11 鹿島さんの好きな男のタイプ
「ちょっとちょっと!あたしの居らん所で何の話をしてるんですか!
恋バナやったらあたしも混ぜてくださいよ!」
「え、いや、恋バナっていう訳やないんですけど」
と、俺があたふたしていると、そこに伊予美も入って来た。
「その話、ウチも入りたいな~♪」
「い、伊予美ちゃんまでっ」
更に俺が焦っていると、そこに小暮もやって来て言った。
「恋バナなんてくだらねぇ。俺は全然興味ねぇよ」
と、言いながらも、小暮は物凄く興味がありそうに目をギラギラさせている。
するとそこに碇までが話に割って入って来た。
「僕は凄く興味があるよ!」
「いや、お前はなくてもいい」
と俺が冷たく言い放つ中、遠川監督は冷静な口調で言った。
「だがまあ、恋の話というのはその人の深い部分を知る事ができるから、
興味深い話ではあるな。なあ鹿島、お前はどんな男がタイプなんだ?」
「え?あ、あたし、ですか?」
いきなりズバリな事を聞かれた鹿島さんは、
みるみるうちに顔から耳から首筋まで真っ赤にさせて、上ずる声で言った。
「あ、あたし、は、そんな、これといって、
好きなタイプとか、は、ないんですけど、
強いて言うなら、普段からイケズで乱暴で、
あたしの事なんか全然気にかけてくれへんけど、
誰よりも野球に一途で、誰よりも野球部の事を考えていて、
一心不乱に頑張っているような人が、好き、かな・・・・・・」
はいはい、それはキャプテンですねごちそうさまです。
と内心微笑ましい気持ちになっていると、
それを察したのかどうかは知らないが、
遠川監督も薄い笑みを浮かべながらこう言った。
「なるほどな。じゃあ、小白井はどうだ?」




