好奇心の在り方
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今なら返信率100%!当たり前ですけどねw
寝てリフレッシュした僕は、出発の準備をしている
川がすぐ側にあるので、そこで顔を洗ったり体を拭いたり
川の魔物たちは何故かこちらに寄ってこなかった
足がつく場所では不利だと、理解しているのだろうか?
「よし!では10分後に出発するぞ!!」
ゴウ隊長がそう言って、僕たちの進行が再開されようとしていた
といっても、目に見える位置に村があった
昨日の内に村まで行けばよかったのかもしれないが、遠征の経験上、廃村にはかなりの魔物が配置されているらしい
よって昨夜は橋と村の間の、おそらく橋の建設の時に作ったスペースを使って野営した
・・・ちょっとだけ先に行ってみようかな
好奇心がムクムクと、僕の中で育つ
「ダンナ、先に行くつもりでやんすか?」
スーハにはお見通しの様だ
「ちょっとだけ、先に行ってみようかな?」
僕はゴウ隊長に許可を貰って、村に先行することにした
思えば、好奇心、猫をも殺すとはこのことだったんだな
僕はスーハを連れて歩き出す
そして村に入ろうとしたその時
村からのっそりと、魔物がやってきた
全身毛むくじゃらで、目だけがでている
しかしその目が通常の魔物よりも、滴る鮮血の如く紅い
形は人の形だが、何処をどう罷り違ったって人には見えない
「一匹、なのかな?」
僕は聞いてみた
「とりあえず、目に見える範囲にいるのは一匹でやんすね」
スーハは答えた
一匹なら、僕がちょちょっと行って片付けてもいいんじゃないだろうか
「じゃあちょっと行ってくるよ」
僕はそう言って、魔物と向かい合った
しかしどうやらこの魔物、とても動作が遅い
歩く速さも遅く、まるでゾンビみたいだ
声も何だかゾンビっぽい
ん、口はあるみたいだ
そんな魔物が、拳を振りかぶる
かなり大ぶりに振りかぶっていて、避けるのは簡単そうだ
僕は物は試しと思い、その拳に合わせるようにパンチを放った
相手の大ぶりパンチの拳に合うように、こちらも正確に拳を合わせる
そうして拳が触れ合った時、僕の視界が揺れた
気がつくと、僕は森の中にいた
咄嗟に頭を庇ったけども、相当な速度で木々に叩きつけられたみたいだ
頭がクラクラする
正面を見ると、僕が吹っ飛んだ跡が見てとれる
というか後ろを見るともう少しで川だった
危なかった・・・
僕の拳が相手の拳に触れた瞬間、僕は感じた事もない衝撃に襲われた
大振りでゆっくり放たれた相手の拳は、異常な破壊力を持っていたらしい
たったそれだけでここまで吹き飛ばされたのだ
僕が普通の人だったら、跡形もなく弾け飛んでいたかもしれない
恐ろしい
兎に角遠征部隊に合流しよう
それでこのことを報告しなくては
僕は駆け出した
遠征部隊は村の前まで来ていた
合流した僕は事情を話した
「うむ、やはりな・・」
ゴウ隊長は何かを知っている様だった
「魔物の強さを見極める方法なのだが、いくつかあってな」
そうしてゴウ隊長はその方法を語りだした
・大きい物は強い
・早く動く者は厄介だ
・余りに小さい物も侮れない
と、当たり前の事が続く中で、今回の魔物を見極める方法が一つあった
・目の紅さが濃い物は強い
そうだ、あの毛むくじゃらの魔物の目はとても紅かった
次からは目の紅さにも気をつけよう
その他にも
・表面が不気味に輝いている物は魔法に強い
などがあった
というか、事前に教えて欲しかった
「いやいや、普通は誰でも知っている事でやんすよ?」
スーハがそういうのだから、そうなのだろう
・・・なんというか、理不尽だ
「しかしダンナは流石ですね、一瞬駄目かと思いやしたよ」
スーハはそういって安堵したようだ
確かに、頭がクラクラした程度で済んだのは奇跡だ
「では、あの魔物を退治する訳だが、」
ゴウ隊長はそう言って、皆を見渡した
「私がやってみようと思います」
そういったのはレフィさんだ
僕が吹っ飛ばされたのを知っているのに立候補するなんて
僕はグランさんが相手をするんだと思ってた
「うむ、やってみてくれ」
ゴウ隊長も許可を出した
でも、確かにレフィさんの剣術なら、一撃も喰らわないで倒せるかもしれない
そうして、レフィさんの一騎打ちが始まった
レフィさんの戦法は、基本的にはヒット&アウェイだ
敵の隙を見つけて斬りつけて、すぐに相手の攻撃範囲から逃れる
そうやって何度も斬りつけるが、あの毛はすごく堅いらしく、魔物にダメージは見受けられない
そうこうしている内に、魔物が自らの体をコマの様に回し始めた
最初はゆっくりと、しかし段々早くなるその回転は、恐ろしい力を秘めていた
もし今の魔物の拳をかすりでもしたら、トマトの様に弾け跳ぶことは必至だ
それでもレフィさんは隙を見て斬りつける
しかし、意味がないと悟ったのだろう、攻撃の手を止め、魔物から少し距離をとる
『炎よ燃えよ、そして光れ』
そうして詠唱を始めた
『この剣先に宿りて、その身を縮め、来たる時を待て』
レフィさんの剣の先に光りが集まる
魔物は依然、回転を続けている
『その力を持ち、我が敵を焼き払え』
その時、魔物が動いた
回転の力を、そのまま移動の力に変えて
これまでの動きに比べると恐ろしい速さでレフィさんに接近し、拳を振るう
しかしレフィさんは、まるで分かっていた様にその拳を避けて相手の背後に回る
『朝に昼に夕に、燃え盛る太陽の様に』
そう唱えた声を聞いて魔物が振り返った
その姿を見て、剣先を魔物の口に突っ込み、叫ぶ
『指先の太陽!』
その詠唱を最後に、剣先のある魔物の口から夥しい量の光りが漏れる
目を閉じているのに、真昼の太陽を直視してしまった様な眩しさだ
まるでマグマが燃えたぎる様な音が聞こえるが、目を開ける事は出来ない
そうしてしばらくして光りが治まり、視界が戻ってくると
そこには頭の溶けた毛むくじゃらが立っていた
レフィさんが剣を納め、こちらにやってくる
「ちょっと時間を掛けすぎました、すみません」
そう言ってレフィさんは、敵の方を見ずに隊長に謝罪した
魔物が音を立てて倒れたのはその時だ
魔法ってすごい、そう思わずにはいられなかった
最近更新遅れ気味ですみません
この話に限らず、詠唱を毎回即興で考えているのですが、読み方が定まりません
「指先の太陽」と書いてありますが、リトル・フレアと読むとかっこいい気がします
もちろんそのまま「ゆびさきのたいよう」と読んでも構いません
もうどんな読み方をしようと読み手の自由です
皆さんの心の中にある、純粋な気持ちで読み解きましょう
F○ckin'As○H○leなんてのも、嫌いじゃありませんw(よゐこのみんなは、こんなきたないことばをつかってはいけませんし、おかあさんやおとうさんにいみをきいてもいけません)