ひとりの執事が生まれた日 3
すみません、体調不良にて昨日は更新できませんでした
それも踏まえて今日はあと一回夜更新したいと思います
ブクマ・評価してくださった皆様ありがとうございます
怪我が完全回復した少年はアウローラをひざに乗せ、先程までの手負いの獣感はどこへやら薄気味悪い程にでれでれと鼻の下を伸ばしきっている。
アウローラ本人は自分がしたことをまったく解っていない様子でカーラに向かって手を伸ばす。
「カーラぎゅうってして」
それに答えたのはカーラではなくお嬢さまの後ろの少年。
抱っこではなく束縛という感じで抱き締めている。
カーラは本能的に察した。
何かヤバい。ものすごくヤバいのをお嬢さまは手懐けてしまった。
とにかくコレの事を早く旦那さまに報告し、指示を仰いだ方がいい、そう思いカーラは少年に声を掛ける。
「貴方、お嬢さまの傍に居たいですか?」
カーラが問いかければ少年から当たり前の事を聞くなという視線が返ってくる。
カーラはため息をつくと少年に再び言った。
「貴方がお嬢さまの傍に居たいなら旦那さまの許可を取らなくてはなりません。・・・・・・付いてきなさい」
そう言ってカーラは少年に背を向け歩き出そうとした瞬間、ジャリっと後方で音がする。
すかさずカーラは背に向けて言った。
「お嬢さまを拐って逃げようとしても無駄です。旦那さま、お嬢さまのお父君はその方を溺愛しています。拐って逃げようとすれば地の果てならず、地獄の果てまで追いかけて死ぬより辛い苦痛を与えるでしょう」
「それに、お嬢さまをただの子供と見てはいけません、・・・・・・死にますよ」
カーラの本気の気配を感じ取ったのかびくりとと震える気配がした。そして大人しくカーラのあとを付いてくる。
中庭を抜け、ガーデンテラスから屋敷に入る。
その間も少年はアウローラを抱きかかえ離すことなくカーラのあとを付いてきた。
時々、通りすがる使用人たちの好奇の視線が少年に向けられたが抱えられたアウローラを見て、皆が「ああ、とうとう・・・・・・」という顔をし、その後カーラへ同情の表情を向ける。
・・・・・・泣きたい。
当のアウローラは少年に抱きかかえられご機嫌の様子で使用人たちに愛想を振り撒いている。
その度、少年が使用人たちに対して威嚇をしているのをカーラは止めることが出来なかった。
この時間は公爵はサロンにいるはずだと当たりを付けカーラがサロンに向かえば、丁度良いことに公爵夫妻が揃っていた。
夫婦水入らずでお茶を楽しんでいたようだった。
カーラは一礼し声を掛ける。
「旦那さま、奧さま。ご歓談中の所に失礼致します」
「構わないよ。入りなさい」
「何かあったの? カーラ」
鷹揚な公爵夫妻の声にカーラはほっと息を付き、概要を話す。そして少年を呼んだ。
ややあって公爵は少年を見つめ抱かれたアウローラに声を掛ける。
「アウローラ、彼を何処で拾ったの?」
「森ー」
父親が大好きなアウローラは声をかけられ嬉しそうに答えたが、その場にいたアウローラと少年以外の全員は首を傾げる事となった。
ミッドフォード家は広い、だが森はない。
公爵は娘が薔薇の生け垣が迷路になっている一画を森と勘違いしているのではないかと思いもう一度尋ねた。
「薔薇の咲いているところかな?」
けれど違った。そしてアウローラはハッキリとこう言ったのだ。
「ううん。菫の花の咲いてるとこの穴に入ったら森だった。一本角の狼さんがいたよー。そこで拾った!」
確かに庭園に菫の咲いている所はあり、そこにある茂みには子供と一人が通り抜けられる穴がある。けれどそこを抜けても邸内の噴水の所に出るだけだ。
そして一本角の狼など当然だがミッドフォード家にはいない。
凍りつく一同とは裏腹にアウローラはニコニコとしたままだ。
「もしかして、アウラちゃん妖精の抜け道通って行ったのかしら?」
おっとりとしたアフロディーテの声に皆の顔に疑問符が浮かぶ。
妖精の抜け道とは子供向けの童話に出てくるもので名は聞いたことがあるが実際に見たものなどいない。
それをアウローラが使ったとアフロディーテは言う。
そんなことがあり得るのだろうか?
飼ってるメダカが愛しい今日この頃
メダカ愛好家を増やすべく努力しています




