死遊戯殺人 イー13
これにて、初ジャンル完結です。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
直哉が時音に電話をしたのは、約束の時間よりも早かった。
しかし、事前に電話を受けていた影村はすぐに現場に突入してきた。
岬が剣を振り上げる光景を見た影村は、岬を現行犯逮捕した。
さらに天体望遠鏡で破壊されたテーブルを見た影村は、時音に奥村を逮捕するように指示を出す。
天体望遠鏡は鑑識に回され、僅かに三上の血痕が見つかることとなった。
また、岬の持っていた剣に記されたイニシャルと殺害現場に残された凶器のイニシャルが一致したことで二人は『死遊戯殺人』の容疑者として逮捕状が出ることになった。
状況証拠ではあるが、現行犯で捕まったこともあり、二人は重要参考人というよりも犯人としての扱いで逮捕されることとなった。
直哉が天文部の部室から出ると、飯田 直子が立っていた。
腕を組み、僅かに震えている。
「飯田先生。あなたは全てをわかっていたのでは?」
飯田の横に立ち、直哉はそんなことを言った。
「どうしてそう思うのかしら?」
「もし、殺人サイトに投稿者がいるとすれば、それは犯人を知っている人物。もしくは犯人自身だと思っていました。そして犯人と話してみて、彼らは殺人サイトに投稿するような人物ではなかった。では犯人を知っている人物とはだれか?」
飯田は、何も言わず直哉の顔も見ずに一点を見つめていた。
「犯人は最初に殺す相手を間違えた。天才の弟子を殺してしまったんですから」
「・・・」
「野崎氏は16歳で全国模試一位を取れる人物です。ですが、ただ彼が頭がいいだけでは、全国模試は一位いは取れない。彼が一位をとれた影には教えを乞うた人物がいたはずです。それがあなただということです」
「あなたはどこまで知っているの?」
「別に何も、ただ真実を突き止めるのが好きなだけです」
「そう。ならば忠告しといてあげる。殺人サイトは個人のモノではないわ。どこで誰が見ているかわからない。あなたも見られているかもね」
飯田先生はそれだけを言うと直哉の下から去って行った。
直哉一人になって、正人が残した黒革の手帳を思い出す。
正人は自身が思い浮かべた内容を黒革の手帳に書くことができる異能者だった。
正人の親友である直哉だけが知っている真実。異能の名前は自動手記という。
真っ黒に塗りつぶしていたページに何が書かれていたのかは結局わからない。
正人は名前の通り真っ直ぐに犯人の書こうとしたのか、それとも……。
どちらにしても、毒殺される前に正人は気付いてしまったのだろう。
犯人が奥村だけではないということに、そのため自分を囮に犯人をおびき寄せようとしたのだ。
結果は自身も恋人も殺すことになってしまった。バカな奴だと思う。
それでも最後まで犯人を捕まえることを考えていた正人は、真っ直ぐな奴だったと直哉は正人を誇りに思った。
学校に到着した影村と時音は直哉が指定した天文部の部室にやってきた。
直哉の電話を受けて部室に飛び込むと、今にも直哉に飛び掛かろうとする岬の姿があった。
「何をしてるんですか?」
影村は急いで岬を取り押さえた。さらに破壊されたテーブルと破壊したであろう凶器を持って立ち尽くす奥村を見て時音に逮捕するように指示を出す。
影村たちの行動を確認した直哉が部室から出て行こうとする。
「ちょっと待ちなさい。状況を説明しなさい」
時音の怒声で直哉が足を止める。
「説明が必要ですか?」
直哉は時音ではなく。影村に質問を投げかけてきた。
「いや。行ってもらって構わないよ。まぁ事情は後々聞かせてもらうけどね」
「お待ちしています」
直哉は後姿のまま、手を振って去っていく。
「いいんですか!影村さん」
「いいですよ。彼は犯人ではありません。それに目の前に犯人がいるんです。それで十分でしょう」
「えっ?どういうことですか?」
影村は取り押さえている岬に手錠をかけて立たせる。
「岬 純君だね。君を『R字殺人』の容疑者として逮捕する」
警察では『死遊戯殺人』のことを『R字殺人』と呼んでいた。
なぜそう呼ばれていたか、それは使われた凶器全てにRのアファベットが刻まれていたからだ。
出所のわからない凶器を岬は所持し、直哉に斬りかかっていた。
岬はまんまと直哉の策略にハマったのだ。力なく項垂れた岬は手錠を受け入れた。
奥村も抵抗する気力を失ったのか、大人しく従った。
「怖い坊ちゃんだね」
影村は廊下に出て、飯田と話している直哉を見てそんな言葉を呟いた。
警察署に連行された岬を待っていたのは悠木だった。
「覚悟してもらうぞ」
息子を奪われた父親は鬼のような形相だったという。
奥村は悠木の顔を見て、すぐに自白した。
岬は黙秘を続け、証拠不十分となって釈放されることとなった。
異能を結局証拠として立証できなかったのだ。
直哉のように岬に自白させ、異能を使わせれば証拠になるのだろうが、岬は賢い人間なのだ。
そんなことを二度するはずがなかった。
「なぁなぁ知っているか?」
「京はいつも突然だな。何のことかわからないぞ」
「それもそうだな。『死遊戯殺人』の犯人捕まったらしいぞ」
「へぇ~そうなのか」
「あっ、それと天文部廃部になったらしいぞ」
「大変だな」
「なんだよ。興味ないのかよ。直哉はいつもそうだな」
「京も変わらないな」
今日も変わらない日常が続いていく。
ここまで読んで頂きありがとうございます。




