第1話
●昼間のショッピングモール
アバン。
現代日本のショッピングモール。
サラリーマンが自動販売機で缶コーヒーのボタンを押す。
取り出し口に手を入れた瞬間、機械の内部から手を掴まれる。
取り出し口から、青白い顔の女がサラリーマンを見上げている。
サラリーマン「えっ」
次の瞬間、女がサラリーマンを自動販売機の中へ引きずり込む。
血や肉が自動販売機から噴き出す
サラリーマン「あばぎゃうあうあうああああああああっ」
取り出し口から、血みどろの女が這い出してくる。
それを見た客が一斉に逃げ出す。
市民A「怪異だ!」
市民B「逃げろーーー!!」
●昼の街中
街中を走る軽自動車。
スーツ姿の男・野村が運転しながら説明する。
野村「ショッピングモールに人型の怪異が発生……等級は推定A……先行部隊からの連絡は途絶えています」
後部座席からリコーダーの音が聞こえてくる。
野村、眉間に皺を寄せる。
野村「あの……聞いてます?」
贄田「~~♪」
鼻でリコーダーを吹くジャージ姿の女・贄田。
バックミラーでそれを見た野村、深々とため息を吐いて嘆く。
野村「勘弁してくださいよ、贄田さん……」
贄田「ぬふふ、野村クンは真面目だなぁ」
贄田、嬉しそうに笑う。
贄田「ちゃんと話は聞いてたよ、大丈夫。怪異をぶっ殺せばいいんでしょ?」
野村「まあ、そうですね。よろしくお願いします」
●ショッピングモール
大型ショッピングモールの入り口に急停車する車。
車外に出た野村、贄田に説明する。
野村「客は避難済みで、敷地内は結界で隔離しています」
贄田「はいはーい」
贄田、いい加減に返事をする。
二人、モール内に侵入する。
贄田、鼻をほじる。
カチリと鼻の奥で音が鳴る。
贄田「視覚センサーとレーダーを起動」
贄田、瞳の色が青色に変わる。
贄田、きょろきょろと見回してから野村を先導する。
贄田「こっちだよー」
二人は死体だらけの店内を進んでいく。
間もなく、死体を引きずる冒頭の女・怪異と遭遇する。
贄田、怪異を指差す。
贄田「あっ、いた」
野村「黒髪ロングにワンピース……典型的な女霊型ですね」
贄田「どうする?」
野村「いつも通りでお願いします」
贄田「りょうかーい」
贄田、すたすたと前に進み出る。
怪異、ふらつきながら歩み寄ってくる。
贄田「こんにちはー。成仏してくださーい」
贄田、懐から出した拳銃を連射する。
銃撃が怪異に命中する。
怪異、笑いながら突進してくる。
怪異「きゃはははははははははははは!!」
贄田「いいよ、かかってきな」
贄田、銃を捨てて腕まくりをする。
跳躍した怪異、贄田の頭部を鷲掴みにする。
贄田、少し焦った顔になる。
贄田「あっ、やべっ」
怪異、贄田の頭部を胴体から引き抜く。
頭部から胴体に繋がるコード等の機械部品が露出する。
その直後、贄田の両手が変形し、手のひらから散弾を発射する。
散弾が怪異を吹き飛ばし、壁に叩きつける。
贄田、頭部を掴んで胴体に引き戻し、挑発気味に嘲る。
贄田「残念でした~~。殺せたと思った?」
野村「贄田さん、準備完了です」
贄田「はーい、じゃあ後はよろしくー」
贄田、後ろに下がる。
入れ替わるように野村が進み出て、怪異に飛びかかる。
野村、真顔で怪異に掴みかかる。
野村「いただきます」
野村、怪異の肩に噛み付き、肉を食いちぎる。
怪異、暴れて野村の胴体を引き裂く。
野村、無視して怪異を喰らい続ける。
やがて野村は怪異を完食する。
傷だらけの肉体が急速に再生していく。
野村、手を合わせて頭を下げる。
野村「ごちそうさまでした」
贄田「お味は?」
野村「焦げの塊を三日間煮詰めたような苦みでした」
贄田「最悪じゃん」
二人、気さくに話をしながらモール内を歩く。




