第百五話 シエラの正体
重力に従って地面へと落下して行くシエラ。そんなシエラの身体が途中で止まると共にシエラは苦痛の声を上げた。なにしろシエラの落下が止まった原因はアレッタがシエラの髪を鷲掴みにしてそのまま宙吊り状態にしているからだ。
シエラの身体は先程の攻撃で未だに指一本を動かせる状態ではない。それほどまでに深い傷をシエラは負っているのだから、髪を鷲掴みにされて抵抗するなど今のシエラに出来るわけがなかった。
一方でシエラの髪を掴んでいるアレッタはシエラの姿に笑みを向けると通信回線を開いた。
「ローシェンナ、エリン。もうすぐ精界が崩壊するから、その時に逃げるわよ。さすがにエレメンタルアップを相手にしてたらこちらがやられるわ」
そんな通信を送るアレッタ。その通信にエリンはすぐに分ったと返事を返してくるが、ローシェンナにはいまいち意味が伝わっていなかったようだ。
そんなローシェンナにアレッタはエレメンタルアップが何であるかを説明した。つまり昇達が急激に強くなった原因が昇の能力であるエレメンタルアップの影響である事を説明したわけだ。その説明を聞いてようやく納得の行った顔をしたローシェンナ。どうやら彼女としてみてもいきなり昇達が急激にパワーアップした事に疑問を抱いていたようだ。
その疑問が解けて、しかもその能力がとてつもなくやっかいな能力である事を分かったローシェンナはアレッタの意見に同意してきた。その答えを聞いてアレッタは更にエリンに向かって話しかけてきた。
「その前にエリン、こっちに戻って来なよ。面白いものを見せてあげるから」
「急にそんな事を言われても、こっちも手一杯だよ」
アレッタの言葉にそんな言葉を返すエリン。なにしろエリンもエレメンタルアップで能力を限界以上に上げているミリアを相手に戦っているのだ。
そんな二人が戦っている場所は瓦礫すらも破壊され、すでに周囲には建造物と呼ばれる物は全てなくなってしまっている。今ではその破片どころか地面すらもへこむように破壊されながら二人の戦闘は続いているのだ。
こんな状況でエリンが脱出するのは困難かと思われるが、そんなエリンの心配を振り払うような言葉をアレッタは口にする。
「それでもなんとかこっちに合流できるでしょ。こっちに来ればもう戦闘なんて出来なくなるんだから。そう、もう戦う事なんて出来ないのよ」
そんな言葉を口にしたアレッタは真下に居るシエラを見て笑みを浮かべるのだった。
少しずつ降りてくる?
シエラのフォローに周ろうとしていた昇は周囲で一番高い建物の上に居たが、そこからではかなり上空で戦っているシエラの様子がほんの少しだけ見えるだけで詳しいところまでは分らなかった。
けれどもシエラが動かなくなり、アレッタに髪を掴まれて少しずつ降りてくるのははっきいと分った。それと同時に自分の心配が的中した事に昇は後悔した。
なにしろシエラの様子がおかしい事は気付いていたのだ。それなのに何も出来なかった。そんな思いが昇の胸に去来する。自分がもう少しシエラの事を気に掛けていたら、そんな事を思う昇だが、こんな状況になってはもう遅い。今はなんとかシエラを助ける事が最優先とさせるが、まだ昇の紫黒では撃っても届く距離ではない。それにシエラが人質のように囚われているからには下手に手出しは出来ない。
今までに無いほどに絶体絶命な事態に昇はどう動いてよいか判断に迷っていた。そんな時だった。ミリアからストケシアシステムを使って通信が入ってきたのは。
(なんか分んないけど、私が相手にしていた精霊がそっちに戻っていくよ)
その通信を聞いて昇はすぐに理解した。そう今回の戦いではシエラが落とされて敵の手にあるからには昇達からは手を出す事は出来ない。つまりは完全に追い込まれたどころか負けを宣告されたようなものだ。
そんな状況を閃華もすぐに察する事が出来た。だからこそ閃華はすぐに琴未に呼びかけるとローシェンナから共に距離を取らせた。シエラがアレッタに囚われているからには、いつ人質として使ってくるか分らない。そんな状況でローシェンナを相手に戦っていてもしかたないと閃華は判断したのだ。そしてその判断は昇と同じ物だった。
昇もミリアに戻ってくるように指示を出すと自分も琴未達と合流するために一気に建物から飛び降りて琴未達の元へ走る。少しずつ降りてくるシエラに目を向けながら。
「あまりにも不本意ですが、今回は傷み分けですわね」
昇が琴未達に合流して、そこにミリアとエリンもそれぞれの陣営へと引き返してきたところでローシェンナは相変わらずな高飛車な態度でそんな事を言い出した。どうやら今回の事はローシェンナも勝ったとは思っていないようだ。それはそうだろう。なにしろ昇達が戦闘を停止したのはシエラが落とされた所為だ。そのために昇達は剣を退くしかなかった。だからローシェンナとしても勝った気はしなかったのだろう。だからこそ傷み分けと言ったのだ。
そんなローシェンナの言葉に琴未は何かを言いかけようとするが閃華がすぐに止めた。なにしろシエラはローシェンナ達の手に落ちている。ここで下手に刺激を与えるような事を言えばシエラの身に何があってもおかしくは無い。だからこそ、ここは大人しく状況を見てシエラを奪還するのが一番だという事を閃華は小声で琴未を説得した。
それでも琴未には納得がいかないのだろうが、シエラが落とされたからにはしょうがないと苦虫を噛み潰すように苦い顔で奥歯を噛み締めた。
そのシエラだが未だに動く気配を見せずにアレッタに髪を掴まれたまま、ゆっくりとローシェンナ達の元へ降り立ってきた。
そして昇達は驚愕するのと同時に息を呑んだ。なにしろシエラの背中は真っ赤に染まっており、未だに傷跡がはっきりと分るほど深いものだ。そんな傷を負わされて今のシエラが動けない理由がようやく分ったと琴未は理解するのと同時にぶつけようの無い怒りが沸いてきた。
そんな琴未を察した閃華は小声で琴未をなだめるが、琴未の雰囲気からいつローシェンナ達に斬りかかっても良いような殺気は消える事が無かった。そんな琴未に目を向ける昇。琴未はローシェンナ達を睨みつけながら、強く拳を握っている。それだけ琴未は自分自身の感情を抑えているのだろう。
そんな琴未を察して昇は逸早く前に出るとローシェンナ達に呼び掛けた。
「シエラを離して貰おうか。そうしなければ僕達は戦いを続行する。シエラの身に変えてもあなた達を倒させてもらう」
あえてそんな言葉を口にする昇。もちろんそれは昇の本心では無い。昇としてもシエラの身を一番に案じている。だが下手に出れば付け込まれるだけだ。だからこそ余裕を見せて安全無事にシエラを解放させようとしているのだ。
けれどもそんな昇の予想とは反してアレッタは楽しげに笑い出した。
「良いねえ、そのセリフ。シエラにはピッタリだよ」
そんなアレッタの言葉に昇は少しだけ訝しげな顔をする。まさかアレッタからそのような言葉が出てくるとは思っていなかったようだ。昇としてはハッタリをかまして、シエラを取り戻そうとしただけなのに、アレッタは昇の言葉を鵜呑みにしたかのようにシエラを犠牲にする昇の言葉に共感を覚えたかのような返事をしたのだから。
そんなアレッタがシエラの髪を引っ張り上げて、強制的にシエラに顔を上げさせると悪意に満ちた笑みを向けてシエラに話しかけた。
「聞いたかい、シエラ? あんたの契約者はあんたを犠牲にしても私達を倒すってよ。そりゃあそうだよね。あんたなんかに危険を冒して助ける理由なんて無いものね」
「シエラを離せっ!」
シエラに向かって暴言を吐き捨てたアレッタに向けて紫黒を構える昇。けれどもアレッタはそんな昇にシエラを見せ付けるように更に引っ張り上げると、昇を挑発するかのように撃てるものなら撃ってみろといわんばかりの態度を示した。
そんな状況に昇の手は震え、最終的には紫黒を降ろさざる得なかった。昇が紫黒を降ろした事でアレッタもシエラを地面に寝かせるまでに降ろした。それだけでもシエラの苦痛が和らいだのは確かなようでシエラの顔はあまり見えないが少しだけ和らいだのが昇には分った。
そんな昇に向かってアレッタは楽しげに話しかけてきた。
「まあ、そんなに慌てないでよ。一番の楽しみはこれからなんだからさ」
「一番の、楽しみ?」
昇はアレッタを睨みつけながらも言葉を繰り返した。どうやらアレッタはこれから何かをしようとしているらしい。けれどもシエラがアレッタの元に落ちているからには昇達には手を出す事が出来ない。そんな状況に昇達は焦りを感じながらも閃華もなんとか奪還策を講じようとするがエリンと未だに召喚してあるローシェンナの巨鳥がどうしても邪魔になってくる。
確かに未だにエレメンタルアップを解除してないからローシェンナ達を倒すのには時間が掛からないだろう。けれども瞬殺という訳には行かない。どうしても多少の時間が掛かるのは必至だ。そんな状況でシエラにトドメを刺されてしまっては元も功も無い。
そうなると頼みの綱はこちらに向かっているフレト達となってくる。閃華はローシェンナ達に気付かれないように与凪との回線を開くと小声で事情を説明して、そのまま映像と音声をフレト達に送り続ける事にした。そうする事でフレト達が奇襲をしてくれればシエラを取り返す隙が確実に出来るからだ。
だからこそ閃華は今の状況をフレト達に送り続けながら状況を見守った。
そんな閃華の行動に気付かないままに昇とアレッタは会話を続けていた。けれどもシエラが囚われている状況でまともな交渉が出来るはずも無く、昇はまるでアレッタに遊ばれているように感じていた。
それでも昇は焦る色を出す事無く冷静に言葉を返す。いつまで経っても慌てる様子を見せない昇にアレッタの方もそろそろ飽きてきたのだろう。アレッタとしてはもう少し昇に取り乱して欲しかったようだ。その方がアレッタとしては、その後に待っている楽しみとやらが倍増するからだ。
けれどもこれ以上は話を続けても無駄だろうと、アレッタはスカイダンスツヴァイハンダーを前に出した。これには昇も紫黒を構えるが、そんな昇に対してアレッタは落ち着くように言い始めた。
「おっと、待つんだね。こっちだって、この状況でわざわざシエラにトドメを刺して、そっちに有利な状況に追い込む気はないのよ」
「じゃあ何をしようって言うんだっ!」
さすがに武器を出されてきては焦りを隠しきれない昇。そんな昇をあざ笑うかのようにアレッタはスカイダンスツヴァイハンダーをシエラの背中に持って行く。
「あんた達だって知りたいだろう。シエラの秘密を、今までシエラが隠してきた真実を」
「シエラの……秘密」
「そうさ、あんた達だって気付いてるんだろう。シエラとの間にどんな絆が出来ようとも、シエラはどこかで線を引いてる事を。決して誰にも見せようとしない部分がある事を。その事を知りたいと思うだろ」
そんな言葉を昇に投げ掛けるアレッタ。確かに振り返ってみればシエラにそんな部分があった事に昇達は心当たりがあった。だからこそアレッタの言葉にすぐに言葉を返す事が出来なかった。昇だけを除いては。
「そうまでしてシエラの秘密を知りたいと思わない。シエラにも心があるからには誰にも言えない事があっても不思議じゃない。でも、だからこそ! シエラを信じる事が出来るんだ。シエラが隠している事が有ったとしても僕達との絆を大事にしてくれるなら、それだけで僕はシエラを充分に受け入れる事が出来る。だから無理にシエラの秘密を知ろうとは思わない」
はっきりと断言する昇。そんな昇の言葉を聞いて琴未達も頷いた。
確かに昇が言ったように誰にも言えない秘密は誰しも持っているのかもしれない。けれども一番大事なのは、その秘密を抱えたままでも昇達との絆を大事にしていたシエラの心が重要だと昇は断言したのだ。
その昇が放った言葉がシエラに届いたのだろう。未だに閉じられているシエラの瞳から涙が流れ出るのを昇ははっきりと見る事が出来た。
そんなシエラとは正反対にアレッタは楽しげな笑みを浮かべると断言するかのように言葉を発する。
「なるほどねえ、シエラは良い仲間にめぐり合えたものだね。まあ、だからこそ……壊しがいがあるってものだけどね!」
アレッタの放った言葉を聞いた昇達は沸きあがる感情と共に動き出そうとするが、すぐにアレッタがシエラの首筋にツヴァイハンダーを当てたので昇達はすぐに動きを止めて固まるしかなかった。
そんな昇達に向けてアレッタは楽しげな笑みを向けると更に話を続ける。
「だからそう慌てないでよ。これからしっかりと見せてあげるからさ……シエラの正体をね」
アレッタはそんな言葉を発した後にスカイダンスツヴァイハンダーを振るってシエラの背中にある装甲と服を一気に斬り裂いた。そのうえいつもはシエラの背中を隠すように伸ばしている髪もアレッタに掴まれているため、シエラの背中は向き出しとなっている。
そんなシエラの白い肌を持つ背中に染み渡る赤い血の跡がシエラの傷を更に物々しくさせていく。
「さあ、ここからがショータイムだよ」
アレッタは楽しそうに宣言するとシエラの首横にツヴァイハンダーを突き刺すと手の平をシエラの背中に向けて差し出した。アレッタがシエラに何かをしようとしているのは昇達にもはっきりと分るが、この状態では昇達は動く事が出来ない。なにしろアレッタの行動一つでシエラの首を切り落とす事が出来るのだから。
そんな状態だからこそ昇は奥歯を噛み締めながら状況を見守るしかなかった。けれども隙さえ見せればいつでも紫黒を発砲できるように準備だけはしている。今の昇にはそれだけしかできないのだから。
そんな苦い思いをしながらも昇は状況を見守っていると、アレッタの手が白く輝き、それに共鳴するかのようにシエラの背中も白く輝く。
「あっ、ああっ!」
そんなアレッタの行動に抵抗するかのようにシエラは声を上げる。そんなシエラの声はあまりも悲痛であり、苦しげであったために昇は更に胸が締め付けられる思いがした。
そんな昇とは逆にアレッタは楽しげにシエラに向かって話しかける。
「無駄な抵抗はよすんだね。もうシエラにそれだけの力は残ってないでしょ。だから素直に……さっさと翼を出しなっ!」
アレッタがそう叫ぶと手の光は更に輝きを増し、シエラの背中も強く輝く。そしてシエラの背中からは少しずつではあるが、まるで何かに引き出されるかのように翼の先端が現れてきた。それはいつもシエラがウイングクレイモアに生やしている翼と同じで真っ白な翼が少しずつシエラの背中から生えてくる。
なんで、こんな事を? 昇は目の前の光景を見ながらもそう感じていた。シエラは翼の精霊であり、だからこそウイングクレイモアに生えている翼は純白で、本当に天使の翼を感じさせる物だ。それが背中に生える事とアレッタがいうシエラの秘密とはまったく結び付く物が無いと昇は考えたからこそ、そんな疑問を感じたのだろう。
昇がそんな事を考えている内にシエラの翼はドンドンとその姿を現して行き、そして最後まで一気に引き出されると誰もが思ったところでシエラは沈みそうな意識の中で思いっきり抵抗するかのように声を上げた。
「うっ、あぁっ、あ──────────────っ!」
最後の抵抗を思わせるようなシエラの行動にアレッタは今までの表情を崩して鋭い目付きに変わると放っている力を一気に上げる。
「しつこいんだよ、シエラッ!」
アレッタはそう言い放つと最後には自らの手でシエラの翼を掴むと、そのまま引きずり出すかのように一気に引っ張り出した。
そしてシエラの翼がその全貌を現す。
「なんじゃとっ!」
「そんなっ!」
シエラの翼を見て驚きの声を上げるミリアと閃華。そんな二人とは正反対に昇と琴未にはミリア達が何でそんなに驚いているのかが分らないようだ。
そんな二人の反応を確かめるように昇はシエラの背中に生えた翼をじっくりと見る。確かにシエラの背中に生えた翼は真っ白で天使の様相を思い描ける物だった……翼の付け根だけを残しては。
シエラの翼は確かに白い。けれども翼の付け根だけは純白な翼の精霊を思う事が出来ないような黒い色をしている。つまりシエラの翼は完全に純白では無いということだ。
翼の付け根、背中との境界は真っ黒で、その黒い色は翼の先端に向かうほど一気に真っ白になっている。つまり今まで髪の毛に隠れていた部分だけは完全に真っ白な翼ではなかったという事だ。
けれども昇にとってはシエラが背中から翼を生やしてる姿を見るのはこれが初めてだ。だからこそミリア達が何で驚いているのかが、まったく分らなかった。それは琴未も同じなようで良く分からないといった顔をしている。
そんな人間二人とは正反対に精霊であるミリアと閃華は驚きを隠せないといった感じで固まっている。昇はそんな二人を見てシエラの背中に生えている翼。それも黒い部分には重要な秘密があるのだろうと推測した。
それはアレッタの翼を見ても良く分かる。アレッタの翼は完璧に純白であり、黒い部分なんて存在しない。だからこそ昇もアレッタに天使のような印象を受けたのだ。けれども今のシエラは違う。まったく純白でない翼を見て今まで抱いていたイメージが一気に壊れて行くのを感じていた。
だがそれだけである。確かにシエラの翼は真っ白では無い。だからと言ってシエラがシエラである事にはなんら変わりは無い。そんな翼を見たからと言って昇がシエラに対して築いてきた絆が壊れるとはまったく思ってもいなかった。
だからこそ昇は冷静に紫黒を一瞬で構えると、アレッタのスカイダンスツヴァイハンダーを目掛けて一気に放った。
アレッタとしてはこれで昇達が冷静さを失って驚愕すると思っていたのだろう。だからこそ昇の攻撃に気付いた時にはスカイダンスツヴァイハンダーを弾かれてしまった時だった。
これは正しく両者の計算外が生み出した結果とも言えるだろう。アレッタとしてはシエラの秘密を明かす事で昇達の動きが完全に止まると思っていたからこそ、シエラの正体を明かして、その隙に逃げようとしていた。
けれども昇にとってシエラの秘密と言うのは未だに訳が分らないものだった。だからこそ完全に油断していたアレッタの隙を付いて一気に行動に出ることが出来た。昇としてもシエラの秘密が凄い物で完全に驚愕させらると予想しただけに、拍子抜けした感じになり、冷静に状況を判断して動く事が出来たのだ。
昇はこのままシエラを奪還しようと一気に走り出すが、それに気付いたアレッタはシエラを昇に向かって思いっきり蹴り飛ばした。昇がシエラを取り戻そうと動いた事はアレッタにも分っている。だからこそシエラを解放すれば昇が危険を冒して、それ以上の戦いを仕掛けはしないだろうと判断したからだ。それにアレッタとしてはすでに目的は果たしている。だからこそ、もうシエラには用は無かった。だからこそ蹴り飛ばすという結果でシエラを開放する事になった。
自分に向かって飛んでくるシエラを何とか受け止める昇。これを機会にローシェンナやエリンも動こうとするが、その前に琴未が昇をフォローする形で立ち塞がったために完全に機会を逃してしまった。
こうして再び生まれたこう着状態を利用して昇はシエラに向かって話しかける。
「シエラ、大丈夫?」
けれどもシエラからは返事が無い。それどころか完全に体から力が抜けているかのように腕を垂らしている。どうやら完全に気を失ってしまったようだ。
そうなれば当然、シエラが作り上げた精界も自然と崩壊を始める。
「さて、そろそろ私達は失礼させてもらうわよ」
精界にヒビが入り始め、崩壊の前兆なった状況にアレッタは冷静にそんな事を言って来た。確かに世界は真っ白くなっており、これはシエラが張った精界である事はアレッタにはすぐに分った。なにしろ昇達の中に翼の精霊はシエラしかおらず、白い精界はシエラにしか張る事が出来ないからだ。
そのうえ昇のエレメンタルアップで完全に追い込まれていた状況。これらを察するにここは逃げの一手で次に備えた方が良いとアレッタは判断したようで、その事をローシェンナにも告げる。
そのローシェンナも何が起こったのか分らない言った表情をしている。どうやらシエラの正体で驚いているのは精霊だけのようだ。
そんなアレッタが去り際に昇達に向かって大きく叫んだ。
「そうそう、そのシエラこそが妖魔と呼ばれる生き物なのよ。これを機会に良く憶えておくといいわよ」
そんな捨てセリフを吐いて、その場から一気に立ち去っていくローシェンナ達。精界の崩壊が始まっている今では、とてもではないがローシェンナ達を追撃するだけの余裕は当然残されていない。だからこそ昇達もすぐに場所を移動しなければいけなかった。
なにしろ精界が完全に崩れれば精霊と契約者は強制的に現実世界へと戻される。そのうえここは繁華街だ。そんな場所に精霊武具を身にまとって、そのうえ血まみれのシエラを抱えたまま戻っては大騒ぎになる事は確実だ。
「とにかく今はこの場所を離れるんじゃ」
精界の崩壊にそんな進言をする閃華。どうやら閃華も精界の崩壊が始まってようやく冷静さを取り戻したようだ。そんな閃華の言葉に頷いた昇はシエラを抱えなおすとそのまま移動を開始する。琴未は未だに驚愕しているミリアを引っ張っていきながらも昇達は戦いの傷跡が残っている繁華街を一気に駆け抜けて、元の人気がまったく無い場所へと戻ってくると精界は完全に崩壊して、昇達は現実世界へと戻って来た。
「昇、早くシエラをここに寝かせるんじゃ」
現実世界に戻って来た事を確認した閃華はすぐに昇に向かってそう言った。そんな閃華の言葉に戸惑いながらも昇は頷くと閃華の指示通りにシエラを横にさせる。そして閃華はシエラの下に魔法陣を展開させるとシエラの治療を開始した。さすがに怪我をしたシエラをそのまま運ぶのは危険だと判断したようだ。だからこそ出来る限りの治療をしてから、しっかりとした場所に運ぶべきだろう。
そんなシエラの治療にあたっている閃華を見て昇は口を開く。
「閃華」
「分っておる。じゃが今はシエラの治療が先じゃろ。じゃから妖魔については後じゃ」
「う、うん、分った」
閃華が早口にそう答えたので今は邪魔をしない方が良いと判断した昇は静かにシエラの手を取った。
……シエラ……あの翼がシエラの隠していた秘密なの? それに妖魔っていったいどういう意味なの? そんな疑問をシエラにぶつけたい昇だが、それ以上に気になる事があり、今度はその事をシエラに向かって思う。
けどシエラ。シエラの秘密がどんなに重いものでも僕にはそんな事は関係ないから。その重荷に耐え切れないなら一緒に耐えてあげるから。だからシエラ……僕達は……。それ以上の言葉が思いつかない昇。それはシエラがエレメンタルアップを拒否した事が原因となっているのだろう。シエラが昇を拒絶するほどの秘密を有している。だからこそシエラはエレメンタルアップを拒絶するという行為に出たのだ。
それがどんな意味を秘めているのか、どんな意味がこもっているのか今の昇にはしる術はなかった。
それからしばらくするとフレト達も到着してシエラの容態に驚いていた。今まで映像で見ていたとはいえ実際にシエラの傷を目の当たりにすると驚きを隠せないのだろう。
それからラクトリーは閃華に向かって何かを話しかけようとしるが、その前に閃華が口を開いてきたのでラクトリーは話を切り出す機会を失ってしまった。
「とにかく今はシエラの傷を癒す事が最優先じゃ。昇達への説明は後でも良い。それに……ここでシエラを見捨ててしまっては昇達とて納得が行かんじゃろ。じゃから全てを話すのは後回しじゃ、今はシエラの治療に専念してくれ。後の事は……それからじゃ」
閃華が一気にそう言い放ったのでラクトリーは意を決したかのように頷くと閃華と共にシエラの治療にあたる。そこにフレトと行動を共にしていた咲耶も加わり三人がかりでシエラの治療へと取り掛かっていった。
けれども昇にはしっかりと分っていた。閃華だけではない、ミリアやラクトリーといった精霊達が動揺しているのを。今は閃華の好意で協力しているがラクトリーも咲耶も動揺を隠しきれてはいないようだ。それほどまでにシエラの秘密が精霊達に動揺を与えているのだろう。
そんな光景を目の当たりにしながら昇は強くシエラの手を握り締めると後ろから琴未の声が聞こえてきた。どうやらミリアと話しているらしい。それから琴未とミリアの二人は昇の元へ来た。
「昇」
「どうしたの……ミリア」
なるべく平静を装う昇だが、どうしても心配が顔に出ているのだろう。昇の顔を見て琴未とミリアは少しだけ昇を心配そうな顔で見詰めてきた。それでもミリアは話さないわけには行かないと琴未に突付かれて話を切り出してきた。
「昇、詳しい事は閃華が言ったとおりに後でお師匠様達と一緒に説明するから、今は簡単に説明するね。お師匠様、それでいいでしょ」
一応ラクトリーに確認を取るミリア。やっぱり重要な事らしくミリアだけの判断で全てを話して良いかどうか迷ったようだ。そんなミリアにラクトリーは頷いて見せるとミリアは改めて昇に向かって話し始めた。そこにフレトも加わりミリアは人間達に向かって説明を開始するのだが、どうしても言い難い事なのだろう。なかなか切り出せないままに、何とか言葉を口にする。
「……シエラは……純粋な翼の精霊じゃないんだよ」
「精霊に純粋も不純もあるっていうの?」
そんな琴未の質問にミリアは首を縦に振った。それからミリアは話を続ける。
「琴未も人間と精霊の間に子供が出来る事は知ってるでしょ?」
「まあ、与凪という例があるからね」
確かに人間と精霊の間には子供を作る事は出来る。けれどもそれは契約をしたもの同士でなければならない。だからこそ争奪戦では戦いに参加しない精霊がそうした人間との関係を求めて契約をしてくるのも珍しくは無い。
それに真実を知った人間から精霊に告白してそうした展開に発展しくのも珍しくは無かった。
その例として昇達に一番近いのが与凪と森尾だろう。与凪は争奪戦に参加するために森尾と契約を交わしたわけではない。与凪が一方的に森尾に惚れて、それで森尾を契約者とすることで二人の交際が始まった。
そうして結ばれた人間と精霊はしっかりと子供を宿す事が出来る。しかも人間の子供をだ。だからこそ、そうした人間と精霊というカップルが未だに争奪戦の度に誕生している訳だ。
その事を再確認するかのように話すミリアの言葉に琴未を始め人間達は全員相槌を打つだけだった。
そして話は一番大事な部分へと差し掛かる。
「でも……何事にも例外は存在するんだよ。本来ならシエラは……そうして人間に生まれてくるはずだった。でも……シエラは精霊に近い存在として生まれちゃったんだよ」
「つまりシエラは人間として生まれてくるはずが精霊として生まれてきたという事か?」
そんな疑問を投げ掛けてきたフレトにミリアは黙って頷いた。けれどもすぐに琴未が疑問を思いついたので、その言葉を口にする琴未だった。
「でも、それが今回の問題とどう関係してくるわけ。精霊として生まれてきたからシエラは精霊として生きてるんじゃない」
確かに琴未の言う通りにも聞こえるが、ミリアはそうでは無いとばかりに首を横に振ってきた。
「人間と精霊の間に出来た精霊の子供は純粋な精霊にはなれないんだよ。確かに存在としては完全に精霊だけど、純粋な精霊じゃない証が身体のどこかに出て来るんだよ。私達はそんな存在を妖魔って呼んでるんだよ」
「つまり妖魔とは人間と精霊のハーフであり、精霊でもあるという事だな」
そんなフレトの答えに頷くミリア。つまり妖魔とはフレトが言った通り、人間と精霊のハーフであり、その存在は限りなく精霊に近い存在と言えるという事になる。
「でも……」
そんなミリアの説明を聞いて今まで黙っていた昇が口を開いてきた。
「それがシエラの秘密とどう関わってくっていうの。ただ生まれ方が違っただけじゃない。それなのにシエラはどうしてその事を秘密にしていた訳?」
そんな昇の疑問に口を閉ざすミリア。どうやらどう話して良いのか分からないといった感じだ。そこにシエラの治療が一段落したのかラクトリーが会話に混ざってきた。
「その理由としては精霊と妖魔の間に取り去る事が出来ない壁があるのですよ」
「壁?」
ラクトリーの言葉に首を傾げる昇はフレトを見上げるが、フレトもそれが何を意味しているのか分からないといった感じだ。そんな人間達を見渡したラクトリーは話を切り替えてくる。
「とにかく、これでシエラさんの容態は大丈夫です。後は安静にしていれば二、三日で完治するでしょう。ですから、ここは一旦学校に戻りましょう。一応与凪さんにもシエラさんの様子を観てもらいたいですから」
ラクトリーがそう言い放つと全員が頷き、昇は動けないシエラを背負うとシエラの温もりを感じながら学校に向かって歩き始めた。
……妖魔か、まだ良く分からないけど、シエラは自分が妖魔である事を必死になって僕らにも隠してきたんだ。なんでそこまでして自分が妖魔である事を隠しておかないと行けなかったんだろう? そんな事をしなくてもシエラはシエラなのに。……だからシエラ、僕はこれからどんな事実を知ろうともいつものシエラを取り戻してみせるよ。そう心に誓う昇であった。
その頃、繁華街を離れて人気なの無い場所まで移動していたローシェンナ達はやっと一息ついていた。
「それにしてもアレッタ、いったい妖魔って何なんですの?」
どうやらローシェンナも妖魔についてはまったく知らないようだ。そんなローシェンナに向かってアレッタは楽しげに話しかけようとした時だった。
「妖魔とは精霊にとって決して受け入れてはならない存在。精霊にとっては忌むべき存在なのですよ。だからこそ精霊は妖魔を嫌うのです」
突如として男の声が聞こえるとローシェンナ達は声の方に振り向くのと同時に再び精霊武具をいつでも取り出せるように構える。
そんなローシェンナ達の前に現れたのは長身の男性と少し幼さが残る女性が二人。二人の女性を見る限り精霊である事はすぐに察しが付いた。二人とも誰もが見惚れる容姿をしており、黙っていれば誰もが振り向くような姿をしているからだ。
それだけではなく、精霊独特の感触をアレッタとエリンはしっかりと捉えていた。だからこそ突如として現れた三人組に気を許す事は無く、未だに疲労が残る身体でも戦えるように身構える。
そんな二人の気配を感じたのだろう。長身の男性は丁寧に頭を下げると自ら名乗ってきた。
「驚かせて失礼しました。私はアンブル=リックネットという者でアッシュタリアの使者でございます」
あまりにも丁寧な挨拶にローシェンナは少しだけ気を許すのと共にある事を口にした。
「なるほど、そういう事ですのね。ここ最近になって感じていた視線はあなた達ですか」
どうやらローシェンナはアンブルの存在に気付いていたようだ。けれども接触してこないからこそワザと歩き回って様子を見ている内に、この町に辿り着いてしまったのだろう。
そんなローシェンナの言葉にアンブルは驚く事もせずに微笑んだまま言葉を返してきた。
「やはりお気づきでしたか」
「当然ですわ。それで、そのアッシュタリアの使者とやらが私に何の用がありますの?」
ここまで来ても高飛車な態度を崩さないローシェンナは相変わらず上からアンブルに対して言葉を放つが、アンブルはそんなローシェンナの態度に嫌気を見せる事も無く。微笑んだまま話を続けてきた。
「まずは黙って付け回していた事をお詫びしましょう。どうしてもあなた様の実力を見極めねばなりませんでしたので、他の契約者との戦いを拝見したかったのですよ」
「それで、私達が弱ったところを叩こうという目論みですの?」
「いえいえ滅相もありません。決してそんな事は考えていませんのでご安心ください」
あくまでも冷静かつ丁寧に話をするアンブルに対してローシェンナの警戒心は少しずつではあるが緩んできているのは確かだった。どうやらローシェンナはアンブルを完全に敵だとは思えなくなってきたようだ。
そんなアンブルに対してローシェンナは改めて尋ねる。
「それで、私の実力を見た感想は如何でしたか?」
確かにさっきの戦いでは勝敗は決してはいないが、ローシェンナ達の実力ははっきりとアンブルに見せる事にはなってしまったのには違いない。だからこそローシェンナはあえて強気に出たのだ。
それは昇のエレメンタルアップが完全であり、なおかつあそこまで一気に逆転されてしまっていては、あのまま負けても不思議は無かった。けれどもこうしてローシェンナ達が無事でいられるのもアレッタがシエラを落としてくれたおかげだ。だからこそ今回の戦いは引き分けとなったわけだ。
その事はアンブルも良く分かっているが、ローシェンナの性格から考えて、あれを苦戦していたと見られるのはプライドに触ると分っているのだろう。それにアンブルの目的を遂行するためにもここでローシェンナを怒らせる訳にはいかなかった。
だからこそアンブルは微笑んだまま先程の戦闘を褒めるかのような言動を放った。
「お見事としか言いようの無い戦いでした。あそこまでのサモナーはそうそう居る者ではございません。そんなあなただからこそ、私はあなたをアッシュタリアに招こうと参上した次第であります」
「つまり私にあなた方の仲間になれと言うわけですの?」
「はい、あなたのような方が居れば我々も心強いですから。それに、あなたは本気でエレメンタルロードテナーになろうとはしていないのでしょ」
「ッ!」
さすがにこの言葉にはローシェンナも驚きを隠せなかった。ローシェンナの本心を言えばアンブルが言ったとおり、ローシェンナはエレメンタルロードテナーを目指して戦っている訳ではない。
なら何のために戦っているかといえば、ただの暇潰しである。ローシェンナの態度を見てれば分ると思うが、どこからどう見ても生活に一切不自由が無いお嬢様なのは確かだ。そんなローシェンナが世界を周って戦いを繰り広げている理由はただ一つである。それは普段では体験できない戦いに身を投じる事で飽き飽きしていた日常にメリハリを付けたかっただけである。
ただそれだけのためにローシェンナはアレッタ達と契約を交わしたのだ。そのアレッタ達も本気で争奪戦に参加する気にはなれなかった。ただ普段は干渉できない人間世界に興味を抱いていたアレッタとエリンは何不自由無く世界を回れるローシェンナと契約する事で人間世界に干渉して満喫するのが目的だった。つまりは観光と一緒である。
だからローシェンナ達にとって争奪戦は余興にすぎなかった。けれどもそんな本心を明かしてしまっては興が失せるというもの、だからこそ今まで誰にも悟られる事無く行動していたのだが、ローシェンナを観察していたアンブルにはすっかり見通されていたようだ。
だからと言って動揺するローシェンナ達ではなかった。その程度の目的が見抜かれたところでローシェンナ達にはまったく不利益は無い。だからこそアンブルの言葉に耳を傾けるのだった。
「ですから、我々の仲間となって我らの総帥をエレメンタルロードテナーに導いて欲しいのです。あなたのようなサモナーが居てくれれば、これからの争奪戦も有利に運べますから。それに……これほど楽しい事は他に無いですよ」
すっかりローシェンナの心を見透かしたような言葉を放つアンブル。どうやらアンブルも伊達にローシェンナ達を観察して勧誘に来たというわけではないようだ。
そんなアンブルの言葉を聞いてローシェンナは口元に笑みを浮かべる。
「確かにそれは楽しそうですわね。あなた方の命令に従う気にはなれませんが、どうしても協力して欲しいというのであれば、協力してもよろしくてよ」
あくまでも上からの態度を崩さないローシェンナ。やはりローシェンナは誰かの下に付いて命令どおりに動けという行為は出来ないのだろう。
だがアンブルに言わせれば、そんなローシェンナだからこそ操りやすかった。ちょっと持ち上げただけで簡単にアンブルの言葉に同意を示してきたのである。これからも言葉次第ではローシェンナを確実に操る事が出来るだろうとアンブルは確信していた。
だからこそローシェンナの言葉に感激したかのように大げさな態度を取った。
「おおっ、それでは我らに協力してくれるのですね。それはなんとも頼もしい。ならば早速、我らの総帥にお会いして頂きたく、アッシュタリアの本部まで来てもらえませんか」
そんなアンブルの言葉にローシェンナが同意しようとした時だった。突如として横から出てきたアレッタが言葉を放つ。
「悪いけどまだここを離れるわけにはいかないのよ。まだシエラを倒した訳じゃないからね。私はシエラを徹底的に追い詰めて倒さない限り気が収まらないの。だから今すぐにこの場から離れる気は無いわよ」
そんな言葉を放つアレッタ。どうやらアレッタとしては完全にシエラを叩き潰したいようだ。そんなアレッタにローシェンナは困ったような溜息を付く。
確かにこのままアンブルに付いていけばアッシュタリアで存分に暴れる事が出来るだろう。けれどもローシェンナとしても妖魔の事は気になってしたし、このまま昇達との戦いも引き分けにしたままアッシュタリアに行くのもプライドに触るのも確かだった。そう考えたローシェンナだからこそアンブルに向かって言葉を放った。
「どうやらこのままという訳にも行きませんわね。いいわ、アレッタ。あなたの望みどおりにしてあげてもいいわよ」
そんなローシェンナの言葉を聞いてアンブルは慌てるかと思いきや、意外な言葉を返してきた。
「そういう事ならば、是非とも私達も協力いたしましょう。あのエレメンタルアップを相手にしては戦力が多い方が徹底的に叩けるというものでしょう」
決してローシェンナのプライドに触るような言い方を避けるアンブル。そんなアンブルは微笑を絶やす事無く、ローシェンナに向けて視線を送ってくる。そんなアンブルに対してローシェンナも首を縦に振るのだった。
さてさて、新キャラも登場したところでこんな感じとなったエレメですが如何でしたでしょうか。
まあ、今回はさすがにページ数が行き過ぎたと思いますので、妖魔についての詳しい説明は次回という事で~。今回はこんな形で切らせてもらいました。
……それにしても久しぶりに出てきましたね。アッシュタリアという言葉。しかも今回の奴もエルクと負けないぐらいねちっこく感じますね。
さてさて、まあ、そんな事はさて置き、重症となったシエラさんですが、なんとか一命は取り留めましたのでご安心を~。けれども心の傷はかなり深いようですね~。そんなシエラさんが心配な方~、たぶんこれからの展開ではもっと心配になると思いますよ。
……我ながらねちっこい事を考えたものだと今更ながら思ってますけどね。
まあ、そんな感じでこれからのエレメは展開していくと思われますので……たぶんね。ですので、これからもエレメをお楽しみください。
さてさて、やっと終わった白キ翼編の初回バトルですが、まあ、予定では数話後にはバトルが再開されている予定です。まあ、あれをバトルと言えるかどうかは皆様の判断に任せます。そしてその後に待っているのが、今までのエレメでは到底考えられないバトルが繰り広げられるでしょう。
なにしろあの二人が戦うのですから。まあ、その辺は後のお楽しみという事で。
そんな訳で適当に繰り広げてきた次回予告ですが、まあ、こんな感じの展開になるかと思われます。
さてさて、長くなってきたのでそろそろ締めますね。
ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。
以上、リアルでは花粉という敵とバトルを繰り広げている葵夢幻でした。