第24話『あなたのおかげ』
翌日はうってかわって、わたしのファッションはシンプルな感じになっていた。
神子の服と呼ばれるアイボリー色のワンピース。手首に近い袖口のところと丸い襟元に小さなフリルがついている。
ドレスに比べてきつい締め付けもないし、とても動きやすい。前の神子――レーコさんが着ていたものを直したのだと、世話係のマリアさんは言っていた。
朝食を国王様と食堂で済ませてから、わたしは約束どおりサディアスの部屋に向かった。
わたしとサディアスが約束をしたことを知ると、「まさか、あのサディアスが」とジルベール様をはじめ、ニーナさんやクラウスさんにまで驚かれてしまった。サディアスって相当、変わってるんだ。
サディアスの部屋へと続く通路を歩いていたら、クラウスさんの笑い声が耳をくすぐった。
「とてもお元気そうですね」
「は、はい。昨日はよく眠れたので」
本当にぐっすりと眠ったみたいで、気づいたら世話係のマリアさんが起こしに来ていた。
「安心いたしました。サディアスの部屋を後にされてから、お疲れのようでしたから」
そうだ。クラウスさんに心配をかけてしまったのかと反省してしまう。確かに昨日のわたしは泣きつかれて足元までふらついていたっけ。クラウスさんに支えてもらわなかったから、神子の部屋にも戻れなかった。
「心配かけてごめんなさい。あの、クラウスさん」
「はい」
「わたし、神子として、がんばってみるつもりです」
どうなるかわからないけど、やってみようと思う。神子としてできる限り「心の拠り所」になっていきたい。
今朝、読んだレーコさんの5日目の日記にもこうあった。
『国王はわざわざわたしのために調べてくれたらしい。わたしの部屋に来て、教えてくれた。
神子は森に入っても姿かたちを変えない。人のままでいる。
それは不変的な証として、我々(ベルホルンの人)は神に近い存在だと考えた。異世界から来た者が神子とされたのはその時からだと話してくれた。
確かにこの説明は納得できたけどね。
わたしが一番ほしかったのはこの国王との信頼だったんだ。
だから、あっさり調べられてしまって困ってる。本当は嫌だけど、信用するしかない。
あーあ、神子になるしかないんだ。でも、仕方ないんだよね』
わたしもレーコさんと同じ気持ちで、今日をむかえた。この国の人たちのことを少しだけ信用したいって思えた。
そう思えたのはあのサディアスのおかげなんだけど、お礼なんてたぶん、顔を合わせたら言えない。だから、心のなかでお礼しておいた。




