトの話題を振ってきたので昇は思考を中断させて春澄との会話を優先させた。この時の昇は春澄の言葉がそんなに重要だとは思ってはいなかったようだ。まあ、それもしかたない。もう、春澄が決めた事なのだから。

 それから二人は夕暮れまで談笑し、お互いに笑い合い、楽しい一時を過ごした。それから、いつものように春澄は別れを告げるように立ち上がると「また、明日だね」と言って、アルビータの所に歩いて行くのだった。

 そんな春澄を昇はいつものように見送るのだった。今はまだ……何も気付かないままに。



 日が落ちて、人が作り出した明かりが町中を照らしている中を春澄はアルビータの手を取りながらゆっくりと歩いている。そしてアルビータから春澄に向かって話し始めた。

「大体の事は調べが済んだ。後はいつ決行するかだな」

 そんな事を口にしたアルビータ。そして、アルビータの言葉を聞いた春澄はアルビータが思いも寄らない事を言い始めた。

「やっと分かったんだけど。昇さんと、あのお屋敷の人……たぶん、ううん、確実に友達だよ。だって、昇さんから感じた精霊の気配が、あのお屋敷からも感じたから。それに……昇さんの話しに出てきた人。その人が今回の相手になるよ」

 春澄の言葉に驚きを示すアルビータ。春澄の能力はアルビータも良く知っているが、まさか昇との会話から、そこまで推測しているとはアルビータも思いも寄らなかった事だ。なにより春澄がそこまで知っておきながら、計画を中断しない事にアルビータは驚いていた。だからこそ、アルビータは尋ねずにはいられなかった。

「それでも……実行するのか?」

 そんなアルビータの問い掛けに春澄はアルビータに向かって微笑むと、はっきりとした口調で答える。

「もちろんだよ。だって……私が見たいと思ってたし。それに……今では、はっきりと分かる。私と……昇さんはしっかりとした因縁があると。それに昇さんも友達が私達に倒されたとなると……黙っているわけが無いよ。絶対に私達に戦いを仕掛けてくる、ううん、少なくとも戦ってくれるはずだよ。その時こそが……私達の終焉だよ」

 春澄の言葉を聞いてアルビータはいつもの表情に戻るとはっきりと口にした。

「春澄が、それを望むのなら、私はいつまでも戦おう」

「うん、ありがとうね、アルビータ」

 そんな言葉で感謝を述べる春澄。一方のアルビータからは返事が無い。これもいつもの事なのだろう。だから春澄はアルビータから返事が無くても、まったく気にしなかった。それよりも春澄はこれからの事を考えるのだった。

 さてと、これで作戦を実行すれば……確実に敵同士になるね昇さん。でも……それは私が望んだ事だから。だから私は後悔しないよ。私は昇さんと戦う決意を持ってる。昇さんはどうなのかな? 全てを知っても私と戦ってくれるかな? ……けど、戦うしかないよね。だって、私達が昇さんの友達に戦いを挑んで倒すんだから。そうしたら、昇さん自身が出てくるしかないよね。そんな時に、どんな態度を取るのかな? 怒る、それとも嘆くのかな? どちらにしても、もう運命は決まった。後は……実行するだけだよ。

 そんな事を考えた春澄はアルビータに告げるのだった。

「明後日の夜に仕掛けるよ。その翌日はお休みだし、昇さん達も混乱の中で戦いたくは無いだろうから。だから昇さんにもしっかりと休んでもらって、そして戦ってもらうよ」

「そうか」

「うん、そして……昇さんとの戦いが最後になると思う。昇さんが……私達に終焉をくれる。だからアルビータ、それまではお願いね」

「分かった、ならばそうしよう。これで……私も終焉を迎えられる。今まで奪ってきた命に……終止符が打たれる。ならば戦おう……終焉を迎えるために」

「うん、最後まで一緒だよ、アルビータ」

「当然だ、我が主よ」

 そんな会話をしながら、春澄とアルビータは身体を休めるために、既に決まっているホテルに向かって歩いて行くのだった。






 さ~て、いよいよ春澄達の目的が明らかになってきましたね~。だが……それは本当の目的では無いのですよ。春澄達の本当に願っている目的とは……今後のエレメでお確かめくださいな。

 さてさて、そんな訳で、あまり代わり映えが無い。まあ、場面が今までとカブっているので、そんなに真新しい場面はありませんが、次回はいよいよ、昇がっ!!! ……まあ、それは次回のエレメを楽しみにしてくださいな。

 さてさて、私はこうやって無事に小説を上げる事が出来たのですが、皆さんはいかがお過ごしでしょう。あの未曾有の地震から、かなりの時間が過ぎました。無事に、そして元気にお暮らしでしょうか。もし、被災地で、エレメを読んでくれている方がいらっしゃったら。私には何も出来る事はありませんが、影ながら無事だった事を祈り、亡くなった方には哀悼の意を捧げたいと思います。

 そしてエレメを読む事で、少しでも楽しい一時を過ごして頂けたのなら、私としては、今回の地震に対して充分な事が出来たと思っている次第でおります。そんな訳で、地震もまだまだ予断を許さない状況であり、復興も始まっている今日。被災地の方々には頑張って、そして元気に暮らしてもらいたいと、影ながら祈る次第でございます。

 そんな訳で、今回は真面目に後書きを書かせてもらいました。まあ、あの地震が来た後ですからね~。さすがに、ここであまりふざけるのもどうかと思ったもので。そんな訳で今回は真面目に後書きを書いたのですが、次回からはいつも通りにふざけた内容の後書きとなるでしょう。

 ……まあ、私の後書きだし、それでも良いよね~(笑)

 そんな訳で、長くなったので、そろそろ締めますね。

 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。

 以上、被災地とは呼べないけど、少しだけ地震の影響を受けている葵夢幻でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ