↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/9

ネイビーブルーの瞳

 満月の夜。

 ナッツは、パタパタと飛んでルークの家に行きました。


 家のカギ穴に息をフッとひと吹きすると、鍵が外れます。

 小悪魔ですから。

 このくらいできますよ。



 この家とお別れしたのは、確か前の前の半月の頃。それから今日の満月になるまでの時間が経ちました。

 その程度の期間じゃ忘れないくらいには、体がこの家をおぼえている。




 ちょっと歩けばすぐにリビング。

 ほら、ルークはまたカウチで寝てる。




 窓から差し込む月明かりに照らされたルークは、きれいな寝顔。




 ドキドキする。

 困っちゃう。

 ああもうどうしよう。



 ルークは熟睡しているとなかなか起きない。

 今もぐっすり眠っているから、起こすの大変そう。



 寝ぼけている時のほうが、きっと魅了もかかりやすい。

 叩き起こしてぼんやりしているところに魅了をかけましょう。



 深く深く魅了して、落とし込む。

 私しか見えないように。



 目を逸らせば解けてしまうから、ずっと目を合わせて。

 離れないようにぴったりと体を寄せて。

 ルーク、ルークと何度もその名を呼んで。


 …

 …

 …


 すっげー、恥ずかしい。

 ドキドキドキドキドキドキドキドキ

 ほらもうおかしな心拍数。

 考えるだけで真っ赤になってハアハアしてるとか、ナッツ、自分でも小悪魔としてどうかと思う。




 規則正しい寝息。

 わずかに上下するルークのシャツの胸元が、だってほら、何か妙に色っぽいというか。




 …

 …

 …


 ナッツ、本当にどうかしてます。

 くっきり頭に浮かびましたよ。

 今の自分を客観的に表現する単語が。







 変態。







 そうです。

 それです。

 乙女としてピンチ。


 やりましょう。

 さくっとやりましょう。

 小悪魔でいられるうちに、ルークを落とすのだ!








 ナッツ、そそくさとルークの寝顔の側にしゃがみこんだ。

 とりあえず体を揺すってみようかと、ルークの肩に手を伸ばしかけた時。





 ルークがぱっちりと目を開けた。





 なんてきれいな濃紺の瞳。

 驚きで、ナッツの心臓は爆発寸前。

 ああもう、胸がぎゅっとする。





 てか、ちょっと!何で今起きるのよ!

 動揺が激しくて、パニック。





 突然、ルークはナッツの手首をがしっとつかんだ。

 そのまま、ルークがゆっくりと体を起こす。




 ナッツは動けない。

 ルークにつかまれた右手首から、力を抜かれていくみたい。

 心臓の鼓動だけうるさくて。





 静かな濃紺のまなざしが注がれる。

 そこにどんな気持ちがあるの?

 ねえ、ルーク。





 ルークに見つめられて、ナッツは何しに来たのかも忘れた。

 あんまりドキドキして。

 体の力が入らなくて。

 熱があるみたいにクラクラして。



 


 それなのに。





 こんなにこんなにルークで胸がいっぱいなのに。





 そんなナッツにルークは言ったのだ。

 一番、聞きたくなかった言葉を。







「きみ、誰?」






 足元に、真っ暗な穴が開いたような気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。