緋(あか)の貴公子 蒼(あお)の騎士 3
ブクマ・評価ありがとうございます
少しずつブクマしてくださる方が増えているようで嬉しい限りです
そしていつもと違う時間での投稿です
人生には驚きが必要ですよね
お花の一件の後も何故か王子はやって来た。
うちに来ると兄弟たちと小競り合いをし始めるので、暫くの間それを観戦した後、自室に戻る事も多かった。
また時折、私が王城に呼ばれる事もあり3回に2回は登城を断っていた。
そして贈り物も毎日のように届く。
宝飾品・ドレス・お菓子等々。
高価な品はお手紙を付けて突っ返し、お菓子など返品が利かないものはありがたく頂戴し、食べきれない量の時は使用人たちに配ったり、孤児院に寄付していた。
貰ってばかりも悪いので同じくらいの価値のものをお礼として贈ったりもした。
返礼の手紙に花を添えて返していたら、王子も小さな花束を付けて送ってくるようになった。
王子から贈られて来る花は様々だけど、心なしチェリアの花が多い気がする。
綺麗だし、香りも良いし、何より美味しいお花は私の好きな花になっていた。
贈られたチェリアの花でサシェを作って持ち歩いていたら王子の前で落とし、恥ずかしい思いをした。
その事があってから更に王子から贈られるチェリアの花の頻度が高くなり、
ある時、王子からチェリアで作ったサシェが欲しいとねだられたので材料となるチェリアの花も沢山あったので作ってあげた。
登城した際、王子に直接手渡したらしばらくの間無表情で固まっていた。
「本当に作るとは思わなかった」と言われたので、「いらないなら返してください」と手を出したら速攻で服のポケットに押し込んでいた。
・・・・・・王子は何がしたかったんだろう。
王子の為にサシェを作っている間セバスチャンが、機嫌が悪くて面倒臭かった。
そんな日々を繰り返し、更に5年が経った頃には何故か貴族間では暫定的婚約者ではなく正式なアルフォンス王子の婚約者だと認知されていた。
・・・・・・解せぬ。
そして本日。
王妃さま主宰のお茶会に私と家族は招待されていた。
エスコート役は父・・・・・・ではなく、兄のシリウスと弟のユリウスだった。
私は父が良かったのだが残念ながら母がお茶会に参加している以上、仕方がない。
だけど美男美女な両親を見るのは大変目の保養になるので良しとしよう。
我が両親ながら本当に見目麗しい。
二人とも三人の子供がいるとも思えないほど若々しく、貴公子然とした父が愛らしい母の手を取る様は本当に物語に出てくる王子と姫の様だった。
あえて難を言うなら母が13、4才に見えるせいで若干の犯罪臭を感じることくらいだろうか・・・・・・
恐ろしい事に母の方が父よりも年上だという事実。それを知った時、私は頭の中が真っ白になった。
何したらあの若さを保っていられるのか今後のために教えて欲しい。
話は逸れたが、そんなわけで私のエスコートは兄弟たちになったのだ。
王子もエスコートすると申し出ていたのだけれど、兄弟たちとの激しい攻防に負けた。
私としては兄弟たちの方が気が楽で良いし、王子との婚約破棄を望んでいるのでエスコート役は王子でなくて良かった。
セバスチャンは執事という立場からエスコート役は出来ない。
けれどお茶会には付いて来ていて私の背後に影のようにぴったりと張り付いている。
「セバスチャンはお父様たちに付いていなくて良いの?」
「構いません」
即答された。
本来なら主人である父に付いているべきだと思うのだが、子供たちに何かあれば大変だと両親に言われたらしい。
「それに、私の主人は旦那さまじゃありませんから」
「何か言った?」
「いえ、何も」
さすが王妃さま、主宰のお茶会。色とりどりの美しい花々が咲き誇る王城の中には来る者のめを楽しませ、出されるお茶もお菓子も、茶器も一級品。
「素敵なお庭だわ」
「そうだね。あ、アウラこれ美味しいよ」
シリウスお兄さまはそう言ってテーブルの上からクッキーを取ると私にくれた。
お礼を言い、クッキーを口にいれる。
香ばしいサクサクとした生地は口に入れた瞬間ホロホロと崩れていった。
「あら、本当すごく美味しい」
「アウラこっちも美味しいよ、食べて」
「ちょっとユリウス!」
口を開いた途端に小さなマカロンを放り込まれる。
「ん、むぐっ」
仕方なく口に放り込まれたマカロンを咀嚼する。
マカロンは中に挟まれたクリームが上品な甘さで確かに美味しかった。
そんな風に兄弟やセバスチャンたちと暫く過ごしていると、
突然、背後から声を掛けられた。
「おい、お前!」
驚いて振り返れば燃えるような緋い髪に金の瞳の少年が立っていた。
「あの何かご用でしょうか?」
私がそう尋ねると緋い髪の少年は不機嫌そうに鼻を鳴らして顔を近付けてきた。
「お前、男2人侍らせて女王さま気取りか!」
・・・・・・なんだ、コイツは!?
誰が誰を侍らせてるって?
そう思った瞬間、私は手にしていた扇子でその少年を引っぱ叩いていたのだった。
少年は驚いたのだろう、腰を抜かしてズルズルと座り込んだ。
私は叩かれ腰を抜かした少年をスッと見下ろす。
「いきなり名前も名乗らず暴言を吐くなんて随分と失礼なのではないですか」
「お前のような下品な人間と話す口など持っていない!!」
おい、まだ言うか?
新キャラ登場です
名前はまだない
なんか緋いのって呼んでやってください




