第二十二話
大雨の翌日、僕は幌馬車に乗っています。
僕の隣には母さまがいます。
ジーヤは御者台です。
前方の幌を巻き上げ、ジーヤの後ろ姿と景色が見えます。
クッションがわりに、藁に布を巻いて敷いててふわふわします。
どうしてこんな状況なのかと言うと、朝食後、母さまの急な提案で、海を見に行くことになったのです。
急いで用事を済ませました。
僕はジーヤと一緒に、武器屋『幻の左ストレート』でリペアしておいた武具と金属素材を売却します。
そのまま西門の門番詰所を訪れ数日の留守を伝え、最後に馬車をかりに行きます。
あわただしい朝になりました。
馬車に揺られながら、母さまとお話します。
「母さま、三人だけの旅は危なくないの?」
「そうね普通は危ないわ。でもこの辺りは治安も良い方だし、盗賊が出たとしても十人位までなら、ジーヤと私で返り討ちよ。ふふふ」
「えっ、母さまも戦えるの?」
「あら、トキンに剣術を教えたのは誰だったかしら」
母さまはニコニコしています。
ジーヤの背中もクククッと笑っているようです。
そういえば男の子の嗜みとして、剣術を教えてくれたのは、元冒険者のジーヤではなく母さまです。
僕はまた聞きます。
「海が見える場所は遠いの?」
「少し遠いけど、まだ近い方とも言えるわ。トキンはトツカーナ伯爵領の、二つ北隣りの領名は知ってるかしら」
「うん。ジーヤに教えてもらったよ。まずフィレンツ侯爵領があって、さらに北東にヴェネート公爵領でしょう」
「偉いわ、ちゃんと覚えてるわね。そのヴェネート公爵領の海辺が目的地よ。片道二日もかからないわ」
馬車は進みます。
三人で会話を楽しんだり、ロック親方に教えてもらった歌を歌ったり、途中一泊したフェラーラ村の印象を話たり、そんな時間を過ごし、ようやく馬車が止まります。
トキンのメモ
鑑定 ランク2 (55/200)
リペア ランク2 (95/1000)




