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鬼ぼんじゅーる編13

 今思い返すと、あの夜……朝?は僕らは寝ぼけていたんだと思う。

 りっちゃんはあのことを話題に出すことは無かったので僕も何も言わないでおいた。空気の読める狐、それは僕。


 春門はるかどは僕らが起きた時にはもういなかった。都会に帰ったらしい。あまり寝ていないはずなのに大丈夫なのかな。

 春門はるかども良い人だと分かったからもう少し遊びたかったけど、仕方ない。きっとまた会えるだろう。夏休みも二ヶ月後くらいにあることだしきっと一回くらいは帰ってくるよね。

 ……一度くらい撫で撫でしてもらえば良かったな。

 りっちゃんも雪門ゆきかどもお兄さんが帰って少し寂しそうだった。


 その日の夜、僕は二人と和室のちゃぶ台を囲んでテレビをつけながら話をしていた。

 僕は春門はるかどの仕事に同行した話をたくさん聞かれたので答えた。


「じゃあ鬼と戦ったんだね。すごいなモフフくんは」

「僕は確かにすごいけど、鬼は知り合いの娘さんだったからお互い本気の戦いじゃなかったよ」

「知り合いなのかい?狐と鬼は仲が良いのかな?」

「うーん。その妖怪による。僕はまあ彼女の父親に向こうから話しかけられて、そのまま付き合いが少しあっただけかな」


 雪門ゆきかどの質問に真面目に答えていく。

 ただ少し濁したのは、その菊衛門きくえもんから初めて話しかけられた言葉が口説くものだったからだ。

 菊衛門きくえもんは女好きだったから誰彼構わず口説いていた。性別を知らせていない僕にさえ。

 とはいえ手応えがないなら引くのもあっさりしているから困りはしない。見目も非常に良かったし。だからこそモテていたし子供も多いのだろう。あそこまで子供をつくる妖怪なんて見たことないもの。

 今、彼は何をしているのかな。久しぶりに会いたい気もするけど菊衛門きくえもんも鬼だから人間と一緒にいる僕を快く思わないのだろうか。


 そこでついていたテレビから音楽が流れてきた。

 音楽番組が始まったらしい。

 髪をピッチリと整えた司会者の人が美麗な男性三人組の真ん中にいる人にマイクを向ける。テロップによるとアイドルらしい。

 真ん中の人は真っ白い耳にかかる無造作な髪に紫色の瞳を持つ艶っぽい綺麗な人だ。年は二十くらいか。大きく開かれた衣装から見える胸元は鍛えられている。そこがまた色っぽい。


『さて、今日のゲストは只今人気絶頂の男性三人アイドル“鬼節きせつ”の方々です。それでは“鬼節”のリーダーKIKUさんに話を聞いてみましょう!こんばんは、KIKUさん。今日は新曲を披露してくれるようですね』

『こんばんは。はい、今日は夏に向けての新曲を披露させていただきます。夏に合わせた燃え上がる曲ですのでみなさんも俺たちと一緒に熱くなっていただけたら嬉しいですね』


 そうKIKUは色香漂う笑顔で視聴者へ微笑んだ。観客の黄色い声が上がる。


「この人達人気だよね。僕のクラスの女の子達がよく話しているよ」

「俺のクラスもすごい人気だな。毎日何度も名前聞くし」


 僕も何度も話と名前は聞いてたな。実物は初めて見たけど。

 二人の会話に僕は心ここにあらずで相槌をしてじっとテレビ画面を見つめた。


 ……菊衛門きくえもんさん何してるの?


 KIKUは間違いなく菊衛門きくえもんだった。あんな成人向け指定されそうな人そう何人もいないし間違えるはずがない。

 人に関わっていけば嫌でも知ることになるってこのことだったのか雛菊ひなぎく


「どうかしたのかモフフ」

「いや、僕の知らない間に時間は進んでいるんだなって思ってた」

「いきなり何言ってるんだ」


 りっちゃんは不審そうにそう言うけど。なんとなく、あのKIKUってアイドル実は鬼の幹部なんだよって伝えるのが憚られたため僕はそれを伝えるのを止めた。

 とりあえず気が付かなかったことにしよう。

 僕は知った現実から目を逸らした。

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