偽りのない世界
この世に放たれた輪廻という循環は、魂の寄り処を、地でも天でもなく、生物という、いずれ腐敗するナマモノに委ねている。
魂は、肉体が死滅し、腐敗すると同時に、他の肉体に寄生し、また、新たな進化の過程を築いていく。
世界に散らばる超常種と呼ばれた幻想生命体、そして物界種の魂。それらは混じり合い、物界にて型物として、命を繰り返す。
精神世界に存在する幻想生命体。過去、邪闇種と呼ばれた、混じり合う事のない種族……。それは、神や仏と名を変えていた。
「争いを好むのは、超常種としての宿命。物界には争いが絶えない。弱肉強食が絶対理論で、他者・他種族を駆逐し蹂躙する。それは仕方のない事。そのような貴様達に、相応しい呼び名を与えよう。人の形を持ちて、我々幻想種との間に存在する種族。人との間。そう、もう型物ではない。その侵略種族を人間と呼ぶ事にしようではないか。これが、【輪廻の楔】など必要のない、本当の寄生転生です。そうですよね……ラズリセル……」
ダロンは静かにそう言うと、悲しげな表情で、眼下に広がる広大な大地を眺めていた。
緑や青が減少していく、その呪われた大地を……。
『ラズリセル……。本当に、これで良かったのか……? お前がここに来た時の約束……、守ったぞ。……そしてアルモレヌス、お前はこれで良かったのか? 結局お前も、ラズリセルに……』
※――――
世界を区分すると、二つに分ける事が出来る。
俗世と呼ばれる、云わばこの世。
常世と呼ばれる、云わばあの世。
俗世を噛み砕いて云うと、俗物の世界となる。更に云うと、低俗な物の住む世界という事になる。
常世を噛み砕いて云うと、常に在る世界となる。
そしてこの二つの世界について、矛盾を感じないだろうか。
現世を俗世と呼称するのに対し、死後世界を常世と呼称する。
しかし、我々生者の目からすれば、常に存在する世界は現世であり、低俗な物の住む世界は、鬼の住む地獄であるように推察される。
では、何故この二つの世界に矛盾があるのだろうか。
それは、人間の心の中に存在する。
この世に存在する生命体は、皆罪深い生き物で、弱肉強食という自然摂理の上に成り立っている。
強者は弱者を支配し、蹂躙する。強者が弱者を捕食する。強者が弱者を蹴落とし、のし上がる。
本能的に行われるこの行為。そして人間は、他種族に比べ、その傾向が強い。
その結果から生み出した二つの世界。矛盾があるのは当たり前。何故なら、この二つの世界は、どちらも現世なのだから。
強者が弱者の上に君臨する、弱肉強食という概念。
それでも、強者は脅えていた。自分自身を脅かす、死という脅威に。
だからこそ、死を克服する為に、現世とは異なる世界を創造した。
しかしながら、結局、摂理には逆らえない。
結果、自分達を卑下する表現世界の創造になったのであり、それこそが真理であったのである。
すなわち、俗世=この世は、常世=あの世と同等であり、俗世=あの世で、常世=この世と考えられるのだ。
俗世=この世(あの世)=常世。
生物は地獄で生き、死ぬと地獄で溜めた罪(業)を持って、地獄へ転生する。
これこそ世界の命・魂が、不純物と混じり合う事のない、無限転生であると考える。
しかしその真意は、死して知るしか方法がないのも、また事実である事は否めない……。
久しぶりに書くと、不明文章になってしまいました。
短かったですが、読んで下さりありがとうございました。




