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白馬と姫  作者: カーネーション


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第57話『探してほしい人』

 ジルベラス様を殺したのがレーコさん? わたしはただただバカみたいにルルさんを見つめることしかできなかった。


 頭のなかを整理してみる。でも、整理するには情報が足りない。繋がらない情報ばかりでまとめようにも難しい。だけど、今までの会話でひとつだけわかりそうなことがあった。


「探してほしいってことはレーコさんは生きているんですか?」


「生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。レーコはこの森から逃亡したのよ。だから、生きているかどうか誰も知らない」


 レーコさんは生きている。国王さまを殺して逃亡している。本当にそうなのか。信じられない。少なくても、レーコさんの日記からは人を殺すような憎しみを感じなかった。


「ルルさん、こうは考えられませんか? レーコさんは国王を殺してなんかいない。何らかの理由で逃げているんじゃないかって。もし、レーコさんを見つけられたら、その理由も明らかになるって思うんです」


「レーコを信じるの?」


 顔を合わせたことはないけど、レーコさんはわたしと同じ境遇にあった。異世界にやってきて、神子になって、ジルベラス様と結婚をした。


 日記のはじめはハゲとののしっていたけど、いつの間にか、名前で呼ぶようになった。名前を呼ぶほどに信頼を置いていた国王を彼女が殺すなんて思えない。


 ルルさんの顔を見て、うなずいて返す。


「わたしは信じます。だから、レーコさんを探します」


 いつもの自分らしくないほどに正義感とか勇気とかがあふれていると思う。決意をこめて表したら、横からため息が聞こえた。


「お前、簡単に言うな」


「簡単には言ってない。考え抜いて決断したの」


「どうだかな」


 また、サディアスはそうやって熱を持ってきた人の気持ちに水をさす。こっちも頭に来た。


「何よ、あんたがいるじゃない」


「は?」


「サディアスがいれば、大丈夫でしょ?」


 なぜか、わたしの発言に部屋のなかの時間が止まった気がした。変なことを言ったかなと不安になって思い返したら、後になって気づく。まるで、わたしがサディアスを信頼しているみたいじゃない。恥ずかしい。


 慌てて、「わたしの世話係みたいなものだし」とつけ加えた。そうしたら、「あはは」とルルさんの笑い声が聞こえた。

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