第三十五話
僕はイスにちょこんと座って想います。
先程のヒロン達との出会いは、彼等にも僕にも嬉しい出会いとなる。
そんな気がします。
「トキンくぅ〜〜〜ん」
名前を呼ばれ顔をあげます。
若い女性がものすごい勢いで走ってきます。
「やっと会えた。私の可愛い子、、、(トゥンク)」
不穏なセリフにびっくりします。
僕の母さまはもっとお胸が大きいです。
お姉さんもなかなかではありますが、などと思っているとバーン門番長が姿を見せます。
「ご、ごめんなさい。鑑定してもらいたい物を並べるね。ついトキン君が可愛いくて可愛いから興奮しちゃった」
「いや、俺の方が可愛いし、可愛い」
「貴様は、可愛いくないし、カッコ良くもない、良いところが無い。己を知れ」
女性魔法使い、男性剣士、女性僧侶の三人が絶妙のコンビネーションをみせながら、アイテムを並べます。
Dランクパーティーの『トライアングル』さんです。
鑑定結果
「木の杖」
良品
【深緑の杖】
魔力+10
回復魔法+3%
380,000ゴルド
「ふむぅ〜ん、見えました。この木の杖は、銘が【深緑の杖】効果は魔力+10と回復魔法+3%の逸品です。価値は380,000ゴルド。買取なら95,000ゴルドです。他は纏めて80,000ゴルドになります」
「ハゥ、、つ、杖以外を買取でお願いするわ。あと可愛い」
おっと、男性剣士さんが話さないと、女性僧侶さんも突っ込まない。新しい発見です。
僕はにっこりで80,000ゴルド(銀貨八枚)を渡します。
『トライアングル』の三人が帰って行きます。
「あの笑顔だけで固いパン三個はいけるわ。あとふむぅ〜んで、もう三個よ」と聞こえます。
バーン門番長もニヤリの笑顔で詰所に戻ります。
待っていてくれた男性四人組がやって来ます。
「よう、トキン。また頼むぜ」
「泣けるほど持って来たぜ」
「今日は呑むぞ〜マジ酒場直行」
「トキン、俺、腹減った」
Eランクパーティー『たぬきの皮』が賑やかにアイテムを並べます。
「全部で110,000ゴルドになります」
「おう、それで頼むぜ」
「いい感じの稼ぎだな、泣ける」
「マジ酒場」
「腹減ったの通り越した」
僕は110,000ゴルド(金貨一枚、銀貨一枚)を手渡します。
『たぬきの皮』さん達は賑やかに酒場へ消えます。
西門をくぐり、一人のおじさんが入って来ます。
いつも遅く帰ってくるソロ冒険者さんです。
僕を見て手を振ってきます。
僕も手を振ります。
「やあ、トキン君。今日も頼めるかな」
「はい、お疲れ様です。タナーカさん」
「あと、この片手袋もお願いね。すぐはずすから。悪いね、ほかほかで、タハハ」
タナーカさんが丁寧にアイテムを並べていきます。
刃物などは僕に先端を向けない様に置いてくれます。
いつも感心してしまいます。
鑑定結果
「革の手袋」
良品
【黒像の手袋】
力+15
220,000ゴルド
「ふむぅ〜ん、見えました。この右手用の手袋ですが、銘は【黒像の手袋】効果は力+15の逸品です。価値は220,000ゴルドです。買取はしないですよね。他は纏めて100,000ゴルドになります」
「手袋以外、買取で頼めるかな」
「はい、わかりました」
僕はにっこりで返事をして100,000ゴルド(金貨一枚)を手渡します。
タナーカさんが笑顔で帰って行きます。
もう、くたびれた姿には見えません。
フォルトゥーナの鳴き声が聞こえます。
今日はこれで店じまいです。
トキンのメモ
鑑定 ランク2 (106/200)
お知らせ 2021年7月7日追記
ここまで読んで頂きありがとうございます。
既に投稿済みの第一話から第三十四話にかけて表記の修正をしました。
・「」の位置の見直し
・改行の追加
・「ランク」の文字を「R」表記に変更
・誤字の訂正 第十九話
銀貨六枚→銀貨五枚
・後書きの表記の移動
直感 ランク1 (3/100) NEW
第十七話→第十ハ話の後書きへ移動
以上の修正になります。
10日までは予約投稿済みですので引き続き見て貰えたら嬉しいです。
よろしくお願いします。




