隊長と隊員の在り方
僕は部屋に置いてある荷物を持って西門に行こうとして、思い出す
「あ、そういえば、僕は街を通っちゃいけないんだった・・・」
警備隊長に、街の中を一人で歩くことを禁止されいていたのだ
今更それを破ってしまっても、どうということはないかもしれないが、守った方が無難かもしれない
(となると、選択肢としては・・)
1・誰かと一緒に行く
しかしこの誰かが問題だ、スーハやゴウ隊長とはもう別れてしまったし、他に頼る人もいない
2・気にせず街中を歩く
僕は地理がわからないので、もしかしたら迷子になるかもしれないし、きっと騒ぎになるだろうな
3・行かない
いやいや、これはない
4・別の手段で目的地に向かう
・・・街中を通らないで西門に向かう方法、一つだけある
僕は、4を選んだ
「すみません、門を通してくれませんか?」
「何を言ってるんだ、ここは一歩踏み出せば戦場だぞ?それにその荷物・・・いったい何を考えているんだ」
僕はフードを取って門番の人を見た
「僕はミコトです、何度も戦場に出てますから大丈夫です、実は西門に用があって行きたいのですが、街中を通って不要な問題を起こさないため、外周を通りたいのです」
門番は頷いた
「なるほど、お前の噂は聞いている、まあ大丈夫だろう、通れ」
そう、4番目の選択とは、南門を通って、城壁の外から西門に向かうという物だ
これなら道に迷うこともないし、人々と不要ないざこざを起こさないですむ
魔物がでるのが難点だが、僕なら問題ないだろう
そうして門を通り、戦場を見渡す
今日の当番の人たちが魔物を狩っている
遠征部隊の人たちとあれだけ狩ったのに、まだ止まらないようだ
ただ若干数が少なくなった気がするけど、どうなのだろう?
僕は城壁沿いを歩き出した
ヒュッ
キンッ!
僅かな風切り音がした
僕はほとんど条件反射で防御する
案の定矢が飛んできていた
そちらを見ると、今度は一斉に空に向かって矢が放たれた
その矢はこちらに向けられたものじゃなく、森の方に飛んでいった
何が何だかわからないが、悪い気はしなかったので、手を振ってまた歩き出した
しばらく歩くが、魔物が出てくる様子もなく、もう少しで西門が見えてくる所まで来た
何故なら道がいきなり広くなっているからだ
おそらく南門と同じように、西門も広く切り拓かれているのだろう
人と魔物の姿も確認できる
僕は遠くから、フードを深く被り、目を隠しながら声をかける
「すみません、南門から来たものです、ミコトと言います、西門にくるように遠征部隊長のゴウさんに聞いてきたのですが・・」
しばらくして、誰かがこちらにやってくる足音がする
「君があの時の紅い目をした男か、顔を見せてくれないか」
言われた通りフードを取って顔を見せる
「覚えているか、君に最初に斬りかかった者だ」
そこには遠征部隊の(敵の敵は味方だ)と言った女性の人が立っていた
体に血がついている所を見ると、どうやら魔物を狩っていたらしい
「はい、覚えてます、もう一度言うけど僕は魔物じゃないですよ?」
「ハハッ、その様子だとしっかりと覚えていてくれたようだね」
しかし綺麗な人だ、女の子にモテるタイプといえばいいのだろうか
スラッとしていて背も高く、物腰も落ち着いていて
そう、宝塚に出てきそうな人だ
「どうかしたかい?」
どうやら不躾な視線を送ってしまっていたようだ
「いや、綺麗だなって」
何を言ってるんだ僕は
「な、やめてくれないか、そ、そんなことを言われても、その、困る」
言われ慣れていないのか、すごい照れてる
・・・ちょっとかわいいかも
「ごほん、とにかく、その様子だと遠征部隊に転属するみたいだね、ようこそ!歓迎するよ」
そういって、笑いかけてくれた
もう、これだけで転属してよかったと思えるよ・・・
「と、言う訳で、早速手合わせを願いたいのだが・・」
何やら不穏な空気が流れ始めた
「え、いや、まずは荷物を置きたいのですが」
「そうか、では、そこら辺に置いて、早速「おい待て、新人に何してんだ」チッ!」
そこにゴウさんが現れた
ていうか舌打ち・・?
「内側で待ってたのによ、まさか外を回ってくるとは」
「それも鍛錬のためであろう?流石だな!」
「違いますよ、街中だと不要な事件が起きかねませんから、こうやって外周を回ってきたんです」
「そうか、おれぁてっきりスーハと一緒にくると思ってたんだが」
格好良く別れた後に気付いたなんて、我ながらマヌケだな
「スーハとは誰の事だ?」
「誰っておまえ、ミコトと一緒にいた奴だよ」
「はて?誰かいたかな?」
「「・・・・」」
(もしかしてこの女の人って、)ヒソヒソ
(ああ、バトルジャンキーだ、自覚はないみたいだがな)ヒソヒソ
「おいどうした、二人して声をひそめて、やましいことでもあるのか?」
「「いや、全然?」」
「ならいいが、そうだ手合わせの件だが「そうだミコト!お前明日配属にあたってテストをさせてもらうからな」チッッ!!」
何これ怖い・・
「テストなんてあるんですか?」
「そりゃそうだろ?足手まといはいらないからな!まあお前なら全然問題ないだろ」
「そうだな、戦闘に関しては一級品だからな」
「お、お前が人を認めるとは珍しい、なにかあったのか?」
「この人、僕にいきなり斬りかかって来たんです」
「お前は何をやってるんだ、いくら戦うのが好きだからって、相手ぐらい選べ」
「いきなり潰しにかかってた隊長にいわれたくはありません」
「なにをっ!?」
「なんですかっ!?」
隊長たちは言い合いを始めてしまった、だが、それが仲の良さを表しているような気がする
「仲がいいんですね」
「「誰がこんな奴とっ!!」」
やはり息がぴったりだ
明日はテストがあるらしい、どうなることやら
彼女もメインキャラです、の予定です
でもヒロインって柄じゃない気もする
むしろ主人公より主人公・・・
まあいいか
猫が突然暴れて顎に傷が!
なんだ?怖い夢でも見てたのか?私がバイオハザードをやっていたのが原因か??