初仕事の在り方
また遅れてしまいました・・いやしかし、なんとか毎日更新は継続出来てます
明日も遅れると思います、具体的には今日の時間より少し早い程度の投稿時間になると思われます
「あ、ダンナ、どうしたんですか?恨めしそうな顔して」
とても、とてつもなく長い15分を経て、スーハがやって来た
「スーハ、今日は僕たちに仕事があるんだ、僕たち三人に」
「三人っていいやすと、フーの姉御とですか?」
それを聞いてか、フーさんが立ち上がり、移動をはじめた
きっとついて来いという意味だろう
僕たちは後に続いて歩きだした
「僕たちの最初の仕事は、採取だそうだよ」
「採取っていうと、いったい何の?」
「門の外で、食材とか、必要な物を色々とってくるらしいよ」
フーさんが物置の扉を開けた
どうやら中に採取に必要な道具が入っているようだ
「なるほど、魔物の出る森での採取の仕事でやんすね、しかしダンナ、あっし実は」
フーさんがこちらに渡す道具を装備しながら話を聞く
「森に入って採取した事なんて、一度もありやんせんぜ?」
どうやら前途洋洋とはいかないようだ
門の外に来た
ただ、これまで一言もしゃべらないフーさんの後についてきただけだけど
そこから少し城壁沿いに歩いて戦場から遠ざかる
しばらくして、フーさんは後ろを見て、僕たちの確認をした後に、森に入っていった
「さて、ここからが本番だよ?」
「そのようでやんすね・・・」
僕たちも当然後に続いた
森の中は、ダイジさんと入った森とそこまで変わらないみたいだ
フーさんが立ち止まり、地面を観察した後、僕たちを手招きした
そこにはキノコが生えていた
・・・少しだけ僕のトラウマがよみがえる
フーさんは重要な見分けるポイントに指をさし、背中の背負籠に入れた
確かこのキノコは食べられるキノコだ
フーさんはさらに、近くに生えていたキノコを持ってポイントを指し示す
そして今度は腰の小さな籠に入れた
あれは毒があるキノコだ
食べると下痢が止まらなくなるとかなんとか・・・
そんな風にして、僕たちは教えを受けながらの採取を続けた
しばらくすると、スーハの集中力が散漫な事に気づいた
「スーハ、やっぱり難しい?」
「いやまあ、慣れない事は慣れないんでやんすが・・・」
何か集中できない理由でもあるのだろうか?
「これ、なんの意味があるんでやんすか?」
・・・そりゃそうか、スーハはこの仕分けの意味すら知らないのだろう
「そういえば、しっかり説明してなかったね、実はこ「・・・」」
僕が説明しようとすると、フーさんが僕たちの間に何かを割り込んだ
背負籠に入れるべきキノコが矢の先に刺さった状態で僕の目の前にぶら下がっている
そして、フーさんが呟く様な声で唱えた
『洗え』
キノコがみるみるきれいになった
『炙れ』
キノコに火が通ったようだ
いつの間にか取り出した塩をかけて、スーハにそれを差し出した
スーハは訳もわからず受け取る
「食べろって意味だと思うよ」
フーさんが頷いた
「そ、そうでやんすか、では、さっそく」
そういってスーハはキノコを口に運んだ
パクッ、もしゃもしゃ
最初はなんでもない顔だったけど、しばらくして
バクッ!
と一口で食べてしまった
そのまま噛んで飲み込み、一言
「うまいでやんすっ!!」
どうやらお気に召したようだ
その後、手足が痺れるキノコを見つけた時、またもフーさんはスーハに食べるように進め、結果
「な、なぃかしびりぇるでやんしゅ(なにか痺れるでやんす)」
などと言っていた、どうやら痺れるのは手足だけではないようだ
そして同じキノコをまた見つけると、今度は腰の方の籠に入れた
一言喋れば済む話だと思うんだけど、フーさんは頑なに喋らない
もしかしたら、一度経験しないと本当には理解できない、という考えなのだろうか
「ダンナ、あっし実験人形にされてやせんか?」
「いや、ちゃんと毒性の強い物は避けてるし、そんなことはないんじゃないかな?」
絶対にそうだと言えないのが辛いところだ
もちろん魔物も何度か出てきたけど、僕がナイフを構えるフーさんの前に立ち、壁役をしながら魔物を攻撃し、スーハも僕をうまくサポートしながら、抜けてしまった魔物を倒している
結果、フーさんは何もせずに魔物たちは全て倒れていった
フーさんが突然遠くを見て立ち止まり、採取に使っていたナイフをしまう
そして弓矢を放つための準備を始めた
すぐにいつでも放てる状態になって、ある一点に矢先を向けた
そこにはかなり遠い位置に、大型の牛のような動物がいた
キリキリキリッ
弦が張り詰める音が聞こえてくるようだ
『貫け』
恐らく、呪文を唱えてから放たれてた矢は、真っ直ぐに獲物に向かい、
明らかに物理法則を無視した威力で牛を貫いた
倒れた牛の元に駆けつけると、心臓をドンピシャで貫いている
失血がひどく、このまま血抜きが完了しそうだ
僕はフーさんが死体を食べられるように処理するのを手伝い、門へ運ぶ
「この肉はどうするんですか?」
「けっこうな大きさでやんすから、少しぐらいもらってもいいんじゃないでやんすか?」
「・・・」
相変わらず何もしゃべらないけど、もう気まずくはなかった
フーさんは門の内側に歩いていき、建物の中に入っていった
たしかあそこは食堂の裏のはずだ
「あらら、これは大物をしとめたな~」
そこで調理担当の人に、肉を指差し、背中の背負籠も渡した
僕もそれに倣い、籠を渡す、スーハも同様だ
「おねがいしまーす」
「おねがいするでやんす」
しばらくして、籠を返してもらい、また森に入る
今日はそれの繰り返しのようだ
そしてお昼になった