机の秘密
「案内できるのはこれで全部かな。」
寮の基本的なルールや、商人達の案内の仕方などを説明し終えた時。時計台の鐘の音が鳴り響く。
「今16時ですか。そろそろ会議も終わってますかね。」
「あぁそうか。館の説明がまだだったね……」
二人が館の入り口まで戻ると、使用人が扉を開けてテーブルや椅子を外へ持ち出す姿を発見する。
「そこの二人も手伝って!」
スーツ姿の若い女性が、俺たちを荷物がある所まで案内する。
歩いている最中、先頭を歩いていた若い女性が俺たちと並走して口を開く。
「アルモンテと……例の新人?」
「エドガーと申します。」
「私はローリー。よろしく。エドガー……あ〜、あの時計商人の息子?」
「いえ、父は私が子供の頃に亡くなりました。」
「……なんかごめん。」
実際のところ、俺は実の父を知らない。母がその話は滅多にしないからだ。
もしかしたら、その時計商人が本当に父親かもしれない。
そんなこんなで、俺らは会議室らしき所に到着した。
「あそこにある机を書斎に持って行ってくれない?」
彼女が指差したのは、側面に引き出しがついているタイプの古びた小さな机だった。
「じゃあ右側持ってくれる……?」
「はい。」
右側に移動し、机を持ち上げようとすると、取っ手がついていない横方向に引き出しが開く。
「これは?」
一応他にはバレないよう、一瞬で閉じたが、中には数枚の紙が保管されているように見えた。
(移動させる理由はこれだな。)
多分、他の運び出した机にもこのような仕掛けがあるのだろう。書斎に着いたら、いくつか調べる価値はありそうだ。




