金の王子と銀の姫 7
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チマチマ誤字等修正入っていて申し訳ありません( ノ;_ _)ノ
「セバスチャン抜け駆けなんて卑怯だぞ!」
「ちゃっかりアウラと手なんか繋いでさ!!」
食堂と廊下を繋ぐトビラを乱暴に開け放って入って来た二人に母の周囲の温度がぐっと下がったのがわかる。
二人に詰め寄られたセバスチャンは椅子に座る私の後でそれを一切無視し無言で立っている。
複を引っ張られたりしているのを鬱陶しそうに軽く払っている辺り、セバスチャンの二人に対しての扱いは雑なんだろう。
「シリウス、ユリウス」
其処に母の低く静かな声がかかる。
「セバスチャンに文句をいう前にお父さまとお母さまに何か言うことはなくて?」
優しげな口調だが目は笑っていない。
母がすっと扇子を取り出す。
・・・・・・とってもマズイ雰囲気だ。
「えと、お腹すいた?」
これはシリウス。
「僕たちのご飯まだある?」
これはユリウス。
多分二人は敢えてわかっていてはぐらかしている。だってお母さまから完全に目を反らしているもの。
だけどそれはこの場合最悪の悪手だ。
思った通りお母さまの機嫌は急降下だ。
ピシャリっと激しい音をたてテーブルに打ち付けられたお母さまの扇子が鳴る。
「そうではないでしょう。言うべきことは!!」
扇子の先から冷却が漂い触れた先からどんどんテーブルが凍りついていく。
それまで無言で一部始終を塑像と化しながら眺めていた私と父は慌ててテーブルの上の自分の皿を確保する。
使用人達は慣れているためだろう、テキパキとした動きで他の皿を下げている。
シリウスとユリウスの分の皿はそのままだったのは日中悪戯をされた意趣返しかもしれない。
「セバスチャンから聞きました。日中の騒ぎは貴方たちのせいだったのですね!しかも授業もサボったというではありませんか!!」
ビシィィィィという音がした先に視線を向ければ外との温度差によってヒビの入った窓ガラスが目に入った。
今週に入ってから窓の修理って何回目かな。
兄弟たちの悪戯で数回。
それに伴うお母さまの雷で十数回。
確実にお母さまが割っていることが多い。
お母さまのはわざとではないんだけれど抑えきれない魔力が体から溢れ出てしまってこんなかことになる。
王家の血に連なる者は総じて身の内に宿る魔力が強い。
けれどその強大な魔力をコントロールする力、つまり魔力制御の能力に欠ける者が多く、母のように感情に引きづられて魔力が暴走してしまい大惨事を引き起こすことも少なくない。
歴代王族の能力と母の能力を比較してみれば、母はかなりコントロール出来ている方だろう。
父も兄弟たちも魔力持ちだが母程強くはない。
私には至っては魔力があるんだかないんだかよくわからない。
ゲームの設定でもアウローラが魔法を使ったという明確な表現はなかった。
・・・・・・ただ、魔法でも使わないと説明できないようなシチュエーションは多々あったが。
現在、私には魔力の片鱗すらみられない。
けれど少しばかり不思議なことはある。
物心ついた頃から時折、光の粒が見えるのだ。色は様々で、赤かったり黄色かったり、白かったり多種多様。
大きさも大小様々で色々なところで見かける。
個人差はあるが人の周りをふよふよ漂っていることもありその数も様々だ。
日に日に形がハッキリと明確になってきている。
・・・・・・まぁ、これが何の役に立つのかというと、
私はひとつの赤みがかった光の粒に触れ、母の方・・・・・・正確には氷の魔力の伝達原である扇子に向かってそれを弾く。
光が扇子に触れるか触れない内にパシュと小気味の良い音をたて弾けて消えた。
同時に部屋中を満たしていた氷の魔力は霧散する。
そして徐々に部屋の空気が戻っていく。
・・・・・・本当に何だろう、これ。
母は気勢を殺がれたのか、食事の後で部屋に来なさいという一言に収まった。
急に消えた冷気に少々の戸惑いは隠せないものの使用人達は再び食事の支度を整える。
1、2、3、4、5、6。
さっきは気付かなったが用意された食器の数が多い。
「ねぇ、セバスチャン。食器の数がひとつ多い気がするんだけどお客様でも来るのかしら?」
「ああ、それはですね」
苦々しげな口調でセバスチャンは先を続ける。
「レオルさまの分です。お帰りになれば宜しいのに今日はお泊まりになると仰るので」
「え?」
「酷いよなぁ、本人を目の前に嫌みを言うなんてさ」
「おや、いらしたのですか」
「わかってて言ったくせに!」
むくれるレオルにセバスチャンはニヤリと笑い、
「私のおもてなしにご不満がおありでしたらお帰りはあちらです」
と、玄関のある方角を指し示す。
「アウラ!こんな執事雇ってんなよ!」
何故か私に飛んできた文句に私はひとつ瞬きをしてから、
「あっちの方が近道よ」
にっこり笑って窓を指差した。




