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第七十話 

 店裏の鍵を開けて入ります。

 ヒロン達の他に知らない子が二人います。

 二人とも顔が腫れて怪我をしてます。


「トキン、こいつら昆虫ダンジョンの側で泣いてたから、連れて来ちゃったんだ。放って置けなくてさ」


 ヒロンが言います。


「うん、わかった。君たち事情を話して貰えるかな。力になれるかも知れないし」


 僕は聞きます。


「私はセドミン。こっちは弟のセドポン。元々はベニスの商家の生まれなの。両親が商売に失敗してからは二人で生きて来たの」


 僕は頷きます。


「孤児としてゴミ拾いなんかで生きて来たの。セドポンが「鑑定」スキルを持ってることに気づいてからは各地でせどりしながら旅をしてたの」


「あいつら許さないぽん。絶対にフィレンツ侯爵家の指示だぽん」


 弟のセドポンが話に割り込みます。

 僕は静かに問います。


「どういうことなの」


「かなりの効果の【逸品】が二割程安く売ってるのを見つけたの。買うお金は無かったけど、鑑定結果を書いた羊皮紙を侯爵家の門番に見せて取り次を頼んだの」


「そしたら得体の知れない者は相手にしないと返事が来たぽん。僕達は大人しく帰ったけど、数時間後に知らない大人四人に囲まれて乱暴されたぽん」


「所持品も全て取られてしまったの【逸品】のありかも聞かれたわ」


「でも【逸品】のありかは嘘を教えてやったぽん」


「二日ほど飲まず食わずでシェーナの手前まで逃げて来たの。でも体は痛いし、お腹はすいたし、歩くのも辛くて動けなくなって泣いてたの」


「そしたら、ヒロンとホホンが声かけてくれたぽん。荷台に乗せてもらってここまで来たぽん」


「ビアンカとジュリアが怪我の手当てと、食事まで出してくれたの。本当にありがとう、みんな」


「感謝してるぽん」


 事情を話してくれた二人に頷き聞きます。


「二人にその気があるなら、住まいと食事と仕事を提供することが出来る。ヒロン達のように僕の元で働く気はあるかな」


「もちろん、あるわ」

「行くとこも、お金もないぽん」


 僕は羊皮紙に簡単な計算問題を書いてセドミンに渡します。


「セドミン、この計算、出来るかな」


「見せて。簡単よ、フフ〜ン♪」


 セドミンには簡単過ぎたようです。

 マジックバッグからアイテムを一つ取り出します。


「セドポン、これの鑑定結果を教えて」


「わかったぽ〜ん。うわっ、やばいアイテムぽ〜〜ん」


鑑定結果

「白銀の胸当て」

 良品

【ミスリルの胸当て】

 素早さ+70

 器用さ+70

 28,000,000ゴルド

 


 フォルトゥーナの鳴き声が聞こえます。

 

「迎えが来たみたい。一度戻るね。セドミン、セドポン。二人はジーヤに会ってもらうからついて来て」


 フォルトゥーナ号に揺られ別邸離宮に着きます。


「トキン殿は貴族ぽん?」

「トキンさん、こんな汚い格好でお邪魔するのはまずいわ」


「はははっ、気にしないでついて来て」


 出迎えに来たメイドのエリザとアンナに二人を頼みます。


 ティータイムの場にセドミンとセドポンが姿を見せます。

 ポーションを飲んだのだと思います。

 怪我は綺麗になくなり、服も着替えています。


「母さま、ジーヤ、紹介するね。お話してたセドミンとセドポン」


「は、はじめましてセドミンと申します」

「セ、セドポンぽん」


 二人はぺこりとお辞儀します。


「緊張しないでと言っても今は無理かしら、ふふふ」


「うちの料理長が作ったパンナコッタを食べれば緊張も取れるはずじゃ、ふぉふぉふぉ」


 エリザとアンナが二人を席に案内します。

 勧められるままパンナコッタを口にした二人の顔が綻びます。


「とっても美味しいです。フフ〜ン♪」

「これまで食べた物の中で一番ぽ〜ん」


 みんな笑顔になります。

 料理長サーラの作るパンナコッタは最強です。


 二人はベニス生まれの商家育ちという事もあり話が弾みます。


「セドミンには商会の店番を。セドポンには鑑定屋の店番を任せたいって思ってるんだ」


「手の空いたトキンは、何をしようとたくらんでるのかしら。ふふふ」


「僕は王国中を旅して、幸運アイテム探しと、仕入れルートをもっと作りたいと思ってるんだ」


「まさか、一人でとは言わんじゃろうのぅ。さすがにそれは賛成出来んぞぃ」


「そうよ、トキン。お兄様にも怒られてしまうわ」


「いくつか新しい装備を手に入れたんだ。とっても強力な物ばかりなんだ。それで一度、エリザとアンナ二人相手に練習試合をしたいと思ってるんだ」


「ほぅ、その後どうするつもりなんじゃ?」


「母さまとジーヤが認めてくれたら、次は伯爵に言ってトツカーナ最強の戦士と練習試合をしたいと思ってるんだ。それで勝てたら少しだけ旅を許して欲しいんだ」


 僕は希望を口にします。

 

 いつも僕の考えに賛成してくれる、母さまとジーヤは困った顔をしています。

 それでも、流石にトツカーナ最強の戦士相手だと聞いて、苦笑いを浮かべ、ほっとしてます。



〜〜〜


 

 数日後、僕は二人の期待を裏切ります。

 


 その時はやって来ます。



 プッブリコ宮殿裏庭の特設席には、

 トツカーナ伯爵夫妻とソフィ、

 母さまとジーヤがいます。



 宮殿裏庭の中央には、片膝をついて、荒い息をあげるリッチョ守備隊長がいます。





 朝焼けに染まる庭園に、

 審判ジュゼッペ執事長の

 言葉が響きます。



「勝者、トキン・ヴェネート様」


 

 これで迷宮都市シェーナを拠点に、カイン王国を旅してまわれます。



「幸運アイテム」を集め、正しい組み合わせで、幸運値+100を目指す旅です。



 建国物語【王様と時の扉】で語られた「時の扉」のその先をこの目で見る旅です。

 最後まで読んで頂きありがとうございます。


 これで一旦、完結となります。

 ありがとうございました。



 続編


 迷宮都市の鑑定屋さん。出張中です。


 本日、19時に第一話を予約投稿します。

 引き続きよろしくお願いします。


 https://ncode.syosetu.com/n5737hc/

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