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第百十五話 アンブルの思惑と氷のシールダー

 昇達の陣営を背後に回して、フレト達はアンブルとの睨み合いに入っていた。どうやらフレトもアンブルもお互いに出方を窺っているようだ。そんな中でフレトが逸早く半蔵に状況を確認するような言葉を投げ掛ける。

「半蔵、お前の調べでは、あのシェルとかいう精霊が俊足の精霊だったな」

「御意」

 フレトの言葉を肯定するかのように半蔵は軽く頭を下げてフレトの言葉に答えた。そしてフレトはそんな半蔵の報告を元に、すでに戦略を練り上げていたように頷いた。

「なら決まりだな。レットはあの俊足の精霊を相手に戦え。無理してを倒す必要は無い。一対一でやりながら時間を稼げ。もちろん倒せるなら倒しても構わないぞ」

「分かりました、フレト様」

「ラクトリーと半蔵はもう一人の精霊を叩け。こっちの精霊に関しては情報が無いからな、一気に叩き潰して相手の戦力を一気に削ぐ。その間に俺はあっちの契約者を相手に時間を稼ぐ、ラクトリーと半蔵がなるべく早く相手の精霊を倒せるようなら。形勢は一気にこっちが更に有利になる。今回はこの作戦で行くぞ」

 そんなフレトの言葉に精霊達はそれぞれに返事を返して武器を構える。ちなみに、咲耶は留守番をしており、今回は戦場となるこの場には居ない。フレトもシスコンなだけあって、セリスを一人きりには出来ないのだろう。だからこそ、いつでも精霊の一人をセリスの世話役として付かせる事が多い。よほどの事が無い限り、全ての精霊を一つの戦場に集める事をしないのがフレトのやり方だ。

 それはフレト達が完全契約という、常に一歩有利な条件を手にしているからだ。つまりフレト達は戦う前から有利な条件を手にしているのである。そのうえ今回は数においてもフレト達が勝っている。だから咲耶無しでも充分に戦えるだろう。

 それにセリスに護衛を付けているからこそ、フレトは何の心配もなく戦う事が出来るのだ。更に今回は昇達との共同戦線である。だからこそ、余計にフレトは余裕があった。

 それでもフレトは相手を警戒する事を忘れてはいない。なにしろ、コーラルと紹介された精霊の能力は未だに分かってないし、それは相手の契約者に関しても能力が分かっていない。だからこそ、フレトはコーラルに攻撃を集中させて、そこから切り崩そうとしたのだろう。

 確かにコーラルの能力については未だに不明だ。だが戦えばすぐに分かるだろう。それにコーラルと戦うのは経験豊富なラクトリーと半蔵だ。だからどんな精霊でも、この二人を相手にすれば梃子摺るのは確実だ。フレトもそれが分っているからこそ、コーラルに対してラクトリーと半蔵の二人を当てたのだ。

 それだけではない。半蔵の報告からシェルの能力については分っている。この中でシェルのスピードに対抗できるのはレットだけだろう。確かにレットの属性は爪翼でスピードに関しては翼の属性に劣る。だが、レットは完全契約をしているのである。だから爪翼の属性でも翼の属性にも劣らないスピードが出せる事は分っている。

 なにしろレットは以前にシエラと戦っているのだから。だからスピード戦に関しても、レットは経験がある分だけに劣る事は無いとフレトは判断したのだ。だからこそ、レットをシェルにぶつける事にした。

 そんな考えもあり、フレトはそんな陣形を取ると、先手を取るためにレットから攻撃を仕掛けるように命を下す。それを皮切りにレットはシェルに向かって駆け出す。自分に向かっていると感じたシェルは一瞬で駆け出すとレットとの距離を一気に詰めるとガーレジャンビーヤを突き出す。

 これでっ! シェルは地上戦に関して自分のスピードで勝る者は限られている事を知っている。だからこそ一撃でレットに致命傷を与えられると思ったのだろう。

 だが、現実はシェルの思い通りにはならなかった。それどころかレットの思惑通りに事は運んでいた。

 レットはシェルの突き出してきたガーレジャンビーヤが届く前に背中の翼を広げると、そのまま回転するように飛び立ち、シェルとの距離を保ちながらシェルの上を一回転してガーレジャンビーヤを避けるのと同時にテルノアルテトライデントを一気に振るう。

 シェルとしてはまさかレットが翼の属性を有しているとは思っていなかった為に一瞬だけ行動が遅れた。それでもシェルは地上戦では最速である。だからガーレジャンビーヤで防御しながらもレットから一気に距離を取った。

 何とか避けた、なら、今度はこっちからっ! レットの攻撃を避けてそんな事を考えるシェルはすぐにレットに向かって反撃に移ろうとしたが、いきなり腕から血が噴き出したのでシェルの動きが止まってしまった。

 ……そういう事か。噴き出した血は一瞬で止まり、今では出血もしてない。それだけレットの攻撃が鋭い事を示していた。その事でやっとシェルも気付いたようだ。そう、レットの属性に。これほどの切れ味を出せる属性は限られている。それに背中に生えた翼を見ればレットの属性はすぐに察しが付いた。この受けた切り傷こそ、爪の属性を持っている証拠であり、背中に生えた翼から翼の属性を持っているの確かである。だからシェルにもレットの属性が爪翼だとわかったのだ。だからこそレットに向かって言葉を掛ける。

「随分とセコい手を使ってくれるじゃない」

 シェルとしてはレットは始め、自らの足で駆け出した事から翼の属性を有している爪翼の属性の持ち主だとは思わなかった。だがレットはシェルの攻撃を避ける時に始めて爪翼の属性を発動させて空中に飛び上がって一回転しながら切り掛かってきたのだ。シェルにとってはレットが空中を飛べる事が予想外の出来事だ。それに受けたきり傷といい、その事を踏まえてシェルはレットが爪翼の属性だと見抜いたのだ。だから、その事を隠して攻撃してきたレットに向かって、そんな言葉を放ったのだ。

 一方のレットはそんなシェルの言葉を受けて不適に笑いを見せながら言葉を返すのだった。

「セコいとは心外だな、これが戦術という物だろう。もっとも、この手をセコいというなら、そんなセコい手に引っ掛かる方もどうかと思うが」

「くっ、言ってくれるじゃない」

 レットが返した言葉にシェルは苦い顔をする。確かにレットが言ったとおりに、こんな戦術に引っ掛かるのは相手への警戒を怠っていた証拠とも言えるだろう。レットはその事を的確に指摘しており、その言葉を聞いたシェルは黙り込むしかなかった。

 けれども、これでシェルもレットの属性に気が付いた訳になる。だからシェルも不用意に突っ込んできたりしないだろう。一方のレットはシェルの俊足に合わせて背中の翼を羽ばたかせている。翼の属性を持っている限りは地面に足を付けているよりかは、少しでも空中に浮いていた方がスピードを活かせるのだ。

 だからこそレットもシエラやアレッタと同じように地面に足を付けたりはしない。翼の属性に頼って移動した方がスピードが出るからだ。

 それでも初動スピードはシェルの方が上である。だからこそシェルはあえて先手を取る事にした。なにしろレットは鷹の精霊で爪翼の属性を持っている。だから翼の属性ほどのスピードは出せないとシェルは判断したのだろう。だからこそシェルは再びレットに向かって一気に距離を詰めるのだ。

 一方のレットはそんなシェルに対して上昇する事はせずに、あえて地面から少し浮いた距離を保ちつつ、シェルの攻撃に対応する。なにしろシェルが持っている縮地の属性から言ってもレットの懐に入るのは簡単だ。だから一気にレットの懐に飛び込んだシェルはガーレジャンビーヤを振るい続ける。

 相手が普通の爪翼の属性なら縮地の属性を持っているシェルの方がスピードでは圧倒的に有利だから、シェルは一気に攻勢に持って行けると思っていただろう。だがレットのスピードはシェルに匹敵する物であり、初動スピードでは負けていても、戦いを始めるとレットはすぐにシェルにスピードに対応できるスピードを発揮したのだ。

 その事に戸惑いながらもシェルは攻勢に出ようとするが、レットは決してそれをさせない。レットは上手くシェルの攻撃を捌きながらもテルノアルテトライデントで反撃を入れているのだ。つまりは一進一退。そんな攻防をレットとシェルは繰り返している。

 おかしい、なんで? 攻防を繰り返しているうちにシェルはそんな事を思い始めた。それはそうだ。なにしろレットは爪翼の属性でスピードでは翼の属性に及ばないはず。それなのにレットのスピードは翼の属性に匹敵するほどのスピードを出してシェルとの攻防を繰り返しているのだからシェルがそんな疑問を抱いても不思議ではなかった。

 そんな攻防をしている間にも、アンブルの陣営に居る、もう一人の精霊も違和感を感じながらも戦っていた。



 ラクトリーのアースブレイククレセントアクスを大きな篭手で受け流しながら、コーラルもう一方の腕に付いている、これも大きな篭手で空間を切り裂いて現れた半蔵の攻撃を受け止めていた。そんな状態の中でコーラルはラクトリー達の強さに違和感を覚えていた。

 攻撃の鋭さ、反応速度、そして攻撃力。どれを取っても私の上を行ってる。そんな事を考えながらもコーラルはラクトリーと半蔵の攻撃を受け流しつつ、防御に専念するしか出来なかった。それでも思考だけは働かせて一つの決断を出した。

 それと同時にラクトリーのアースブレイククレセントアクスと半蔵の空斬小太刀をそれぞれの篭手で受け止めてから、二人に向かってコーラルは口を開いた。

「もしかして……完全契約?」

 そんな疑問を投げ掛けてきたコーラルにラクトリーは軽く笑みを浮かべながら返答する。

「だったら、どうします」

「少し……やっかい」

 ラクトリーの言葉に短い返答をするコーラル。どうやらコーラルは見た目どおりにあまり心境を表に出したり、感情を表すという事をしないのだろう。無愛想、少し良く言えば無表情。そんな感じの精霊だ。

 そんなコーラルに向かってラクトリーは更に言葉を投げ掛ける。

「やっかいですか……それなら、本気を出したらどうですか」

 ラクトリーは言葉を言い終えるのと同時に一気にクレセントアクスに力を入れる。どうやらそのまま押し切ろうとしてるのだろう。さすがに大地の精霊だけあって、破壊力はトップクラスに入る。そのうえラクトリーは破壊力に特化した大地の精霊だ。だからこそ、そんな力押しの手に出ても不思議ではない。

 けれどもラクトリーがそんな手段に出たのは、それだけの理由だけではない。それはコーラルの身に付けている精霊武具を見たからだ。

 コーラルは防具と言える物をほとんど付けていない。防具と言える物は両手に付いている大きな篭手だけだ。その他は服と言っても良いほどに防具という物を付けていなかった。その分だけ動きやすいだろうが、ラクトリーの一撃を喰らえば落ちるのは確実だ。だからこそ、ラクトリーは得意の力技に出たのだ。これなら相手に上手く捌かれても、その余波でダメージを与える事が出来るからだ。

 だが、コーラルはラクトリーの思惑とは正反対の方向に出る。コーラルはまず、半蔵の空斬小太刀に掛かっている力を逸らすと半蔵の姿勢を崩す。そこにすかさずコーラルは蹴りを入れるが相手は半蔵である。そんな反撃などを喰らうはずはなく、逸早く退いてコーラルと距離を取った。

 そしてコーラルは器用にも片足で立ちながらも身体を半回転させるとラクトリーに向かって拳を突き出してきた。だがラクトリーのクレセントアクスはコーラルの篭手に密着しているだけで決して動かせないわけではない。だからこそラクトリーはクレセントアクスを引き戻す事無く、その場で立てるように構えるとコーラルが放った拳に備える。

 そんなラクトリーのクレセントアクスとコーラルの拳がぶつかり合う。さすがにクレセントアクスの柄で防御しただけにコーラルにダメージは与えられないものの、防ぐ事には成功した。少なくともラクトリーはそう思った。

 だがコーラルはクレセントアクスの柄に拳が当たった瞬間に、更に拳を強く握り締めると指の間から爪が飛び出してきてラクトリーに迫る。

 まさかこんな隠し球を持っているとは思わなかったラクトリーは上半身だけを横に倒すように体を折ると、何とかコーラルの爪を回避する。そこからコーラルは今までクレセントアクスの刃を防いでいた手を一瞬だけ離すと器用にクレセントアクスの柄に絡ませる。そしてそのままクレセントアクスを押さえ込む。これでラクトリーはクレセントアクスを自由に振るう事が出来なくなったわけだ。

 その隙を狙ってコーラルはクレセントアクスを強く握り締めながらもラクトリーとの距離を詰めると、一旦退いた拳を再び突き出す。今度は爪が既に出ている状態だ。今のラクトリーが取っている体勢では防ぐ事は難しいだろう。

 だがコーラルは攻撃を中断すると今まで掴んでいたクレセントアクスを離すとラクトリーから距離を取った。

「さすがですね、助かりました」

 すぐ横に着地した半蔵に礼を言うラクトリー。そう、コーラルがラクトリーから離れたのは半蔵がフォローしてきたからだ。半蔵は空間を切り裂いて、二人の上空に姿を現すと、コーラルに向かって苦無くないと呼ばれる手裏剣を打ったのだ。その気配に気付いたからこそ、コーラルはしかたなくラクトリーから離れざるえなかったのだ。

 そんな半蔵が珍しくラクトリーに向かって言葉を返した。

「相手の情報を探るためとはいえ無茶をしすぎだ」

 そんな言葉を放ってきた半蔵に対してラクトリーは笑みを交えながら返答するのだった。

「あなたがフォローしてくれると思ったから少しだけ無茶をしただけです。ですが、これではっきりしましたね」

「そうだな」

 ラクトリーの言葉に短い返答をする半蔵。どうやら二人にはコーラルがどういう精霊かが分かったようだ。そんなラクトリーがアースブレイククレセントアクスを構えなおすと、コーラルに向かって言葉を放つ。

「格闘の精霊、けんの属性ですね。間合いは狭いですけど、その分だけに何をしてくるのかが分かりませんね」

「そうだな。下手に攻撃すれば思わぬ反撃を喰らうぞ」

「分っています。攻撃をするからにはどうしても相手の間合いに武器を入れないといけませんからね」

 そんな会話をするラクトリーと半蔵。その話はしっかりとコーラルの耳にも届いていたのだが、コーラルは表情一つ変えずに、それがどうした、という感じでラクトリー達の出方を窺っていた。

 そもそも攻撃というものは己の武器を相手にぶつけたり、斬り付けたりしなければいけない。つまり、どんな長い武器でも最終的には相手の間合いに武器を入れる事には変わりない。だからこそラクトリーと半蔵はあんな事を言ったのだ。

 なにしろコーラルは格闘の精霊。つまり武器は持たずに己の拳と精霊武具だけで相手を倒す精霊だ。だからこそ、攻撃の間合いは拳が届く範囲、つまり腕の長さに限られている。まあ、精霊武具のおかげで多少攻撃範囲は広くなったといえるだろうけど、それでも他の精霊に比べればかなり狭い事は確実だ。

 それだけに後手に回りがちだが、そこに格闘の精霊たる特徴がある。コーラルの精霊武具から攻撃の要は拳につけている篭手から出ている爪に限られると思いがちだが、実際には蹴りや当身などの近接戦闘で確実にダメージを与えてくる。

 それだけではない。なにしろ格闘の精霊において最大の特徴と言えるのが密接戦闘での戦いである。武器を持っていないだけに、相手と密着していてもコーラルは攻撃手段を持っている。一方で武器を手にしているラクトリーや半蔵でさえも密着されると武器を振る事が出来ずに、どうしても攻撃が出来なくなってしまう。

 格闘の精霊は間合いが狭い分だけに密着しての戦闘が出来るのだ。

 それともう一つ。先程ラクトリーが言ったとおりに攻撃を当てるためにはコーラルの間合いに武器を入れないといけない。それがすんなりと当たればいいが、逆にコーラルによって武器を封じられる事もある。

 なにしろコーラルの精霊武具と言える物はどうやらあの大きな篭手だけに、下手に攻撃すれば捌かれるどころか逆に武器や腕を掴まれて、動きを封じられたうえにコーラルが得意としている近接戦闘へと強制的に入ってしまう。それを警戒したからこそラクトリーと半蔵はそのような言葉を交わしたのだ。

 これでコーラルの特徴は分かった。それでも厄介だと言える物が一つだけある。

「あの精霊武具、思ってた以上に厄介ですね」

「そうだな」

 そんな会話をするラクトリーと半蔵。その会話はしっかりとコーラルにも届いており、コーラルは篭手を強調するかのように前に出すと口を開いてきた。

「これが僕の精霊武具コンセアルバグナク<隠し持つ虎の爪>だよ。防御と攻撃を一体化した武器だから、完全契約の精霊でも退けは取らない」

 そう、はっきりと断言するコーラル。なにしろ完全契約の精霊にも退けは取らないとまで断言したのだ。これはラクトリー達に対する完全な挑戦状と言ってもいいだろう。なにしろ完全契約だけでラクトリー達は一歩だけ優位に立っているのだ。そんなラクトリー達に自ら引けを取らないと断言したぐらいだ。コーラルは相当な使い手だと判断しても良いだろう。

 だがラクトリー達も伊達に何百年も生きてきたわけではない。二人とも相当の修羅場を掻い潜っており、相当の経験を積んでいる。だからこそ自分達が少しぐらい目下に見られても怒りを感じるどころか二人とも冷静に状況を判断するのだった。

 そんな中でラクトリーが口を開く。

「確かにあの戦い方なら、こちらも梃子摺りそうですね。どうします?」

 そんな風に半蔵に尋ねるラクトリー。そんなラクトリーに半蔵は答えが決まっていると言いたげな視線を送りながらも返答する。

「我は主の命を果たすのみ」

 そんな返答をする半蔵にラクトリーは相変わらずと言いたげな顔をすると少しだけ笑みを浮かべた。どうやらラクトリーと半蔵は同じ考えを持っているようだ。確かにコーラルの属性や戦い方は厄介だろう。けれども、決して二人を相手に勝てない相手では無いと二人とも判断したのだ。だからこそラクトリーは笑みを浮かべるだけの余裕を持っていた。

 一方でそんなラクトリー達を相手にする羽目になったコーラルは相変わらず表情を一つ変えない。それどころか内心では何を考えているのかも分からない程だ。もしかしたら何も考えてないのかもしれないと思うほど、人形に近い表情でラクトリー達の動向を窺っている。

 コーラルの戦い方から見ても、相手から攻めて来てもらった方が戦いやすいのだ。間合いが狭いだけに自分から先手を取ると、どうしても避けられた時に相手の反撃を捌ききる事が出来ない場合が多い。それだけコーラルはカウンターを得意としているのだ。だからこそ今はラクトリー達の動向を探っていて、自ら動こうとはしなかった。

 そんなコーラルと対峙しながらラクトリーは半蔵に向かって視線を送ると半蔵は頷いたので、ラクトリーは一気に力を発動させる。地の属性を込めたクレセントアクスを一気に振り上げるラクトリーは、そのままの勢いでクレセントアクスを地面へと叩きつけた。

「アースウェーブッ!」

 叩き付けたクレセントアクスの衝撃がそのまま地面へと伝わり、地面は一定の幅で波打つとコーラルに向かって波紋を広げていく。さすがはミリアの師匠なだけはある。ラクトリーは攻撃範囲を的確に絞る事で破壊力を増しているのだ。

 だからアースウェーブが通過した場所は雑草どころか地面そのものを破壊しながら、一気にコーラルに向かって突き進んでいく。

 さすがにそんな攻撃を直撃しては堪らないとばかりにコーラルはアースウェーブを引き付けてから、その攻撃範囲から一気に飛び出る。だがコーラルはその場に留まる事は許されなかった。なにしろ、既にコーラルが避けた場所を狙って半蔵がコーラルの後方上空から何本もの苦無を連続で打ち付けてきたからだ。

 半蔵の攻撃を避け続けるコーラル。そんなコーラルに追い討ちを掛けるようにラクトリーが更に動く。

「アーススピアッ!」

 半蔵が苦無を打つ事を止めて、コーラルがやっと一安心したところに槍と化した地面が何本もコーラルに向かって伸びて来る。その事でコーラルはすぐにその場から飛び退き、後退するしかなかった。

 そんなコーラルに併走するかのように、今度は半蔵が横から苦無を打って来る。だからコーラルは反撃もままならずに走り続けるしかなかった。そして半蔵の攻撃が止まると、再びラクトリーが地の属性を発動させる。

 そんな攻撃をラクトリーと半蔵は続けた。それだけ二人はコーラルの特徴を掴んで、すぐに対抗策を練り出したと言えるだろう。なにしろコーラルは近接から密着の戦闘を主流としている。だからこんな風に遠距離での攻撃には反撃する事が出来ずに、ただ避け続けるしかないのだ。その事を見抜いたからこそ、ラクトリーと半蔵はすぐに遠距離戦術を選んだのだ。

 だがコーラルも遠距離攻撃に対して何の打開策を持っていない訳ではない。大きな篭手を活かして距離を詰めるだけの技量は持っている。だが今回は相手が悪かった。なにしろ相手は百戦錬磨のラクトリーと半蔵である。相手が一人だけなら、何とか対等に戦う事が出来ただろう。だがこの二人を相手にするとなると、どうしてもコーラルは防戦どころか避けるだけが精一杯になってしまう。

 それほどコーラルにとっては厄介な相手なのだが、それでもコーラルの表情が崩れないのはコーラルらしいとも言えるだろう。

 そんなコーラルを目にしながらもラクトリーと半蔵は確実に攻撃が入れられる瞬間を作り出すために今は遠距離攻撃に専念するのだった。



 そんな精霊達の戦いを尻目にフレトとアンブルはお互いに精霊達の戦いを観戦していた。フレトとしては完全契約した精霊達の力を示し、自分達が有利である事をアンブルにしっかりとアピールして自分達が有利な事を告げることでアンブルの戦意を下げようとしていた。

 一方のアンブルは精霊達の戦いから、初めて見るフレト達の戦力を測っていたのだ。

 だが戦況はフレト達が完全に有利。それほどまでに完全契約をした精霊と通常契約をした精霊では差が出るのだ。それだけではなく、フレトの元にはラクトリーや半蔵と言った経験豊富な精霊も揃っている。だからこそ、ここまでフレト達は優位に戦闘を持って行くことが出来ているのだ。

 そんな戦況を見てアンブルは片手で顎を擦りながら言葉を発する。

「ふむ、どうやらこちらが圧倒的に不利なようですね」

「だったら素直に降参して退散したらどうだ」

 アンブルの言葉にフレトはマスターロッドを突き付けながら言葉を返す。それでもアンブルは表情を変える事無く。まるで今の戦況でも不利を感じていないかのような雰囲気を出しながらフレトに向かって言葉を返す。

「そうしても良いのですが、そうすると私が怒られてしまいます。ですから、ここは粘らせてもらう事にしましょう」

「粘っても何も変わらないと思うが、それどころか時間が経てば不利になっていくのはそっちだぞ」

 あくまでも自分達の優位が揺ぎ無い事を強調するフレト。実際にフレトの言ったとおりである。なにしろ戦況は圧倒的にフレト達が有利。そのうえ時間が経てば追い込まれていくのはアンブル達の方なのは目に見えている。それでもアンブルは表情を曇らせる事無く、言葉を返すのだった。

「まあ、私の役目はあくまでも勧誘ですからね。ここで勝敗にこだわる必要はありません。つまりローシェンナさん達が勝って、こちらの増援に駆けつけてくるまで粘れば充分なのですよ」

 つまりアンブルは最初から勝つ気は無いという事だ。確かに最初から数の上でもフレト達が有利なのは分っている。そのうえ完全契約という事実さえも明らかになったのだ。このまま行けばアンブルは確実に負けることだろう。

 だが、そんな状況でも逆転する手が一つだけある。それはローシェンナ達が昇達を打ち破って加勢に駆けつける事だ。そうすれば数の上だけも勝る事が出来る。

 けれどもアンブルの狙いはそれではなかった。先程アンブルが自ら言ったように、アンブルは勧誘に来たのだ。つまりローシェンナ達が昇達を打ち破れば、ローシェンナ達も気が済み、素直にアッシュタリアに加入する事だろう。

 つまりアンブルはここで無理をしてフレト達に勝つ必要は無いのだ。あくまでもフレト達を昇達の加勢に行かせないための足止めに過ぎない。そんな考えを持っているからこそ、アンブルは最初から勝つ気は無く、あくまでも足止めに徹しようとしているのだ。

 けれどもフレトとしては昇達の騒動に巻き込まれた分だけに、その間に受けたストレスを発散するためにも、ここはアンブルを叩きのめしたいという気持ちがあったのだろう。だからこそフレトはあえてアンブルに向かって言葉を放つ。

「なるほどな、そっちの思惑は分かった。……だがなっ! こっちはいろいろとあって暴れないと気が済まないんだよっ! だからここは相手をしてもらうぞ」

 はっきりと戦う意思を示すフレト。どうやら今回の事でフレトも相当昇達に対して気を使っていたらしい。だからこそ思いっきり戦って、アンブルを叩きのめす事で今までの鬱憤うっぷんを晴らそうというのだろう。そんなフレトの言葉を聞いてアンブルはやれやれ、といった感じて顔を横に振った。

「これはまいりましたね。私の能力は戦闘向きでは無いのですよ。だから戦いは精霊に任せているのですが、やはり私も戦わないといけないみたいですね」

「当然だっ!」

 アンブルの言葉にフレトは短く強く言葉を返すと、マスターロッドの先に風を集中させると圧縮された空気が砲弾のようになり、アンブルに向かって放たれた。

 そんなフレトの攻撃にもアンブルは慌てる事無く、不気味なほどに冷静だ。そのうえ動く気配すら見せずに両手をズボンのポケットに入れたまま能力を発動させる。そして次の瞬間にはアンブルの前に氷の塊が出現すると一気に広がって、アンブルの前面を全て覆うほどに広く展開された。

 そんな氷の盾にフレトの攻撃がぶつかると風の砲弾は氷の盾を砕こうとするが、先に壊れたのはフレトが放った風の砲弾だった。どうやら完全に氷の盾に防がれて、風の砲弾は四方八方に流れ出して、その威力を失った。

 そしてフレトの攻撃を完全に防いだ氷の盾はそのままアンブルの横に移動して、再びフレトの前にアンブルが姿を現して言葉を発する。

「見ての通り私の能力は氷のシールダー。だから攻撃には向いてないんですよ。お分かりになりましたか」

「なるほどな、それなら……思いっきりやっても大丈夫そうだなっ!」

 アンブルの能力が分かったからにはフレトはもう相手の能力を探るために手加減する必要は無いと判断したようだ。

 そもそもシールダーの能力は防御に特化した能力であり、それぞれの属性で盾を作る事が出来る。しかも作り出した盾の強度はかなり硬く、力のある契約者ならかなりの強度を持った盾を作り出すことが可能だ。

 その代わりに攻撃手段をあまり持ってはいない。そもそもシールダーの能力は完全に戦闘を精霊に任せて、自分は相手の攻撃にやられないように守るための能力であり、自己保身に長けている者に現れやすい能力だ。

 だからこそアンブルは直接戦いに参加する事はほとんど無い。あくまでも攻撃されたら防御するだけで、全ての攻撃は精霊に任せている。それほどまでにアンブルが作り出す氷の盾は硬く、その強度は大地の精霊が作り出す防御力にも匹敵するだろう。それほどまでの防御力を持っているのだ。だからアンブルは直接戦闘に参加する事は少ない。

 だが、今回は数の上でもフレト達が上回っているからには、どうしてもフレトの相手をしないといけないだろう。それにフレトは戦う意思を示しているからには、このまま観戦しているわけには行かない事はアンブルにも察しが付いている。

 だからこそアンブルはしかたないと溜息を付きながらもフレトに向けて視線を向けるのだった。

「やれやれ、しかたないですね。ここは相手をするしかないですね。ですが、私の盾を貫く事は不可能ですよ」

 そうはっきりと断言するアンブルの言葉がフレトに火を付けただろう。ならば絶対にその盾を砕いてやろうとフレトは一気に攻撃の構えを見せる。

「業火よ、その姿を槍と変え、敵を貫けっ!」

 フレトが突き出したマスターロッドの周りに六つの巨大な炎が発生すると、炎はすぐに巨大な槍に姿を変えるとアンブルに向かって放たれた。フレトとしては、これほどまでの炎なら氷の盾を砕くとまでは行かなくても傷つける事は出来るだろうとは思っていた。

 そしてフレトの放った業火の槍はアンブルに向かって行き、アンブルはそれを防ぐために再び氷の盾を前面に押し出す。そのため、ぶつかり合う業火の槍と氷の盾。業火の槍が衝突したためか、その場で巨大な爆発が起きると炎が一気に吹き上がる。どうやらフレトは先程の攻撃に火の属性を思いっきり込めたらしい。だからここまでの爆発と炎が巻き上がっているのだろう。

 さて、これでも冷静でいられるかな。自分の攻撃によほど自信があるのか、フレトは爆発の炎を見ながら余裕を出しているが、すぐに攻撃の気配を察すると本能だけで後ろに飛び退く。そしてフレトの本能が正しいかのように、フレトが居た場所には氷が突き刺さっていた。

 氷の先は尖っており、直撃を喰らえばフレトも無傷では済まなかっただろう。そんな事をしている間に、先程まで舞い上がっていた炎は一気に沈静化して、すっかり収まるとうっすらと爆煙が残る中からアンブルが姿を現した。

「おやおや、外してしまいましたか。なかなか勘の鋭い方ですね。どうやら私も本気でやらないとダメみたいですね」

「なら、その本気とやらを見せてもらうかっ!」

 どうやら先程の攻撃はアンブルの盾によって完全に防がれたらしい。それどころか姿を見せたアンブルは傷を一つも負っていない。それほどまでにアンブルが作り出す盾は硬く、よっぽどの威力を出さない限りアンブルに攻撃が当たる事は無いだろう。

 それでもフレトはすぐに攻撃態勢に入る。先程の攻撃でアンブルの防御力がかなり優れている事は分かった。だからこそ、フレトは狙いを変えて攻撃を続ける。

「吹き上がれ、土流よ、その勢いを天を突けっ!」

 今度はアンブルの足元にマスターロッドを向けて地の属性を発動させるフレト。そして地の属性が発動するとアンブルの足元から一気に土砂が噴き出し、天に向かって伸びていく。

 これなら……ダメか。自分の攻撃を見てそんな事を思うフレト。確かにフレトはアンブルが盾を作れないと思った足元を狙って攻撃を仕掛けたまでは良かった。けれどもアンブルの実力はフレトの予想よりも上だった。

 なにしろアンブルは一瞬で足元に氷の盾を作り出すと、盾の上に乗る状態で噴き出した土砂の上に乗っているだ。つまりこの攻撃も通ってはいない。完全にアンブルによって防がれてしまった。

 確かに攻撃の狙いは良かったかもしれないが、アンブルの能力がここまで素早く発動し、なおかつ場所を選ばない事からアンブルは相当な力を持つシールダーだとフレトは感じざる得なかった。

 そんな事を感じている内に噴き上がった土砂の勢いは徐々に弱まって行き、アンブルは土砂の上に乗りながらゆっくりと地上に降りてきた。けれどもフレトはその間にも次なる攻撃をしかける。二回の攻撃でアンブルの能力がどの程度の物なのかは既に分かった。後は打開策を講じるだけだ。だからこそフレトはあえて攻撃する事を選んだ。

「土なる蛇、その強度と長さを持って、敵を絡め捕れ」

 アンブルが次の攻撃に出る前に先手を打つフレト。再び地の属性を発動させて大地を使って巨大な蛇を作り出すと、未だに着地したばかりのアンブルに向かって土の蛇を一気に放つ。その直後にすぐに次なる攻撃をするために詠唱に入る。

「水の円刃、早き回転を持って、敵を切り裂け」

 マスターロッドの先に幾つもの水で出来た円盤のような物を作り出すと、それはすぐに高速回転を始めて、どんな物でも切り裂けるほどの切れ味を生み出す。その間にも先程作り出した土の蛇はアンブルを絡め捕ろうと、とぐろを巻くようにアンブルに絡み付くが、アンブルは四方に氷の盾を出現させると土の蛇を完全に防御した。

「炎の鳥、その回転を持って、竜巻と化せ」

 土の蛇でアンブルを縛る事は出来なかったが、これでアンブルの動きを封じたのも同じだ。そこに先程作り出した水の円刃が一気にアンブルを縛っている蛇の間を掻い潜ってアンブルに迫る。だが、アンブルは小さな氷の盾を幾つも作り出すと完全にフレトの円刃を防いでしまった。

 けれどもフレトの攻撃はそれで終わりでは無い。先程の詠唱で作り出した炎の鳥が土の蛇を巻き込む形でアンブルを巻き込むように炎の竜巻を作り出そうとしていた。

 そんな状況でもフレトは思う。たぶん……この攻撃も防がれるだろう。だが、相手に攻撃の隙を与えずに連続で攻撃を加えていけば、必ず攻撃が通るはずだ。今はそれを狙うしかない。

 どうやらアンブルの能力を見てフレトはそんな決断を下したようだ。確かにアンブルの防御力はかなりの物だ。だが、ここまで連続した攻撃に何時まで耐えられるかは別問題である。つまりフレトは一つの盾を砕くのではなく。連続した攻撃で盾が作れない状況を作り出して攻撃を通そうとしているのだ。

 これこそがフレトの考え出したアンブルへの打開策だ。それに、ここまで思いっきり攻撃を続けると疲れるどころか、返って気持ち良く。フレトは今まで昇達に気を使っていたストレスと全て吐き出すかのように攻撃を続けているのだった。

 そんなフレト陣営が有利に展開されている後方で昇達の戦闘も始まっていた。







 はい、そんな訳で今回はラストバトルの前哨戦とも言えるフレト達の戦いをお送りしました~。

 まあ、本文を読んでの通りにアンブルの思惑はフレト達を足止めする事にありますからね~。たぶんアンブルも本気で戦う事は無いでしょうね。……まあ、本気で戦っても、どこまでフレト達と戦えるかが疑問ですけどね。

 けどっ!!! まだアンブルには別の思惑があったりして。まあ、そこら辺はそのうち出てくるでしょう。たぶん昇達の戦いが終わった後に。

 さてさて、そんな訳で白キ翼編も終盤を迎えた中で……私は死んでます。……いやね、毎年思うんだけど、私はこの時期が花粉の時期の次に弱いんですよ。寒くなるのなら、あまり影響が無いんですけど。ここまで気温の差が大きいと体調を崩す事もしばしば。

 更にこれから暑くなってくる。完全に暑くなれば大丈夫なんですけどね、今の時期は気温も安定せずに、徐々に暑くなってくるじゃないですか。だから……その変化に身体が付いていかない。そんな訳でこの時期は花粉の時期と同様に更新が遅れるかもしれませんが、そこはご容赦くださいな。

 さてさて、言い訳も終わったところで……本編に触れてみる? というか、今回のメインは昇達だからな~。まあ、昇が主人公だし、昇達の戦いが中心となっても不思議では無いんですが……フレト陣営はあまり目立たないな。

 まあ、次編ではフレト達にも活躍をしてもらう予定です。……あくまでも予定ですけどね。そんな感じでプロットも書いていこうかと思ってます……はい、その通りです。まだ次のプロットが上がってません。そこは許してっ! 私も頑張ってるんですっ!!! だから堪忍してっ!!!

 さあっ! 言い訳は終わったっ! だから開き直ろうじゃないかっ! ……えっ、ダメ。介錯はしてやると……切腹をしろというわけですかっ!!! そればかりはご堪忍をっ!

 ……さて、遊びはこの辺にして、ちょっとだけ先の話をしますか。次編が終わったらいよいよ、あの人を再登場させる話を作ろうかと思っています。……そうっ! 意外にも人気があった風鏡です。……まあ、まだ予定ですけどね。というか、そろそろ風鏡が出てくる話を作らないと風鏡が忘れられてしまいそうですからね~。だから、そろそろ風鏡が再登場する話にしようかなと思ってます。

 ……まあ、次編が終わってからですけどね。

 さてさて、いろいろと書いていたら長くなってきたので、今回はここいら辺で締めますね。

 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。

 以上、そろそろ次のアニメ番組の放送予定をチェックしないとかな、とか思っている葵夢幻でした。

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