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13,告白

 予言を聞いて全員が押し黙ってしまった。

 それを見てアレクサンドロスは続ける。

「この予言によれば、我がフライブルク王国は覇者の友となる。だが、ロシアン帝国は滅ぼされると考えるだろう。南北の国も警戒はするだろうし、悪鬼たちも滅ぼされると考えるだろうね」

「その内容を父さんは……」

「知らないはずだ。この予言は各国の王室で秘匿されてきたものだ。君たちにも黙っていてもらうよ。アーサーも今日初めて聞くはずだ」

「……はい。初めて聞きました」


「偶然というには出来すぎている。シアの母をのせた馬車が嵐の日に飛龍に運ばれていたことも、カール殿が助けたことも、古代龍のマリアナ殿が育てた事も、フェンリルの小太郎がそばにいることも、シアがこの国に来てアーサーと友になったことも、人を超える武力を持つことも、全てその通りだ」


「だからね、私はシア・ペルサス君が新たに国を作ると信じている」

 

 そこまで言うと、アレクサンドロスは国王としての執務があると言って席を外した。

 未だに呆けているシアの手を、目に涙を浮かべてアーサーが握りしめる。

 驚くシアにアーサーは、

「俺は嬉しいんだよ。その予言通りなら俺はシアの友でいられるからな」

 ノイマンも上から手を握り、

「僕が覇者の友ならその国の宰相にしてくれよな」

 そう言って笑う。アラガンは気合十分な表情で、

「俺に覇者の剣を作らせろ」

 と、拳を握りしめる。

「なら、私は覇道を伝える台本を書いてあげる」

 とエマが笑いながら言うと、さらに、

「ルーナは覇者の妃になるのね」

 と、爆弾を落とした。

「……妃、覇者の妃、……覇者はシア君、覇者シア君の妃、シア君と結婚、、、」

 と、ルーナが若干壊れてしまった。


「でも、秘密なら誰にも言えないね」

 とノイマンが言うと、話を聞いていたオリビアが笑いながら、

「今別室で、コールマン伯爵、クレイン伯爵、ヨハネス子爵、バーデン男爵が呼ばれていますよ。国家機密に関わることだから、家族にも内緒にするようにと念押ししていたの」

 と教えてくれた。エマとルーナも何も聞かされていなかったようで驚いていると、

「ふふ。ほら迎えに来られたわよ」

 と、扉を指さす。すると、確かにコールマン伯爵とクレイン、ヨハネス子爵にバーデン男爵が入ってきた。さらに、出ていったはずのアレクサンドロスも戻ってきた。

全員がソファーに座ると、少し疲れた表情をしていたが、まずコールマン伯爵が意を決したように話をはじめた。


「シア君、アレクサンドロス王より話は聞きました。この先波乱があると思いますが、まだまだ君は12歳です。大人を頼って下さい」

「おう、シアよ。今までは何でカールがいなくなったのか不思議だったが、分かったような気がする。奴はお前を息子にするためにこの国を出たのだな」

「シア。エマの魔法は親ながらなかなかだ。使ってやってくれ」

「ルーナは心優しい子だと思う。覇道にどこまで役に立つのかはわからない。だが、この子の気持ちはわかっている。娘を頼むよ」


 そこまで言われてシアは、

「予言がどうなのかはわかりません。でも、俺は皆さんを大事にします」

 というと、胸が熱くなり涙が溢れてきた。

 その様子を見ていた友人たちが背をさすり、手を握りなだめてくれた。


「うん。では、今後の対策を検討しようか」

 とアレクサンドロスが口を開き、続きが始まった。

「まず最優先は君たちの安全の確保だな」

「うむ。シア君を直接害するのは困難だろうからね」

「小太郎もそばにいるからな。直接は手が出せないだろう」

「……となると」

「そうだ。シア君の大事にしている者を害そうとするだろうね」

「大事にしている者……」

「例えば、親の私が言うのもなんだがルーナは君のことが好きみたいだ」

「えっルーナが……」

「ちょっ、お父様……?!」

「ふふふ。真っ赤になって。あれだけ手紙に書いてあればわかるよ。だが、これは大事な話だ。シア君、もしルーナが攫われて敵に捕まったとする。どうする?」

「ルーナを助けます」

「それが罠であったとしたらどうする?」

「……罠でも助けに行きます。どんなことがあっても大事な女性は守れと、世界中を敵に回しても守れと、父さんと母さんに教えられました」

「君ならそう言うと思ったよ」

「はい。絶対に助け出します。この命がなくなろうとも」

「ルーナ、わかるね。シア君が大事なら足枷になってはいけない」

「……足枷」

「エマ、お前もそうだ。中途半端な実力では足枷にしかならん」

「アーサー、お前もだ。そしてノイマン君、アラガン君、君たち全員がそうなのだ」

「もちろん、私たちも同じだがね」


 アレクサンドロスが全員の顔を見て言う。

「だからな、学園の校長イルマ・スプリングスにも話をしてある。全員学園にいる間に、まだ守られている間に徹底的に強くなれ。金に糸目は付けない。国として全面的に支援する。これから今までの何倍も努力をするのだ。そしてシア・ペルサスという人間の足枷などではなく、真の友として助けるのだ。君たちならそれが出来るはずだ。イルマ・スプリングスは既に君たちのために特別な授業内容を用意するらしい。覚悟をしておきなさい」

 その言葉を聞いて、真っ先に返事をしたのがルーナであった。


「私は足枷なんかになりません。シア君の足枷になるくらいなら死にます」

 そう言うと、シアの前に立ち手を取ると、

「シア君、好きです。貴方の傍に居たいとずっと願っています」

 と告白をはじめてしまった。さすがにヨハネス子爵も驚いていたが、シアも、

「一目見た時から君のことが頭から離れない。今自分にとって一番大事な女性は誰だと聞かれたら俺は迷わず、ルーナだと断言する。例え世界中を敵に回してでも君を守り続けると誓うよ」

 とやり返してしまった。


 それを見て、アレクサンドロスが、

「ヨハネス子爵、娘の嫁ぎ先が決まったな。おめでとう」

 と言うと、

「……まだ早いと思っていましたが、認めましょう。貴族では12歳で婚約というのは普通ですからね。今まで娘可愛さに縁談を断り続けてきましたが、真っ直ぐな二人の気持ちを尊重いたします。シア君、ルーナを幸せにしてやってくれ」

 と、認めてしまいシアとルーナの婚約が王の前で成立してしまったのであった。


 我に返ったルーナが真っ赤になっていたが、シアが全員にルーナを幸せにすることを誓うと、全員が笑顔で拍手をして祝福したのであった。



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