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【全年齢版】幼馴染はヤドクガエルの王子様~「1000回契れ」って…これなんの呪いですか!?~  作者: 黒燿
第1章:その美しさは、まるでアルカロイド系の猛毒。

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15/15

第15話:魔女の秘密。

塔の窓から、昨晩の恐ろしい出来事が信じられないほどに爽やかな朝の光が差し込む。

切り落としたラプンツェルの長い髪を使い、わたしたちは塔を降りた。


塔をあとに旅立つわたしたち3人(2人と一匹)

「……?」

ふと、わたしは誰かに見られているような気配を感じた。

振り返ってキョロキョロと視線で探るも、そこにはしんと静まり返った、昼でも薄暗い森があるだけだった。

「どうしたんだ、カリンよ」

「ううん、なんでもないわ、ルカ」

この時のわたしは、これを気のせいでやり過ごしてしまったがために『あんなこと』になってしまうなど、思う由もなかった。


しばらく森を歩き続け、太陽が頭の真上にきた頃、わたしたちはお昼を取るために休憩をすることになった。

「ラプンツェル、お前の知る魔女について聞かせてくれ」

カエルの姿のルカが、本を読みながらパンを齧るラプンツェルの膝にちょこんと飛び乗った。


ラプちゃんの魔女は別の魔女っぽかったけれども、それでも魔女は魔女。

なにか、ルカをカエルにした魔女につながる情報が出てくるかもしれない。


軽いため息をつき、読んでいた本をパタンと閉じる。そして物憂げに中を仰ぐ。

背後には、黄緑の新芽を伸ばし咲き乱れるピンクの薔薇。

一つ一つの仕草が絵画のように美しい。自分とは比べ物にならないような、羨ましいばかりの容姿である。


「えーーーとねえ、『じょうおうさま』って呼ばれていたよ」

「!?」

わたしたちは顔を見合わせた。

「こ、これは重要なヒントになるぞ……。魔女はどこかの国の女王であるということか……」

「そうね! ルカのお母さまはすでにお亡くなりになっていらっしゃるし、わたしのお義母さまは魔法など使えないし……。そうすると、西の国か、北の国か……」

「ラ、ラプンツェルよ。もう少しほかにも情報はないのか」

カエルのルカが、さらに問い詰める。


「うーーーん、そうだなーーー。あ、そうだ!」

ラプンツェルはなにかを思い出したかのように、塔から持参した本をゴソゴソと漁り始めた。


取り出したのは……一冊の薄い本。

その時点で、わたしは若干の不安を感じてしまった。


「このページのこの男を見てほしいんだ」

ラプンツェルはパラパラとめくった薄い本の中に描かれていた、ある小太りの男を指さした。

「!?」

「こ、これは……?」

やや脂ぎったその男は、ロープで身体を模様のような……まるで亀の甲羅のような形で全身を縛られ、苦悶の表情で天井から吊るされていた。

背中には蝋燭のロウをたらされており、おそらく拷問を受けている絵なのだろうと思った。


「魔女がね、ぼくに服や宝石を届けるときに、こんな感じに縛られた家来を連れていたんだ」

「そいつらがなにか粗相をすると『この薄汚い豚!』と言って、先がたくさんに分かれている黒い鞭で叩いていたよ」

「魔女って暴力的で、口が悪くて、気性が荒いんだなーと思っていたんだけど、」

ラプンツェルは続けた。

「それなのにこの縛られた家来たちったら、『ああ〜っ! 女王様、もっと〜っ!』って涙を流しながら懇願していたんだよ。もしかしたら奴隷だったのかも?」

「それにしても、すごい忠誠心だなーって思ったよ」

宙を仰ぎながら、感心したように思い出しているようだった。


「ほ、本物の女王様……には違いないんだろうが、女王かどうかが怪しくなってしまったな……」

ルカはなにかを察したようだった。その肩は小刻みに震えていた。


「ルカ、それってどういう……。ラプちゃん、その本もう少しわたしに見せてくださる?」

わたしはもう少し知りたいと思い、その薄い本をラプンツェルから取り上げようとしたときだった。

シュッとカエルの舌を伸ばし、ルカがわたしを阻止した。

「こ、これはカリンが見るようなものではない……。この先にはもっと酷いことが描かれているに違いないからな」

ルカはラプンツェルを睨みながら、薄い本を押し戻した。

もっと酷い……もしかしたら残酷な目を覆うほどの悲惨な絵が描かれているのかもしれない。

そんな恐ろしい拷問が描かれているのであれば、きっとルカはわたしに配慮してくれたのだろう。


「くっ……、魔女の裏の性癖の話しか得られなかったか……」

「ラプンツェルよ、そんなSMの話ではなく、ほかに情報はないのか?」

ラプンツェルは難しい顔をしていた。

「魔女はあまり自分の話をしたくないみたいだったよ。だから、『現実逃避』をしに来ているって言ってた」

「だからぼくは、金で買ってあんなところに閉じ込められてはいたけど、魔女を憎むことはできなかった」

「魔女も、心に孤独の闇を抱えているんだなって思ったから」


その気持はわたしにもわかる。

だって、ロレーシア城から出ることも許されなかったわたしにも、このカエルしかいなかった。

抗えない、運命による孤独を知った者同士にしかわからない、心の闇。


「そうだな……。では、お前に声をかけ続け励ましてくれていたという「騎士様」とは? どういった人物なんだ?」

ルカは話題を変えた。

「ああ、ハインリヒさんのこと?」

「え……」

「そう。たぶんあなたたちの知り合いじゃないのかな?」

「だって、「私は王子を捜している」「王子の名前はルカ」「私は王子を見つけても見つけなくても、心のタガが弾け飛んで死んでしまう」って言ってたもん」


「間違いない……」

カエルのルカとわたしは声を揃えてつぶやいた。

そんな変な人、ハインリヒさん以外に存在しないだろうから。


「ならばハインリヒと合流するのも手か……カリンよ、ハインリヒに南の国へ行けと言ったのだな?」

「ええ、でもハインリヒさんは馬に乗っていたわ……。追いつけないのではないかしら」

「南の国にはルカがいないとわかったら、また馬で違うところへ捜しに行ってしまうのでは……」

あの時、わたしが余計なことを言わなければ……。

「大丈夫だよ、ここにいれば必ず戻ってくるもん」

「なぜそう言い切れる?」


「だって、ハインリヒさん、ものすごい方向音痴だから」

「!? は?」

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