友人たちとの時間は、得がたい安らぎがあります。②
ジュリアン様たちとのお出かけの日。
今回の服装は、ジュリアン様たちもご一緒なので、裕福な商家の子息が着るような格好で身分を隠します。私は膝丈のブラウンのスカートに白のレースをあしらった絹のブラウス。まだまだ動きやすそうな幼い感じを残しますが、使用する生地は、上質の良いものなんです。
キャシー様は少し大人っぽく、上等な絹であしらえたオリーブ色のワンピースにブラウンのスカーフを首元で巻いています。艶やかな雰囲気に、腕のブレスレットが、裕福な娘感が出ていますね。。。
お兄様から貰ったブレスレット、よっぽど嬉しいみたいです。我が家に泊まるための限られた服装の中で、ブレスレットに合わせて組み合わせた様ですからね。
そしてそんなお兄様たちは2人とも無地のシャツ、地味色のスラックスを色違いで揃えて作業がしやすいような格好で、働き者の商家の息子感を出しています。
けれど皆んな、元々が王族や公爵家の子息なので、どれだけ身分を隠そうとしても、纏う雰囲気が、洗練されてしまいますね。
一応、商家の子息で通す予定ですが、その所作一つとっても、町商人で通用しそうもない、嫋やかさがあります。
うーん、、、
私たち兄妹2人で中心街まで行ったときは、そんなに目立った様子はなかったんですけど、こうも高貴な人たちが揃うと、自身も第三者の目線で見てしまうからですかね?
どうしても、目立っている様な気になって、ソワソワしちゃいます。
やっぱり前回も思いましたが、この中で1番一般人に紛れ込めているのは私ですかね??
「どうかしたかい?ディアナ嬢。」
「いえ、皆さま、よくお似合いだと思いまして、、」
「そうかい?よかった。上手く変装できているようだね。ディアナ嬢も、よく似合っているよ。」
「あ、ありがとうございます。。。」
ほ、褒められました。何故かジュリアン様、爽やか王子様みたいです。。。
……いえ、、、、、!!
そんな、王子様みたいって!意味がないではないですか!!カッコよく、服装が似合っているなんて、中心街で目立ってしまいます、、、!
こ、これは、前途多難なお出かけにならないことを祈りますよ、、、
ガラガラ……ガラ…
「ああ、そうだ。今更だが、最初はどこから見て回ろうか??リアム、どこか候補はないか?」
「そうですね。せっかくですので、我が領地は加工品が得意です。観光を兼ねて我々が御用達にしているような店舗へ向かいましょうか?」
「リアム様。私、リアム様がアクセサリーを揃えられた店舗に興味がございます。いかがでしょう??」
「きゃ、キャシー。。。いいのかい?かなり庶民向けの雑貨が多いところだよ??君が気に入る欲しいものがあるかな?」
「リアム様が、私に贈り物を選んでいただいた店舗ですわ?そのこと自体が、気に入っておりますから。特にどういったお店かなどは関係ありませんわ?お2人とも、いかがです??」
「僕はいいよ。どんなものが市井で流行っているのか、興味があるからね。君たちの思うところについて行こう。ディアナ嬢、君もいいかい??」
「ええ、私は構いません。皆さまに合わしますわ。」
「リアム様、こちらのペンダント、デザインが私のブレスレットに近いですわ。よければお揃いにいたしませんか??」
「き、キャシー、そんな良いのかい、、、??」
だ、大胆です!!キャシー様!貴族社会での荒波を超えている2人にとって、こんなに分かりやすいペアアクセサリーにするとは、卒業までの周りへの牽制ということですね?!
お兄様も、満更じゃなさそうですよ?大変です!!
ここで乙女ゲーム勃発でしたか?!
なんて、心の中では落ち着きなく、目の前の恋愛イベントの様な光景に、嵐が吹き荒れています。
まぁ、私の妄想ですからね。イベントとかは現実的には、あり得ない話ですけど。
それはそれとして。お兄様たち2人がペアにするのは微笑ましいです。
馬車の中で相談したとおり、最初のお店はあの雑貨屋ですから。良い魔力鉱石のアクセサリーが揃っていますね。お陰で乙女ゲームのヒロインとヒーローがデートしている様な、イベントスチル回収をするかのような場面に遭遇できました。
ホクホクとした役得の気持ちで、私も今から、気になるアクセサリーなどを見ていきますよ?
「ディアナ嬢。君の好きな夜空のデザインが彩られた魔力鉱石の髪留めだ。どうだい?一つ買うかい??」
「本当ですね。私好みの、とても可愛いらしいデザインですわ。私もちょっと気になってしまいますけど、色々見ながら決めたいので、もう少し考えますわ。」
「そうかい?このデザイン、結構凝ってて、付呪もしっかりされているから、護身用にも良さそうだよ?」
「あら。ジュリアン様。それこそ、ちゃんと選択をしていかないと、良いものを選べませんもの。」
「ふ、、昔から君は、欲がないね。」
ジュリアン様が困った様に私に苦笑しています。
けれど、良いものはしっかり選ばないと、もったいないじゃないですか。それに。
夜空の星を散りばめた先に三日月が鎮座している髪飾り。このデザイン、ホントは、目を逸らしたいほど、私をざわつかせます。。。
「あぁ、ディーは。欲しいと思ったら、直ぐに買いなさいと教えているだろう?君はもう少し、我が儘でもいいくらいなんだから。」
そうこうしてたら、ペンダントを選び終わったお兄様たちが私たちの元にやってきましたが、間が悪かったみたいですよ、、、
「あぁー。。。でも、お兄様。こればかりは性分に近いものですから、どうにかもう少し大目に見て欲しいですわ?ね、キャシー様、、、」
「確かにディアナ様の性分ですから、口を酸っぱくすることともいえません。ですが、リアム様が心配するように、私も、ディアナ様はもう少し大胆でもいいぐらいですわ。周りに遠慮していませんか??私たちは、貴女の我が儘なら、喜んで叶えますわ?」
うっ。。み、味方が。。。
私の性分を嗜めているお兄様への言い訳のため、キャシー様を味方につけようとしましたが、優しい笑みを溢しながらお兄様のフォローをされました。
2人とも、私に甘いですね。デロデロに甘やかされそうですよ。。。
「ディアナ嬢、君も中々、面倒な性格だな。」
ヤレヤレと、私たちの様子を見ていたジュリアン様が、苦笑します。
「ディーは本当に、周りを心配させない様にするね。けれど、かえって我が儘を言わないのが、心配にさせているよ?もう少し、周りに頼ってごらん??」
「……。お兄様。私、十二分に甘やかされていますわ。それに、したいことをしたいと、ちゃんと、お話もしてますわ?ほら。今回の、辺境伯領に行きたいと言うのだって、我が儘だわ??」
ちょっとムキになって反論しちゃいましたよ?皆んな、私に甘いんですから、ちゃんと、自覚をしてもらわないとですよ。ふふん。
「確かに、珍しく我が儘をしていたけど、日頃はそんなに欲しいものを言わないよ?ディー、君はとても遠慮しいだよ。だから、僕たちも心配になる。自覚をして、少しずつでいい。僕たちをもっと頼って欲しいな。」
ぐぬぬぬ。。。呆れた様な、残念なものを見るような表情で、お兄様が私を嗜めています。。。キャシー様たちも、まるで肯定するかの様に、見つめてきています。。。はぁ、頼るって、難しいですね、、、




