表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔血吸の在り方  作者: スクロー
暖かな村と自覚の章
12/67

前兆の在り方

それからは朝起きて、体を洗い、朝ご飯を食べて、ダイジさんと森に入り、終わったら宿に戻て夕飯を食べ、寝る前に魔法を試す

という生活サイクルが出来ていた


「・・・よし!」


ようやく魔物を狩るのにも慣れてきた

今はちょうどゴリラの様な魔物の頭を、平手でハジキ飛ばしたところだ


「しかしお主は、本当に異常な腕力だな」


ダイジさんにして、異常だと言わしめる力で魔物を殺すのだが、

最近、魔物の血を見ていると、何故だか心がザワつく


キケンだ、キケンだ


と、本能が警告するのだが、魔物の血から、目が、離せない


「おい、聞いておるのか?おい?」


「・・・!あ、はい!大丈夫です!」


「ならいいんじゃが・・」




平穏な時間が、終わろうとしていた




「ダイジさんたら酷いんですよ~」


「それはわかったけど、これ、本当にもらっていいのかい?」


「もちろんいいですよ、僕が持っていてもなんの意味もないですから、もらってくれたら嬉しいです」


「ならいいんだけど・・・」


今僕は森から宿に帰ってきて、夕飯をいただいている

やはり何度食べてもここのご飯は美味しい、今日は魚料理だ

因みにおかみさんがこれ、と言ってるのは僕が森から持って帰ってきた物だ

魔物の部位だったり、食べれる野草だったり、フルーツだったり、時には見かけた動物を狩って持ってきた

せめてもの宿代の代わりだ


「そういえば、おかみさんは魔法、使えるんですか?」


「あたしは使っても意味がない質の人間だから、使えることは使えるけど、滅多に使わないねぇ」


「じゃあ料理とかはどうしてるんですか?火を起こす時とか」


「そりゃあんた、魔方陣を使うのさ」


「魔方陣?」


「そうさ、そいつを使えばあたしにだって火を起こすぐらいはできるさ」


「詳しく聞いてもいいですか?」


おかみさんの話によると魔方陣は、

・複雑な形をいくつか組み合わせて、意味のある陣を作り出すことで使える魔法

・使用者の魔法の素質に関わらず、同じ結果を出すことが出来る

・ただし少し気だるくなる


「まあ魔法を使うと気だるくなるのは、当たり前なんだけどね」


「そうなんですか?」


「魔法は意志の力で使うだろう?その意志の力ってのは使った後消えちまうのさ、だから何度も使うとやる気が起きなくなるのさ」


・・・村長の話より100倍分かり易い!


「そうだったのか、僕は魔法が使えないのでわからないんですよ」


「なに、あたしは生まれてこの方魔法なんて5回も使ってないさ、それでも全然生活に支障はないよ、あんたも気にしなさんな」


「そうですよね、ありがとうございます!」


魔法の練習してるのバレてたのかな?


その時である


「ミコトさんはいますか!?」


宿に入ってきて、開口一番にこういったのは、僕も何度か見たことがある村の人だ


「はい!ここにいますよ?」


息を整えながら、その人は僕の元に歩いてきて、


「ダイジさんが呼んでます、いつもと逆の門で待ってるそうだ」


そう言った


「あ、はい、急ぎみたいなので、すぐに向かいます」


「ああ、そうしてもらうと助かる」


「じゃあおかみさん、また後で」


「あいよ、気をつけてね!」


ダイジさんが夜に僕を呼び出すなんて、はじめてだ

何があったんだろう?

・・・嫌な予感がする


僕は急いで門に向かった



門ではダイジさんが待っていた


「む、ミコトか、待っておったぞ」


「ダイジさん、どうしたんですかこんな時間に」


「いやなに、予感がするんじゃよ、何となくだが」


そこでダイジさんは少し躊躇して、だけどもはっきりと言った


「魔物の襲撃がある気がする」


魔物の襲撃、これによってダイジさんの故郷、ライドは滅びたという

その襲撃が、もうすぐ起こるってことか?


「儂は何度か魔物の襲撃を受けておる、その、前兆の様なものがわかるのじゃ」


「それって的中率は・・?」


「・・・・100%じゃ」


言葉が出なかった、数多の国を滅ぼした魔物たちが、今、この村を襲おうとしている

・・・村が滅ぶ?

おかみさんも村長も村人も、ダイジさんも、みんな死んでしまう?


「どうするミコト、今なら逃げれるぞ?逃げたとて、誰も責めん」


「僕は・・・」


僕がどうするかは、決まっていた

みんな、僕を暖かく迎えてくれた


「僕はこの村を守ります、きっと、守ってみせます」


「・・・フン、そう言うと思ったわい」


ダイジさんは、どこか寂しげに、自嘲気味に笑いながらそう言った


「魔物はこの先、つまりライドからこの街道を通ってくるだろう、数はわからんが、おそらくそんなに多くはない、この村が潰せればいいだけの戦力でくる」


「どうしてそんなことがわかるのですか?」


「勘じゃ」


・・・なんとも心許ない


「儂の勘を侮るでないぞ?それだけでこの戦場を生きてきたのじゃからな!」


カッカッカッ!っと快活に笑い、ダイジさんは僕を見た


「なに、儂とお主なら、何とかなるじゃろ!」


「またそんなこと言って、だからおかみさんにも相手にされないんですよ」


「それはそうと、お主の目、だんだん黒くなってきたな」


「え、本当ですか!?」


「ああ、いつか本当に真っ黒になるかもな」


「やった!そうしたらもう魔物と間違えられないぞ!」


「いや、お主は腕のこともあるからな~」


「なんでそういうことを言うんですか・・・」


そうやってくだらない話をしていると、僕の目に何かが写った


「どうやら来たみたいですよ」


「うむ、そのようじゃ」


無数の赤い目が、こちらにやってくる


「準備はいいですか?」


「誰に聞いとるんじゃ」


ダイジさんが刀を抜いて、構えをとる



僕の初めての戦が、始まる

次回、大暴れの予感!


魔方陣は、ただこういうのがありますよ~っていう説明です

大晦日、のけものにされて暇なあなたに捧ぐ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ