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公開処刑

「ああ…しんど……」


 薄暗い牢屋の中で両手両足を鎖に繋がれた1人の女が呟いた。女はボロボロの布切れ一枚を身に纏い、露出した素肌は傷だらけ。力なく座り込む女の両手足は爪が剥がされ、骨を折られ、適当に処置した汚い包帯が散乱していた。


「どうすれば良かったのかなぁ…」


 既に痛みも殆ど感じない程に衰弱していた女だが、意識はハッキリとしており、こんな状況に相応しくない程に落ち着いていた。


「死んだら生まれ変われるのかな…いや、そんなの無いか…はぁ…」


 全てを諦めた女は自虐の意味を込めて笑いながら、上を見上げる。しかしそこには晴れ渡る空など存在せず、長年使い込まれて掃除も殆どされていない汚い牢屋の天井が広がっていた。


トットットッ…


 今日はいつもよりも早い時間にこの音が鳴る。その意味を女も理解していた。


「ようやく来たのね…私の人生もこれでお終いかぁ…」


 そう言って女は牢屋の入口を眺める。そして足音が近づいてくる。


ガタッ!


 1日に一度しか開かない唯一の扉が開かれた。


「囚人1687番、時間だ。」


 扉の前に立つ男が感情のない言葉でそう告げた。


「そう…いいから早くしてちょうだい。」


 女も感情を失った表情で真っ直ぐに男を見つめる。


ガチャガチャ……


「…」


 男は懐から取り出した布を女の口元に当てて、キツく縛り付ける。そして壁に繋がれた鎖を外し、女を無理矢理立たせた。


「歩け。」


「……」


 男に背中を押されて、女は歩き出す。時折倒れそうになるが、男は女の髪を引っ張って再び歩かせる。



 15分ほど歩いた所で、女の目に光が映り込む。それは数ヶ月の間、地下の牢獄に入れられていた女にとって久々の外の光だった。生存本能なのか、女はそれに縋るように歩くペースが早まる。そして、長い道を抜けて外に出た瞬間、その眩しさに思わず顔を覆った。


「!!」



!!!!!!!!!!!!!



 久々の外、それに感動している女だったが、それよりも周りの光景に驚きを隠せない。その場所は周りを堀に囲まれた円形の舞台であり、その外側には大量の観衆に囲まれていた。



殺せぇ!!

その女を殺せ!!

ソイツは裏切り者だ!

気色が悪い!!

さっさとやってくれ!!

魔女の系譜が!!

くたばれ!!


「…!!」


 観衆たちは女に対して暴言を吐く。それどころか、石なども投げ込まれ、女にもいくつか当たる。それにより体勢を崩し、膝をつく女を無慈悲にも歩かせる。


 そしてその先にはとある物が置いてあった。それは高さ3メートル近くあるギロチンで、太陽光を反射して輝く巨大な刃が女を待ち構えていた。


「……」


 全てを覚悟していた女だが、いざギロチンを目の前にして少しだけ立ち止まる。


「早く行け!!」


 後ろにいた男にそう言われ、女は再び歩き出した。


 刃の下には首と両手を入れる場所がある。手錠を外された女はそこに雑に押し込まれ、固定された。女は試しに少し動いてみるが、抜け出す事は到底出来なそうだ。


「執行!!」


 女が感傷に浸る時間も無く、少し遠くから大声の合図が出される。


(ようやく死ねる…これで楽に……)



ザシュッ!!!



 首と胴体を分断された女は即死した。

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