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エレメンタルロードテナー  作者: 葵 嵐雪
百年河清終末編
126/166

第百二十六話 盲目の少女

 豪快に前のめりに倒れて、地面と思いっきり顔面でキスをする昇。よっぽどシエラ達の事で頭が一杯になっていたのだろう。だから足元が疎かになって、そのような結果となってしまったようだ。

「っててて」

 けれども、いつも巻き込まれているシエラと琴未の戦いに比べれば、この程度の事はかすり傷にも入らないだろう。昇は一応傷む顔を押さえながらも、未だに転ぶ切っ掛けとなった足に絡み付いている、それに目を向けて手に取る。

 これって……ステッキ? でも、なんでこんな所に? そんな疑問を覚える昇だが、その疑問はすぐに解決する事になる。なにしろ、昇の足元から少し離れたところに、少女が何かを探すように座り込んで、地面を手探りで何かを探しているようだからだ。そんな少女を目にすれば、昇が足に引っ掛けてしまったステッキは、この少女の物だという事は昇でなくても察しが付くところだろう。

 あ~、これって、あの子のか。でも……なんで目を瞑ってるんだろう? 少女が瞳を閉じて、手探りで地面を探している事に昇も違和感を覚えたのだろう。なにしろ普通なら目を開いて目で探せば良いのに、少女はわざわざ瞳を閉じて手探りで探しているのだ。それが何を意味しているのか昇は少しだけ考えると、すぐに答えを出して大きな罪悪感と心が焦りを見せる。

 あの子、もしかして……目が見えないとか? あ~、だから、ああやって手探りで、このステッキを探してるんだ~……って! ならすぐにこのステッキをあの子に返さないとじゃないかっ! 今頃その事実にやっと気付いた昇は慌てて立ち上がると、未だに地面を探している少女に声を掛ける。

「えっと、ごめんなさい。探しているのはステッキだよね。どうも僕が足に引っ掛けちゃったみたいで、だから……えっと」

 とりあえずは謝るが、その後は何て言えば良いのか分からない昇はすっかり困り果ててしまった。自分が悪いという気持ちがあるだけに真っ先に謝ったのだが、相手は盲目の少女である。だから昇としては、どう接して良いか分からないと言った感じを丸出しにしている。

 そんな昇とは正反対に少女は声を掛けてきた昇の方へ顔を向けると静かに手を伸ばしてきた。どうやらステッキを返して欲しいという意思表示なのだろう。そんな少女を見て、昇は慌てて手にしている少女の手に戻すと、そのまま少女の手を取ってステッキを握らせてあげるのだった。

 それから二人ともゆっくりと立ち上がる。正確には昇が少女を導きながら立たせたから、自然とゆっくりと立ち上がる事になったのだ。そして立ち上がると昇は再び少女に向かって早口で謝り始める。

「本当にごめんなさい。僕が別の事をずっと考えてたから前を見てなくて、だから君のステッキに足を引っ掛けちゃったんだけど、だから僕は転んだというか、僕よりも君の方に迷惑を掛けたから。だから何て謝って良いか、だから本当にごめんなさい、ワザとじゃないんです、事故だったんです」

 早口でそんな言葉で謝ると相手に見えていないのにも関わらずに昇は深く頭を下げたのだった。

 そんな昇の誠意が通じたのか、それとも昇が面白かったのかは分からないが、少女はきょとんとした顔をしていたが、すぐに少女は笑い出したのだ。その事に昇はゆっくりと頭を上げると、未だに笑い続けている少女に声を掛けた。

「え~っと、あの~?」

 少女が何でこんなにも笑っているのか分からない、昇は戸惑いながらも少女に声を掛ける。その声を聞いた少女は笑いを押さえ込むように、ゆっくりと呼吸をすると始めて昇に向かって話し掛けてきた。

「私の方こそ笑ってごめんなさい。でも……そこまで謝らなくても大丈夫よ。ワザとやった事じゃないのなら、私は怒ったりなんかしないから。だから、そんなに謝らないで」

 そんな少女を言葉を聞いて昇も一安心したのだろう、昇は安堵の息を付くと、再び少女が軽く笑い始める。その事に首を傾げる昇、それから昇は少女に声を掛けるかどうか迷ったが、昇の雰囲気を感じ取ったのだろう。少女の方から昇に向かって話し掛けてきた。

「ごめんなさい、まさか初対面の私に対して、ここまで謝る人も、安心したような人も居なかったから。つい面白くなって、だから笑ってごめんなさい」

 そんな少女の言葉を聞いて昇も慌てて言い返す。

「そんな、こちらこそ謝らないとだよ。だって、君の大事なステッキを蹴飛ばしたどころか、間違ったら折れそうな勢いで転んじゃったんだもの。だから僕が謝って当然だし、前をまったく見て無かった僕が悪くて当然だから、僕が謝るのも当然だから」

「ありがとうございます」

 昇の言葉にお礼の言葉を述べる少女。昇としてはお礼を言われる筋合いは無いのだが、少女から見れば、ここまで初対面で心配してくれた人だからこそお礼を言ったのだろう。だが相手は昇である。そんな事に気付きもしないままに、少女の言葉にどう対応して良いのか分からなくなってしまった。そんな時に少女は昇の声を頼りに、昇が居る方向へ顔を向けると微笑みながら言葉を口にする。

「でも……私って怒ったらそんなに怖いですかね? 自分では分からないから、他人から見たら私は怖いのかもしれませんね」

 そんな事を言い出してきた少女に向かって昇は慌てて弁明する。

「いや、そういう意味じゃなくて。君は全然怖くないけど、えっと、むしろ可愛いぐらいというか、そんな感じだから大丈夫だよ……って、そうじゃなくて……えっと」

 最早何を言っているのか自分でも分からなくなってきた昇。そんな時だった、少女は再び軽く笑い始めると昇に向かって一言だけ言って舌を軽く出す。

「冗談です」

「……えっ、あっ……あぁ、そういう事か、良かった~」

 やっと少女の冗談だと察した昇は再び胸を撫で下ろして一安心する。それから昇は目の前にいる少女をしっかりと見るのだった。

 外見からして年齢は昇の一つか、二つ下と言ったところだろう。瞳を常に閉じており、目付きは良く分からないが、それでも少女は可愛いと思わせるほどの雰囲気と容姿を持っていた。更に長い髪が少女の雰囲気を良くしている。言うなれば、シエラ達とは正反対の守ってあげたいと思わせるような雰囲気を出している少女だった。

 そして昇は少女に話しかけて、少女の手を取るのだった。



「はい、どうぞ」

 昇はそう言いながら少女の手を取ると、今しがた買って来たクレープを握らせてあげるのだった。盲目の少女を気遣ってだろう。クレープに巻かれている紙は取ってあり、食べやすくなっている。昇は少女がクレープをしっかりと手に取るのを見届けてから、昇も少女の隣に座る。

 あれから昇は少女の手を取って、近くにある公園へと足を踏み入れたのだ。もちろん、少女にしっかりと謝らないといけないと思ったからだろう。だから昇は少女を公園のベンチに座らせると、自分はクレープを買いに走り。今しがた、それを少女に渡して自分も一息ついたところだ。

 そんな昇が隣で手探りでクレープを口に運ぶ少女を優しげな目で見守っており、少女はクレープを一口食べると、美味しそうな笑みを浮かべて昇も一安心したかのように自分が食べる分のクレープを口に運ぶのだった。

 そんな時だった。少女は口を少し休めると昇に話し掛けるかのように言葉を口にする。

「春澄、雫春澄しずくはすみ、それが私の名前よ。変な名前だよね」

 春澄がそんな事を言って来たので、昇も慌てて口の中を空にすると、すぐに春澄に向かって話し掛ける。

「そんな事無いよ、綺麗な名前だと思うよ。あっ! そうそう、僕は滝下昇、歳は一六歳だから君よりも年上かな?」

 そんな事を言いながら春澄に向かって微笑む昇。けれども春澄は昇の方へ顔を向けようとはしなかった。少しずつクレープを口に入れながら、昇の方へ顔を向けずに話を続けて来たのである。

「うん、そうだね。本当なら私も中学生だから、昇さんの方が年上だよ。そして……綺麗な名前だって言ってくれてありがとう。そう言われたのは昇さんで二人目だよ」

「二人目っていうと、もう一人居るっていう事?」

 そんな事を聞き返す昇だが、春澄が持っていたクレープが謝って口から外れた場所に行ってしまったために春澄のほっぺには生クリームが思いっきり付く事になってしまった。昇はポケットからハンカチを取り出すと、春澄の頬についている生クリームを取ってやるのだった。

 それから春澄はクレープの形を確かめるように手探りで形を確かめると、手に付いたクリームを舐め取る。それから昇との話を再開させてきた。

「うん、そうだよ~。その人とは今でも一緒に居るんだけどね。今は用事があるから別行動を取ってるの」

「えっと……その用事については聞いたちゃダメかな?」

「うん、それは話せないよ」

 やっぱりか~。そんな事を思う昇だった。昇がそんな事を思うのは不自然なようにも思えるだろう。盲目とはいえ春澄は中学生、そして今は放課後となっている時間帯だ。だから春澄が外に居てもおかしくは無いのだが、春澄が着ている服はどう見ても私服。どこかの学校に行っている訳ではないのが昇には分っていた。だからこそ、そんな事を聞いたのだが、やっぱり春澄は何も答えてはくれないみたいだ。

 それでも、いや、だからこそ昇は春澄に興味を持ったのだろう。昇は春澄について話を続けるのだった。

「えっと、春澄ちゃんで良いかな?」

「うん、好きなように呼んでも良いよ」

「うん、ありがとう。それで春澄ちゃんはどんな生活をしてるのかな? こう言っちゃ悪いけど、とても学校に行って普通に暮らしてるとは思えないんだけど」

 率直に思った事を口にする昇。確かに昇が言ったとおりである。この時間帯で私服で出歩いている中学生は、まず居ないだろう。それに昇がそう思ったのは、春澄が着ている洋服がくたびれているからである。確かに洗濯はしているのだろうが、とても綺麗な状態とはいえない。服にはシワが多く、同じ服を定期的に着まわしていると思ったからだ。だからこそ、昇はそんな事を口にしてみたのだ。

 そして昇が言った事は的を射ていたのだろう。口に持って行こうとしていた春澄のクレープが口の寸前で止まると、春澄の手はクレープを下ろしてしまった。それから口は昇との会話を続ける。

「普通に暮らすか……それは私達の願いでもあるけど、その願いは私達には絶対に叶わない願いだから。だから私達は普通の生活を捨てるしかなかったんだよ。それから昇さん、なんで私がいつも目を閉じているか分かりますか?」

 突如として真剣な口調に変わってきたので、昇は春澄の雰囲気に戸惑いながらも、春澄との会話を続ける。

「えっと、目が見えないからじゃないの?」

「ふふっ、目が見えなくても目は開けられますよ」

「でも春澄ちゃんは目を閉じてるよね。そこには理由があるの?」

「えぇ、昇さんは盲目者が目を開けた時に目がどうなっているか分かりますか?」

 質問を質問で返されて昇は春澄の質問に答えようと思考を巡らすが、どうしても答えを見つける事が出来なかった。そして昇は降参したように大きく息を吐くと、それが春澄にも聞こえたのだろう。春澄は軽く笑ってから、再び真剣な口調で答えを言って来た。

「盲目者が目を開くと、目が見えない訳ですから焦点が合わないんですよ。だから、左右の瞳孔が別々な方向に向く。私は、その事で昔……苛められた事があって、だから……いつでも目を閉じるようになった。ううん、目を閉じる努力をした。これが答えです」

「…………」

 春澄の答えを黙って聞いていた昇だが、ここまで真剣な口調で重い話をされると昇としても、どう返事をして良いのか分からないのだろう。だから昇は沈黙で春澄に答えるのだった。

 それから春澄は初めて昇の方へ顔を向けると、ゆっくりと微笑むのであった。

「やっぱり……昇さんは優しいですね。普通ならこんな話をしたら適当に流すか、逃げ出すかのどちらかなんですけど。昇さんは私の話を聞いて、私の事を考えてくれてる。だから……凄く優しい人ですね」

 そんな事を言ってくる春澄。そんな春澄の言葉を否定するかのように昇は話を続ける。

「そんな事は無いよ。僕は春澄ちゃんの話を聞いても何も出来ないし、何かをして上げることも出来ない。ただ……こうやって話し相手になってあげる事しか出来ない。だから全然優しくなんか無いよ。僕は僕が正しいと思った事をやってるだけだよ」

 そんな昇の言葉を聞いて、春澄も再び昇から顔を逸らして真正面に持って行くとクレープを口にする。それから今までとはまったく違う、優しい口調で昇に向かって言葉を返すのだった。

「やっぱり昇さんは優しいですね、それに……とても強い。昇さんからは、そんな強さと優しさを感じます。そう、今まで誰からも感じた事が無い、強さと優しさを。だから……私とも仲良くしてくれると嬉しいです。どうですか?」

 突如として、そんな申し出をしてくる春澄。そんな春澄の言葉を聞いて、昇は何故だかためらいを感じていた。普段の昇なら即答で良いと返事を返しただろう。けれども春澄に対しては何かを感じる物があったのだろう、だから即答せずに戸惑いながらも思考を巡らすのだった。

 確かに……僕は春澄ちゃんの申し出を断る理由なんて無い。無いんだけど……なんだろう……なんか……春澄ちゃんには僕の何かが見通されているような、そんな気がする。だから、春澄ちゃんと仲良くするという事は……自分の全てをさらけ出すように思える。春澄ちゃんになら、それでも良いと思うけど……なんだろう……僕の中にある……何かが……それを拒絶している。

 そんな風に戸惑いっていると春澄が、今まで食べていたクレープの最後を全て口の中に押し込むとゆっくりと飲み込む。それから閉じた瞳のまま顔を昇の方へ向けてきて、それから質問を重ねてきた。

「やっぱり……こんな私とは仲良くは出来ないですか? 目が見えない私とは……仲良くしたくないですか?」

 そんな質問をしてきた春澄に対して昇も真剣な面持ちと声で言葉を返す。

「その質問は……卑怯だと思うな」

 そんな発言をしてきた昇に対して春澄は驚きの表情を浮かべる。それから春澄はすぐに微笑を浮かべると再び昇に向かって言葉を返した。

「……そうですね。そして……ありがとうございます。何か……ますます昇さんに興味が沸いてきちゃったよ」

 そんな春澄の言葉を聞いて昇は半分照れるように、半分は何かを隠すように春澄から視線を逸らせて頬を掻くのだった。昇としては、それは自然な事だから、そうしたのだが、やっぱり春澄から見れば、昇の態度は特別であり、昇の優しさと価値観がにじみ出たものだからこそ、春澄は昇に興味が沸いたと言ったようだ。

 話を少し整理すると昇が発した言葉が全ての切っ掛けとなっている。『卑怯だと思うな』その言葉こそが春澄を盲目者、つまり障害者として特別な目線で見ている訳ではないという証拠なのだ。もし、昇が春澄を障害者として特別な目線で見ているとした、絶対にそんな言葉は出ないだろう。

 もし、昇が春澄を障害者として特別な目線で見ていたのなら、春澄の質問に対して必ず否定するだろう。それは春澄が障害者だから仲良くしたくない訳じゃないと言っているような物だからだ。だからこそ、春澄には昇の優しさと強さがより良く分かったし、昇に対して興味が沸いたのだろう。

 たぶんだが、この場合はほとんどの人が春澄の質問に対して否定的な答えを口にするだろう。だが、それは春澄から見れば、障害者だから仲良くしてくれるのであり、普通ならどうなのだろうと首を傾げるような結果と成るだろう。つまり、この場合は障害者だから優しくしてくれるという複雑な心境を相手に与える場合が多いのだ。

 けれども昇は春澄をあくまでも春澄という人物として接していた。だから春澄が障害者だから仲良く出来ないのか? と聞いてきた時に、その質問は卑怯だと返したのだ。それは昇から見れば春澄が障害者という立場を有利に相手を強制的に肯定させる手段にも思えたからだ。だから昇はそれを指定するかのような言葉を返し、その言葉を聞いた春澄も昇に対して興味が沸いた。

 たぶん、春澄も今まで親切にしてもらった事は沢山あるだろう。けれども、それは春澄が障害者だから、だから親切にしてくれたし、優しくもしてくれた。けど、もし春澄が障害者で無ければどうだろう、今まで親切にしてくれた人は障害者では無い春澄に親切にしてくれただろうか。たぶん答えは否だろう。つまり、相手が障害者というだけで、その人は周りから親切にされる事が多い分、普通の人とは区別されるのだ。

 けれども、昇は春澄の目が見えないと分っても、目が見えなくて不自由な部分だけを助けて、それ以上の事は一切助けてはいない。つまり昇は春澄を障害者という認識よりも、春澄という人格を先に見るようにしていたのだ。だから春澄が仲良くして欲しいと言って来ても、即答せずに迷ったのだろう。

 それは当たり前の事だろう、出会ってから十数分しか経っていない相手に、あまり分かり合えていない相手に仲良くして欲しいと言われれば、誰だって即答は出来ないだろう。よっぽど気が合うか、酒の席でなければ、初対面の相手とはすぐに仲良くして欲しいと言われても、すぐに承諾なんて出来ないだろう。相手が障害者ではなく、普通の人物なら、それが普通だろう。

 けれども、相手が障害者になると人はすんなりと、その人が仲良くして欲しいと言えば、すぐに承諾の返事だけでも返してしまうものだ。それは相手が障害者だからこそ、優しくしてあげないと、仲良くしてあげないと、そんな気持ちが出てくるからだ。それはそれで良い事なのかもしれない。

 けれども昇は違っていた。たとえ相手が障害者であっても、昇はその事を放っておいて、まずはその人物を見る。相手の性格はもちろん、価値観や考え方、そうした物を見て、この人とは仲良くなれるかを判断しているのだ。

 まあ、昇自信には、そんな事をしている自覚は無いが。綾香が昇にしてきた教育の成果か、昇は自然と相手をそんな風に見るようになっていた。そんな昇の心にはある言葉が刻まれていた『人間生まれながら不平等、身体的に貧しい人、精神的に貧しい人、環境的に貧しい人、誰もが何かを背負っている。だから人の本質は見掛けの向こうにある』そんな言葉だ。

 たぶん、昇が幼い頃から綾香に言われ続けた事で、昇も自然と覚えた言葉なのだろう。けれども、昇はその言葉が意味している事をしっかりと理解しているからこそ、春澄を障害者ではなく春澄という人物として見ている。だから、昇はあのような言葉を発したのだ。

 一方の春澄も昇に卑怯だと言われて少しだけ嬉しかった。春澄も障害者として自然と周りが優しくしてくれる人が多いと思っているのだろう。それは意識的にではなく、自然とそうなってしまった事であり、その事が春澄に障害者だからこそ特別に優しくしてもらえるという概念を植えつける事になってしまっている。

 けれども春澄は、それとは真逆な事も考えるようになっていた。それは自分の目が普通に見えていたら、周りの人はどうしていたのだろうと? やっぱり優しくしてくれてたのだか、それとも無関心だったのか。そう考えると確かに優しくしてくれるのは嬉しいが、その優しさが何に対してなのかが気になっていた。

 そこに昇から卑怯と言われたのだ。だから春澄としては嬉しかったのだ。今までは、どんな事をしても障害者というレッテルが付きまとっていた。それは人に優しくされたり、意地悪されたりと様々な待遇を受けていただろう。そして、そのほとんどが、春澄には障害者だからという認識があった。

 そこに昇は障害者という春澄のレッテルを無視して、春澄の行動を批判するような言葉を投げ掛けてきたのだ。それは春澄にとっては、初めて障害者という認識を無視して、春澄自身を批判する言葉であり、初めて自分を見てくれたという認識があったのだろう。だからこそ、春澄は嬉しかったのだ。あの昇の言葉には……障害者という春澄のレッテルを無視して、本当の春澄を見ての言葉だったからだ。

 だから春澄も自分自身の非を認めて、謝るのと同時に昇への興味が増したと言ったのだ。春澄も今までいろいろな人と関わってきただろう。だが、昇ほど障害者というレッテルを無視して自分を見てくれる人は居ないだろう。だからこそ知りたくなったのだろう、昇という人物を、自分を春澄という人物で見てくれる人の事を。

 そんな事実を二人が理解している訳では無いが、春澄ははっきりと感じたようである、昇という人物が自分をしっかりと見てくれるという事実を。一方の昇はそこまで自覚がある訳ではなかった、ただ思った事を口にしただけに過ぎない。だからこそ、春澄から顔を逸らすと照れるように頬を掻いたのだ。

 けれども、これで春澄の興味が昇にますます向いた事は確かだろ。春澄は昇にしっかりと顔を向けて言葉を投げ掛けてきた。

「なら……まずはお互いの事を話しましょう。もちろん、話したくない事は話さなくても良いから、お互いの事を話し合って、まずはお互いの事を知りましょう。それじゃ……ダメ?」

 そんな春澄の言葉を聞いて、昇も春澄に向かって顔を向ける。春澄は瞳は閉じているものの、その顔からおねだりしているような、そんな雰囲気を出しているのを昇はしっかりと感じ取っていた。だからだろう、昇が思わずこんな事を思ってしまったのは。

 ……可愛い……って、違う違うっ! そんな事を思っちゃダメだっ! まあ、確かにお互いを理解するには、まず自分達の事を伝え合わないとだよね。まあ、そこは分かるんだけど……なんだろうな~、何かが引っ掛かるのは? けど……まあ、良いかな。だって、軽く話をするだけだし、ここから大きな問題に発展する事は無いよね。

 そんな事を思う昇。たぶん春澄の雰囲気に呑まれて、すっかり忘れているのだろう。そう……シエラ達の事を。そんな事に気付く事無く、昇は春澄に向かって話し始める。

「そうだね、それぐらいなら良いかな」

「うん、ありがとう。じゃあ、まずは昇さんの事から教えて」

 そんな事を言って来た春澄の顔には満面の笑みが出ていた。だから昇としても春澄の言葉を拒否する事は出来なかったのだろう。それでも、複雑な自分を取り巻く環境を考えながら春澄に話す。

「えっと、僕は両親と三人暮らしだったんだけど。父さんは仕事柄、海外に行く事が多くて、だから父さんの事はあまり知らないんだけど。今では、その、いろいろとあって、四人の居候がいるんだよね。だから毎日が賑やかで、楽しいけど、苦労してる……そんなところかな」

 自分の事を話し終えた昇は一息付く、さすがに争奪戦や精霊の事なんて言える訳が無く、なんとか誤魔化しながら話したのだ。だから昇はシエラ達に関しては名前すら出してない、それが功をそうしたのか、春澄は四人の居候より昇の父親に興味を持ったようだ。

「お父さんは何をしてる人なの? 海外に行く事が多いって事は飛行機のパイロットさんとかなのかな?」

 そんな質問をしてきた春澄に対して昇は少し呆れながら自分の父親について話し始める。

「いや、父さんは考古学者なんだ。本当なら、どっかの大学で考古学について講師をするだけで良いんだけど。父さんは何でも自分の目で見ないと気が済まない人だからね、だから何か新しい発見があると、すぐにそこに行っちゃうんだ。それでも、そこですぐに功績を上げちゃうから、何処からでも歓迎されちゃうんだよね。だから世界中を飛びまわってるんだよ。時々来る手紙には、そこは何処? って聞きたいところから手紙が来る事もあるしね」

 半笑いで呆れながら自分の父親について話す昇。まあ、それはそうだろう、なにしろ自分の父親が自分の家族を放っておいて、自分の興味を持った場所に飛んで行って、そこで研究チームに歓迎されて、更にそこの研究チームで功績を上げてくるのだ。そんな人物だからこそ、どこでも行けるのだろう。

 だから学者としては、凄く優秀かもしれないが、息子の立場としては半分は呆れるものの、半分は羨ましいと思う部分があるのだろう。なにしろ昇の父親は自分の好きな事を自由にやっており、その仕事を認められている。男としては理想な生き方だろう。だから昇は呆れながらも、そんな父親を少しは認めてるし、いつか自分もそんな生き方をしたいと思っているようだ。

 そんな昇の話を楽しいそうに聞いていた春澄は終始、楽しそうに昇の話を聞いていた。やっぱり昇の父親についてはかなり面白い話だったから、春澄は満面の笑みを浮かべている。そんな春澄の笑顔を見た昇は春澄に向かって言葉を投げ掛けた。

「じゃあ、次は春澄ちゃんの事を教えてよ」

 そんな昇の言葉を聞いて春澄の顔から急に笑顔が消えた。それから春澄は座り直すと、瞳を閉じた顔を真正面に向けならが、ゆっくりと口を開いてきた。

「私は自分の両親を知らない。私の目は先天性な物だから絶対に治らない。だから両親は私の目が見えないとお医者さんに告げられた時には、私を育てて行く自信が無かったんだって、だから私の両親はすぐに私を障害者孤児院に預けたの、どんな事をしても私の眼は治らないって知らされたのが決意させたんだって」

「……寂しかった?」

 春澄の話を聞いていた昇は思わず、そんな事を聞いてしまった。そんな質問を受けた春澄は一瞬だけ驚いた表情になるが、すぐに微笑を返してきた。

「その質問をしたのも昇さんで二人目だよ、やっぱり……似てるんだね、優しいところが」

 そんな事を言うと春澄は再び昇から顔を背けて正面を向くと、再び無機質な声で話を続けてきた。

「寂しいと思った事は無いよ。だって……それ以上に嬉しいと思った事が無いから。今に思えば毎日が寂しかったのかもしれない、けど……それが普通になっちゃったから、特別に寂しいと思った事は無いよ。だから私は物心付いた時から、いつもこんな感じだったよ。でも……私達は出会った、それから私達の世界は変わった。それが、どんなに大きな代償を支払う事になったのだとしても、私は今の時間が好き、今の世界は大好きだよ」

 そんな言葉を最後に春澄は再び昇に顔を向けてきて微笑んできた。そんな春澄とは対称的に昇には春澄の話しに引っ掛かる部分があるのをしっかりと感じていた。

 春澄ちゃんは、はっきりと言った……どんな大きな代償を支払う事になったのだとしてもって……そっか、そういう事か。どうやら昇にはやっと今まで引っ掛かっていた物が分かったようだ。まるで歯の奥に詰まった物が取れたようにスッキリとしたし、詰まってた物が何をやっと理解した。

 ……春澄ちゃんの瞳を見る事が出来ないから、今まで気付かなかったけど。春澄ちゃんは……何か大きな覚悟と決意を背負ってる。普通の人なら、そうした物が目に出るんだけど、春澄ちゃんの瞳は常に閉じてるからな~、まったく気付かなかったよ。でも……春澄ちゃんにそこまでの大きな覚悟と決意をさせているものって……いったい……何だろう?

 昇がそんな事を考えている時だった。春澄が突如として立ち上がるとある方向に顔を向けた。それから何かを確かめるように春澄は見えない瞳で一点を見詰めると昇に向かって振り返ってきた。

「ごめんなさい、今日はもう行かないと。でも……昇さん、一つお願いして良いかな?」

「えっ、あっ、うん、僕に出来る事なら」

 今まで考え事をしていたためだろう、昇は春澄の言葉に思わず二つ返事で返してしまった。けれども、そんなに大事では無いだろうと、昇は春澄に向かって微笑みながら春澄の言葉を聞く事にした。

「また……明日もこうやってお話をしたいな。だから、明日もこの時間、この場所で私と会ってもらえますか?」

「…………」

 そんな春澄の真っ直ぐな言葉に昇はすぐに答える事が出来なかった。春澄の言葉と雰囲気で春澄に何かがある事は昇は察する事は出来た。だからと言って昇は春澄とって何をすべきなのだろう? そう考えると昇には何も出来ないと結論を出すしかなかった。なにしろ……昇も春澄の事をあまり知らないからだ。だからだろう、昇が春澄にこんな答えを返したのは。

「うん、分かったよ。また明日ね」

「ありがとう、昇さん」

 昇の言葉に春澄は満面の笑みを向けてくる。その笑みを見て昇もこれで良かったのだと思う事にした。確かに春澄の覚悟も決意も昇には何なのかが分ってはいない。それでも、昇は春澄を応援したいと思った。それだけ、春澄は自分の運命に抗い、抵抗してるように思えたからだ。

 だからこそ春澄には必要だったのだろう、大いなる覚悟と決意が。だからこそ昇は思わず思ってしまった。そんな春澄の力になって上げたいと。春澄の覚悟と決意がどんな物であっても、昇は自分が出来る事はやってあげたいと思った。

 それは春澄が目が見えない障害者だからではない。春澄が全力で自分を取り巻く世界に、運命に抗おうと抵抗しているからだ。そんな春澄だからこそ昇は手伝いたいと思ったのだろう。だからこそ、昇は春澄との約束をしたのだ……他の事をまったく考えずに。

 そんな時だった、昇に背を向けた春澄が、まるで見えているかのように、ある方向に向かって大きく手を振って声を上げたのだ。

「こっちだよ~! ここ~!」

 その声を聞いて、今まで公園の人込みで分からなかったが、ある人物がこちらに歩いてくるのがしっかりと分かった。

 その人物は男性であり、遠目でも分かるほどに筋肉質であるが、そんなに威圧感を与える雰囲気を出してはおらず、むしろ頼もしいと感じるほどの雰囲気を出していた。年齢は二十代前半だろう、身体とは違って顔付きは優しいものだった。けれども昇は、その男性を見て、何故か悲しい顔をしていると思った。その根拠は分からないが、ただ、そう感じただけかもしれないと、昇は再びこちらに歩いてくる男性に目を向ける。

 髪は短く、白銀のような色をしている。頼もしい体付きと、優しい表情が周りの女性達が自然と、その男性に目を向ける。それほどまでに、その男性には魅力があると共に、容姿も整っていたのだろ。そんな男性が近くまで来ると、春澄は再び昇に顔を向けてきた。

「それじゃあ昇さん、また明日ね」

 そんな言葉を聞いて昇も立ち上がると春澄の顔をしっかりと見て言葉を返す。

「うん、また明日ね。それと、その人は春澄ちゃんの保護者なの?」

 先程まで歩いていた男性がいつの間にか春澄の後ろに立っていたので、昇は思わず、その男性について尋ねてしまった。そんな昇の質問を受けて、春澄は満面の笑みで答えてくる。

「うん、今では私の家族だよ。そして……私の大事なパートナだよ」

 その春澄が発した言葉を聞いて、この男性こそが春澄との深い関わりがある人物だと昇はすぐに察する事が出来た。その間にも春澄は男性に昇の事を紹介していた。そして話が終わったのだろう。男性は春澄の後ろから昇の前にまで移動すると、ゆっくりと深く頭を下げた。

「今日は春澄を助けて頂き、ありがとうございます。このお礼は後日、必ず致しますので」

 そんな事を言って来た男性に対して昇は慌てて頭を上げるように言うと、今日の事を男性にも謝る。

「いえ、今日の事は僕が全部悪いんだし、お礼を言われる事じゃないですよ。だから、そんなに気にしないでください」

 そんな言葉を口にした昇は男性の瞳を真っ直ぐに見据える。その途端に昇は男性の瞳に吸い込まれそうな、そんな深みを男性の目に見た。その事で昇の意識が一瞬だけ揺らぐ、そして気付いた時には、昇は男性の手で支えられていた。そんな男性が優しい口調で昇に言葉を投げ掛けてきた。

「大丈夫ですか?」

 何が起こったのか分からない昇は頭を混乱させながらも、男性の手から離れながらも、自力で立ちながら、再び男性の瞳を見ると、やっぱり深い何かがあるが、今度はそれに飲まれる事無く、しっかりと見据える事が出来た。そんな昇が男性にしっかりと告げる。

「すいません、ちょっと立ちくらみがしたもので、もう大丈夫です」

 はっきりとそう告げる昇。あえて男性が持っている深みに手を入れるような言葉を口にはしなかった。昇も察したのだろう。男性が春澄と深く関わっているには、男性にも大きな覚悟と決意があるという事に。だからこそ、男性の瞳には深く、それが刻まれており、昇はその大きな覚悟と決意に飲まれるように押し流されたのだ。

 その事をはっきりと察したからこそ、昇はそれ以上の言葉を口にする事は無かった。

 それからすぐに春澄が男性の手を取ると昇に向かって満面の笑みを向けてきた。

「それじゃあね、昇さん、また明日ね。明日も楽しみにしてるから、絶対に来てね」

「うん、分ってるよ。それじゃあ、また明日ね」

 その言葉を最後に春澄が男性の手を引っ張ったので、男性は春澄を誘導するように歩き始める。そんな二人を見送る昇。そんな昇が二人を見送りながら思う。

 春澄ちゃん……ともう一人の男か。そういえば、結局男の人は紹介してくれなかったな~。なんでかな? もしかしたら僕達と戦う事になったりして……そんな訳はないか。ここで僕達と戦っても意味は無いからね~。もし、争奪戦に参加しているのなら、僕が契約者だという事に気付いているはずだし、それなら僕が一人でいる時、さっきの瞬間を狙った方が確実に僕を倒せたんだし、それをしないって事は争奪戦とは関係ないって事だよね。それにしても……春澄ちゃんが大きな代償を支払う程の決意と覚悟って何だろう。

 そんな事を考える昇だが、そればかりは本人の口から聞いた方が早いと判断して考える事を止めた。とりあえずは、明日の事を考える昇だが、突然何かを思いだしたかのように、今まで手に持っていた鞄が地面に落ちた。

 ……僕……もしかして……とんでもない約束をしちゃった? ……明日も、ここで春澄ちゃんと会って話をするって約束しちゃったよね。それって……シエラ達から逃げ切って、しかもシエラ達に見付からないようにしないといけないって事だよね。もし……見付かったら、僕だけじゃなく春澄ちゃんまで……。ど……どうしよう、どうすれば良いんだっ!

 やっと事の重大さに気付いた昇は心の中で思いっきり叫ぶ。

 春澄と交わした約束。それは明日、ここでゆっくりと話す事だけだが……この場合は相手が悪い。なにしろ春澄は女の子、しかも守ってあげたいと思わせるほど可愛い。もちろん、盲目という点もあるが、遠目から見ただけでは、そこまで気付かないだろう。つまり……ある意味ではデートに見えてもおかしくないという事だ。

 もし、そんな現場をシエラ達に見られでもしたら、どんな修羅場が待っているかなど想像を絶する事になる。しかも、下手をしたら春澄までも巻き込む事になる。春澄のためにも、それだけは避けねばならない。そうなるとどうすれば良いのかと考え込む昇。そんな時だった、突如として公園の時計が楽しげなメロディーと共に仕掛けが動き出す。どうやら、一時間おきに仕掛けが動き出すようだ。そのメロディーに誘われるように昇は時計に目を向けると……午後七時を過ぎていた。

 普段ならすでに家に居て、皆で夕食を頂いていてもおかしくない時間だ。それなのに昇は未だに公園にいる。だから昇はまず、今日の事から言い訳を考えなければいけなくなってしまった。



 その頃、昇と別れた春澄はというと、楽しげに夜道を歩いていた。今は繁華街を歩いているだけに人も多く、かなり注意して歩かないと、春澄が持っている杖が逆に事故の元になってしまう。傍に居る男性も春澄が誰かにぶつからないように気をつけながらも、春澄に向かって問い掛けるのだった。

「随分と楽しそうだな、よっぽど先程の男が気に入ったのか?」

 そんな質問をしてくる男性に春澄は満面の笑みを向けながら口を開く。

「そうだね、気に入ったといえば気に入ったかな。それに……あの人、昇さんから精霊の気配を感じた、しかも三人。昇さんは間違いなく契約者だよ」

 そんな春澄の言葉を聞いた男性は思いっきり溜息を付く。

「それで春澄、どうしたいんだ?」

 そんな事を聞いてきた男性に向かって春澄は今までに無いほど真剣な顔付きで話を続けてきた。

「昇さん、あの人の周りには三人も精霊が居る。後、分かり辛かったけど……たぶん、エレメンタルの能力を持つ契約者。だから四人の戦力があると思う。その四人の気配が一番強かった」

「一番強かった?」

 春澄の言葉にオウム返しで言葉を返す男性。そんな男性の顔を見るように春澄は頷いて見せた。

「うん、後は交じり合って良く分からなかったけど、複数の精霊の気配を感じた。契約者が持ってる残り香みたいなものだから良く分からないけど……どちらにしても……今まで戦ってきた中では一番強いと思うよ、それに戦力も揃ってる」

「そこまで分っていながら何を望むんだ?」

「これは……私の望みじゃなくて……アルビータの望みだよ」

 その言葉を聞いて男性、いや、アルビータも黙り込んでしまった。そして何かの結論を出すかのように大きく息を吐くと、話を続けてきた。

「そうか……なら……我らの旅もここで終わりか。春澄はそれで良いのか?」

 そんな事を問い掛けるアルビータ。そんな質問を聞いた春澄は瞳を閉じながらも、口元に笑みを浮かべながらはっきりと答える。

「私の事なら気にしなくて大丈夫だよ。私も……最後に見たいものが決まったから。だから……私達の旅はここで終わり、お互いに望む結果を手にして終わりにする。それで良いよね、アルビータ?」

「……春澄の見立てどおりなら、間違いないだろう。なら、我からいう事は何も無い。後は終焉を迎えるまで、全力で挑むのみ」

「うん、期待してるよアルビータ。そして……昇さん、あなたなら……きっと……。でも、その前に、この前のを見ないとだね」

「もう少し調べた方が良いな、だからもう少しだけ待ってくれ」

「うん、分かったよ」

 その会話を最後に春澄とアルビータは夜の街、人々の雑踏が作り出す音に消えて行くのだった。






 はい、そんな訳でお送りしましたエレメですが……如何でしたでしょうか?

 ついに二人の人物がはっきりとしましたね~。盲目の少女、春澄。そんな春澄に付き添うように存在するアルビータ。二人の目的はいったい、そして二人の終焉とは? そして昇はこれから待ち受ける修羅場をどうやって切り抜けるのか? 今から見所が満載ですね。

 ……特に昇がどうやって修羅場を切り抜けるところとか……まあ、今の段階ではまったく考えてないんだけどね(笑) だから私も次回の話で昇がどうやって修羅場を切り抜けるかに期待してます(無責任) まあ……昇ならなんとかするでしょうね。そんな訳で次回は昇の奮闘ぶりに期待するとしましょう。

 さてさて、今回も説明文が多かったですね。まあ、私としては、かなり噛み砕いて説明したつもりですが……分かり辛かったですかね。まあ、分かり辛かったら一報ください。次は頑張りますから(笑)

 いや、だって、今から書き直すのも無理だもん、そんな時間は取れないんだもん。だから、そこは……ゆ・る・し・て(ハート)

 ……って、何で私が張り付けにされてるの? というか、その筒は何? いや~っ!!! ごめんなさい、ごめんなさい、次からはしっかりとやりますから、だからロケットランチャーだけは勘弁してくださいっ!!! ……えっ、ダメ? そんな殺生な―――っ!!!(爆死)

 ……ゾンビのように復活っ!!! さあ、一度死んだからには、もう何も怖くない、こうなったら何でも持って来いやっ!!! ……えっと、すいませんでした。だから戦車砲だけは勘弁してください。……えっ、やっぱりダメ、そりゃあ~、そうですよね~……(大爆発)

 ……さてさて、戯言はこの辺にしときましょうか。相変わらず意味不明な後書きで申し訳ないです。けどっ!!! ここで遊ばないと他で遊ぶ場所が無いんです。それほど、私の後書きはフリーダムなんです。という事で、全てを(勝手に)まとめた所でそろそろ締めましょうか。

 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。

 以上、更新ペースが遅くなってるけど、その分だけ密度が増してるから許してねと懇願してみたが、やっぱり爆死させられた葵夢幻でした。

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