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白馬と姫  作者: カーネーション


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114/144

第114話『ジュリアとガストン』

 ふたりはにらみ合いを続ける。


「ガストン、なぜ、ここがわかったのかしら?」


「お前に話す義理はない」


「そう。大方、検討はついているけれど。それで、わたしの提案は呑んでいただけるのかしら?」


 本当にジュリアさんがしゃべっているのかと疑問に思うほど、言葉がくだけていた。ふたりの仲はよっぽど親しい間柄だったらしい。もしかしたら、昔、彼氏彼女の関係だったとか(サディアスが聞いたら色恋沙汰に持っていくなと叱られそう)。それくらい今の状況とかけ離れた会話だった。


 ガストンさんは太い眉がくっつくぐらい顔をしかめた。


「呑めるか」


「ならば、わたしはここから動かない。ジルベールにミヤコ様を渡すくらいだったら、夫のように人をかばって死ぬわ」


「ほう、お前の罪人の夫とは、ずいぶん昔の話だな。言っておくが、お前とそこにいるサディアス・クロスも罪人だ。わざわざ、俺の手で殺す価値もない。牢にぶちこむ。そして、ミヤコ様を保護する。結果、無事に結婚の儀が執り行われるわけだ」


 結婚するといっても、わたしとジルベール様は腹違いの兄妹だ。どう考えても無理だ。それだけは言える。だけど、ガストンさんの見た目(顔全体がヒゲだらけ)が恐すぎて、声を上げるのをためらった。


 そんなわたしの代わりにジュリアさんが立ち向かってくれる。


「ガストン。ミヤコ様はジルベラス様とレーコ様の御子なのよ」


 そう、それが言いたかったんだ。聞いてもなお、ガストンさんはまったく驚いた様子はない。


「その点については問題ない」


「どういうこと?」


「それもお前に教えてやる義理はない。なあ、ジュリア」


 まるで好きな人にささやくような低く甘い言葉に、ジュリアさんの肩が驚いたように跳ねた。


 そのすきとばかりに、ガストンさんは速かった。ジュリアさんの短剣を素早く落とすと、抵抗する彼女を掴み、手際よく縄でくくる。ガストンさんの合図で兵士たちが動き出した。サディアスも同じようにされた。


「ミヤコ様。共に来ていただきます」


 ガストンさんが足を折って腰を落とす。それは断るとかじゃない。もう決まっていること。


「お願い。ふたりに手荒な真似はしないで」


 そう告げるのが、わたしにできるせいいっぱいだった。

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