試験を乗り切った後は、長期休暇が控えています。
ジュリアン様とお話が出来たあと、トントン拍子に‘候補’からも外れることが出来ました。ジュリアン様が心を砕いて動いてくれた結果です。これには側近になる様に動いていたお兄様たちへの影響もないようにしてくれていました。
私の行動がお兄様の将来に影響するかもしれないと、後から私が気づいて焦ってジュリアン様にお伝えしたんですが、最初からジュリアン様とお兄様が、知らないところでお父様たちに話を通してくれていました。お陰でその後の周りへの影響が最小限になりました。
王妃様には大変寂しがられたんですけど、お母様と同級生であることと、お兄様のこともあるので、ほとぼりが冷めた頃、今までより頻回にできなくとも、茶会に招待してくれるそうです。ここまで私を可愛がっていただけるとは思っておらず、ちょっと後悔してます。
そして、リリィちゃんとのアッシュフィールド家への訪問は、長期休暇に行う計画ですが、それまでに待ち控える学期末試験。。。
真剣に取り組まなければ、お母様の交換条件。真剣にこの国を知る。その中に勉強を頑張ることが含まれています。だから、試験を頑張らなければ、今回の訪問も憚られると気づくのも、試験勉強期間中。周りの空気が変わる頃、同じ様に焦り出す私です。
リリィちゃんは元々、予習と復習を繰り返しているちゃんとした子なので、慌てていることはない様子ですが、図書館でしっかりと集中して全科目の見直しをしているみたいです。
えらいなぁって思ったのでリリィちゃんに、声を掛けて労わせてもらったんですが。。。
「そんな、大したことはしてませんよ?ただ私たち特待生は良以上はとって当たり前みたいなところがあるじゃないですか。だから、そのプレッシャーから逃れるためでしかないんですよ?」なんて謙遜しますが。
私はうっ!とグサっときました。もうピンポイントで、クリティカルヒットですよ。
普段から頑張ってるつもりの私。でもそれは他の貴族からみたら、ってだけで、、、
私も同じ特待生枠のはずなのに、リリィちゃん達と比べてしまうと、特に頑張っているわけではないのでないかと気づいてしまう、、、
そんなとこが、自分のダメなところだと思ってしまうのですが、リリィちゃんは。
「ディアナ様は、ディアナ様の出来ることで頑張っていらっしゃいます。全てが完璧なんて、そんな超人みたいな方は貴族の方にもいないでしょう?私たちだって。。。だから、私が私のためにする復習なのです。ディアナ様も、お家のこととかあったとしても、自分で行える範囲で勉学にも励んでいらっしゃるのですから、気に病む必要などないと思います。」
そう、温かに微笑み慰められてしまいました。。。
現金な私は、リリィちゃんの慰めに喜びを感じ納得もできて、自分は自分のできることをしようなんて、心を入れ替えて気合いを入れます。
そして、お母様からの条件。アッシュフィールド家に訪問するための条件、勉強も頑張る。このために私は、試験の高得点を目標に学び続けることを当面の目標とすることにしました。。。
試験勉強の期間中、私とリリィちゃんは今までどおり、クラスメイトとしてそれなりに当たり障りのない無難な交流を心がけ続けています。
一緒にアッシュフィールド家に訪問をするからって、目を引くようなベッタリなお話をしないようにしてます。また前のような、贔屓をする様な引っ付き方をしていたら、皆んなに疑義の目で見られてしまいます。
だから、同じ講義を取る時くらいに、話す時間は限定させているんです。訪問の計画もあるので、ちょっとは、仲良しの様な姿に見えますが、こればかりは、ご容赦いただきたいです。。。
それに、マリー様や他のクラスメイトたちとも交流をとっているので、私を疑義の目で見てくる人はいない感じです。
ああ、それと。
他の特待生たちとも話をしていると、やはりリリィちゃんのように長期休暇は、故郷に帰るのだとか。
故郷の話をすると、皆んな盛り上がってくれて、自分の土地の特産や自慢など、色々教えてくれました。
今まで教科書の中で知った様な気になっていた国のことを聞いて、この国は思っていた以上に豊かなところもあって、そのために燻ったところもあることを知りました。
私は本当に、貴族の‘令嬢’として、シルヴァン家の‘ディアナ’として、何も見ていなかったのだと思い知りました。。。この国を、本当の意味で知ろうとしていなかったのだと気づいてしまいます。
そして、こうも世界が不安定であることを教えてもらって、表面上の穏やかさだけを知り、分かった気になっていた自分が恥ずかしくなりました。
まるで、本当に私が悪役令嬢なのではないかと、疑ってしまう根拠にもなり得ました。
その土地に行かなければ知れないこともすごく沢山あって、生の声を聞かないことがどれほど愚かなのかと思います。
ジュリアン様やお兄様が時たま2人でお出かけに色々な街に出掛けるのも、自分たちの国をしっかり知るためなのだと、今ならわかります。そんな2人に私は、尊敬の念が募ります。




