第五話 寝貯め以外の策 その3 厳選する課金睡眠防止グッズ
夕方5時頃。男は家の近くのドラッグストアにいた。
男はここで、最後の寝落ち対策グッズを用意し、たったと眠りに就こうと決めていたのだが、ここにきて、男は停滞することとなった。
男は常に金欠。
このように、自由に使える金が手元にあるなんてことは滅多に無かったのだ。
本来、ここでは、迷わず、睡眠防止系のドリンクかお薬でも買うべきだと分かっている。いるのだが、男は、それ以外の選択肢へと流れかけていた。
食料。
そう。食料。
早朝の食い溜めに加え、昼の海岸での食い溜めもあったというのに、男は自身の食欲に負けそうになっていた。だが、そうなってしまえば、当日に不安が残るだろうとも男は予想していた。
ここでは確実に効果が期待できる市販の品を手に入れておくべきなのに、そんなに意思が弱いとなると、睡眠欲にも逆らえない、あっさり負けてしまってもいい、となってしまうのではないかと、男は恐れていた。
だから男は、思い切った手段を取った。
「済みません、予算5000円で、眠気覚ましになる食べ物や飲み物、できるだけ色々、効きそうなやつ、選びたいんですけど、お勧めとかあります?」
そう。人に頼む。この場合、店員に。
自分で選ぼうとして色々見るから、目移りするのだ。
そして、駄目押し。
「できたら、5000円分、お任せするんで選んで貰いたいんですけど、お願いできます?」
完全に、自分から、その他食料を選ぶという選択肢をぶっ飛ばした。
結果、揃ったのは、各種エナジードリンク。
カフェイン系、インドメタシン系、高麗ニンジンエキス系、強炭酸系、苦不味系、タウリン系、等々。
手早く補給でき、大量の持ち込みが可能なものをチョイスしてもらった。
そして、男は自身の体にどれがよく効くか分かっていなかった為、種類をできる限り多く取り揃えて貰ったのだった。
効きが怪しい感じなら、量を飲むか、混ぜて飲むかしたらいいと聞いたので、男は当日色々試してみようと決めた。
準備完了。
そして、帰宅した男。
時間は午後六時。夏であるため、まだ外は明るい。
男はやたらにデカい、山菜取り用として使っている、山登り用リュックに準備した全てを詰め込み、かなり時間的余裕を持って眠り始めた。