イエローピンクな対決
さて、クイーンイエローがまがえるの気を引く。
どうやるんだ?カエルの気を引く?
…
パタパタパタ
とりあえず、クイーンの目の高さで飛びまわってみる。
あれ?クイーン、ルークを見てるよ。
ベチッ。
クイーンの黄色い手が、ルークに伸びた。
ルークが間一髪避けて、その手は洞窟の地面に着いた。
ルークがナッツを見上げて言った。
「ナッツ!真面目にやって!」
「やってるよ!」
えーっと。
あれか。
鳴き真似してみるか。
「ゲゴゲゴ、ゲロゲロ」
クイーンはルークに手を伸ばしてベチッ。
「ナッツ!」
「はいはい!」
踊るか。
激しく踊ってみるか。
レッツダンス!
情熱の腰つきで男たちを魅了するダンスを!
「あなたも釘付けよ!」
キメキメでクイーンを指さした。
無視。
クイーンはルークに舌を伸ばしてベチッ。
「ナッツ!いい加減にふざけるのはやめろ!」
「めっちゃ真面目にやってるし!」
どうしろと。
カエル相手に小悪魔がどうしろと。
てか、何でルークにばっかいくの、こいつ。
じーっとクイーンを観察してやった。
…
…
…
桃色ホッペ。
心なしか瞳がハート。
…
…
…
っ!こいつ、異種族恋愛いける口だ。
ナッツ、女の勘、発動。
こいつは敵だ。
「どおりゃああああ!」
私は有無を言わさずクイーンに殴りかかった。
初めてクイーンが私を見た。
目が合った。
間違いない。
お互いに敵認定した。
クイーンはそれまでルークに伸ばしていた手を、先ほどまでとは違うスピードで振るってきた。
拳と拳(カエルの手)がぶつかる。
ぬめってすべる。
私はすばやく飛び退いて、手のひらに力を込める。
集え!電撃!
私の目が真紅に染まる。
「焼け焦げろ!」
「いや、ダメだろ、それ!」
ルークの焦った声が聞こえるが、知るか!
ナッツが放った電撃をクイーンは確かに受けた。
しかし、体を覆う粘液がビリビリを防いでしまった。
こしゃくな!
ルークが慌てた様子で、下から大きな声を張った。
「ナッツ!倒さなくていいんだって!焦げたら油が採れなく…」
「うるせえ!黙れ!男が口出すな!女同士の問題だ!」
ナッツ、頭に血が上ってます。
一撃で足りないのなら、連続で撃つまで!
ナッツはクイーンの眉間目がけて、何度も電撃を放った。
その合間に、クイーンの鋭い張り手が飛んでくる。
「きゃあ!」
くらってしまって吹き飛ばされた!
急いで羽で体を覆う。
洞窟の壁に激しくぶつかる。
ダメージは軽減されているけど、いってえ。
私はすばやく体勢を立て直し、怒りを持って電撃を構築する。
「我が名はナッツ。ナッツの名のもとに、集え、電撃!」
両手の間にスパークする電撃を抱え、私はクイーンをにらみつけた。
クイーンが舌を伸ばしてきた。
私は舌をかわしながらクイーンに接近した。
「我が怒りをその身にくらうがいい!」
さっきから何度も電撃を落とし、粘液を焼いたクイーンの眉間の上に来た。
私は、手の中の電撃を、直接クイーンへと叩きこんだ!
キイイイイイイイイイイ!
耳が痛くなるような悲鳴を上げ、クイーンはドウッと沈んだ。
「討ち取ったり!」
ナッツは右の拳を高々と掲げた。
倒れたクイーンは、空中で手を掲げるナッツを見ていた。
ナッツも見返した。
すばらしい勝負だった。
私たちは、見つめ合う目と目でお互いを讃え合った。
一つの戦いを終えた今、言えることがある。
クイーン、あんたは敵と書いて、心友と読む存在。
私たちは分かり合った。
クイーン、ごめんなさい、勘違いしてた。
あんた、可愛いわ。
そんな私たちの視界の隅で、ルークがこそこそとクイーンから油を採取していた。
それから、クイーンイエローがまがえると手を振り振り、別れた。
帰り道。
私はルークと並んで歩いていた。
何でかな。
イベントの後はいつも、手をつないで帰るんだ。
ルークの手はとっても温かい。
「ねえ、ルーク、疲れたよ」
「あれだけ戦ったらね」
ルークが優しく微笑んだ。
好きだな。この笑顔。
何だかちょっとセンチメンタル。
甘えたいな。
もう少しだけ近づきたいの。
「おんぶして」
「え」
「疲れた。もう歩けない」
ルークが足を止めた。
きれいな濃紺の瞳が私の目を覗きこむ。
「いいよ」
あっという間に私はルークの背中にいた。
私の胸の音がルークに聞こえちゃうかな。
「ナッツはさ」
「うん」
「本当、小悪魔」
「?」
洞窟を抜けたらまだまだ真昼間。
下りませんよ。
こんな気持ちいいい背中。
サラサラの金髪にホッペをくっつけたりして。
時折、すれ違う人たちにジロジロ見られたけど、いいでしょ、別に。




