金の王子と銀の姫 5
読んで下さっている皆様ありがとうございます
またブクマを付けてくださった皆様
感謝感激雨霰です!ありがとうございますヽ(´∀`≡´∀`)ノ
誤字とか少しずつ修正してます
一人になった室内でようやく私は肩の力を抜くことができた。
白と青でで統一された調度品は上品で美しい。
その中でも特に精緻な意匠を施された姿見に近づく。
そこに映ったのは優雅に波打つ白銀の髪に陶器のような白い肌、桜色の口唇。アーモンド型の瞳は紫水晶の色をしている。
5才にしてこの美貌、将来が空恐ろしい。
とは言っても今まで気にしたことないんだけど、この世界の人って顔面偏差値高めだしね。
前世の記憶が戻った故のナルシスト発言は許して欲しい。
いや、ホントに自分の顔で芽の保養が出来るなんてね。・・・・・・お手軽でいいわー。
鏡を見たのは別に自画自賛したかったからというだけじゃあない。
まぁ、多少その目的はあったけど。
だってフツメンがいきなりすごい美形になったら穴の空くまで眺めるでしょう!?
いや、そうじゃなく。
私が私であること、つまり【深遠の純黒と純白】という乙女ゲームの【アウローラ・ミッドフォード】であることを確認するためだ。
結果は言うまでもないけど。
「あー、もう!」
私はボスリとふかふかのベッドに仰向けに倒れこむ。
メイド達が天気の良い日は干してくれている羽根布団はふっかふかに仕上がっている、そして何よりお日様の匂いが素晴らしい。
「うむ、良いよい・・・って違うから!!」
私は勢い良く起き上がると部屋の隅のローテーブルに帳面を広げる。
そして手近にあったお気に入りのつるりとした飴色の硝子ペンにインクを付け書き出す。
・【深遠の純黒と純白について覚えていること】
アウローラ・ミッドフォードが悪役令嬢?であること
ヒロイン、アウローラともに処刑ENDがある
お父さま、クラウス・ミッドフォードは攻略キャラではないがアウローラが処刑されると家族全員が処刑される
アルフォンス王子は攻略キャラ
世界観・世界情勢
・【覚えていないこと】
ヒロインの名前
その他攻略キャラ
「ヤバイわー、分からないことばかりだわー」
硝子ペンをテーブルに置き、突っ伏した。
紙に書き出してみると良くわかる、最悪の状況だ。
特に良く分からないのがアウローラ・ミッドフォードの立ち位置だ。
うろ覚えなゲームの記憶ではヒロインの行動に因ってアウローラの行動も変わっていた。
【深遠の純黒と純白】には【教養】、【慈愛】、【容姿】、【礼節】、【正義】、【品性】、【協調性】、【カリスマ性】、【体力】、【魔法】、そして攻略キャラやその他のキャラとの親密度がエンディングに関わってくる。
たかが乙女ゲームに色々と盛りすぎだろうと当時は思っていたが始めてみれば私はキャラの攻略そっちのけでステータス上げにのめり込んでいた気がする。
そのせいなのか初回プレイは悪役であるハズのアウローラと心友(心の友と書いて心友と読む)になり、攻略キャラを調教・・・もとい締め上げていた。(ちなみにこのENDでも超絶美麗なスチルだった)
これではイカンと思い攻略キャラの親密度優先で行動し、ステ上げを怠ればこれぞ真の悪役令嬢と言わんばかりの悪逆非道の限りを尽くしたアウローラによってヒロイン処刑ENDまっしぐら。
きちんとステ上げしつつ、攻略キャラ他その他大勢との親密度も上げると選択肢によってアウローラとの正統派令嬢対決になったり、アウローラ処刑ENDになる。
こうして書き出してみると何かが見えて来そうな気がする。
「・・・・・・ローラ、アウローラ!!」
ドアを開けるというより叩き破る勢いでドアが開けられた。
入ってきたのは二人のちっさいイケメン。
私も5才児だから小さいけれども。
一人は白銀の髪に青みがかった深緑の瞳を持った少年。普段は例利さが目立ち、冷たい氷のような印象を受けるけれども今は陽に温んだ解けかけの氷の雰囲気だ。
もう一人はサラサラとした金髪に空色の瞳の男の子。こちらは春の陽だまりの雰囲気だ。花を飛ばさんばかりの勢いで駆け寄ってくる。
銀色の髪の少年は4歳年上の私の兄、シリウス・ミッドフォード。
金の男の子は年子の弟のユリウス・ミッドフォード。
兄弟も美形なんてアウローラ、いや、私はなんて勝ち組・・・
「ごふっ!?」
今生の幸せを噛み締めているところに首とお腹にキツいタックルが来た。
確認しなくてもわかるうちの兄弟達だ。
そうだよね、あの勢いで駆け寄ってきたら痛恨の一撃喰らうよね。
・・・・・・こういう猪突猛進なところでも血の繋がりを実感するわー。
痛みのあまり滲む涙を拭っていると首とお腹の辺りから悲痛な叫びが飛んできた。
うわ、耳痛い。
「「結婚しないでアウラ!!」」
「は?」
「だって頭キンキラのバカとアウローラが結婚しちゃうって言ってた!」
・・・・・・頭キンキラのバカとは、もしかしなくてもアルフォンス王子のことか?
だけど、弟よ。君の頭もキンキラなんだが・・・・・・
「それは誰が言ってたの?ユリウス」
「レオルのやつだよ」
「シリウス兄さま」
「そうだよ!レオルがキンキラバカにアウラをやるくらいなら拐って逃げるとか言うから!!」
お腹の辺りにへばり付いていたユリウスはイヤイヤをするように私のお腹に頭をぐりぐりと押し付けている。・・・地味に痛い。
兄のシリウスは首にしがみついたまま耳元でボソボソと何か呟いている。
時折、「今の内に既成事実」とか「監禁場所と首輪、足枷の用意が・・・」とか何やら不穏な発言が聞こえくる。
まさか兄さまヤンデ・・・いや、そんなハズはない。普段は他人に対して永久凍土の兄さまだけど私には極甘だもの大丈夫!大・・・丈夫。
・・・駄目だ。不安しかない。
何とか今だけでもこの場を逃れたいと願う私に夕食を告げるセバスチャンの声はまさに天の一声だった。




