(10)
かすかな疼痛と、ひんやりしたものが体の表面をなでる感触に少しずつ意識を揺さぶられ、摩羯は目を覚ました。
「あ、起きた」と耳元で吐息とともに触れてきた声に、はっとする。首をめぐらせると、自分の体を横向きにして支えていた天鵝が、背後から顔をのぞき込んできた。
「人馬! 摩羯が気がついた!」
後ろをかえりみながら、天鵝が嬉しそうに叫ぶ。その手が布をにぎりしめているのを見て、自分を介抱していたのが天鵝だと知り、摩羯はあせった。
「姫さ……つっ」
急いで起き上がろうとして激痛が走る。
「おとなしく寝ていろ」と肩に添えられた手のやわらかさに、ますますうろたえる。なぜこの状況に陥っているのかと、まだ鈍い頭で必死に考えていた摩羯は、「やっと目が覚めたんだ?」と弟に呼びかけられた。
「よく寝たねえ、兄さん。こんなに眠ったの、もしかして初めてじゃない?」
「……そんなに寝ていたのか」
正面に現れた人馬は、塗り薬と飲み薬を盆に乗せている。
「そうだなあ、兄さんが姫様と抱き合ったまま気を失ってから……」
「人馬、誤解を招くようなことを言うな」
四日経ってるよ、という人馬の答えと摩羯の非難が重なる。
「俺は畢子からそう聞いてるよ。畢子たちが助けに入ったとき、姫様が輝力を放出しながら兄さんをがっちり抱擁してたって」
「いや、それはだから……ち、治療だ」
天鵝が目を泳がせる。
「私の輝力はどうやら、鎮める性質だったみたいだ」
帝室の者は爆発的にあふれさせるほどの輝力を有しているが、力の方向性はそれぞれだと言われている。特に星帝の輝力の性質は、時代の流れすら変えてしまうこともある。
仙王帝の輝力は世界の均衡を保つような安定感を与えるため、平穏な治世となるだろうと期待されている一方で、天狼皇子は以前星宮を破壊したことから、非常に荒々しい性質に違いないと恐れられていた。
基本的に星帝以外はそれほど輝力を大放出する機会がないため、天琴も天鵝も、どのような輝力の持ち主なのか今まで判断がつかなかった。天狼の制御役として天鵝が呼ばれていたことから、天鵝の輝力は抑制するものだろうとせいぜい想像する程度だったのだ。
「姫様の輝力が兄さんを救ったんだよ。すごくキラキラしてて優しい波動だったって、畢子が感激してた」
おかげで全身に回っていた毒がかなり弱まったのだという。結界をはるために自分の輝力を消耗していた摩羯は、もし天鵝の癒しがなければ確実に死んでいただろうと。
「姫様はここ数日大忙しだったのに、わざわざいらっしゃって兄さんの看病も進んでされて、本当に兄さんって愛さ……」
「人馬、薬を寄越せ。私が塗るから、お前はその口を閉じていろ」
天鵝が耳まできれいに色づきながら人馬に手を差し出す。「はいはい」と笑いながら天鵝に塗り薬を渡した人馬は、無表情を取り繕おうとしている摩羯を見やり、盛大に吹き出した。
「人馬!」
二人から同時に怒鳴られ、「やっぱり気が合いますねえ」とますます笑いがとまらなくなった人馬は、それ以上叱られる前にと退散した。「人払いをしているから、しばらくは呼んでも誰も来ませんよ」と言い残して。
それでは、天鵝に手当を頼むより他ないではないか。「まったく、あいつは……」とぼやいた摩羯は、天鵝が自分を見つめていることに気づいた。
「姫様、お手数をおかけしますが、背中だけ塗っていただけますか。前は自分でしますので」
摩羯がゆっくりと上体を起こすと、天鵝は背中の傷口を中心に薬を塗りはじめた。
丁寧な手つきについ反応してしまいそうで、懸命に無心を貫く。
「お助けするつもりが、かえってお力を使わせてしまったようで、申し訳ありません」
「気にするな。何度もお前に守られているんだ。それに私の輝力が治療の役に立つなら、少しは衛士たちの働きに返してやれる。衛士統帥としての自信にもつながる」
「――今、何と?」
聞き間違いかとふり向いた摩羯に、天鵝が気まずそうに視線を伏せた。
「そこはさらっと流してほしかったな」
「姫様」
「お前が眠っている間に、天狼が行方不明になったんだ」
天鵝は事情を説明した。自分の消息がわからなくなったと衛士が仙王帝や猟戸に報告するのを、天狼が立ち聞きし、仙王宮を馬で飛び出してしまったという。それが発覚したのは、天鵝の救出と衛府襲撃への対応が無事に終わった日であり、衛士たちはそのまま今度は天狼の捜索に追われることになった。
昴祝たちにかどわかされた可能性は低いものの、皆が大慌てで駆けずり回る中、天鵝は北辰を使うことを提案し、自分が衛士統帥に就くことを決めたのだと。
「しかし、姫様はまだ星杖をお持ちではないのでは?」
「最初は警戒していたが、呼べば来てくれたぞ」
白馬も手に入れたと少し嬉しそうな天鵝に、摩羯は頭をかかえた。
「お前は絶対に反対するだろうと思ったんだが」
「当然です。まだ昴祝が捕まっていないというのに、衛士統帥になられるなど」
天琴も激怒しているのではないかと尋ねると、「ものすごく怒っていた」と天鵝は苦笑した。
「正直、迷った。これ以上お前に迷惑をかけていいのかどうか……私が離れていたほうがお前は安心するだろうから。だが、他の団長たちに言われたんだ。武器を振るえない宰相府官吏たちの中にいるより、自分たちのそばにいてくれたほうが逆に守りやすいと」
摩羯のことは責任をもって説得すると胸をたたいていたという天鵝の言葉に、摩羯は脱力した。
「それに、お前の負担になりたくないという気持ちは確かにあるんだが、お前に心配されるのも心地よいと気づいた」
はにかんだ笑みを浮かべる天鵝に、つられて照れそうになるのを何とか我慢する。
「案じてほしくて無茶をなさるおつもりですか? ずいぶんと人の悪い」
「誰に対してもではないぞ」
「……私限定ですか」
「今のところは」
「あなたという人は……」
だめだ、陥落しか道がない。摩羯は大きく嘆息した。
もともと、かなうわけがないのだ。どうあがいても、拒みたくても、自然と意識が向いてしまう相手なのだから。
他の団長たちまでが容認したのであれば、自分も腹をくくるしかない。塗り終わった天鵝から薬を受け取ろうとした摩羯は、もの言いたげな天鵝の視線に気づいた。
「……何か?」
衛士統帥就任に自分がいい返事をしないことで、考え直そうとしてくれているのかとわずかな希望をいだいた摩羯に、「あー、うん、その……だな」と天鵝が口ごもる。
「お前は、気を失う前の、こ、行動を、覚えているのか?」
ちらちら摩羯を見ては視線をそらす天鵝に、摩羯はしばし沈黙した。
「申し訳ありません。結界をはってからは意識が朦朧としておりましたので、記憶が……もしや、何か失礼なことをいたしましたか」
とたん、天鵝の顔が真っ赤になった。
「いや、いい。何でもない」
ごにょごにょ言ってうつむいた天鵝は、膝上で服をにぎりしめた。摩羯も前を向いて自分の肩から胸にかけて、黙って薬をつけていく。
ようやく塗り終わると、天鵝が背中側と胸側の傷口にそれぞれ白い布をあてて、包帯を巻いていった。
「お上手ですね」
「お前の体でだいぶ練習させてもらったからな」
天鵝はもう気持ちを切り替えたらしく、横になった摩羯をまっすぐに見つめた。
「私も薬師の資格を取ろうと思う。お前に師事したいんだが、引き受けてくれるか?」
「泣いて後悔されても、責任を負いかねますが」
「私がいじけて飛び出したら、お前は捜しに来てくれるんだろう?」
ふふっと笑って、天鵝はふところから首飾りを取り出した。それを摩羯の手に乗せる。
「視察の任が終わりしだい、衛士統帥に就く。末永くよろしく頼む、地使団長」
にこりと、極上の笑みを残して天鵝が去る。一人残された摩羯は頭をのけぞらせてうめいた。
「まさか生きながらえるとは……」
最期だと覚悟すればこそ、思いのままに動いたのだ。一度しらばっくれた以上、この先も天鵝が蒸し返すたびにとぼけ続けなければならない。
そもそも自分からしておいて何だが、本当に意識が途切れかけていたので、ほとんど感触が印象に残っていないのだ。もったいないことに、ただ触れたとしか。
どこかで仕切り直せばよいのだろうが、それはそれで難しい。
難儀な相手に惚れてしまったものだと、あらためて嘆息した摩羯は、渡された首飾りがかすかな音を立てるのを聞いた。
球の上部を回してはずすと、中から小さな耳飾りがこぼれ落ちる。
淡く輝く青紫色の玉は、持ち主と同じく清廉な雰囲気を醸し出していた。
今度は、名も身も隠す必要はない。堂々と身に着けるためには、憂いをのぞかなければならないが、周囲から返上を勧められることはないだろう。
もう二度と、手放したくはない。耳飾りを壊さぬよう優しくにぎり、摩羯はそのこぶしに口づけた。
三ヶ月後、月界の中心にある北極宮は、久しぶりに熱気に包まれていた。皇族に関わる儀式がとりおこなわれるこの北極宮で、今日新しい衛士統帥が誕生するのだ。
すでに衛士たちは大広間に集まり、式の開始を待っている。控え室で衛士統帥の正装に着替える天鵝を横で眺めていた天琴が、長大息をついた。
「本当にいいのね?」
「姉上、いまさらですよ」
もう中止することはできない。詰め襟の白い上下の服に銀色の腰帯を巻き、天鵝は脇の小卓に置いていた長剣を腰にさしながら苦笑した。
「だってねえ……私を補佐したいっていうあの言葉はどこにいったわけ?」
それを言われると痛い。天鵝は申し訳なさを覚えながら、不満げな顔の天琴を見返した。
「あのときの気持ちに嘘はなかったと、はっきり申し上げます。そのために視察を請け負ったのですから。結果として、視察は今後衛士統帥として次期宰相の姉上をお支えするために、よい勉強となりました」
この三ヶ月のうちに、天鵝は視察を含む宰相府の仕事をすべて片付けた。そしてようやくこの日を迎えたのだ。
「口約束なら反故にできるわよ」と天琴がぼやいたとき、扉がたたかれた。
「姫様、お時間です」
入ってきた摩羯は詰め襟の白い上下服に黄色い腰帯を巻き、黄色いマントをなびかせている。胸には地使団長の徽章をつけていた。
「来たわね、諸悪の根源が」
「姉上、この件について摩羯には何の責任もありません」
じとっと摩羯をねめつける天琴を天鵝がいさめる。
「そうかしら? この男がいるから天鵝は衛士統帥になろうと思ったんじゃないの?」
だいたい、衛士統帥には天狼を就けるから天鵝には手を出すなと、団長たちに念を押したはずなんだけどと天琴がふてくされる。
「申し訳ございません。金の姫様よりお受けしたご指示につきましては、私はその場におりませんでしたので」
「天鵝がもう一度誘拐されたら、衛士全員を縛り首にするとも私は言ったわよ」
「そのお話も、私自身はうかがっておりませんので。ご通達が十分に行き渡っていなかったことを、衛士を代表してお詫び申し上げます」
「むかつくわ。あの三人、わざとあんたをここへ寄越したわね」
しれっと答える摩羯に、天琴が口の端をひん曲げる。天琴を堂々とたばかるあたり、衛士の団長たちはそろって食わせ者かもしれない。
「私が宰相位を継いだらこき使ってやるから、覚えておきなさい」
「お手柔らかにお願いいたします」
摩羯はどこまでも余裕のある態度を崩さない。天琴は鼻を鳴らして摩羯を一瞥すると、部屋を出ていった。
「お前も私を心変わりさせるために、姉上に加担するかと思った」
「さすがにここまできて、それはありません。そのようなことをすれば、今度は衛士たちから私が恨まれます」
椅子にかけられていた天鵝のマントを取った摩羯が苦笑する。
天鵝が衛士統帥に就くという正式な決定が届いた日、衛府は大喜びに揺れたのだ。その日ばかりは団長たちも、皆がはめをはずして乾杯するのを黙認した。
「何があろうと、あなたのことは全力でお守りします」
「やりすぎて死ぬことだけはするなよ」
もう二度と、誰かが自分のために散るのを見たくない。
就任の儀より前、命を落とした護衛の家族の家を、天鵝は一度訪れた。闇使のほうは素性不明の扱いのため、猟戸に任せたが。
立派に務めをはたした我が子を誇りに思うと、天鵝の弔問に感謝する者もいたが、やはりやり場のない怒りと悲しみにくれる親兄弟も少なからずいた。
天鵝は形見として彼らの髪の毛を少しずつもらった。自分を守って命を落とした者がいたことを忘れないようにするため、また今後同じ目にあう者が増えることのないよう努力していく気持ちをもち続けるために。
「私は、お前の身を犠牲にしたくてこれを与えたわけじゃない」
天鵝は摩羯の胸元にそっと触れた。服の上からでも感じられる首飾りの感触に目を細める。
「姫様、むやみやたらと男の胸に手をのばしてはなりません。勘違いしてのぼせあがる者が続出します」
「誰彼かまわずさわったりはしないぞ」
眉をひそめる天鵝を摩羯がじっと見つめた。
「私だけですか?」
「そう――」
だ、と答えかけてとまる。似たような問いかけを先日もされたが、形勢が微妙に違う気がした。あのときはこちらが押し気味だったが、今回は……。
何となくまずい予感にたじろいで一歩下がった天鵝に、摩羯が逆に一歩を詰める。
「摩羯……?」
少し身をかがめた摩羯の手が、天鵝を包むように背後に回る。
抱きしめられる、と思わずぎゅっと目をつぶった天鵝の肩に、何かが乗った。マントの重みだと気づき、天鵝は摩羯を見上げた。
紫色と金色の糸で刺繍がほどこされた銀色の長いマントを留め金で固定した摩羯が、息が触れ合うほど間近で天鵝に微笑みかけた。
「準備が整いました」
「あっ……な……」
声を詰まらせる。天鵝の頬がかあっとほてった。
摩羯が数歩後退して天鵝の全身を確認する。わずかな乱れもないことにうなずく摩羯を、天鵝はにらんだ。
「お前、わざとだな」
「何がでしょう?」
すました顔で尋ねる摩羯が憎らしい。
「もういい。どうせ私はまだ子供だ」
最初に摩羯の治療にあたった烏鴉みたいな、色気のある大人の女性には遠く及ばない。この程度で動揺するなど幼いなとからかわれたようで、天鵝はむすっと口をとがらせて歩きだした。
摩羯が先に扉を開ける。その横を通りかけた天鵝は、摩羯のつぶやきを聞いた。
「子供だとは思っておりません」
「え?」
ふり返った天鵝は、色違いの瞳が浮かべる真摯な光に吸い寄せられた。
「私にとって姫様は、もう子供ではありません」
「……それは」
どう解釈すればいいのかと天鵝が尋ねる前に、摩羯は視線をそらした。待ちきれなくなったのか、向こうから天蝎、双子、獅子の三人がやはり正装姿でやって来るのが見えた。
「金の姫様のお叱りはうまく切り抜けたようだな」
まず双子が摩羯をねぎらった。
「お怒りが解けたわけではないぞ。姫様が宰相におなりの際は、衛士をこき使うとおっしゃられていた」
「金の姫様のご命令なら、身を粉にして働く衛士が山ほどいるから、きっとご満足いただけるだろう」
もちろんこちらの姫様のご指示が最優先だが、と獅子があごをなでながらにやりとする。
「よくお似合いです」
天蝎が濃い青緑色の瞳を弓なりにする。皆にうなずかれ、天鵝は恥ずかしいながらも嬉しくなった。それから気を引き締める。そして四人の団長と天鵝は式場へ向かった。
扉の前で、天鵝を誘導する摩羯と天蝎が一番前に立つ。天鵝をはさみ、後ろに双子と獅子が並んだ。
北極宮の鐘が高らかに鳴り響く。扉が開かれ、摩羯と天蝎がそろって踏み出した。
大広間の中央に、衛士の四色で織られた絨毯がのびている。左右に分かれて並ぶ衛士たちは絨毯のほうを向き、姿勢を正している。全員に注目されながら、天鵝はゆっくりと進んだ。
奥の壇上に兄である仙王帝が立ち、すぐ脇には宰相の猟戸皇子が控えている。さらに猟戸の横の台には、紫の布に軽くくるまれた一本の星杖が置かれていた。先端の輪に四つの五芒星がつながれている銀色の星杖は、鈍い光を放っていた。
新しいものを用意するかと猟戸に言われたが、天鵝は断った。代々衛士統帥が受け継いできた星杖――叔父も使っていた星杖を譲り受けたい。
壇上に上がるための五段階段の手前で摩羯と天蝎が左右に分かれ、絨毯のほうを向いて立った。後ろの双子と獅子も摩羯と天蝎の隣に並ぶ。それにあわせて、衛士全員がいっせいに壇上へと向きを変えた。
天鵝は壇上の兄を見上げた。その後ろの壁には、衛士各団の色の旗がつるされている。
「天鵝皇女、こちらへ」
仙王帝が軽く右手を挙げる。天鵝は一礼すると、階段をのぼった。三段目で片膝をつき、頭を下げる。四人の団長も天鵝の動きにあわせて壇上を向いた。
猟戸皇子が台に乗せていた星杖を両手で持ち、仙王帝と一緒に下りてくる。そして天鵝と同じ段まで来ると、くるんでいた布を開いた。仙王帝が星杖を両手で取り、天鵝に差し出す。天鵝もまた両手でそれを受け取った。
二人が再び階段を上がり、元の位置に戻ったところで、天鵝も立ち上がった。目があった仙王帝が笑みを浮かべて軽くうなずく。
天鵝は反転して衛士たちのほうを見た。視線を一身に浴びる中、星杖を左手に持ちなおし、柄の先で軽く階段を突く。
「水使団一同、天鵝統帥に忠誠と信義を」
「地使団一同、天鵝統帥に忠誠と信義を」
「火使団一同、天鵝統帥に忠誠と信義を」
「風使団一同、天鵝統帥に忠誠と信義を」
四人の団長が次々に剣を抜いて胸の前で立て、誓いを述べる。そのたびに天鵝の持つ星杖についている五芒星が一つずつ輝き、青、黄、赤、白緑色に色を変えた。四つすべての五芒星が光ったところで、衛士たちはそろって膝を折った。
新しい衛士統帥の誕生を祝福し、北極宮の鐘が鳴る。星杖をしっかりとにぎりしめ、天鵝は四人の団長と衛士が待つ階下へと進み下りていった。 <了>
〈登場人物・その他〉
天鵝皇女……仙王帝の妹。宰相府官吏。キグヌス(白鳥座)の星司。
天琴皇女……仙王帝の妹で、天鵝の姉。宰相府官吏。リラ(琴座)の星司。
天狼皇子……天鵝たちの弟。
仙王帝……現星帝。
猟戸皇子……天鵝たちの叔父。宰相。オリオン(オリオン座)の星司。
摩羯……地使団長。カプリコルヌス(山羊座)の星司。
室女……地使副団長。ヴィルゴ(乙女座)の星司。
人馬……火使団員。摩羯の弟。サギッタリウス(射手座)の星司。
獅子……火使団長。レオ(獅子座)の星司。
双子……風使団長。ゲミニ(双子座)の星司。
天蝎……水使団長。スコルピウス(蠍座)の星司。
畢子……地使団員。
天箭……帝室専属の赤冠薬師。畢子の祖父。サギッタ(矢座)の星司。
白羊……火使副団長。アリエス(牡羊座)の星司。
その他……ウルサ・マヨール(大熊座)、ウルサ・ミノル(小熊座)、ラケルタ(とかげ座)、ルプス(おおかみ座)、コルヴス(からす座)、デルフィヌス(いるか座)、コーマ・ベレニケス(かみのけ座)、ドラコ―(竜座)




