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Lesson23 私は逃げない


――私は、逃げない。


ぐっと手を握りしめる。


「お母さん。……私、」


一度、息を吸う。


「私、魔法専科に進みたい。」


「魔法専科!?」


母が、目を見開いた。


「……私、魔法が好き。」


「もっと、できるようになりたい。」


言えた。


はっきり、自分の意思を口にできた。


母は、すぐには言葉を返さなかった。


「……魔法専科って、エリートが行くところじゃない。」

「ミーナが、ついていけるのかしら?」

「ついていけなくて、落ちこぼれたらどうするの?」


……心配になるも無理もない。

一年生の成績は、落第寸前だったのだから。


母の言葉に、心が揺れる。


その時。


「ミーナさんは、この1年で大きく成長しました。」


エミリア先生が、静かに言った。


「私からも、お願い申し上げます。」


「ミーナさんには、可能性があります。」


レオン先生が続ける。


「その可能性を伸ばすお手伝いを、私たちにお任せいただけませんか?」


レオン先生とエミリア先生、二人がそろって頭を下げた。


先生たちが、私のために。


胸がいっぱいになる。


――気持ちで負けている場合ではない。

私も、深く頭を下げた。


「お願い、お母さん。……結果を出します。」


しばらくの沈黙。


やがて、母がゆっくりと口を開いた。


「……顔を上げてください、先生方。」



「結果を出すと、お約束できるのですね?」


「はい。」


レオン先生が、迷いなく答えた。


一瞬の静寂のあと。


ふぅ、とため息が聞こえた。


「……そこまで言うなら、いいでしょう。」


「お母さん……!」


「ただし―結果が出なければ、その時は、わかっていますね?」


ぴんと張り詰めた声。


言い残して、母は席を立った。


――教室に、静けさが戻る。


「ミーナさん、よかったですね。」


エミリア先生が微笑んだ。


「はい……!」


私は、大きくうなずく。


「先生方、本当にありがとうございました。私、頑張ります。」


深く、深く頭を下げた。


二人がいなければ、母を説得できなかった。

私の為に、ここまでしてくれたことに、感謝の気持ちが溢れる。


――こうして私は、魔法専科に進む切符を手に入れることができた。


できないかもしれないなんて、悩んでいる暇はない。


もう、進むしかないんだ。



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