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魔血吸の在り方  作者: スクロー
黄昏の出会いと結束の章
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傷の在り方

はい鬱です

ここがこの物語で一番凹むとこです

僕は道を歩いていた


もう何も考える事が出来ない


いや、何も考えたくはない


僕は知っていた、わかっていた


ただ、目を背けていただけなんだ


皆を助ける事で、その事実が消えるとでも思っていたのだろうか


遠征部隊の人たちが、誰も責めてこなかったから大丈夫だ、とでも思っていたのだろうか


時間が経てば、忘れられるとでも思っていたのだろうか


この罪が消える事は絶対にない



僕は


隊長を


見殺しにした



僕は隊長が邪竜と戦っている間、ただ呆然と立っていただけだったのだ

僕の足ならば、すぐに助太刀出来たのに


その事実は、どう足掻いたって消せる筈ない


僕は自分の命惜しさに


隊長を見殺しに・・・したんだ















「あら?あなたは・・?」


そう話しかけて来たのは、ゴウさんの恋人だった


僕は慌てて立ち上がる


「ぼ、僕の事をご存知で?」


直接的な面識はないはずだ

しかし彼女に特別な驚きの感情はない


もし僕の事を知っていないなら、僕を見て驚かないはずがない


「ええ、ゴウはあなたの事を出発前によく話していたわ」


彼女は、儚げな笑顔を浮かべながら話し出す


「ゴウはすごい新人が入ったって、そういっていたわ」


彼女はそういって目を伏せた

とても大切で、暖かな思い出を、そこに見ているかの様に


「まるで魔物の様な赤い目をしているが、決して人に危害を加えないし、誰よりも優しい心を持っているって言っていたわ」


ゴウ隊長はそんなことを言っていたのか・・


「フフッ、おかしいわよね、恋人が目の前にいるのに、あの人ったらそんな話ばかりするのよ?」


「あ、いえ、そんな・・」


そこで、ふと気がついた

彼女の目がまるで笑っていないという事に

その目の奥に、何かを隠している事に


「そうよ、出発を見送る恋人に、そんなことを言っていたのよ


だから大丈夫だ、絶対生きて帰ってくるって


そう言って出て行って、ゴウは帰って来なかったわ」


何故だろう、背筋が凍る、動けない


「あなたは帰ってきたのにね」


もはや、彼女が笑っているのは顔だけだった


「可笑しいわね、誰よりも優しいあなたが生きて帰ってきて、あの人は帰ってこないなんて」


その顔だけの笑顔が、より恐ろしさを強めていた


まるで能面を見ているみたいだ


「ゴウは責任感が強くて、一旦約束した事は一度だって破らなかったわ」


止めてくれ、聞きたくない


「そんなあの人が約束したのよ、生きて帰ってくるって」


お願いだから!


僕の思いと裏腹に、僕の口は一切動かない

いや、動いてはいるが、言葉を吐く事が出来ない


「ねえ、なんであなたは帰ってきたの?」


その言葉だけは、やめてくれ!

それだけは・・・!!















「・・・あなたが死ねばよかったのに」






















それからの事は、あまりよく覚えていない


気づけば、西門の前に来ていた



そうだ、誰もいない場所に行こう



僕は虚ろな意識の中、それだけを考えた


扉は、堅く閉ざされている


「すみません」


僕は門の側に立っている衛兵さんに話しかけた


「お、お前は・・・」


衛兵さんは僕の事を知っている様だ


「この門を通りたいのですが・・」


僕が願い出る


「駄目だ駄目だ、第一、出てどうする?もう魔物は綺麗さっぱりいなくて、しばらく討伐する仕事はないぞ?」


衛兵さんがその要望を拒む


「少しだけでいいんです」


「いいや駄目だね、特にお前の様な奴の頼みならなおさら聞けねぇな」


衛兵はニヤニヤと笑いながら答える


「聞いたぜ?お前遠征部隊にいたんだろ?誇り高き遠征部隊、その至上最大の面汚しの一人、魔物のミコトだろ?」


何を言われたかよくわからないが、兎に角僕は外に出たかった


「いいから、門を開けてくれませんか?」


衛兵はムッとした顔をした

僕の反応が気に入らなかったみたいだ


「駄目だと言っただろう!!なあみんな!?」


衛兵が周りの人々に呼びかける


「そうだそうだ!」


「お前、人前に出て恥ずかしくないのか!?」


「なんだ?お仲間が恋しくなったか?仲間の魔物たちがな!」


嘲笑う声が響く

皆笑っているが、それは侮蔑を込めた笑顔だ

こんな笑顔はいらない

こんな物のために僕等は戦ったんじゃない

でも、言い返す気力もない


「まあそうだな、俺も鬼じゃない」


衛兵が、周りをなだめながら言った


「どうしてもというなら、うん、そうだな」


衛兵が一呼吸置いていう


「・・門の上なら通ってもいいぜ?」


門は城壁に埋め込まれる様に出来ている

門の上には分厚い城壁があり、その高さは首が痛くなる程だ

周りで笑いが起きる

・・・何が可笑しいのだろう?


門の上・・・か

なら、お言葉に甘えよう


「おいおい、帰っちまうのか?」


衛兵の言葉を無視して、僕は門から距離をとる


そして振り返り、周りに言う


「危ないので、少し下がっててください」


僕は少し飛んで地面の固さを確認する

やはり門の前ということで、しっかりと踏み固められているみたいだ


これならいけそうだ


「おいおいまさかお前・・?」


衛兵の言葉を無視してしっかりとしゃがみ込む


手をついて、


「おいやめr」


地面を蹴り飛ばす!!


視界がズレる


空気を切り裂いて進んだ僕は、門を一瞬で飛び越え、障壁も越えてようやくスピードが緩み出す


下を確認するついでに城壁の上を見る


弓矢部隊の人が、口を開けてこちらを見ている


驚かせてしまったかな?


そのまま地面に落ちていき、手足を地面に叩きつける


辺りの地面が割れてしまったが、今はそんなことを気にする余裕はない


僕は森の中に入って行った



誰もいない、静かな場所を求めて

書き終わりました

・・・はあ、めっちゃ辛いです

でも世間って、こんなもんなんだと思います


世間なんかに負けないぞ!っと、がんばりましょう

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